さて、今日は父の70歳の誕生日にプレゼントしてしばらく使ってもらった初代のiMacが家の倉庫においてあったのを、ついに処分することにしました。
古いコンピュータは最近は手数料を払って処分してもらうのですが、市では扱わないので、指定の業者にお願いしなければなりません。電話をしてみると、取りに行くためにはさらに2000円もかかると言うので、近くの温水プールに行く道すがら、その会社までiMacを持って行くことにしたのです。
場所は犢橋(こてはし)の千種という場所で、じつは後でわかったのは、そこは東京オリンピックの前の年から作られた千葉鉄工業団地の中にあったのでした。近くにあるらしい犢橋高校には途中まであのSMAPの木村氏が通っていたそうですが、周囲は都市近郊の、まだまだ畑や荒れた山林のある台地の一角です。正方形の区画には名前の知れた企業の倉庫や鉄関係の中小企業が集まっていますが、それだけでなく、アパートもあるし、鉄工業団地の組合には入っていないような零細企業も軒を並べています。
目指す業者がなかなかみつからず、車を止めて、1つの鉄工所で働いている作業着の人に聞きましたが、要領を得ません。しかし静かな声と眼差しで隣に同じ名前の会社があるからそこにいってみたらと教えてくれます。
またしばらく団地内を東西南北に車を走らせたのですが、どうしても見つかりません。もうあきらめようかなと思ったときに、中年のおばさん達が4,5人集まって話をしているのをみかけて聞いてみると、すぐ先の道を右にまがったところだよと教えてくれました。やはり道を聞くなら中年のおばさんです。
その道は車一台しか入れない狭い小路のようなところでしたが、そこに入るとすぐに左に目指す業者の会社が見つかりました。コンピューターなどの電子機器類の処分をしているのです。道の横にも工場内にも細かな部品や分解された鉄のかたまりが所狭しとおいてあります。そこの従業員もやはり静かな声と眼差しで挨拶をしてくれて、中に入れてくれました。手続きは一枚の紙に住所などを書くのと、3700円を払って、立派な領収書をもらうだけでしたが、それをやってくれたのは若い綺麗な身なりでネイルアートをすべての指にしている女性です。ネームタグの名前を見るとどうやらこの会社の社長の娘さんのようでした。機械油の臭いと、黒い手と顔の従業員に見送られて、私は鉄工業団地を後にしたのです。
古い鉄工業団地は、単に企業の表情のない建物が整然と並んでいるのではなくて、おばさんたちが立ち話をし、零細なコンピュータを処理することを仕事にした会社も、たった1人で土曜日も小さな部品を手作業で作っている人もいる人間の場所でした。今日は見えなかったけど、きっと子供だっているのでしょう。子供達は小路で石蹴りなんかするんでしょうか?いやそれは私の感傷に過ぎなくて、子供達は塾通いに忙しいかもしれませんが。
雑多な土地に紛れ込んで、私はほんの少し幸せだったのだと思います。別れを告げた初代iMacが最後の奉公にそんな場所を見せてくれたのかも知れません。
古いコンピュータは最近は手数料を払って処分してもらうのですが、市では扱わないので、指定の業者にお願いしなければなりません。電話をしてみると、取りに行くためにはさらに2000円もかかると言うので、近くの温水プールに行く道すがら、その会社までiMacを持って行くことにしたのです。
場所は犢橋(こてはし)の千種という場所で、じつは後でわかったのは、そこは東京オリンピックの前の年から作られた千葉鉄工業団地の中にあったのでした。近くにあるらしい犢橋高校には途中まであのSMAPの木村氏が通っていたそうですが、周囲は都市近郊の、まだまだ畑や荒れた山林のある台地の一角です。正方形の区画には名前の知れた企業の倉庫や鉄関係の中小企業が集まっていますが、それだけでなく、アパートもあるし、鉄工業団地の組合には入っていないような零細企業も軒を並べています。
目指す業者がなかなかみつからず、車を止めて、1つの鉄工所で働いている作業着の人に聞きましたが、要領を得ません。しかし静かな声と眼差しで隣に同じ名前の会社があるからそこにいってみたらと教えてくれます。
またしばらく団地内を東西南北に車を走らせたのですが、どうしても見つかりません。もうあきらめようかなと思ったときに、中年のおばさん達が4,5人集まって話をしているのをみかけて聞いてみると、すぐ先の道を右にまがったところだよと教えてくれました。やはり道を聞くなら中年のおばさんです。
その道は車一台しか入れない狭い小路のようなところでしたが、そこに入るとすぐに左に目指す業者の会社が見つかりました。コンピューターなどの電子機器類の処分をしているのです。道の横にも工場内にも細かな部品や分解された鉄のかたまりが所狭しとおいてあります。そこの従業員もやはり静かな声と眼差しで挨拶をしてくれて、中に入れてくれました。手続きは一枚の紙に住所などを書くのと、3700円を払って、立派な領収書をもらうだけでしたが、それをやってくれたのは若い綺麗な身なりでネイルアートをすべての指にしている女性です。ネームタグの名前を見るとどうやらこの会社の社長の娘さんのようでした。機械油の臭いと、黒い手と顔の従業員に見送られて、私は鉄工業団地を後にしたのです。
古い鉄工業団地は、単に企業の表情のない建物が整然と並んでいるのではなくて、おばさんたちが立ち話をし、零細なコンピュータを処理することを仕事にした会社も、たった1人で土曜日も小さな部品を手作業で作っている人もいる人間の場所でした。今日は見えなかったけど、きっと子供だっているのでしょう。子供達は小路で石蹴りなんかするんでしょうか?いやそれは私の感傷に過ぎなくて、子供達は塾通いに忙しいかもしれませんが。
雑多な土地に紛れ込んで、私はほんの少し幸せだったのだと思います。別れを告げた初代iMacが最後の奉公にそんな場所を見せてくれたのかも知れません。