日本男道記

ある日本男子の生き様

老人と海

2008年01月19日 | 読書日記
老人と海
ヘミングウェイ,福田 恒存
新潮社

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【一口紹介】
◆内容(Amazon.co.jp)◆
ときにはヘミングウェイの代表作である、漁師の話を読んでみてはいかがだろうか。
ヘミングウェイは戦後、『Across the River and into the Trees』(邦題『河を渡って木立の中へ』)などで不評を買い、作家生命の危機に立たされたが、『The Old Man and the Sea』(邦題『老人と海』)によって作家としての名声を盛り返した。
1954年にノーベル文学賞を受賞するに至ったのも、この作品によるところが大きい。
(かつては、「ノーベル賞を受賞した作家は、その後ろくな作品を書けない」と考えていたヘミングウェイだったが、このときは、喜んで賞を受けている)
それから半世紀が過ぎた今でも、彼の受賞は納得いくものだ。キューバ人の老漁師とマーリンの知恵比べ(あるいは、腕とヒレの対決と言うべきか)の物語は、「肉体とモラルの闘い」という、ヘミングウェイの得意とするテーマである。
しかし、後に彼の作品をだめにする大きな要因となる、「銃に象徴される男らしさ」を演じるには、サンチャゴは年齢的にも肉体的にも無理がある。
「老人のほおには、熱帯の海に照りかえす陽光を浴びてできた、皮膚ガンを思わせる褐色のシミがあった。シミは、顔の横に、上から下まで点々と続いていた。手には半月状の深い傷があった。綱を使って大魚と格闘するためだ」
また、この作品でヘミングウェイは、かつて天下にその名をはせた、「瞬間」の映像を鮮やかにとらえるスタイルに戻っている。
暗くなる間際、大きな島のような海藻のかたわらにさしかかった。
まるで大海原が黄色い毛布の下にある何かと戯れているかのように、明るい海の中で、海藻がゆらめいている。老人の細い綱に1匹のシイラがかかった。
シイラは、海面に跳び出すと、残照を浴びて黄金色に輝きながら、体を反らせ、空中で身をくねらせた。
若き日のヘミングウェイがこの小説を書いていれば、おそらくサンチャゴは、しとめた大魚を港まで運び、著者自身が1935年ごろ好んでやっていたように、勝利を記念して写真を撮っていただろう。
ところが、老人の釣り上げた獲物は、サメの群れに食われてしまう。
港に着いたとき、残っていたのは骨だけだった。
そしてとうとうラストシーンで、老人は床に伏し、わが身と創造主について考えるようになる。
「老人はライオンの夢を見ていた」のだ。作品のいたるところに、芸術的寓意、あるいは経験から得られた寓意が漂っていると考えていいだろう。
何にしろ、『The Old Man and the Sea』が、ヘミングウェイの作品の中で、最後の「大魚」であることは間違いない。

◆出版社/著者からの内容紹介◆
海の男サンチャゴの死闘と友情―ヘミングウェイの不朽の名作
やせこけた老人。その名はサンチャゴ。しかし、海の男である彼には、不屈の闘志があった。
ひとり、小舟で沖に出て1週間、ついに遭遇した巨大な、かじきまぐろ。
網を繰り続け、大魚と格闘する日が続く。殺すか殺されるか―。だが、いつしか彼の心には、大魚への熱い友情が生まれていた……。
アメリカの文豪、ヘミングウェイが、大自然の中で生き抜く男の、勇敢さとロマンを描き上げた名作。

【読んだ理由】
東京出張の帰り駅内の書店で衝動買い。新幹線内で読んだ。

【コメント】
老漁師と巨大な獲物カジキマグロと長い間、静かな、激しい戦いが描かれている。作者の訴えたいものは、男の孤独と矜持(きょうじ=自分の能力を優れたものとして誇る気持ち。自負。プライド。)であろうか?
 



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