日本男道記

ある日本男子の生き様

踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代

2024年08月03日 | 読書日記
 
【内容】
不幸で、嘘つきで、どこまで優しく。昭和の男社会を「溢れるしずく」を武器に、その身ひとつで生き抜いたストリッパーの本格評伝。
ウーマンリブが台頭してきた時代、わいせつ裁判を通して、図らずも「反権力の象徴」に祭りあげられた一条。普通の生活がしたいと願うも、周囲はそれを許さず、本人もまた酒と嘘と男に溺れていく。
極貧の幼少期、絶頂期、刑務所暮らし、夫の自死、大やけど、生活保護、ドヤ街での暮らし、孤独死……。ひとりの女性としては幸せだったと言えないかもしれないが、芸人としては最高の人生だったと、生前の彼女を知る者は口を揃える。
人間が持つ美点と欠点を、すべて曝け出しながら駆け抜けた彼女の生涯を描く。
プロローグ 中田カウスの恩人
第一章   溢れるしずく
第二章   一条さゆりの誕生
第三章   警察との攻防
第四章   時代が生んだ反権力の象徴
第五章   芸術か、わいせつか
第六章   塀の中、束の間の平穏
第七章   暗転
第八章   釜ケ崎に暮らす
第九章   ドヤ街の酔いどれ女神
第十章   過ぎゆく日々のなかで
第十一章  見事な最期
エピローグ 拝まれる人

【著者】
小倉孝保(おぐら・たかやす)
1964年滋賀県生まれ。88年毎日新聞社入社、カイロ、ニューヨーク両支局長、欧州総局(ロンドン)長、外信部長を経て、現在論説委員。2014年、乳がんの予防切除に道を開いた女性を追ったルポで日本人として初めて英外国特派員協会賞受賞。『柔の恩人 「女子柔道の母」ラスティ・カノコギが夢見た世界』(小学館)で第18回小学館ノンフィクション大賞、第23回ミズノスポーツライター賞最優秀賞をダブル受賞。著書に『三重スパイ イスラム過激派を監視した男』(講談社)、『ロレンスになれなかった男 空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』、『十六歳のモーツァルト 天才作曲家・加藤旭が遺したもの』(ともにKADOKAWA)などがある

【読んだ理由】
書名に惹かれて。

【最も印象に残った一行】
昭和三十(一九五五)年代から五十年代にかけ、全国津々浦々にストリップ劇場が生まれ、その数は約三百にもなった。これに温泉場の舞台を加えると、最盛期には四百館ほどの劇場がこの島国に存在したことになる。

歌謡界に美空ひばり、銀幕に石原裕次郎、プロ野球に長嶋茂雄がいたように、ストリップには一条さゆりがいたのだ。

【コメント】
彼女の生きた時間をたどることは、戦後の日本の復興、高度成長、そしてバブル経済とその崩壊を生きた、私の生きた時間をたどることであった。
大学生になって、はじめてストリップをみてから、いま思い出すと、あちこちで10回くらい見たであろうか。
転勤先の宮崎でストリップをみて、ハッスルという曲で踊った踊り子の踊りにいたく衝撃を受けた翌日、出張で宮崎から熊本への電車に乗ったら、彼女の属する一座に偶然で出くわし、驚いた記憶が蘇った。彼女はその後どんな人生を歩んだのであろうか?

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