日本男道記

ある日本男子の生き様

千両みかん

2009年01月25日 | 私の好きな落語
【まくら】
原話は、明和9年(1772年)に出版された笑話本「鹿の子餅」の一遍である『蜜柑』。松富久亭松竹の作とも伝わっている。元々は上方落語で、戦後に東京へ移植された。

【あらすじ】
大店の若旦那が病にかかった。何か思うことがあるようだから、それを叶えれば治るという。気心が分かった番頭に聞きに行かせると、恋煩いでもなく、みかんが食べたいという。ドンと請け負って旦那のとこに報告すると、夏の今はみかんはどこにも無いという。番頭は始めて事の重大さに困惑する。その結果息子が死んだら、主人殺しの罪で訴えるという、その罪で磔 、死罪になるから必ず見つけて来いと厳命される。
八百屋を1軒ずつ訪ねるが、バカにされるだけで何処にも無い。多町の問屋に行けば何とかなるかも知れないと行くが、何軒回っても無い。その中の1軒で蔵の山積みの中から探すと、1個だけ腐っていないみかんが出てきた。値段を聞くと”千両”だと言うので番頭がひっくり返ってしまった。聞くと蔵いっぱいのみかんの中からの1個。それを毎年続けて居る。いつかの為にしている、それは店の”のれん”の為、高ければおよしなさい。番頭 、相談するからと帰ってきた。
息子の命が千両で買えるとおもえば安い物だと、主人はさっそく買わせた。
半信半疑の若旦那の所にみかんを持って行くと大喜びで食べ始めた。皮をむいて(その皮だけでも5両ぐらいか)、すじを取って(そのすじだけでも2両ぐらいか)、十袋有りますから一袋百両になりますよ。百両食べてしまった、二百両・・、う~三百両。うるさくて食べられないよ。四百両、五百両、六百両、美味いですか、七百両。それは美味かった。残りの一袋はお母さん、一袋はおとっつあん、残りはお婆さんに渡してください。と、番頭に預ける。
贅沢なもんですね。来年のれん分けの時、多く貰っても50両、このみかん三百両、永い浮き世に短い命、どうなるものかぃ。と、番頭3百両?三袋のみかんを持って夜逃げしたと言います。

 出典:落語の舞台を歩く

【オチ・サゲ】
逆さ落ち(物事が逆の結果になる落ち。大阪では、落ちを先に言ってから咄(はなし)に入るものをいう)

【語句豆辞典】
【万惣】みかん1個を千両で売った問屋を小三治は「万惣」、彦六の正蔵は「万屋惣右衛門」、馬生は「千惣」としている。創業150余年、老舗の高級果物店。須田町交差点角に8階建てのビルが建っている。ビルの1階では進物用の果物等を売っていて、2階が洋食なども楽しめるフルーツパーラーになっている。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・八代目 林家正蔵
・十代目 金原亭馬生
・ニ代目 桂枝雀
・初代  立川志の輔

 




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