2013年はベンツが大きく変貌した記念すべき年だった。そのスタートを切ったのがML350Bluetecだった。前年の東京モーターショウでベンツMを見た時は左ハンドルで、従来のエンジン、特に輝くものも無かった。
ところが、2013年春に登場したML350Bluetecは右ハンドルになり、パワーアップされ、俊敏な走りに変貌した。しかも、静粛。同乗する人はディーゼル車と気付かない。
以前のディーゼルはアクセルを踏み込んでも もたつき、レスポンスが無かった。ところが、新モデルではガソリンエンジンにも勝る目の覚めるような加速が可能となり全く異なる車になったのだ。
何度もレポートしたが、加速(特に中速以上)では国産のガソリンターボより速い。ライバルと呼べるのはレーシングカーや海外のモンスターなど。初速では流石にレーシングカーやモンスターの吹き上がりの方が速い感じ。
横浜港に向けて輸送中だった本革仕様のML350Bluetecをオーダーし、カーポートの工事に合わせて2013年3月15日に納車。国産車と異なる操作系に戸惑いながら、パワーや走りを堪能してきた。
1月に入り、デジタルメーターは2万キロを超えた。毎月2千キロ走行した計算だ。印象は強大なトルク(63.2kgm)が作り出す中速からの圧倒的加速感、高級車であることを感じさせるフィーリングとテイストだ。
これまでランクル80、100とディーゼル車を乗り継いできた。80は6気筒でディーゼル車の中ではましだったが、振動をもろに感じることが有った。100を購入した時には静粛性に感動した。しかし、ディーゼルフィーリングには変わりなかった。
ランクル100も24万キロも走ると音も振動も新車時との差を感じた。それでもエンジンはタフだったね。全くへたらない。ランクルは直進高速では滑るように走るが小さいカーブは非常に弱い。回転半径は6mで小回りはダメ。目線の高いのは楽だった。
ベンツML350Bluetecはエンジンの種類がどうこうと言うより、四駆の高級車と考えたほうが良い。ただ、Eクラスのようにセダンでこのエンジンを積んだ場合は僅かな音(3リッターのツインカムターボの音に近い)だが気になるかもしれない。
2万キロ点検(無料)で同じモデルの代車(2013年秋輸入、4千キロ走行)に乗り、比較したが、音や振動において差は感じられなかった。これが、4万キロ、6万キロでどうなるかは気になるところ。
強いて差を指摘すれば、寒い朝スタート時に私のMLの方が音と振動がやや大きい。エンジンが温まってくると差はなくなる。逆に低速からの加速は私のMLの方がスムーズに感じる。従って気分が良い。
新しいMLではドアミラーに警告用の小さな三角表示(一端が2cmぐらい?)が付いた。普段は普通のミラーだが、後方から車が近づくとドアミラーの中央右端に黄色の三角が現れる。更に近づくと三角が赤になる。
これは車線変更に対する警告で、赤が出た側の車線に変更するのは危険と知らせる。私は後方の道路状況も把握しているが、予想外の場所から車が急加速して近づき死角にいる場合に気付かないケースが有る。
更に後続車が接近すると警告音も出るし、助かる。アラウンドモニターも付いたがバックモニターと画面を分けるので小さく見づらい。モニターを大きくする必要あり。
ドイツでは60%以上がディーゼル車だ。従って、日本のディーゼル車の位置づけ(ディーゼルだから多少うるさくて振動が有るのは当たり前)とドイツの位置づけ(高級車もそれ以外もディーゼル)とは異なる。
ハンドル右についた電子ミッションレバーは指で軽く動き、ミスしても計算機が適切に判断してくれる。オートクルージングはワンタッチで210km/hまでセット可能。停止時に、更にブレーキを軽く踏むと車がブレーキ状態を保つ。
オートワイパー、オートライト(ライト角度が上下)、直進性が良く、カーブも強い。ただ、ちょっとした凹凸も普通の車並に拾う。ワンタッチエンジンスタート。タイヤ圧や部品の異常、燃費など様々な情報がモニターで確認できる。
音響は特筆すべきもので、どこから音が出ているか深みが有り最初の搭乗者は驚く。ベンツの安全性は表に出ないながら、最高の売りだろう。保険だと思えばベンツは安い。弱点はナビ。早く改善してくれ。
3年間のサービスは無料でバッテリーとタイヤ以外の消耗品は交換してくれる。一度、部品異常のシグナルが出たが故障ではなかった。現在のところノントラブル。
今後も、ドイツがプレゼントしてくれた、素晴らしい省エネの高級四駆を楽しみたい。