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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

日本の教育は破綻している

2011年05月16日 13時02分22秒 | 思考空間

 先日教育現場の関係者二人と話すことが有った。専門学校、私立大学の教師である。そこで語られたのは、大学生のレベルの低下、とりわけ理工系の学生の破滅的な状況である。比較的優秀なのが文系に行き、溢れたのが理工系に来るらしい。

 例えば、某香川大学医学部の学生が分数を理解できていないと言う。分数の足し算はできるが、回答方法を覚えているだけなので、分数とは何なのかが分からず、応用ができないらしい。地方大学とは言え、医学部なら偏差値も高いだろう。工学系の専門学校では、分数で小数点以下を計算せよとの問題に、20人全員が回答できなかったらしい。

 退官された徳島大学のS教授は、幼稚園から東京大学まで学級崩壊となっており、レベルは昔と比べて1段階以上下がったと言っていた。現在の大学院生が昔の学生のレベルらしい。

 定員いっぱい合格させることはやむを得ないにしろ、進級させるべきではない学生を進級させ、卒業させるべきではない学生を卒業させているという。何故なら、落第させると親が国会議員に言いつけて、国会で質問されるのだとか。

 1995年以降、日本のGDPは横ばいである。実質的に日本を支配してきた官僚のトップは東大法学部を首席で卒業している。ところが、日本でトップの学歴エリートをして、世界のグローバル化に対応できなかった。そこで、失われた10年だの、失われた15年だの、20年だの、そのうち失われた50年という造語が出てくる。要は官僚が教科書になかった状況の出現になす術がなかったということを明々白々に示しているのだ。

 官僚の無能ぶりは今に始まった事ではない。戦時中、陸士などを卒業した日本のトップエリートが目の前で展開される戦況が教科書の中になかったことばかりで、対応できず敗戦を繰り返した。「失敗の本質」 また、一度、夜襲が成功すると、2回目以降はアメリカ軍が待ち構えて、大敗したにもかかわらず、何度負けても夜襲を繰り返したらしい。(会田雄次の「日本人の意識構造」)

 ソニーを救ったのはハワードス・トリンガー、日産を救ったのはカルロス・ゴーン、日本サッカーのコーチはアルベルト・ザッケローニ、ソフトバンクを創立し恐らく最も力のある日本人経営者は韓国系の孫正義。

 日本の教育は教科書や問題集の回答を記憶させることに偏っており、問題に対して短時間で回答できるようなテクニックを重視している。しかも、回答が一つしかない。このような、機械的で単純な教育が重視される背景には、教育がビジネスベースになっていることがあげられる。問題がデータベース化でき、評価や分析がコンピュータで処理しやすい。

 もっと、奥深い目的として、東大を頂点とした既得権維持が有る。官僚は、教科書、経験、実績のない課題には対応できない。もし、課題解決型あるいは創造型の人材が実力を発揮しリーダーになると既得権構造が壊れる。そこで、知識偏重・教科書絶対型の教育を継続することになる。

 私のざっくりした印象では、知識型の人間は確かに記憶が良いし、回答が速くミスが少なく、スマートなのだが、それは教科書や前例の範囲で、新しい事態では正しい判断ができにくい。また、未知ゾーンではブレーキがかからないと、考えがとてつもない方向へ行ってしまう場合がある。(その顕著な例が、第二次世界大戦、バブル経済) 自分が間違っていることにも気が付かない。ちょっと頭がおかしいのだが、残念がらこういう連中が日本のトップリーダーなのだ。

 最後に、日本の教育が破たんしているということは、日本の未来が破たんしていることに他ならないのである。