最近、BS放送や新聞でこの星のことを知った。地球から20光年先にある、赤色矮星グリーゼ581の惑星。地球の5倍程度のサイズで、水が存在するから、生命体が存在するに違いないとの期待が高まっている。
まあ、宇宙物理学者だけでなく、宇宙には地球以外にも生物がいるに違いないと、結論付ける人たちが多い。気持ちは分かるけどね。自分が科学者だと思っている連中も頭は実に単純でね。若い生物関係の研究者に数名会って話したが、気の毒に頭が固いし、期待や浪漫と、論理の区別もつかない。
彼らは物質と条件さえそろえば、生命が誕生する、その必然性があると考えている。そんなわけないでしょう。例えば、地球上の生物は全て一つの細胞から分岐したことがはっきりしている。もし、一定の条件で生命が誕生する必然性があるのなら、遺伝子の元は多数あるはずだし、少なくとも複数の元遺伝子が存在しなければならない。
実は最初に生まれた生命体は、単に遺伝子があり、細胞が構成されているだけではない。食物を摂取し、エネルギーに変換し、不要な残渣を排除しなければならない。また、細胞分裂するか、全く同じ細胞を生むメカニズムを持ったうえで、新たな細胞も生きてゆくための運動・機能メカニズムが完璧に備わっていなければならない。
50年以上前から、世界中で生命体を合成する研究は続けられている。成功すれば大変な話だ。ところが、そっくりな「物質」はできても、食べ物を摂取したり、新陳代謝したりという、生命らしい動きにはならない。あくまで物質なのだ。生命のような物質と、生命との間はものすごいギャップがある。
細胞はシステムとしてみた場合は、これまで人間が作り出したあらゆるシステムと比べても複雑で、巨大で、自己保存を担保しており、完璧である。分子がある条件で多重結合したり、アンモニアのような比較的複雑な結合になる場合があるかもしれない。しかしながら、分子がいかに結合しても、細胞の中の一つの器官さえ作れない。ましてや器官どうしが連携し、生命サイクルを形成するなど、無理な話だ。
遺伝子や細胞が損傷した場合には、修復が必要になる。何をもって、誰が、どのように修復するのか?お粗末な論理を展開する科学者に伝えたい。有機物質や環境条件をそろえて、ガラガラぽんとやれば生命体が生まれるなんて考えたら、あなたの体を形成している60兆個の細胞が泣きますよ。