練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「ディア・ドクター」

2009-07-20 | 映画・ドラマ
本物と偽者の違いって何?
それは誰が何のために決めること?

そんなことを考えさせられる映画だった。

山あいの、老人ばかりが暮らす村にある唯一の診療所とそこに常駐する医師。
老人ばかりが住む地域なので、診療所の待合室はいつも大繁盛の様子。
診療所に出向くことのできない患者たちのところには医師はスクーターで通い、
彼らの最後を看取る日々である。

村人たちから信頼され、必要とされていた医者がある日、突然失踪する。
そこからこの医師の本当の姿が明らかになってしまう。

(ネタバレ)
結局、この医者は医師免許など持たない偽者の医者だったのだが、
始めはそれを聞いておどろく村人もいたが、それで「だまされた」と怒り出す人は誰もいない。
むしろ、捜索にやってきた刑事たちが鬱陶しがられている様子だ。

印象的なシーンがあった。
医師のところに、最初はいやいや研修にやってきた、ぼんぼんの若い研修生との会話で、
偽医者は自分はじつは本当の医者でない、と言いたげに、「資格がないんだ!」と言い放つ。
しかし、若い医者は「資格ってなんですか??!ウチの親父なんて金のことばっかで、あいつこそ医者の資格なんてないっすよ!」と激高する。
「いや、医師免許が・・・」と言おうとしたのかしていないのか、偽医者はがっくりときて、会話が終わってしまう。

なんでもそうだ。お墨付きのお免状があれば、それでいいのだろうか?
そういうもので証明されるために努力した結果はもちろん評価されるべきであろうが、本当の資格って、なんだろう、そんなことを思った。

田舎の偽医者には心を許すが、都会の立派な病院につとめる本物の医者である娘には真実を隠そうとする母。
その関係もとても象徴的だった。
しかし、最後は母と娘のこころが通じあうようなシーンもあり、よかった。
どれもこれも偽物の意のまま、でもあったかもしれないが。

この世のいろいろな関係性に思い当たるようなストーリーでもあった。
本当の親なのに、親らしくできない親。
教師であるのに、まったく教師としての人格に欠ける大人。
一方で、資格をもたなくても影響力のある、立派な行いをしている人物。
そんなたいそうなものではなくても、ふとしたことで感じる人のやさしさ、
わけもなく、惹かれてしまう人間関係。

はっきりしないことの中にいろいろなものが含まれて、影響しあうのが人と人とのつながりなんだろうなぁ。


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