練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『るり姉』 椰月美智子

2010-02-10 | 読書
時間って、流れてゆくものですよね。
過去があって、今があって、そして未来がある。

時間のながれは瞬間、瞬間の連続だけど、過去があってこその今があって、それにつづく未来は過去によって微妙に違ってゆく。

この小説の魅力は、るり姉、その姉であるお母さん、お母さんの子供たちである3姉妹、おばあちゃん、るり姉のだんなさんのカイカイ、それぞれのキャラの魅力でもあるけれど、時間軸を自由に行き来するこの小説の描写が、いろんな時にまで思いをめぐらせるように上手に描かれているところだと思う。

るり姉のくったくない、自由奔放で天衣無縫な性格や物言いも、カイカイの新婚のこの上ない幸せな感情も、そこに至るまでの過去のできごとがあってこその輝きであり、そして、小説を読む私たちに与えられた特別な特権、これから訪れるであろう、未来を知っていて読むからこそ、この今の描写がまた、輝いて感じられるのだ。

今、はもう二度と訪れない貴重な大切な時である、と実感するとともに、読後感もとてもよい、素敵な作品。