練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『大学の反省』 猪木武徳

2010-01-16 | 読書
大学全入時代を迎え、様々な問題を抱える日本の大学の歴史と実情について論じた著である。

特に身近な問題として印象的だったのは以下の2点である。

1.中世に聖職者、法律家を養成するために設立された大学誕生時は、教員のほぼ全てが聖職者であったので、学生に教育を施すと同時に精神的なケアも見るのが通例であった。しかし、様々な学生が入学するようになってしまった昨今の大学では、何かしらのケアが必要な学生の対応に非常に苦慮している場合が多く、学生対応に当たった職員、教員の心のケアまでもが必要となっている。

2.「教養教育」の意義。大学卒業後の学生を迎え入れる企業側からの要望もあり、職業人としてのテクのようなものを学士課程にて教育することを重視するような傾向にあり、教養教育が衰退してしまい、それは単なる雑学としてしか意味を持たなくなってしまった。

「知識」ではなく、「知識欲」の教育こそが大学にとって最も重要な使命である、という哲学者、田島正樹の文言が引用されているが、この言葉に深い共感を覚える。