練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『地域の力』 大江正章

2009-10-11 | 読書
BSE問題、中国産冷凍ギョーザ問題など、食の問題が大きく取り上げられ、日本国内に住む私たちひとりひとりが「食の安全」を考えるようになってきた。
でも、それはいまさら、やっと今ごろ、ということなのかもしれない。
食生活だけに限らず、環境の問題、農業、林業、流通・・・。
私たちは便利で安くて簡単なものに惹かれるあまりに本当に安全で持続可能な形態の暮らしを忘れてきてしまった。

ひとりひとりがそんな現代に疑問を持って、「なんとかしなくてはいけないのかも」と思い始めてはいるのだろうが、でもどうしたらいいのか分からない。自分ひとりでは何をしたらいいのか分からない。
そんな中、地域と行政がうまく連携して、よりよい形に動いていった全国の事例が本書には紹介されている。

小学校給食をセンター方式から給食室での調理に変え、顔の見える地産地消の教育、「食育」を根気よく続けて行った結果、食べ残しゼロに限りなく近づいた愛媛県の事例など、とても興味深い。

たまたま昨日ニュースで見た、富山県の路面電車導入の成功例も本書に取り上げられていた。

個人的には四国の林業の問題にとても関心を持った。フードマイレージならぬ、ウッドマイレージという言葉になるほど、と思う。
日本はもともと森や林の中に人間が入って、そこを手入れしながら生活してきた国なのに、自然破壊と間伐などが混同され、林業に対する誤解なども生じてきてしまったように思える。

ただの大型スーパー化してきてしまっている生協のあり方なども考えさせられる。

すべて行政におまかせっきりの市民でもいけないが、何か改革したその後には大きな喜びがある、という期待を抱かせてくれるような事例に希望を持った。