練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『乳と卵』 川上未映子

2009-02-21 | 読書
3人の女がそれぞれの女というジェンダーを意識している。

中年にさしかかった時期の女の性。
変な執着、姉は豊胸手術に偏執狂的にこだわる。
妹はそれに比べれば普通かもしれないけれど、場面場面でどこか自分の女性とジェンダーにうんざりしているような・・。
そして小学生の子はこの時期の異常な潔癖さで母を嫌悪する。
「気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い・・・・」とノートに記入する。

どれも理解できる。

特に緑子の母性に関する嫌悪感、すごく共感できる。
自分もそうだった。
妊娠に対する気持ち悪さ。
受精してそのほぼ直後にはもう性別が決定して、女性だったらもう卵子が生成されていて・・・なんて、生命の神秘を通り越して恐ろしいと思う。

女性があまりにも自分のジェンダーにこだわるのに比べて、男性はもっと自由な気持ちをもっているように思えるのだが、本当のところ、どうなのだろう。
もともと女性は女性であることをまるで恥じるべき、と強いられているかのような暗黙の認識があったように思える。
女性の生理現象、女性の特権ともいえるはずの出産に関する用語がそれをあらわしているのではないか。
「悪」「褥」「汚」などという漢字が並ぶ・・・。

しかし、母娘をやや冷静にみつめるヒロインの言葉で語られる女性の性は、そのあまりにもあっけらかん、自然な物言いから、女性ならではのわずらわしさにうんざりしながらも、女性であってもよいのだ、と確信させてくれるかのようだ。