やまぼうしー自然の記録帳ー

富山県内の自然を中心に、自然や自然現象を記録にとどめておきたいと思っています。

オナガサナエ♂(富山市小杉)

2022-08-05 03:45:11 | 昆虫類

早朝、自転車で散歩していると、地鉄上滝線と交差する県道のアンダーパスの擁壁に、トンボがとまっていました。サナエトンボの仲間で、羽化して間もない眼が灰色の個体です。このような場所でサナエトンボを見かけるのは意外です。

サナエトンボは黒地に黄色い紋で似た種が多く、種名を思いつかないので、「翅胸前面の黄色条が襟条」「腹端」などの識別点(うろ覚えです)がわかるよう写真を撮りました。

帰宅後、『ポケット図鑑日本の昆虫1400②』でサナエトンボ科の検索をあてはめていくと、「胸正面の背隆線上に黄~黄白色部がある」⇒「胸の八字状紋と襟条はつながらない」⇒「全長49mm以下」⇒オナガサナエになりまし(実は、最後の識別点である体長はわからなかったのですが、明らかにコオニヤンマではなかったので、オナガサナエとしました)。

オナガサナエは、『レッドデータブックとやま2012』では、「県内では1959年を最後に確認例がなく、絶滅状態に近い」として絶滅危惧Ⅰ類(富山県カテゴリー)に選定されていました。また、『富山県のトンボ』(2004)には「富山県では1976年に…採集されたのが最初である。その後一時的に記録が途絶えていたが、1994年に…同地で再確認した」とあります。

今回の観察は貴重な記録に違いない、標本を残しておかないとと、猛暑のなか昼から再び現地に行きましたが、何時間もたっており、当然ではありますが姿はありませんでした。

(その後の意外な結末については、写真の後をご覧ください)


《アンダーパスの擁壁にとまっていたオナガサナエ♂ 2022/07/31》


《オナガサナエ♂(眼が灰色) 2022/07/31》


《オナガサナエ♂ 「背隆線上に黄部」「八字状紋と襟条はつながらない」 2022/07/31》


《オナガサナエ♂ (特徴的な尾部付属器) 2022/07/31》

 ところが、念のためにと「オナガサナエ、富山、やまぼうし」でネット検索してみると、ありました。私のブログが…‼。去年の秋に、公園でオナガサナエを見ていたのです。毎度のことで驚くにはあたらないのですが、去年のことなのにまったく忘れてしまっていました。

2021/09/23の私のブログ「オナガサナエ♂(県総合運動公園/富山市南中田)」を再掲します。
「公園を散歩していて、スイフヨウの茂みにトンボがとまっているのに気づきました。はじめは、シオカラトンボかなとも思いましたが、それより少し大きめのサナエトンボの仲間です。尾部の様子からウチワヤンマ?と一瞬思いましたが、大きさが違い、大きな池なども近くにありません。とりあえず写真に撮って、帰宅してから調べることにしました。
『ポケット図鑑日本の昆虫1400②』で、サナエトンボ科の検索で調べ、オナガサナエにたどりつきました。
「富山県のトンボ(2020年度記録)」によると、オナガサナエは、「2016年に滑川市で県内からは57年ぶりに発見され…2020年は35ヶ所で確認」されるなど、近年各地で確認されているようです。」


《スイフヨウの茂みにとまっていたオナガサナエ♂ 2021/09/21》

コメント
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