猿倉山森林公園の山頂下の展望台の芝生地の脇に、1本のエノキが生えています。気になって、近くを通るときは必ず立ち寄るようにしています。
葉は緑が濃く硬くなっていましたが、樹冠の内部には萌芽したばかりの新しい葉がところどころに出ていました。近寄ってその葉を調べると、テングチョウの幼虫がついていました。テングチョウの幼虫はエノキやリュウキュウエノキの葉を食ベます。
《エノキの樹冠の内部にある萌芽したばかりの新しい葉 2020/06/24》
《エノキの樹冠の内部にある萌芽したばかりの新しい葉 2020/06/24》
《萌芽したばかりの新しい葉を食べるテングチョウの幼虫 2020/06/24》
《萌芽したばかりの新しい葉を食べるテングチョウの幼虫 2020/06/24》
ウェブサイト『緑のgoo/自然を学ぶ/ 海野和男のデジタル昆虫記/ 小諸日記 /テングチョウ幼虫ー身を守る技ー』には、テングチョウの幼虫について、つぎのように書かれています。「テングチョウの幼虫は外敵から身を守るのに面白い行動をとる。身の危険を感じると、口から糸を出しながら自ら下に落ちるのだ。…チョウではあまり見たことがない。命綱のようなこの糸は50センチ以上もの長さになり、幼虫はその先にぶら下がって危険が去るのを待つ。そして幼虫は糸をたぐりながらゆっくり元の葉に向かってのぼりはじめる。たぐり寄せた糸は、前脚の間に丸めているようだ。」
《外敵から身を守るため、身の危険を感じると口から糸を出しながら自ら下に落ちるテングチョウの幼虫 2020/06/24》
《外敵から身を守るため、身の危険を感じると口から糸を出しながら自ら下に落ちるテングチョウの幼虫 2020/06/24》
このエノキが発生源だったかどうかは定かではありませんが、昔は(といっても40年ほど前のことになります)、猿倉山の頂上で占有行動をするオオムラサキをしばしば見かけたものです。しかい、最近では、まったく見かけません。近くのコナラの樹液酒場にも、ゴマダラチョウは来ているもののオオムラサキは見たことがありません。またあの姿を見たいものです。
※ 「猿倉山森林公園」について、「観光とやまねっと」には次のように紹介されています。
山頂の「風の城」(展望施設)をはじめ、展望台のバーベキューコーナー、遊歩道、
キャンプ場(中腹)、芝生広場(麓)など充実した設備があり、家族やグループで
自然を満喫しながら楽しめるアウトドアフィールドです。
また、春には展望台周辺に咲く「かたくり」の花や、秋には「風の城」から望む
神通峡の美しい紅葉をご覧いただけます。
《猿倉山森林公園の山頂下の展望台 2020/06/16》
※ テングチョウの幼虫を見ると、今でも思い出すことがあります。高校時代のことですから今から65年ほど昔のことになります(昔の話ばかりで恐縮です)。M高校の生物クラブで部長をしていた友人のY。昆虫はもちろん、植物のことも驚くほどよく知っていました(私は驚くほど何も知りませんでした)。彼と郊外の山へ遊びにいったとき、直径10㎝ほどのエノキ(私はこの木のことも知りませんでした)を指さして「今の時期、エノキを揺すると、テングチョウの幼虫がぶら下がってくる」と言い、エノキの幹を思い切り蹴りました。すると彼の言葉どおり、エノキから何頭もの幼虫がぶら下がってくるではありませんか。それ以来、手頃なエノキを見つけると、揺すってテングチョウの幼虫がぶら下がってくるのを見たくなります。
Yは、(惜しいことに)何故か生物関係には進みませんでした。
(追加訂正2020/07/10)
だいぶ物忘れがひどくなってきたようで、ショックです。急に思い出し、気になって「オオムラサキ 猿倉山」で検索すると、出てきました。去年2019/07/26のブログです。『オオムラサキ♂(吸汁)(猿倉山/富山市[大沢野町]船倉)』と題して、猿倉山の樹液がが滲み出たコナラにオオムラサキの♂を写真付きで紹介していました。また、「私がオオムラサキを最後に見たのも40年ほど前なので、個体数は確実に減少していると思います。来年は新鮮なオオムラサキの写真が撮れるでしょうか…。」とも書いています。
最後に見たのは40年ほど前というのは同じ記述なのでほぼ正しいのでしょうが、その後、1年前にオオムラサキ♂を見ていて、ブログに紹介していたのです。昔のことは覚えていても、最近のことは覚えていない。まさしく、認知症の症状ではないでしょうか⁉