宿泊したロッジの敷地内に設けられた遊歩道を、夕方1時間ほど歩きましたが、思っていたほど昆虫の姿は多くありませんでした。コエゾゼミやエゾハルゼミと思われる羽化殻が少しありましたが、セミの鳴き声はほとんど聞こえてきませんでした。「サイレント・サマー」の感がしないでもありません。そんな中、薄暗い林のイケマの葉上でヨツスジハナカミキリが交尾をしていました。
ヨツスジハナカミキリは、黒地の上翅に4本の黄色の横帯があるのが特徴です。
《イケマの葉上で交尾するイケマ 2014/07/27》
宿泊したロッジの敷地内に設けられた遊歩道を、夕方1時間ほど歩きましたが、思っていたほど昆虫の姿は多くありませんでした。コエゾゼミやエゾハルゼミと思われる羽化殻が少しありましたが、セミの鳴き声はほとんど聞こえてきませんでした。「サイレント・サマー」の感がしないでもありません。そんな中、薄暗い林のイケマの葉上でヨツスジハナカミキリが交尾をしていました。
ヨツスジハナカミキリは、黒地の上翅に4本の黄色の横帯があるのが特徴です。
《イケマの葉上で交尾するイケマ 2014/07/27》
清里高原にある清泉寮周辺を歩いていて、電柱にとまっている大型の蛾に気づきました。
シタバガの仲間のノコメキシタバではないかと思います。残念ながらキシタバの仲間の特徴である下翅が見えませんが、前翅の色や模様などから判断しました。
《電柱にとまっていたノコメキシタバ 2014/07/28》
《電柱にとまっていたノコメキシタバ 2014/07/28》
池の周りなどで、また、ヒメジャノメの姿が目立つようになっています。2化か3化目のチョウかもしれません。その中に、翅が1/4ほど破損したチョウがいました。特に後翅が大きく破損し、腹部の半分ほどが見えています。おそらく、鳥の嘴で齧られた痕(バイトマーク?)ではないかと思います。
《翅が大きく破損したヒメジャノメ 2014/08/19》
樹の幹の2メートルほどの高さのところに、トックリ状の巣がありました。巣の表面は、まるで紐状にした泥で作ったようです。まだ入り口を塞いでいなかったので、作りかけの巣だと思います。巣の中を見ると、天井部分に卵が一つ、餌となる幼虫が1頭入っていました。
球状や鈴状の巣を作るのは、ドロバチ科のトックリバチ類(Eumenes属、Delta属など)で(『狩蜂生態図鑑』)、巣の形などからするとミカドトックリバチかなと思いますが、親蜂を確認していないので正確ではありません(いくつかの巣の写真を見ましたが、表面に紐状にした泥で作ったような痕跡が明らかに見られるものはありませんでした)。
《トックリバチの巣(入り口が開いている) 2014/07/22》
《トックリバチの巣(入り口が開いている) 2014/07/22》
《トックリバチの巣の中(1個の卵と1頭のアオムシ) 2014/07/22》
庭に、小型のアカトンボがきていました。腹部が赤い♂で、
① 顔に黒い眉上斑がある(赤矢印)
② 尾部上付属器が上方に曲がっている(黄矢印)
ことから、成熟したマユタテアカネ♂だと思います。
《シロタエギクにとまるマユタテアカネ♂ 2014/08/21》
サンシュユの葉に、オスグロトモエと思われる中型の蛾がとまっていました。すぐそばの幹から樹液が滲み出ているので、夜間に樹液にやってきていたのだと思います。翅の裏面や腹部は、オレンジ色をしていました。
《オスグロトモエ 2014/08/07》
《オスグロトモエの裏面 2014/08/07》
湿原でもっとも目についたのが、翅の短いフキバッタの仲間です。写真だけではなかなか種が同定できないのですが、生育地域からみるとミカドフキバッタではないかと思います。『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』によると、「フキバッタ類は翅が短く、飛翔して移動できない。そのため、地域ごとに少しずつ形態が異なることが多く、必ずしも明瞭に種を区分できるとは限らない』そうです。
写真には撮りませんでしたが、ヨシなど湿原に生えた背の高い草に、奇妙な姿勢で死んでいるバッタがたくさんいました。昆虫疫病菌類に寄生されると、寄生されたバッタは、菌の胞子をより広く飛ばすため高いところで死ぬという情報もありました。
《ヨシの茎にとまり交尾するミカドフキバッタ? 2014/08/14》
㊟ 「沼の原湿原」の所在地について、「新潟県妙高市樽本」と「長野県飯山市斑尾高原」との2種類の情報があり、よくわかりません。
夏に高原へ出かけると、ツノアオカメムシによく出会います。緑色の金属光沢のある翅が陽の光を受け、微妙に輝きます。
《ササの葉にとまるツノアオカメムシ 2014/08/14》
㊟ 「沼の原湿原」の所在地について、「新潟県妙高市樽本」と「長野県飯山市斑尾高原」との2種類の情報があり、よくわかりません。
沼の原湿原の木道を歩いていると、オニヤンマが木道の上をパトロールしていました。オニヤンマは何度か往復すると、木道脇のヨシの茎にとまって休むようなので、何度かトライしてヨシにつかまって休んでいる写真を撮りました。
《木道脇のヨシの茎につかまり休むオニヤンマ 2014/08/14》
《木道脇のヨシの茎につかまり休むオニヤンマ 2014/08/14》
㊟ 「沼の原湿原」の所在地について、「新潟県妙高市樽本」と「長野県飯山市斑尾高原」との2種類の情報があり、よくわかりません。
せっかく斑尾高原までやって来たので、孫たちが山の家で「ウッドバーニング」を楽しんでいる間、少し時間を作って沼の原湿原を夫婦で歩いてみました。湿原には丈の高いヨシが一面に生え、あまり見通しがききません。わずかに木道の周辺だけが刈り取られ、帯状の空間になっています。ところどころに、サワギキョウやコオニユリ、シラヒゲソウなどの花が咲いています。
樹林から湿原におりたところに咲いていたアザミの花で、1頭のヤマキチョウが蜜を吸っていました。ヤマキチョウは、モンシロチョウより少し大きめのシロチョウ科の蝶で、スジボソヤマキチョウと非常によく似ています。ウェブサイト『海野和男のデジタル昆虫記』(2014/08/16)には「一番わかりやすいのは前翅裏面の小さな紋がヤマキでは丸く、スジボソヤマキでは勾玉状であることかな」と書かれていました。写真のチョウの前翅裏面の紋は、勾玉状ではなく丸く見えるので、ヤマキチョウではないかと思います。
《アザミの花で吸蜜するヤマキチョウ 2014/08/14》
《湿原に咲くサワギキョウ 2014/08/14》
《湿原に咲くコオニユリ 2014/08/14》
㊟ 「沼の原湿原」の所在地について、「新潟県妙高市樽本」と「長野県飯山市斑尾高原」との2種類の情報があり、よくわかりません。
1泊2日の日程で、北信濃へ家族旅行に行ってきました(斑尾高原にあるキャンプ場のファミリーロッジ泊)。1000メートル前後の高原なので、チョウをはじめいろいろな昆虫に出会えると楽しみにしていましたが、予想外に昆虫の姿は多くありませんでした。夜、屋外でバーベキューをしましたが、蛾もほとんどやってきません。
翌日、宿泊したキャンプ場の境界に残されたミズナラに、数頭のチャイロスズメバチがやってきていました。富山県の低標高地では樹液に常連の、カナブンやシロテンハナムグリなどの姿はありませんでした。
チャイロスズメバチは他の種類のスズメバチの巣を乗っ取る社会寄生性のスズメバチとして知られ、発見例は少ないとされていましたが、(富山県内での経験では、)近年、見かけることが多くなっているように思います。
《わずかに出ているミズナラの樹液に集まったチャイロスズメバチ 2014/08/15》
ヒメリンゴの幹の低い位置に、ツクツクボウシがとまっていました。10センチほどに近づいても、逃げません。よく見ると、口吻を幹に差し込んで、夢中で樹液を吸っている最中でした。
樹液を吸っていると言いましたが、セミがどこから樹液を吸っているのか少し疑問に感じて、いくつかのウェブサイトを探しました。当然、光合成産物の通る「篩管」ではないかと思いましたが、「導管」と書かれたものもありました。
静岡県学生科学賞・科学教育振興委員会賞を受賞した『セミの樹液の吸い方Ⅲ』では、「師管に達すると片方をそこで留め、もう一方を伸ばして真横に連続して師管を切断する。樹液が自噴して来るので…それを吸うことがわかった」としています。
http://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/052021.pdf
また、ウェブサイト『文ちゃんのタイニー・カフェテラス』には、電子顕微鏡などを用いて観察したアブラゼミの口吻の構造が紹介されています。
http://www.technex.co.jp/tinycafe/discovery53.html
http://www.technex.co.jp/tinycafe/discovery54.html
《口吻(赤矢印)を幹に刺して樹液を吸うツクツクボウシ 2014/08/12》
この時期、カクレミノの未熟な果実にチョウやハチ、甲虫などさまざまな虫たちがやってきています。蜜のようなものが滲み出ているので、それを舐めにきているのだと思います。なかでも多いのが、クマバチ(キムネクマバチ)です。
クマバチはミツバチ科クマバチ属の大型のハナバチで、全身が黒く、胸の黄色の毛が目立ちます。初夏から秋にかけて各種の花を訪れ、蜜や花粉を食べます。
《カクレミノの果実の蜜を舐めるクマバチ 2014/08/12》
小さいけれどもオレンジ色の翅の目立つ特徴的な蛾が、木の幹にとまっていました。ヒトリガ科 コケガ亜科のホソバガの仲間、ヨツボシホソバです。ヨツボシホソバは♂♀で翅の色彩が異なり、♂は灰白色で前翅の付け根が黄色、♀はオレンジ色で前翅に2対の黒い紋があります(翅を折りたたむと、下の写真のように三つの黒い紋が見えます)。
ヨツボシホソバの♀は、マエグロホソバの♀とよく似ています。ヨツボシホソバの♀は「形が大型なことと、前翅の脈5が存在することにより明らかに区別できる」(『原色日本蛾類図鑑(下)』)ようですが、写真ではなかなか判断できません。マエグロホソバが「本州では東海地方以西にのみ分布する」(『同上』)ようなので、ヨツボシホソバだと思います。
《ヨツボシホソバ 2014/08/04》
スズメバチやカナブンに混じって、コナラの樹液をカクモンキシタバが吸っていました。
ウンモンキシタバとよく似ていますが、ウンモンキシタバはカクモンキシタバと比べて「胸背、前翅などは黒っぽいこと、斑紋とくに基部のそれがちがうこと」(『原色日本蛾類図鑑(下)』などで区別できると書かれていました。
《スズメバチやカナブンに混じって樹液を吸うカクモンキシタバ 2014/08/02》
《スズメバチやカナブンに混じって樹液を吸うカクモンキシタバ 2014/08/02》