まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

駅前広場から公園が始まるまち

2024-08-18 20:21:43 | 建築・都市・あれこれ  Essay

所要で埼京線浮間舟渡駅に降り立ちました。めったに行くことのない浮間ですが、駅を降りたら、いきなり公園が広がっていることに驚きました。

 

駅前広場のすぐ北側が都立浮間公園でオープンスペースとして荒川につながっています。

公園の方から見ると、向こうに高架の線路が見えますが、駅前広場も公園の一部のようです。

駅前というのは商業・業務用途で高度利用が可能なところですから、公園をつくる場合は、少し離れたところになるのが普通です。浮間舟渡駅は大変ユニークです。もともと、荒川の旧河道を利用した浮間公園があり、そこに埼京線(1985)の駅ができたということのようです。駅を計画してそれに合わせて周辺のまちづくりを行ったとすると、こうはならなかったでしょう。

公園自体も大変使いやすそうです。釣りをしてもいいというのが気に入りました。お年寄りから小さな子供たちまでが釣竿を持っています。下の写真では、自転車に釣り道具を載せているのが分かります。

シンプルに水と広場があるというのがいいですね。

駅の方を見返すと、デザインが良いとは言えない(すいません!)高層マンションがありますが、これくらい離れるとシルエットしかわからず、多少は絵になります。

浮間舟渡駅は北側に浮間公園があるだけでなく、南側もいきなり中学校と公園が面しています。これも、ある程度市街化が進んでいたところに後から埼京線が割り込んだ結果そうなったのでしょうか。あまり見られない土地利用です。

駅前は、「商業・業務用途」そして、少し離れて住宅や学校、公園というのが都市計画や土地利用計画のセオリーですが、こういう例外もいいものです。公園がまちの印象をかなり良くしています。駅前から公園や学校が始まるまちです。こういうところに住んでみたい、という人は多いのではないでしょうか。

ふと思うこと・・・地方都市の駅前を大きな公園にしてしまうというのは、これからの人口減少時代に、ありうる選択肢ではないか・・・どうでしょうか。

・・・さらに・・・懐かしい出会いもありました。

浮間コミュティ道路です。日本でも大変早い時期の歩者共存道路です。ボンネルフという言葉がはやっていたころの先駆的事例ですね。浮間コミュニティ道路(けやき通りとなっていました)の起点(終点?)が浮間公園だったとは!。

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design

設計計画高谷時彦事務所 TAK Studio