まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

庄内町温泉施設の設計者に選定されました

2012-09-05 17:03:24 | 公共建築 Public architecture

庄内町の温泉施設の設計者選定プロポーザルで、設計者に指名されました。

http://www.town.shonai.lg.jp/ct/other000010500/onsenkouhyou.pdf

    

周辺の日帰り温泉施設に比べて規模も小振りで、敷地も町の中で大変細長いという条件でした。そこで私たちは、周辺類似施設のように「田園の中の農家」「自然の中の湯治場」ではなく、小さな空間を上手く使う知恵の結集した「町家」を原型とした空間構成を提案しました。

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坪庭と風呂スペースからなるリニアーな構成とともに、「土縁ギャラリー」という細長い寛ぎ・多目的スペースを提案しました。大変美しい土縁をもつ商家、星名家(上写真:外観、下写真:土縁)を思い出しながらスケッチを進めました。

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また風呂については近年多く見られる、高い天井で清潔感あふれる大型の浴室が「温泉」に必要な落ち着いたたたずまいを失う傾向にあるように思えます。ここは一度原点に還るのがよいと考え、洗い場の中央に浴槽があり、湯気の向こうに人の気配をかんじながら風呂にはいる共同浴場的な空間を提案をしました。また、脱衣場も風呂場も中庭も一体になったような空間構成をイメージしています。脱衣場と浴室がつながった古い共同浴場や、上山温泉の湯の町浴場などを思い出しながらの設計作業でした。

下の写真は共同浴場のイメージの「源泉」となった湯の浜温泉です。今は建て変わっています。

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この写真(下)は上山温泉の共同浴場です。右側に浴室のハイサイドライトのスリットが見えます。上からの光が実にうまく効いていました。

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 以上のように、若い人に来てもらうには近年つくられている公共日帰り温泉と違う姿を提示するべきだと考えましたが、一方ではこの考えが認めてもらえるのか不安もありました。しかし、審査講評を見て、私たちの考えたことが評価いただいたことを知り大変うれしく思いました。

     

 期待に沿えるよう、まちのみなさんに喜ばれる新しいタイプの温泉を作り上げることに全力で臨みたいと思います。