暦の上では立夏となったが、武蔵野の面影を色濃く残す空堀川沿いの疎林では、春の花たちが今を盛りと咲いている。
スミレは大方枯れてしまったが、その弟分のジロボウエンゴサクが草むらからユーモラスな顔を見せていた。
日当たりの少ない林床ではこの時期、ラン科の二つの花がひっそりと咲き始める。キンランとギンランだ。
晴れた日はかなビラを精一杯開いて陽光を浴びている
日本の野で咲く花には珍しく艶やかな姿をしている
こちらは地味なギンラン。
空堀川は夏には干上がってしまうほどの、名の通りの水量の少ない川だ。今の時期は川岸がカラシナの黄色で覆われて、春らしい雰囲気を見せてくれる。
5月にもなると、ニリンソウに少し遅れてイチリンソウが咲き始める。
咲き残っていたニリンソウと比べると、花弁の大きさがだいぶ違う。
川を下っていくと東村山から清瀬へと移っていくが、このあたりではカタクリの自生地が大切に保護されている。今の時期カタクリはとうに枯れてしまっているが、変わってイカリソウが盛りを迎えていた。
この花も以前は奥武蔵や奥多摩でも簡単に見られたのだが、今ではずいぶん稀になってしまった。
花を自然の姿でみられるこうした保護地が近くにあることは何と幸せなことだろう。それを支えてくれている見ず知らずの人に感謝を捧げたい。
同じ場所にクサイチゴやヘビイチゴ、ホウチャクソウも見られた。
この辺で。