今年は例年にない早さで桜が開花した。この時期高尾の森林科学園は桜を愛でる人でいっぱいになるのだが、今日は朝からの雨。かてて加えて気温も低いのでさすがに今日は人が少ないだろうと期待して行ったら大正解。いつもの1割にも満たない人でゆっくり桜を愛でることができた。
春分第2候は「桜始開」ーさくらはじめてひらく
緑色の葉と白い花びらの対比が美しいオオシマザクラ
桜の異名、夢見草。
八重咲きの桜で此花桜
ピンク色の桜は陽光という品種
紅葉狩りに対して、桜狩の言葉もやはりある。
桜の下、とりどりの傘をさして人が通る、想いは通る人の数だけ。
桜に思う言葉は、潔さ、儚さ。
一斉に咲き出し、あっという間に豪奢な花吹雪と散る、思えば何と我儘な花なのだろう。
「 散る桜 残る桜も 散る桜」とは誰のことばだったか。
業深く野垂れ死んだ骸も、桜の花筵に覆われてしまえば美の極みとなるのか。
ありとあらゆる生き物が生まれ、その生を謳歌し、やがては死して土に還っていく。
生は束の間の光芒なのだ、一瞬に散リ落ちる桜の花のように。
桜のことを挿頭花(かざしぐさ)というそうだ。昔桜の生命力にあやかって桜の花を挿頭や蔓にする信仰があったという。
音もなく気配もたてず、やわらかく春の雨が降りしきっている
花過ぎ、花の雲、花筏、手向け草。桜にまつわる言葉はすべて無常の時の流れに絡んでいる。
そして桜が散ってしまうと、人々はあっという間に熱狂から覚め、もとの褻(け)の生活に戻っていくのだ。
桜のほかにも幾つか。ミツバツツジ
ミツマタ
ミヤマシキミ
あまり見かけないモクレイシの花
これも珍しいシロバナタチツボスミレ、唇弁の筋が見えない
この辺で。