6月17日(金)15時20分配信
秋田の4人殺害、いまだ捕まらない主犯の大型人食いグマ
射殺された雌のツキノワグマ
秋田県鹿角市の山林で、タケノコ採りの男女4人が相次いでツキノワグマに襲われ、死亡した事故は、地元住民をはじめ、関係者に大きな衝撃を与えている。
これまで戦後最悪の熊害とされたのは、1988年に山形県戸沢村で起きた同一のツキノワグマによる3人殺害のケース。タケノコ採りに山に入った60代の男性が5月、クマに襲われ、死亡。その約4か月後の10月上旬には同じ山中でクルミ採りの50代女性とクリ拾いの50代女性が相次いで襲われ、殺害された。
3人にはクマに食べられた痕があった。地元の猟友会員らが山狩りを行い、現場近くで体長約1メートル40、体重80キロの5歳の雄グマを発見し、射殺した。
このときは約4か月の間に3人が犠牲になったが、今回はわずか20日の間に4人が相次いで襲われ、殺害されている。単一のクマではなく、複数頭のクマが一緒になって人を食べている可能性がある点も、これまでの熊害事件とはまったく違う。
現場では一体、何が起きているのか。
現地を2回にわたって調査したNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の米田一彦理事長(68)は、地元猟友会が射殺した体長約1メートル30、体重70キロの雌グマは4人殺害の“主犯”ではないと主張している。13日午後、4人目の犠牲者が出た現場近くの農地を移動する体長約1メートル50、推定体重約100キロの大型のクマが目撃されており、このクマこそが“主犯”ではないかと見ているからだ。
鹿角市の頭文字を取って「スーパーK」と米田さんが名づけたこの大型グマが4人を次々に襲い、殺害。射殺された雌を含む3~4頭が遺体を食べたのではないか――。人肉の味を覚えたクマは人を食べ物と認識し、再び襲う恐れがある。凶悪な大型のクマ、スーパーKは捕まっておらず、米田理事長は「危険はまだ去っていない。クマの生息域には絶対に近づかないでほしい」と警鐘を鳴らしている。