株価 1万7000円割れ 1800円超の記録的下落
2020年3月13日 11時39分
新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から株価が急落した12日の欧米の株式市場に続き、東京株式市場でも売り注文が殺到して日経平均株価は1万7000円を下回っています。値下がり幅は、一時1800円を超え、取り引き時間中としては30年前、1990年4月以来の記録的な下落です。
13日の東京株式市場は12日のニューヨーク市場でダウ平均株価が2352ドル値下がりし、記録的な下落となったことなどを受けて、取り引き開始直後から売り注文が殺到し、しばらくは値がつかない状態となりました。
その後、徐々に値がつき、日経平均株価は1万7000円を下回りました。1万7000円を下回るのは2016年11月以来、3年4か月ぶりです。また下げ幅は一時1800円を超え、およそ30年ぶりの記録的な下落となっています。
アメリカのトランプ大統領が、新型コロナウイルスの感染拡大への対応としてヨーロッパからの入国を一時停止すると発表したのをきっかけに、投資家の間では世界経済が停滞することへの懸念が一気に高まっています。
また、ヨーロッパ中央銀行が12日、感染拡大への対応策を発表したものの利下げを見送ったことで、市場には世界経済の先行きに不透明感が一層強まったという受け止めが広がりました。
市場関係者は「市場はリーマンショックに匹敵する混乱となっていて、売りが売りを呼ぶ展開だ。午前9時ごろから行われた安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領の電話会談の内容にも関心が高まっている」と話しています。
麻生副総理・財務相 市場の動きを注視
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実体経済が落ち込むことを懸念してアメリカ、ヨーロッパに続いて日本でも株価が大幅に下落していることについて麻生副総理兼財務大臣は「変動が激しい」と述べ、市場の動きを注視していく姿勢を示しました。
麻生副総理は13日の閣議のあとの記者会見で「アメリカでは1000ドル単位、東京でも1000円単位で株価が上げ下げしており、ボラティリティー・変動が激しい感じがしている。先行きに不透明感が高まり、景気の『気』の部分に作用しているが、企業の財務内容などが悪くなっている訳ではない」と述べました。
そのうえで「与党内から追加の経済対策についていろいろな声が出ていることは承知しているが、政府として緊急対応策の第2弾も出したばかりで、経済対策をするにしても効果があるものにしないと意味がない。一律減税しても、景気への刺激にはならないと思う」と述べ、まずはすでに決定した対策を実行すべきだという考えを示しました。
証券会社 問い合わせは通常の2倍以上に
東京・中央区にある「auカブコム証券」のコールセンターでは、午前9時の取り引き開始前から多くの問い合わせが寄せられていました。会社によりますと通常の2倍以上の電話が寄せられているということで、担当者は投資家からの売買注文などの対応に追われていました。
auカブコム証券の松尾卓磨投資情報室長は、「新型コロナウイルスの感染が中国からアジア、欧米という形で広がっていて、投資家の不安も拡大している。収束が見えれば株価の動きも収まると思うが、先が見通せない状況が続いている」と話していました。