こつんこつん不思議の国が好きだから罰を受けてるマンボウですよ
2012/4/16(月)
仕事が終わると頭痛・胃痛が治まる不思議。
砂浜と海のあいだに小屋を持つ隠居というは甘やかな毒
4/17(火)
気づいたらナガミヒナゲシが道端にいた。
まっすぐに揺れる細茎こまどりを射抜いたという矢柄のように
4/18(水)
友人に車を貸したら、食事をごちそうしてくれた。
花柄の乳母車から舌を出し通る白犬 その舌のいろ
4/19(木)
制服がミニスカートになったのは、いつごろからだろう?
芝桜なだれる丘に振り撒かれなお初々と詰め襟の黒
4/20(金)
春雨じゃ、濡れていこう。
飲み終えの印につぶす缶だからデッドソルジャーばかりの海へ
4/21(土)
一度仕舞った冬用コートを、また引っ張り出すことになろうとは。
ふくらみのほぐれてゆくを水無瀬川渇きは音が増してゆくもの
4/22(日)
午睡から目覚めると夜で雨が降っていた。
バスタブに水が積もってゆく音のdiddle diddleなんて気怠さ
2012/4/9(月)
4時半に鳴っていた夕方のチャイムが、いつのまにか5時に変わっていた。
幼さはじゃあねと言えないことだから中学生が辻々に群れ
4/10(火)
辻堂駅北口再開発計画、完成に近づく。
物かげを殺して出来た曲面と直面の街(桜を見せて。)
4/11(水)
職場の相方が「寒い」と言うので、暖房を入れた。
くり返す和音のなかで花冷えと言うには柔く降る雨を聞く
4/12(木)
職場は北向き。外よりも寒い。
着られずの上着を軽く受けとめた座椅子の背にも注ぐ残照
4/13(金)
出勤途中、花吹雪を体感した。
降りしきる桜の弁のしろたえも隠しきれずに萌芽のあおは
(弁=ひら)
4/14(土)
全身に桜の花びらををまぶした自動車が、何台も走っていた。
楽しげに濡れて千切れる花蘂の三寒四温さんかんしおん
4/15(日)
好きな人に好きだと言った。
袋いっぱいのお菓子をくれた。
中の返事を一生懸命探した。
やっと細い封筒を見つけた。
開けようとして、目が覚めた。
とても悲しかった。
全谷のみどりに靄る影ならば気休めにこそ咲け桃の花