はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年05月09日 20時54分10秒 | 日詠短歌

2012/4/16(月)
   仕事が終わると頭痛・胃痛が治まる不思議。

 砂浜と海のあいだに小屋を持つ隠居というは甘やかな毒


4/17(火)
   気づいたらナガミヒナゲシが道端にいた。

 まっすぐに揺れる細茎こまどりを射抜いたという矢柄のように


4/18(水)
   友人に車を貸したら、食事をごちそうしてくれた。

 花柄の乳母車から舌を出し通る白犬 その舌のいろ


4/19(木)
   制服がミニスカートになったのは、いつごろからだろう?

 芝桜なだれる丘に振り撒かれなお初々と詰め襟の黒


4/20(金)
   春雨じゃ、濡れていこう。

 飲み終えの印につぶす缶だからデッドソルジャーばかりの海へ


4/21(土)
   一度仕舞った冬用コートを、また引っ張り出すことになろうとは。

 ふくらみのほぐれてゆくを水無瀬川渇きは音が増してゆくもの


4/22(日)
   午睡から目覚めると夜で雨が降っていた。

 バスタブに水が積もってゆく音のdiddle diddleなんて気怠さ


一日一首

2012年05月04日 18時10分58秒 | 日詠短歌

2012/4/9(月)
   4時半に鳴っていた夕方のチャイムが、いつのまにか5時に変わっていた。

 幼さはじゃあねと言えないことだから中学生が辻々に群れ


4/10(火)
   辻堂駅北口再開発計画、完成に近づく。

 物かげを殺して出来た曲面と直面の街(桜を見せて。)


4/11(水)
   職場の相方が「寒い」と言うので、暖房を入れた。

 くり返す和音のなかで花冷えと言うには柔く降る雨を聞く


4/12(木)
   職場は北向き。外よりも寒い。

 着られずの上着を軽く受けとめた座椅子の背にも注ぐ残照


4/13(金)
   出勤途中、花吹雪を体感した。

 降りしきる桜の弁のしろたえも隠しきれずに萌芽のあおは
(弁=ひら)


4/14(土)
   全身に桜の花びらををまぶした自動車が、何台も走っていた。

 楽しげに濡れて千切れる花蘂の三寒四温さんかんしおん


4/15(日)
   好きな人に好きだと言った。
   袋いっぱいのお菓子をくれた。
   中の返事を一生懸命探した。
   やっと細い封筒を見つけた。
   開けようとして、目が覚めた。
   とても悲しかった。

 全谷のみどりに靄る影ならば気休めにこそ咲け桃の花