はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年03月07日 19時45分46秒 | 日詠短歌

2012/2/13(月)
   おうさまのけらいをみんな あつめても
   ハンプティを もとにはもどせない
    (「マザー・グース 1」谷川俊太郎 訳 和田誠 絵 講談社文庫)

 午後四時の陽が尖塔に腰かける西高東低明日はゆるむと


2/14(火)
   ハンプティ・ダンプティ 塀の上でらくらく
   ハンプティ・ダンプティ おっとついらく
    (「オフ・オフ・マザー・グース」和田誠 訳 筑摩書房)

 さかみちをたまごころがりつづけるよからがわれてもしろみむけても


2/15(水)
   間違いなく自分のものなのに、なぜ制御できないのだ。

 心棒のしずかにずれる色があるミュシャの「メディア」の女の目にも


2/16(木)
   今週は、なぜこんなに疲れるのだろう?

 凍えから放たれるのが恐ろしく冬よ行くなと言う俺がいる


2/17(金)
   「とちおとめ」を買ったら、クリームパンみたいな形のやつが入っていた。

 こまどりの籠の中から言うことにゃ苺は尾から赤くなるっと


2/18(土)
   かじかんだときは熱めのぬるま湯に浸すといい、とはおばあちゃんの知恵。

 カミキリや八つ手や笑みがあったっけ剃刀の刃を埋めた裏庭


2/19(日)
   寝過ぎると頭が痛くなる。分かっていてなぜ繰り返す。

 霜露にまだらまだらに染まりゆく木彫り細工の紫陽花の花


一日一首

2012年03月01日 21時20分36秒 | 日詠短歌

2012/2/6(月)
   湿度が高い。空気の味も変わった。

 近すぎる私とあなた せっせっせ 掌を鳴り合わすことができない


2/7(火)
   気味が悪いほどの生ぬるさ。なのに春一番ではないらしい。

 ゆく人の傘みな西へ傾いて雨のきさらぎ汗滲むなり


2/8(水)
   ノジマに並んでいたレコードプレーヤーは高値、もしくはJUNK値。

 後悔をしてからすればよいものを空のレコード棚に目をやる


2/9(木)
   本当に久しぶりにオリオン座を見上げた、ような気がした。

 ストーブに着替えをかざす朝が来て湯ぶねの栓を抜く夜が来て


2/10(金)
   「わが家の堆肥はよい匂い」(モンテーニュ)
      『新輯 けさのことばⅢ』(岡井隆)からの孫引き。

 白壁にうつる日射しが眩しさを増してきたのでさあ、春よ来い


2/11(土)
   休日出勤、車の定期点検、アパートの契約更新、図書館に本の返却と借出。事務的な一日。

 人は地図 人は灯台 まなざしと言葉を俺の羅針と成して


2/12(日)
   里山公園の畑に、麦の苗が植わっていた。

 鳥がまたなにか失ったのだろうぬらぬら揺れる葉椿の枝