2012/9/3(月)
久々に、パジャマの上下を着た。
雷鳴が通りすぎれば窓枠の影も九月の輪郭となる
9/4(火)
発見。虹は、水たまりにも映る。
これならば傘を開かず行けるだろう完全体の虹を見上げる
9/5(水)
鍵の数だけ不幸を抱いているって
誰かが言ってたね
(『普通の人々』 さだまさし)
蝉が鳴く朝一番の涼風の中かなかなの音階のまま
9/6(木)
散髪は月初めに。
剃刀はもみあげを経て喉元へ仰向けのまま聞く遠雷が
9/7(金)
隣の家の柱時計。0分と30分に、律儀に鳴る。
宙吊りの男の札があけられる瞬間ひびく青銅の鐘
9/8(土)
ビアガーデン、今年の行き納め。
渓谷に墜ちて埋もれる蝉のためなおひと切れの桃のタルトを
9/9(日)
蝉の合唱の中に身を置く。
不意に、聴覚が真っ白になる。
これもゲシュタルト崩壊だろうか。
陽を浴びて鳥肌の立つ前腕も捨て置けどうせ舟が揺れれば