はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

「短歌研究 2011年9月号」詠草・うたう☆クラブ

2011年09月02日 19時24分23秒 | 日詠短歌

「詠草」

LEDになったとたん街灯は まあ、いいんだけど。白いし

片手ぶらの二人乗りなんだ一度くらい海に花束を投げたいじゃないか

もうそろそろぬいぐるみに似せた犬たちが人を伴い来る頃合いか

鶺鴒は振り向きもせずまた土を食む遠くまで逃げればいいのに (☆)

里山の手入れは解るしかし もう出来ない闇に匂う切株


「うたう☆クラブ」

飛び箱の踏み切り台が最大の障害だったころと同じか

日本が以前していたことをしているのか そうか嫌だったんだ

流行語〈暑い〉は森の中にいて木綿のシャツを肌から剥がす

雨粒がカップに溜まる白茶けた7番ホールのピンを伝って (☆)

真鶴の魚付林をおそらくは目指して西下する鳥十一羽


(☆)のついているものが、取られた歌です。

「詠草」の5首が妙に律に乗っていないのは、そのころ自由律や新短歌の作品を読んでいた影響でしょうか。
まったく、すぐに影響されてしまうのは困ったものです。
でも、本家本元を読んでいると、フリーダムと思われる中にも何らかの法則(暗黙の了解)があるようにも思われます。
それは何か?
それが分かれば、苦労はしませんよね、本当の話。

「短歌研究 2011年8月号」詠草・うたう☆クラブ

2011年09月02日 19時07分53秒 | 日詠短歌

「詠草」

逆光に滴りつづく彼岸花この農道を憎んであゆむ

空を飛ぶような形のまま沼のほとりを囲み彼岸花咲く (☆)

垂れる穂と垂れぬ穂のあり藤沢の電脳めいた田園風景

去年よりは蝉が染みこむこともなくただ暑いとて夏は過ぎゆく

蝉日和蜘蛛糸日和靄日和ベンチの露を吸うアキアカネ



「うたう☆クラブ」

栗毬のまだ艶めいて蒼なるはじゃんけんぽんの何に似たるぞ

パラソルを開くくらげは落下するこのショーウィンドウを断崖として

ふたなりの木の根の下で羽根そよぎシルエットになる鴉の夫婦

熱くない陽の下で聞く蝉たちはなんだかぜんぜんこわくなくって (☆)

白紙の縦書戸籍保存する東伊豆町役場、海辺の
(白紙=しろかみ)



 (☆)のついているものが、取られた歌です。

晩夏、あるいは初秋っぽい歌が並んでいるのは、別に意図したからではなく、単に作ったのがその季節だからです。
何となく出来た歌をノートに並べておき、古い順に投稿していくので(なんだか在庫整理のようだ)、時折こういうタイムラグが生じます。
このブログにアップしたときの季節がドンピシャリなのは、残念ながら偶然です。よ?