はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

鑑賞サイト(014:泉)

2008年04月12日 18時36分38秒 | 題詠100首 鑑賞サイト
耳たぶは鉄鉱泉の味がした ピアスホールが二個増えていた
                        矢島かずのり(蟲短歌)

 二通りの解釈ができます。
 (1)相手の耳たぶを口に含んだら、ピアスの移り香の味(変な言い方ですが)がした。
 (2)温泉の湯船の中で、相手の耳たぶを口に含んだら、湯の味がした。

 (1)ならば、金属の味から「鉄鉱泉」を連想するという、なまめかしいながらも冷静な部分を持った歌。
 (2)であれば、それこそとろけるほどなまめかしいお歌です。
 どちらの解釈でも、「ホールが」「増えていた」のに気づいたのは、視覚ではなく触覚でなのでしょう。
 なまめかしいのに不思議にいやらしさがなく、「泉」と体温の暖かさが伝わってきます。
 僕自身はどちらの読み方も好きですが、(1)の解釈の方が素直でしょうね。

 いきなり現実的になりますが、アレルギー体質の人は、ピアスの材質もいい加減には選べないそうですね。
 質の悪い合金などが使われていたら、冗談じゃすまないとか。
 そんなことを考えながらこの歌を読み直すと、違った感慨も湧いてきます。