ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

土台作りを忘れずに

2020-11-25 08:30:10 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「見えていない部分が」11月19日
 広島県教育委員会教育長平川理恵氏が、『GIGAスクール成功の要点』という表題でコラムを書かれていました。その中で平川氏は、『小中学生に1人1台のパソコン端末と高速大容量の通信ネットワークを全国一斉に整備する「GIGAスクール構想」』について論じていらっしゃいます。
 平川氏が、『PCを配ったが、全く使われていません』とならないための活用のポイントに挙げていらっしゃるのは、『「ノートテーキング」「ドリル」で終わらせぬことだ。教科横断型の授業やプロジェクト型学習、つまり「主体的・対話的で深い学び」を作り出す授業改善と並行すべき』ということです。
 私は、このブログで自身の実践や指導主事として指導してきた内容を基に、自ら問題を発見し、仮説を立て、自ら調べ考えて、問題を解決する学習の重要性を強調してきました。また、そのための学習過程として、子供が相互交流によって自らの考え方や結論新たな疑問等をぶつけ磨き合う場の設定について強調してきました。ですから、多少表現は違いますが、平川氏の主張とは重なり合う部分が多いと考えています。
 ただ、教員を経験していない平川氏が、コラムの中で触れていない部分が気になるのです。学びの土台を作る小学校の授業においては、「主体的・対話的で深い学び」ではない学びもまた重要になると考えるからです。ひらがな・カタカナを正しく覚え使えるようになること、漢字を読み書きができるようになること、掛け算九九を覚え四則計算ができるようになることなどなどです。
 必要な時期のこうした基礎的・基本的なことを身に着けないと、「主体的・対話的で深い学び」など、机上の空論、絵空事に過ぎなくなってしまうのです。そして、当たり前のように新聞を読み、論理的に書かれた事務文書を作成して仕事をしている「大人」多くが理解していないのですが、小学校低学年の子供にそうした知識や技能を確実に身に着けさせるのはなかなかの難事なのです。
 研究者によって、教科書の文章を理解できない子供が無視できない割合で存在するという事実が明らかにされましたが、その多くは、当然のことながらPCを目の前にしても「主体的・対話的で深い学び」などできず、途方に暮れるだけです。
 平川氏の指摘通り、『PCを活用した「主体的・対話的で深い学び」のための教員研修に力を注ぐ』『「オリエンテーション」のカリキュラムを作成』『先行してPCを導入した県立高校の先生が近隣の小中学校の教員に研修』等の施策も大事だと思いますが、学びの基盤づくりにおける授業という視点からの提言も、期待したいと思うのですが。

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