「スピリチュアル?」10月27日
『宇宙のハーモニーを聞く』という見出しの記事が掲載されました。笙演奏家宮田まゆみ氏へのインタビュー記事です。その中で宮田氏が語られる言葉は次のようなものです。
『この世には人間には聞こえない「宇宙のハーモニー」というものがある』『古代の人びとは、神や宇宙や自然からエネルギーを受け取って、いろいろなものを誕生させてきた』『この(笙の)音は宇宙から、自然界から、あるいは自分の体の内側から聞こえてくるように響く』『宇宙の根源の音というものがあるが、普通の人間には聞こえない。でも人は、それに憧れて「人間の音楽」で近づこうとするんです』『目には見えない神と人間の交感から漢字の成り立ちの根源的な姿を解明~』。
宮田氏は、『日本と海外の相互理解への貢献で本年度の国際交流基金金賞を受賞』した「立派な方」です。記事を掲載したM紙は、良心的な全国紙です。それにも関わらず、私がこの記事を読んで得た印象は、少しいかがわしいスピリチュアルなもの、という感じでした。私の感覚がおかしいのでしょう。
しかし、もし公立校の教員が、国語の時間に漢字について「目には見えない神と人間の交感から~」などと口にすれば、「頭がおかしい」「新興宗教にかぶれている」などと批判されると思います。音楽の授業で「宇宙の根源の音というものがある」などと自説を述べれば、皆怪訝な顔をするでしょう。
私が教委に勤務していたとき、保護者からこうした情報を得れば、当該教員には校長を通じて公教育への信頼を損なうような言動を慎むように指導をしたはずです。繰り返せば、何らかの処分を検討することになったでしょう。そう考えるからこそ、先に述べたように、感じてしまったのです。
外国の事情は知りません。先進国でもアメリカなどでは聖書に記述をそのまま教えるべきという原理主義者が教員の中にもいると言われます。しかし、我が国においては、神や霊的なもの、特定の宗教を連想させる発言は、公立学校ではタブーとされています。それは法規には明記されてはおらず、研修や上司からの指導で触れられることは少ないですが、それでもほとんどの教員の「常識」となっています。
もし、特別活動で校外の講師を招き、「神が~」などと口にされたら、その場に居合わせた教員は大いに慌てるはずです。「超一流」と言われる人たちの中には、私のような凡人には窺い知れない世界観を持っていらっしゃる方がいそうですが、お呼びするのは怖いですね。