フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

姉のちから

2012-11-29 08:12:07 | Weblog
ケイコフは自分達兄弟の一番上でオピニオンリーダーであり文化の伝道師であった。口やら鼻やらに管をさしこまれて意識なく病院のベッドで横たわっている姉の額に手を当ててかすかに感じる体温を感じながら自分に繰り返していた。経営と言う仕事をしながらモダンバレーに通ったりカラオケ教室に行ったりお茶、お花、英会話、料理菓子作りと八面六臂の活躍をしながら家庭にあってボケた義姉の世話、半ボケの夫の世話、二人の息子の世話と休む間もなく働いた。「こういう生活をしなさいとか、自分に似合うものを着なさいとか」よく言われましたっけと話しかけると少しまぶたが動いたような。なんでこのひとがこんな目に遭わなきゃいけないんでしょうね。かんがえてみれば、全部姉を通じて生き方も服の着方も趣味も教えられてきた気がするというか知らず知らずに姉の真似をしてきたんだろうかと思う。自宅に外国人の先生を呼んできてパーティ形式で英会話を習っていた。おかげで彼女の英語の話し方から英会話のコツを学んだ。ジャム作りが大好きで二人でよくジャムを作りあった。彼女のジャムのとろみが独特でまだ自分はマスターしていない。意識が戻った時、もう一度ジャムが作れるだろうか。もう一度・・・といまは思うばかり。
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