6月17日に行われたエジプト大統領選挙は、穏健派イスラム団体ムスリム同胞団系の自由公正党ムハンマド・ムルシ氏(60)の当選が正式に発表された。エジプトは初めて民主的に行った選挙で大統領を決めたと言う喜びに浸っているようだ。いわゆるアラブの春で独裁政権が倒れた国で穏健派イスラム勢力が政権に就くのは、チュニジアに次いで2カ国目となった。エジプト選管が発表した公式結果によると、ムルシ氏の得票率は51.7%、ムバラク政権下で首相を務めたアフマド・シャフィーク氏(70)は48.3%で、投票率は51.9%だった。
ムルシ新大統領は、可能な限りイスラム色を抑制する意向を示し、宗教色の表面化に危惧を抱く国民も一応安堵している様子だ。また、イスラエルとの関係についても、ムバラク時代からの平和条約の維持を始め、国際条約や協定を順守する考えを示している。イスラエルとの武装闘争を続けてきたパレスチナのイスラム原理組織ハマスを支持する同胞団のムルシ氏が、イスラエルと、どのような関係を築くのか注視していたアメリカもほっと一息ついたようだ。
ただ、依然として勢力を誇示するエジプト軍の軍事評議会が議会を解散し、新憲法で軍の発言力を強めようとしているため、ムルシ新大統領が軍とどのような折り合いをつけていくのか、課題は残っている。つい先日も軍の権力行使に反対する若者の大掛かりなデモが行われており、新大統領誕生の高揚感みなぎる中でも、まだまだ民主国家エジプトへの道のりは簡単には開けそうもない。「関連:6月18日」
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