日産自動車が2009年3月期連結決算の見通しを修正し、営業損益を従来予想の2700億円の黒字から1800億円の赤字とした。カルロス・ゴーン社長が同社の経営トップに就任以来初の転落だ。
同社は世界で全雇用者の20%近い2万人の人員削減を行うとし、その内国内の削減数は正社員4千人を含め1万2千人になるという。ゴーン神話の崩壊となった。
もっとも、日産の経営浮上は、1990年後半ゴーン体制になって、欧米式の人事管理方式を用い、着任早々多数のリストラを行ったことが最も功を奏した。現在、大企業中心に大規模なリストラを行っているが、ゴーン氏は、我が国の伝統的な雇用形態を破り、市場優先の雇用形態への先鞭をつけたと言ってよい。
さて、我が国の失業者は厚生労働省の試算では、3月いっぱいで12万5千人となっているが、業者団体の見通しでは40万人になるとも言われている。最近は正社員までも雇用解消の対象になっているが、一番その矢面に立っているのはやはり派遣労働者である。
派遣労働者問題については、テレビ等で頻繁に取り上げられ、大きな論争になっている。これを見ていると、いわゆる派遣先の企業は、派遣労働者をいつでも首に出きるので使い勝手が良いこと。派遣会社は、登録型ならば、これも首切り自由なので、儲けるだけ儲けて、派遣先の言うままに首切り、これをメリットにしていることが分かる。
派遣先も派遣会社も、派遣労働者は、企業のグローバル競争には不可欠で、もし、派遣労働者が居なければ、会社、工場は海外に逃げて行き、その上派遣労働者自体も、正社員のように会社に拘束されず、自由な働き方をしたい者が多く、労働者派遣法はそのニーズに応えていると言っている。
しかし、彼らがどのように強弁しようとも、それは使う側の論理であって、企業が利益追求のための手段として、派遣労働者を安く使っていることに変わりない。
派遣労働者を、直接使う派遣先の目的ははっきりしている。1つは、正社員の場合は賃金が定期昇給で年々上がり、年2回のボーナス支給、諸社会保険料負担、厚生施設提供、その上、勝手に首にできないなど使い勝手が悪い。
一方、直接雇用の非正規社員は、正社員と比べ相当安く使えるが、採用費が掛かり、非正規社員とはいえ、会社の雇用責任は免れない。
それに比して派遣労働者や請負労働は、派遣会社に料金を払うだけで済み、採用費が掛からず、いつでも首にでき、企業責任は派遣会社にあるので、極めて使い勝手が良い。
また派遣会社は、常用雇用の場合は一応退職金や社会保険料など払っていて、勝手な解雇はできないが、登録型雇用ならば、退職金や社会保険料などは払わず、いつでも首にすることができる。言ってしまえば、派遣先から入る派遣料の上前を跳ねることが商売だ。現在、派遣先から雇用を打ち切られ、路頭に迷っているのは、このような登録型雇用者が圧倒的に多い。
つまり、派遣先の大会社も、派遣会社もこのような派遣労働者を食い物にしているだけだ。一昔前は、日本の労使関係の良さとして、企業は労働者を定年まで雇用し、企業に対する帰属意識を持たせる中で、生産性を高め、世界で第2位の経済大国に発展してきた。
それに比して、現在は雇用もアメリカ流になって、労使関係は割り切りの論理が幅を利かせている。この分で行くと、将来、日本型のスキルが途絶え、世界との競争がおぼつかなくなることが危惧される。
今行われている派遣労働問題に関する論議の中で、いくつか問題点が隠されているものがある。
1つは、派遣会社の中で、常用雇用型派遣と登録型派遣との比率がどうなっているかという点。2つ目には、今の制度のままで、派遣労働者が増えていくと消費が停滞し、将来に亘り、未納税者層の増加、無年金、無医療保険者の増大により、生活保護費など社会保障関係費が急増し、財政がひっ迫する懸念があること、などを俎上に上げて議論することが必要である。
本来、企業に正規社員と、非正規社員が混在しても何ら問題はない。労働者派遣法が出きる前までは、この状態が普通だった。つまり、経営者が言うように、人によって働き方があるのであれば、必然的に、定時時間労働に従事する正規社員と、不定期時間労働を望む非正規社員は併存する。
とは言っても、非正規労働者を企業に斡旋し、その手数料で利益を上げている派遣会社が、あたかも社会の公器のように経済社会に巣食うことが健全とは思わない。
非正規労働者の存在は容認したとしても、その雇用は、以前のように直接企業自身で行うべきである。
ここで1つ疑問点がある。現在は世界的不況という理由から、多くの派遣労働者が解雇されているが、経済が回復した際は、再び派遣労働者を雇用することになるのか。もしそうなると、企業は好き勝手に労働者をもてあそんでいることになる。「関連:1月28日」
同社は世界で全雇用者の20%近い2万人の人員削減を行うとし、その内国内の削減数は正社員4千人を含め1万2千人になるという。ゴーン神話の崩壊となった。
もっとも、日産の経営浮上は、1990年後半ゴーン体制になって、欧米式の人事管理方式を用い、着任早々多数のリストラを行ったことが最も功を奏した。現在、大企業中心に大規模なリストラを行っているが、ゴーン氏は、我が国の伝統的な雇用形態を破り、市場優先の雇用形態への先鞭をつけたと言ってよい。
さて、我が国の失業者は厚生労働省の試算では、3月いっぱいで12万5千人となっているが、業者団体の見通しでは40万人になるとも言われている。最近は正社員までも雇用解消の対象になっているが、一番その矢面に立っているのはやはり派遣労働者である。
派遣労働者問題については、テレビ等で頻繁に取り上げられ、大きな論争になっている。これを見ていると、いわゆる派遣先の企業は、派遣労働者をいつでも首に出きるので使い勝手が良いこと。派遣会社は、登録型ならば、これも首切り自由なので、儲けるだけ儲けて、派遣先の言うままに首切り、これをメリットにしていることが分かる。
派遣先も派遣会社も、派遣労働者は、企業のグローバル競争には不可欠で、もし、派遣労働者が居なければ、会社、工場は海外に逃げて行き、その上派遣労働者自体も、正社員のように会社に拘束されず、自由な働き方をしたい者が多く、労働者派遣法はそのニーズに応えていると言っている。
しかし、彼らがどのように強弁しようとも、それは使う側の論理であって、企業が利益追求のための手段として、派遣労働者を安く使っていることに変わりない。
派遣労働者を、直接使う派遣先の目的ははっきりしている。1つは、正社員の場合は賃金が定期昇給で年々上がり、年2回のボーナス支給、諸社会保険料負担、厚生施設提供、その上、勝手に首にできないなど使い勝手が悪い。
一方、直接雇用の非正規社員は、正社員と比べ相当安く使えるが、採用費が掛かり、非正規社員とはいえ、会社の雇用責任は免れない。
それに比して派遣労働者や請負労働は、派遣会社に料金を払うだけで済み、採用費が掛からず、いつでも首にでき、企業責任は派遣会社にあるので、極めて使い勝手が良い。
また派遣会社は、常用雇用の場合は一応退職金や社会保険料など払っていて、勝手な解雇はできないが、登録型雇用ならば、退職金や社会保険料などは払わず、いつでも首にすることができる。言ってしまえば、派遣先から入る派遣料の上前を跳ねることが商売だ。現在、派遣先から雇用を打ち切られ、路頭に迷っているのは、このような登録型雇用者が圧倒的に多い。
つまり、派遣先の大会社も、派遣会社もこのような派遣労働者を食い物にしているだけだ。一昔前は、日本の労使関係の良さとして、企業は労働者を定年まで雇用し、企業に対する帰属意識を持たせる中で、生産性を高め、世界で第2位の経済大国に発展してきた。
それに比して、現在は雇用もアメリカ流になって、労使関係は割り切りの論理が幅を利かせている。この分で行くと、将来、日本型のスキルが途絶え、世界との競争がおぼつかなくなることが危惧される。
今行われている派遣労働問題に関する論議の中で、いくつか問題点が隠されているものがある。
1つは、派遣会社の中で、常用雇用型派遣と登録型派遣との比率がどうなっているかという点。2つ目には、今の制度のままで、派遣労働者が増えていくと消費が停滞し、将来に亘り、未納税者層の増加、無年金、無医療保険者の増大により、生活保護費など社会保障関係費が急増し、財政がひっ迫する懸念があること、などを俎上に上げて議論することが必要である。
本来、企業に正規社員と、非正規社員が混在しても何ら問題はない。労働者派遣法が出きる前までは、この状態が普通だった。つまり、経営者が言うように、人によって働き方があるのであれば、必然的に、定時時間労働に従事する正規社員と、不定期時間労働を望む非正規社員は併存する。
とは言っても、非正規労働者を企業に斡旋し、その手数料で利益を上げている派遣会社が、あたかも社会の公器のように経済社会に巣食うことが健全とは思わない。
非正規労働者の存在は容認したとしても、その雇用は、以前のように直接企業自身で行うべきである。
ここで1つ疑問点がある。現在は世界的不況という理由から、多くの派遣労働者が解雇されているが、経済が回復した際は、再び派遣労働者を雇用することになるのか。もしそうなると、企業は好き勝手に労働者をもてあそんでいることになる。「関連:1月28日」
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