１０月２１日

昨夜はサプライズの連続だった。
夜になり葬式へ出席の礼ということで舞と卓が登場。
卓と話すのは久しぶり・・・４年ぶりか。
時節柄、就職ネタになる。
卓は立命館大学院工学部・ロボット工学に所属している。
ロボット工学の分野では立命館大学は私立大学の最高峰。
卓の研究対象はセンサー。
当然、その延長線上で勝負するかと思いきや、興味のある文系企業でもかまわないとか。
「じゃあ、トヨタやデンソーあたりならドンピシャやん」
「そうなんですけどね、前にも先生には言ったけど、めちゃくちゃ興味があることってないんですよ。だからP&Gとかリクルートなんかにも畑違いやけど関心があって」
「P＆Gって、プロクター＆ギャンブル社か」
「ええ」
「アカンわ、花王の横山（４期生）が怒るで」
「でもデンソーはインターンシップで２か月行ってたんですけど、すごいですね」
「じゃあ、デンソーで手を打ったら」
「いやいや、めちゃくちゃ難しいですよ」
そんなところへユタカ降臨！・・・ビール６本持参だ。
「ユタカ、生まれたか！」
「あれ、なんで知っとるの。今日の早朝に生まれました」
「おめでとう・・・って言わなアカンのやけど、こっちの舞と卓は今日おばあちゃんの葬式やったんや。やっかいやな」
「かまへんかまへん。でも先生、俺さ、子供が生まれるまでずっとビール絶ってたんや。だから、このビール久しぶりなん、先生といっしょに飲もうと思ってさ」
このセリフで俺のテンション、一挙にハイ・スパート。
長州力の『パワー・ホール』が流れ始める。


こんな流れで今朝を迎えたわけで・・・。
奥さんは名古屋で全国統一模試があるれいを大声で起こしている。
俺が起きて服を着始めると奥さん、「こんなにお酒を飲んでる状態では車に乗れません。れいと絵梨香ちゃんは電車で行ってもらいます。言ったでしょ、昨夜は飲まないでって」
奥さんを相手にせずに塾に車を取りにいこうと外に出ると奥さんが追いかけてくる。
体育館の前で口論が始まる。
体育館には数台の他府県ナンバーの車が門が開くのを待っている。
今日は猪水流の全日本オープン選手権か・・・奥さんの怒った顔を眺めながら、ふと思い出す。


結局、俺が車にガソリンを入れている間にれいは久居駅まで自転車で行っちまったようで・・・。
険悪な雰囲気のままテレビを見ていると来客がある。
直嗣（15期生・鈴鹿医療４年）のお母さんが立っている。
「先生、昨年の主人の葬式にはわざわざ来ていただいて。挨拶が遅くなりましたが・・・」
「いえいえ、ところで直嗣はどうなりました。何度か塾には来てくれたんですが、ここ最近はご無沙汰で」
「なんとか広島大学の院に受かりました」
「そりゃすごい。あんなチャランポランな奴がよくやりましたね」
「主人が亡くなるまではほんとうにチャランポランで・・・、でも主人が癌で死んでからは人が変わったように真面目になって・・・癌の研究をするんだなんて言ってくれて」
お母さん、ハンカチを取り出して目をぬぐう。
「でも、直嗣が塾にお邪魔してたなんて全く知りませんでした。・・・先生のことをお父さんのように思ってたんですね」
「いやあ、それはどうか・・・で、姉ちゃんの悠のほうは元気でやってますか」
「幼稚園のほうですけど、親が言うのもなんですけどよく頑張ってますよ」
「じゃあ、また幼児教育を目指している娘のめいを連れて、二人して悠のレクチャーを受けにお宅へお邪魔します」
「ええ、ぜひいらしてください」

直嗣、でかした！
橋本ドクターの弟が広島大学整形でドクターをやってる。
機会を見つけて紹介してあげるよ。

卓との久しぶりの会話、ユタカの長女誕生、直嗣の広島大学院合格・・・サプライズの余韻に浸りながら、俺は険悪な雰囲気のなか奥さんとは「ねじれの位地」の状態を堅持しながら家で過ごす過酷な日曜日・・・。
試験から帰ってきたれいはリビングで横になっている。
コルセットを忘れていったとかで、背中の痛みが相当ひどいようだ。
センター試験まで100日を切っている。

里恵（７期生）が深夜にやってくる。
高校時代のダチで薬剤師やってるムッちゃんと滋賀で遊んできたという。
ここ１週間ほど、里恵は真ん中の部屋にこもって勉強していた。
橋本ドクターが買ってくれた医療秘書の問題集に首っ丈だ。
昨夜のサプライズの喧騒のなか、泰然自若で真ん中の部屋で篭城していた。
そんな臨戦態勢に入った里恵の今日は束の間の休息？
お土産持参・・・滋賀市ケ原町の『ままやの松茸ごはん』を２箱。
「えらい豪勢だな」と俺。
「今夜はこれを持って家に帰って奥さんに謝りなさい」
滋賀にいても俺のブログを読んでたわけだ・・・。
しかし、塾生に説教される時代が来たってか！