１０月２０日

杉野は日付が今日に変わる頃に帰っていった。
杉野に少し送れて帰ったのが南郊中２年の晃平、さらに中３の真祐と千帆、そして今日のトリは午前０時45分離脱のクニと純一・・・と南郊中の３年が続く。健闘を祈りまっせ、ほんま。

甚ちゃん、明日からバイトやから今夜はお酒は休みかなと思いきや、いつものごとく今夜も午前２時過ぎてるやん！

朝７時半に甚ちゃんを助手席に乗せて伊勢に出発。多少は渋滞したものの上り方面ほどでなく８時30分に現地到着。
選挙事務所になる予定の建物の内部は事務所開きをしたばかりで机とテーブルがある程度。まだまだ殺風景な空間に、俺たちはパソコンを運び込む。近くで買ってきたノートパソコンの調子はいいようで甚ちゃんが慣れた手つきで打ち込み始める。やっかいなのは敏雄先生とこから運び込んだパソコンで、これが鳥羽の先生を手こずらせている。他のソフトは稼動するのに、肝心のエクセルとワードが立ち上がらない。

俺は午後２時に見切りをつけて退散。帰る途中で23号線沿いで『へんば餅』を買って三重中央病院へ。
橋本ドクターの娘は今日も眠ったままで俺を迎えてくれる。時折目を開けて観客を期待させてはくれるものの、すぐにステージ裏に引っ込んじまう。アンコール！と叫んではみてもナシのつぶて。

塾に戻ると中３の理恵の机で杉野が勉強している。一番後ろの隼人の隣の席だ。ここの席は当分は杉野に貸し出し、理恵は俺の横にシフトしよう。
はて、杉野はいるが隼人はいない・・・熊本バンドでも結成しているんだろう。

古西がやって来る。「オッス！杉野先輩、勉強やってますか」「アホ！やってるわい」「今日は何時に出社ですか」「午前10時には塾に来とったわい」「オマエ、授業か」と俺。「うん、午後６時から山本さんの東大英語、９時からは立命館ブループ・・・そやそや大変なんやって」「何が」「俺さ、27日に論文の発表があるんやけどさ、24日から26日までＪＴの合宿で東京へ行かなあかんねん。となると論文は23日までに完成させなあかんと・・・で、計画好きの私めは今夜やろうかと思ったんですが・・・やっぱり木曜日になるとマージャンがしたいなと・・・」

バイト１日目の甚ちゃん、午後９時に姿を見せる。気分転換からか、さっそく加央里（津東１年）に確率を教え始める。

梨央を家まで送って塾に戻って来ると古い塾で授業を終えた古西が待っている。すわ、マージャン開始か！と思いきや「今夜は征希さん、あかんって。彼女とおるから解散できんって」「そりゃ残念」「だから今、メールで『解散！』『解散！』って送っといたんやけどな。でも杉野先輩もおるしな」　果たしてマージャンが大好きな杉野、どうでるかなと興味津々で北方謙三の「三国志」を見るふりしていたら、「まだまだ本調子やないからな」と、かわいい後輩に婉曲的な拒否・・・。
今までやったら、ついつい相手の熱意にほだされていたんだろうが、自分の現状に対するシビアさってのは受験には必須なアイテム・・・とりあえずは合格。
甚ちゃんはバイト疲れと翌日も続くバイトを踏まえて午前１時前に、そして杉野と古西は午前１時過ぎに正真正銘の「解散」・・・。

杉野が明日あたりからプログ参入か？
日々の勉強の計画を事前に書き込み、その達成度やら感想やらで後追いする。
ついつい陥りやすい一人よがりの勉強を避ける方策、自分の勉強内容を他者の視線に晒すことで単調な受験生活により一層の緊張感を付与する一助になればいい。
その杉野の睡眠時間、６時間ほどになっているはず・・・。