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 ★★ アキバ無差別殺傷はトヨタ式生産方式のひとつの帰結か? ★★

2008年06月28日 | 今週の注目記事
 アキバ無差別殺傷事件についてネットで議論が燃えている。
 ざっと眺めただけだが、そこでは容疑者の生い立ちや家族、“こころ”を問題にしたり、凶器や犯行の様態を解説?したり、「ゆるせないッ!」といった論調は少ないことが分かる(…TVよりはまだまし…か?)。そして、圧倒的に目立つのは、製造業派遣の過酷な労働実態や夢や希望も誇りも根こそぎにする突然の首切りについて、異口同音に書いている記事やブログだ。

 そう、ここで押さえておくべきは、派遣先の関東自動車工業は資本関係でもトヨタ自動車が過半数の株を握るトヨタグループの一員であり、プレス・組み立て・塗装などトヨタ車の生産ラインを担っているトヨタ自動車の一部門だ、ということ。(関東自動車工業は一部マスゴミが言うような下請け部品工場などではない。)

 トヨタは、若者の車離れなど国内需要の低迷と、原油高・材料費高などへ対応し、人件費がより安い海外工場へ生産をシフトすることで最大利益を確保しようとする…。そのために関東自動車は、派遣労働者を切ることを日研総業に通告したともいえるわけで、こうしたトヨタの経営方針が変わらない以上、加藤容疑者がその時点の首切り対象リストにはいっていたかどうかとか、ツナギがどうした、とかいう言い訳的言辞は、本質(「お前らが首切っておいて、人が足りないから来いだと?おかしいだろ」)を糊塗するだけ、というほか無い。

 トヨタを世界企業に押し上げたことであまりにも有名になった“カンバン方式”(在庫は持たずにジャストインタイムで部品を供給させる)を、じつは人間にも適用していたのだということが、加藤容疑者の行動の結果、だれの目にも明らかになった、ということだ。(参考 1 2

 さて、『週金』今週号(6/27号)の巻頭特集は《老人をなめるな》だ。そして、目前に迫った《G8サミット》、《アキバ無差別殺傷事件》の記事は、見逃すわけにはゆかない。この3つの特集や記事の主題は、「あらゆるところに“格差”のくさびを打ち込んで利益をむさぼろうとする流れ」と、「『もう一つの世界』を可能にしなければならない」という点で、通底する問題と考えたい。

《秋葉原事件と派遣労働問題の関係を考える「ガテン系連帯」懇談会》に関するインタビュー記事で小谷野ガテン系連帯事務局長は、「殺人を正当化するわけではないが、こういう社会を作ったのは誰なのか。(容疑者を含む派遣労働者に)敵を間違えるなと言いたい」と言う。合点がいく言葉だ。

 日雇い派遣、登録派遣、偽装請負。製造業への“口入れ屋”をゆるしておいてはいけない。

(練金術師)
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