【写真1】水没をまぬがれる吾妻渓谷
メディアは、前原国交大臣の中止宣言よりおよそ1ヶ月以上にわたって八ツ場集中報道。そのどこに真実はあるのでしょうか?。
あるいはないのでしょうか?。(マスゴミ報道の誤り)
八ツ場あしたの会が急遽設定した現地見学会に参加した私たちは、その夜は“川原湯温泉読者会”で昼間の見聞を咀嚼することになりました…。
【写真2・3】メディアを賑わした付替え道路=こうした“絵”(画像)をみてダムの完成も間近と誤解したむきもあった。
このダムのそもそもの目的である「利水」「治水」について、すでに根拠が否定されているにもかかわらず国交省(旧政権下)の説明を丸飲みした東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬1都5県の知事がそろいもそろって吠えまくる姿がメディアによって垂れ流されたのは象徴的です。
(八ッ場ダム建設事業に関する共同声明)
【写真4】ずり上がり方式で盛土され代替造成地(川原湯地区)
【写真5】代替小学校(河原畑地区)=裏側矩面の崩落が懸念される
さて、お世話になった宿の女将が語ってくれたところによると、かつて200軒あった川原湯温泉街はいまや70軒と立ち退きが進んでいて、明け方にはイノシシの親子が出没するようになったとか。そしてダム建設が中止となってもこの温泉街の存続は難しいのではないか、という話に衝撃を受けました。
【写真6・7・8】墓地の移転(河原畑地区)=無縁墓はどうなるのだろう
とはいえ、ダム周辺工事が進み現地の様相も様変わりしているなかで、肝心の本体工事が未着工の段階で中止されたことは暁光です。政策に翻弄され続けたその地にすむ人々にとって、そして責任ある国や県にとって、“ダム建設中止後の生活再建”が喫緊の課題となっています。
考えてみると、ダムそのものは中止されダム本体工事に伴う関連工事は完成という矛盾が現実となるわけですから、関連工事によって付け替えられた国道や鉄道がこの地域をスルーすることになり、その結果、生き物(自然生態系)の多様性は助かることになります。新しい地域興しの観点も必要になりましょう。
たとえば、現在の温泉街の中で1軒でも経営が残ることができれば、川原湯温泉はすばらしい緑と野鳥たち、ムササビからイノシシ、カモシカたちに出会える温泉になるでしょう。あえて温泉好きとして言わせてもらえば、奥へ奥へという形で進行するいわゆる秘湯ブームの秘湯とはひと味ちがう全く新しい《助かった秘湯》の誕生が期待できるのではないでしょうか?
【写真9】吾妻線新川原湯温泉駅予定地(未買収)=すぐそこまで路線がせまる
これまで何度か“温泉読者会”を実施する中で川原湯温泉や他の湯につかりながらこの問題を考えてきた私たち練金術参加者は、普天間米軍基地の撤去や八ツ場ダムの中止を求めてきました。そしてそれらの問題は鳩山新政権に期待するばかりでなく、ひとり一人の生き方にも関係する問題として考えるべきことだからです。
★07年秘湯温泉読者会
★八ツ場ダムのウソ・ホント
八ツ場の現地の状況については下記も参照ください。
★週刊朝日10/16号保坂展人の現地レポート「八ツ場ダムの隠された真実」
★『週金』11/27号「語り始めた住民と旧政権にしがみつくダム流域の自治体」
【写真10】たすかった王湯=ダム湖水面下になるはずだった王湯は800年前源頼朝が発見したと伝えられる源泉の地にある立ち寄り温泉
ここまで読んでくれた関心のある方へお願い
東京都に対する請願署名が取り組まれています。2010年1月末日までなので、用紙をダウンローして署名活動に協力願います。
★請願事項
1:東京都は八ッ場ダム事業への関わり方を改めて見直してください。
2:東京都は八ッ場ダム予定地住民の生活再建に真摯に尽力してください。
(イトヤン)