保健福祉の現場から

感じるままに

公立病院

2008年02月07日 | Weblog
「国の「改革」で〝無医〟地域続出!?」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14397.html;jsessionid=1FCE9656ECC5C68F9FA575914592A551)の記事が目にとまった。<以下引用>
<地域医療に重要な役割を果たしてきた公立病院の「改革」が進められる中、地方を中心に全国で〝無医地域(医療空白地域)〟が続出する可能性が浮上している。全国に約1,000ある公立病院の3分の2以上が赤字経営に陥っていることに対し、国は「経営効率化」や「(病院の)再編・ネットワーク化」などを図ろうとしているからだ。改革によって、例えば、北海道では大阪府に匹敵する面積を持つ複数以上の地域から病院がなくなることになり、「住民の命綱を守ってほしい」という切実な声が広がっているという。公立病院は、民間の医療機関では取り組みにくい高度・先進・特殊医療や僻地(へきち)医療、救急、精神、リハビリテーション医療など不採算部門といわれる分野を担ってきた。現在、全国に約1,000病院あるが、日本自治体労働組合総連合(自治労連)によると、3分の2以上が赤字経営になっている。このような公立病院の経営構造を〝改革〟するために、政府・総務省は昨年12月、「経営効率化」・「(病院の)再編・ネットワーク化」・「経営形態の見直し」の3つを柱とする「公立病院改革ガイドライン」を発表。2008年度から自治体に実行を求める計画を進めている。ガイドラインに関連して、自治労連は「医師不足解消・地域医療再生に向けて」という冊子を発行。「再編・ネットワーク化」については、「一つの医療圏で中心となる病院(中核病院)に医師を集約化し医療機能を充実させるとともに、周辺の病院は医療機能を縮小して〝後方支援〟病院・診療所にする狙い」と指摘。「経営形態の見直し」に関しては、「自治体が財政難等のために赤字の病院を支えきれないことから、現在の病院を地方独立法人化することや運営主体を民間の法人に移す民営化などを差す」としている。ガイドラインをめぐっては国会でも質疑。2月5日の参議院予算委員会では紙智子議員(日本共産党)が北海道を例に公立病院改革問題を取り上げた。紙議員は、国のガイドラインを先取りする形で北海道が打ち出した「自治体病院等広域化・連携構想案」を提示。現在94ある道内の公立病院のうち、38病院が診療所化され、9病院が規模縮小となる問題を挙げた。また、北海道の地図を指しながら、紙議員は「大阪府に匹敵する(複数以上の)地域から病院がなくなる」と批判。道の案で、診療所化の対象になっている上川町立病院に触れ「町立病院がなくなれば、上川町から(病院がある)旭川市までは列車で1時間20分、車で1時間かけて行かなければならなくなる。病院は住民の命綱で、町長を先頭に『守ってほしい』という声が広がっている」と訴えた。医療空白地域が生じる問題は、青森県など各地でも起きている。同県の下北半島では不採算路線の廃止から交通事情が悪くなり、〝陸の孤島〟化が進む。半島を管轄する「むつ医療圏」の場合、半島西端に位置する佐井村から、地域の拠点となる「むつ総合病院」までは、バスで1時間半以上かかり、自宅からバス停までのタクシー代を含め、一回の通院に交通費だけで医療費よりも高い1万円超を要する高齢者もいる。国の方針を受けた県の計画では、佐井村と風間浦村が〝無医村〟になる問題が浮上している。公立病院が財政難や医師確保の困難などで苦しい経営を余儀なくされている要因として、自治労連などは「相次ぐ診療報酬の引き下げや政府の低医療費政策に加え、不採算医療を担っていることに対する国の財政措置の削減が影響している」とし、「地域間の医療格差を助長するのではなく、地域医療のビジョンを住民とともに考えることが不可欠」と強調している。>

こうした状況に今年度中に各都道府県で策定される「医療計画」はどのような内容になっているであろうか。しかし、昨年末、総務省から通知された「公立病院改革ガイドライン」(http://www.soumu.go.jp/c-zaisei/hospital/pdf/191225_guideline.pdf)(http://www.soumu.go.jp/c-zaisei/hospital/pdf/191225_gaiyou.pdf)に基づき、地方公共団体は平成20年度内に「公立病院改革プラン」を策定することになっている。特に「病床利用率が過去3年連続して70%未満の病院」は抜本的見直しされるため、公的病院の「経営至上主義」「市場原理主義」改革に対する反響は小さくないかもしれない。プラン策定にも関わった民間シンクタンクからは、各地の公的病院に関する様々な情報や意見が提供(http://www.izai2.net/index.html)されており、なかなか興味深いところである。ここで賞賛や非難されている病院について、地元関係者から情報を得てみたいところかもしれない。マスコミ報道だけではみえないことが少なくないからである。そういえば、「病院の倒産、6年間で6倍増」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14380.html)と報道されている。<以下引用>
<2001年から07年にかけて倒産(法的整理)に追い込まれた医療機関の施設数が210件に達することが、帝国データバンクが2月5日に集計した「医療機関の倒産動向調査」から分かった。特に07年には病院の倒産が相次ぎ、01年に比べて6倍近くに増えた。帝国データは、医療の市場拡大が進む一方で、大規模病院への患者集中などから中小規模の医療機関の倒産が今後、さらに増える可能性を指摘している。>
 
さて、医療機能情報提供制度では、医療機関から都道府県に毎年「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)が報告され、ネットで公表される。その中には人員配置、年間の患者数(病床種別、外来、在宅)、平均在院日数、主な手術件数等があり、医療機関の詳細な実績が公開されることになる。今後、公立病院改革においても具体的な固有名詞が話題になるのは避けられないかもしれない。それは、医師臨床研修の研修病院の選定(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/h1018-1.html)やスタッフの就職活動にも少なからぬ影響が予想される。医療計画に関する国の通知(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/191113-k00.pdf)の指針p8では、「総務省が公表する公立病院改革ガイドラインを十分勘案し、公立病院に係る再編・ネットワーク化等との整合性を図るものとする。」とされていることが、妙に注目されるところかもしれない。ということは、公立病院改革プランが策定される平成20年度から、医療計画も変わるということなのであろう。
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