保健福祉の現場から

感じるままに

食中毒

2008年02月01日 | Weblog
中国産冷凍ギョウザが大きな話題になっている。この話題が出てきた背景として、製造者(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/h0130-1.html)のHEBEI FOODSTUFFS IMP.& EXP.GROUP TIANYANG FOOD PROCESSING(http://www.tianyangfood.cn/AboutUs.aspx)がどうなのか、ということも注目されるかもしれない。
「工場、検出薬物使わず 毒入りギョーザ、何者かが混入か」(http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY200802010384.html)とも報道されている。<以下引用>
<中国製冷凍ギョーザによる薬物中毒事件で、問題の商品から検出された有機リン系農薬成分メタミドホスについて、中国当局が、製造元の「天洋食品廠公司」の工場では使われていないと判断したことが1日、わかった。地元警察は外部から持ち込まれた可能性が高いとみて、事件として捜査を始めた。千葉県警の鑑定で、薬物はギョーザの形を整えた後に付いた可能性が高いことが判明。混入過程をめぐる国内の捜査も本格化した。食品の輸出を監督する中国政府の国家品質監督検査検疫総局と河北省の警察当局は1月30日夜から、同省石家荘市にある天洋食品の工場を家宅捜索。工場の責任者や作業員のほか、親会社である河北食品輸出入集団の幹部からも事情聴取を進めてきた。その結果、原材料の検品から始まってギョーザの具を皮で包み、袋に入れるまでの作業工程のほか、消毒作業でもメタミドホスは使われていないことがわかった。捜索でも工場の敷地内からは発見されなかった。中毒の原因とみられる製品と同じ昨年10月1日、20日製造のギョーザのサンプルと、現在使用中の原材料からもメタミドホスは検出されていない。警察当局は残留農薬の可能性は低いとみており、何者かが故意か過失で混入させたものとみて調べている。メタミドホスは「毒性が高く摂取すると人体に悪影響を及ぼし環境破壊につながる」として、中国では07年1月1日以降、使用と販売が禁止され、今年から生産も禁じられている。 中国政府は日本側と情報交換をして原因究明を進めるため、国家品質監督検査検疫総局の李春風・輸出入食品安全局副局長ら5人を2日、日本に派遣して共同調査を開始する。>
「“殺人ギョーザ”袋に穴…意図的に農薬混入か」(http://www.zakzak.co.jp/top/2008_02/t2008020126_all.html)の報道もみられる。

しかし、今回の事件によって、C型肝炎に続き、相談窓口として全国の保健所(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/dl/h0131-3a.pdf)がまたまた脚光を浴びた感がある。それに関連して、「ギョーザで食中毒の疑い 届け出ず…千葉市立青葉病院」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080131-OYT1T00405.htm)の記事が目にとまった。<以下引用>
<昨年12月28日に中国製の冷凍ギョーザを食べて中毒になった千葉市稲毛区に住む主婦(36)を診察した千葉市立青葉病院(同市中央区)が「食中毒の疑いがある」と診断しながら、食品衛生法に定められた保健所への届け出を怠っていたことが31日わかった。千葉市も1月4日に、主婦がギョーザを買った「ちばコープ」(千葉市)からの情報で、体調を崩した女性がいることを知ったが、病院から届け出がないことなどから、詳しい検査をしなかったという。同病院事務局によると、主婦が別の病院から転送されてきたのは、ギョーザを食べた約4時間後の12月28日午後10時ごろ。吐き気や下痢などの症状を訴え、急性胃腸炎の患者として処置され、翌29日午前に退院した。同病院は1月4日に「急性胃腸炎または食中毒の疑い」との診断結果を出したが、保健所に届け出ることなく、主婦に診断結果を知らせただけだった。主婦が食べたものから、ギョーザが原因だった疑いが強いことは把握していたという。食品衛生法では、「食中毒の患者や疑いのある者を診断した医師は保健所長に届け出なければならない」と定めている。同病院は「届け出義務は知っていた」と法違反を認めたうえで、「(当時は)感染性胃腸炎が多発している時期で、冷凍ギョーザを原因とする中毒と断定できなかったため、届け出は必要ないと判断した。今後、マニュアルなどを見直していかなければならない」と話している。>

食品衛生法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html)第58条では「食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。」とされ、疑いの段階で届けなければならないのである。臨床医には、食中毒かどうかを判断するのは保健所であることを理解していただく必要がある。夜間・休日であっても医療機関は保健所の担当者とは必ず連絡がつくようになっているはずである。医療機関には食品衛生法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html)第73条一項で、第58条の届出違反には「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」と規定されていることは知られているであろうか。但し、「腹痛、下痢、嘔吐はすべて届出」というわけではなく、あくまで「食中毒の疑い」である。今回の事例は、医師が「食中毒の疑い」と認識していたのに届け出なかったことが問題なのである。
ところで、今回の事件に関連してこんな報道もみられる。
「JT株、ギョーザ事件公表2日前に急落…証取委が調査」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080202-OYT1T00050.htm)<以下引用>
<中国製の冷凍ギョーザを食べた人に中毒症状が相次いでいる問題で、輸入元・ジェイティフーズ(JTF、東京都品川区)が商品の自主回収を公表する2日前、親会社の日本たばこ産業(JT)株の売り注文が殺到し、株価が急落していたことがわかった。JTでは当時、千葉県と兵庫県で計5人が中毒になったとの連絡を受け、対策を検討しており、この過程で内部情報が漏れた可能性もある。証券取引等監視委員会ではインサイダー取引がなかったかどうか調査を始めた。JT株が急落したのは先月28日。終値で比較すると直前の取引日(25日)の61万円から56万2000円まで1割近くも下がり、売買が成立した出来高も昨年5月25日以来、最も多い5万2602株だった。食品の販売を手がけるJTFはJTの100%子会社で、商品の事故情報はJT品質管理部にも通報が入る仕組みになっている。JTによると、問題の冷凍ギョーザの販売元・日本生活協同組合連合会(生協)側から「12月28日に『CO・OP手作り餃子(ギョーザ)』を食べた千葉市の親子2人が体調不良を訴え、治療を受けた」との連絡が入ったのは1月4日。3日後の7日には品川区から、兵庫県高砂市で「中華deごちそう ひとくち餃子」を食べた一家3人が入院したことを伝えられたという。JTは29日になって、千葉県市川市で22日に起きた3件目の中毒について、千葉県警から事情聴取の要請を受けたことから、食品事業本部で対応を検討。29日夜に自主回収の方針を決め、翌30日に公表した。JTでは、28日までの社内状況について、「殺虫剤が原因という認識はなく、中毒があったことを知っていたのも担当部署の数十人程度だったはず」と説明している。しかし、年明けに1件目の中毒発生を把握した後、細菌検査の結果を生協に報告したり、兵庫県に調査状況を問い合わせたりするなどしており、この過程で、取引先なども含めて情報が広がった可能性がある。一方、JTの株価は年明け以降下落傾向で、16日に2万円、22日にも2万9000円下がった。JT株はもともと値動きが小さく、04年以降は緩やかに上昇を続けていたが、自主回収を公表する30日までの1月の下落率は東証株価指数(TOPIX)の6・5%に対し12・5%。目立ったマイナス材料がない中での値下がりは、市場関係者の間でも不審を呼んでいた。JTのIR広報部は、「株価は投資家の判断に委ねるしかないが、不正取引があったとは考えていない」と話している。>

「毒ギョーザ問題 中国で人為的混入強まる 」(http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080204/crm0802040007000-n1.htm)<以下引用>
<中国製ギョーザ中毒事件で、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が中国国内で冷凍ギョーザの商品に混入したとの見方が強まっている。殺虫剤が日本国内で入手困難なうえ、被害者が出た2商品の接点が中国国内に限られるためだ。政府高官も3日、中国国内での混入の可能性を示唆。警察当局は中国側の製造・流通過程について情報収集を始めた。ただ、中国側が殺虫剤の使用を否定するなか、新たにギョーザ6袋の外側からメタミドホスが検出されるなど、謎は多い。原因究明の見通しも不透明だ。「問題のギョーザの流通ルートが全部一致しているのは、製造元の(天洋食品の)工場から天津港までだ」。政府高官は3日、こう指摘し、中国国内での混入の可能性を示唆した。千葉、兵庫両県で中毒症状を起こした「CO・OP手作り餃子」と「中華deごちそうひとくち餃子」の製造後の流れや流通ルートはこうだ。手作り餃子は昨年10月20日に約6800パックが製造され、10月29日に天津を出港、同月5日に横浜に入港した。ひとくち餃子は昨年10月1日に約8200パックが製造され、11月2日に天津を出港、11月6日に大阪に入港した。共通ルートは天洋食品から天津の間だけ。日本国内の流通ルートには2商品に接点がない。中毒被害があったのは千葉、兵庫両県と離れた位置にあり、日本国内での混入の可能性は低い。これに加え、中国国内ではメタミドホスが闇で流通しているのに比べ、日本国内では流通していなく入手困難な点が、中国国内混入説の根拠だ。捜査幹部の1人は「メタミドホスが日本国内で混入した可能性をつぶすことが捜査の焦点」と話しており、警察当局は商品の製造・梱包(こんぽう)過程で混入した可能性が高いとみている。岸田文雄国民生活担当相は3日のフジテレビ番組「報道2001」に出演し、「薬品の量などを考えると、(残留農薬ではなく)どこかで何かの理由で入れられたと理解している」と述べ、メタミドホスが人為的に混入された可能性が高いとの認識を示した。千葉市の母子2人が中毒症状を起こしたギョーザから、130ppmと基準の100~400倍と極めて高濃度のメタミドホスの成分が検出された。ギョーザ1キロに130ミリグラムが混入していたことを示し、残留農薬のレベルとはけたが違う。食品衛生法ではメタミドホスの基準はニラ0・3ppm、キャベツ1ppmと定められており、残留農薬の可能性はほとんどないという。天洋食品の工場では大量の野菜、豚肉、調味料を混ぜてギョーザの具を作り、皮で包んで成型。冷凍して袋詰めにし、段ボール箱に詰める。高濃度のメタミドホス混入が限定的な現状から、具作り工程の後に混入されたとみられる。警察当局は現在、大量の商品の鑑定を進める一方、天洋食品の工場を調査した日本生活協同組合連合会幹部や双日食料幹部らから工場の状況について説明を受け、製造・流通過程について調べを進めている。新たに判明した6袋の外側からの検出では、中国国内での袋詰め以降の過程で混入された疑いがあるとみている。ただ、中国の「食の安全」への批判が高まり、中国側が“過敏”になっているため、「非常にデリケートな事件。慎重な捜査が求められる」(捜査幹部)といい、捜査は長期化する見通しだ。>
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