保健福祉の現場から

感じるままに

保健所

2008年02月03日 | Weblog
「中国製ギョーザ:被害女性の検査依頼を拒否 千葉市保健所」(http://mainichi.jp/select/today/news/20080202k0000m040163000c.html)の記事が目にとまった。<以下引用>
<中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、被害に遭った千葉市稲毛区の女性(36)が1月4日、市保健所に異常を感じたギョーザを直接持ち込み、検査を依頼したにもかかわらず、保健所が拒否していたことが分かった。保健所は販売したコープに連絡したが、独自調査は事実上行わなかった。女性の父親(69)らによると、女性は4日午前10時半ごろ、昨年12月28日に食べて中毒症状が出たギョーザの食べ残しと口から吐き出した数個を持ち込み、「薬品のにおいがするので調べてほしい」と検査を依頼した。食べた後に下痢や嘔吐(おうと)の症状が出て入院し、購入先のコープに同じ袋に入っていた冷凍ギョーザなどを渡したことも伝えた。保健所食品衛生課職員は、コープに連絡し、冷凍ギョーザを鑑定に出しているとの回答を得たため、「国内で何万個も流通している。食中毒なら他の患者が出てから検査しても遅くない」と持ち帰りを指示した。この後、保健所は調査を行わず、1月7日になってコープから「食中毒の原因となる菌は発見されなかった」との報告を受けたため、結果を22、23日ごろ女性に連絡し、処理済みとした。30日に厚生労働省から「有機リン系中毒が発生している」と連絡があり、初めて女性が中毒症状だったことが分かった。三井良雄食品衛生課長は「職員は薬品臭くないと判断した。においと殺虫剤を結びつける発想がなかったのは反省するが、初めての経験なので仕方ない」と釈明した。女性の父親は「1月4日の段階で、保健所がしかるべき措置を取っていれば、被害が広がらずに済んだ」と話した。>

大規模な事件は最初から大規模とわかるわけではない。窓口対応を行う部署では、普段から細心の注意が求められるといえるかもしれない。さて、中国製餃子(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/02/h0201-3.html)の相談窓口として全国の保健所(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/02/dl/h0201-3a.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/dl/h0131-3a.pdf)が案内されている。これをみると、保健所の名称は各地で、保健福祉事務所、健康福祉事務所、保健福祉環境事務所、健康福祉センター、保健福祉センター、福祉保健センター、厚生センター、福祉保健所など、様々であることがわかる。保健所以外に、市町村には、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第十八~二十条に基づく「保健センター」がある。保健センターは身近な対人保健業務を行っているが、様々な保健所の名称と紛らわしいと感じる方がいるかもしれない。転居の度に、保健所の名称を知っておく必要があるかもしれない。一応、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第十三条では、「この法律による保健所でなければ、その名称中に、保健所たることを示すような文字を用いてはならない。」とされ、保健所の名称独占が規定されている。しかし、保健所自体が、別の名称を表示することは可とされている。それは、以前、国の地方分権推進委員会第2次勧告(http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/index-bu.html)で、「保健所については、福祉事務所等他の行政機関との統合が可能であり、その統合組織の一部を地域保健法の保健所とする条例の制定は地域保健法上は禁じられていないこと、地域保健法に基づく保健所の事務以外の事務をその統合組織に附加することが可能であり、その事務については統合組織の長が指揮・監督権限を有すること及びその統合組織の施設において保健・衛生部門を保健所としたときは保健・衛生部門に保健所の名称を表示することを通例とするが必ずしも義務付けるものではないことなど、地方公共団体における弾力的な設置形態が可能である趣旨を明確にする。」(http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/2ji/3.html)とされたことが大きかったように思える。各地で保健所と福祉事務所が統合が進み、条例改正で名称の「規制緩和」が図られたのである。しかし、保健所は、今般の中国製餃子のような「食品衛生」、C型肝炎・エイズ・O157などの「感染症」、こころの相談等の「精神保健」など、住民からも様々な相談を受けるのであり、名称の規制緩和に違和感を感じないでもない。規制緩和は、そもそも保健所と福祉事務所との統合によるのであるが、市町村合併の推進で、市の福祉事務所の分離設置が進み、統合の意義は薄れているように感じる。むしろ、ヒト・モノの移動が広域化している中で、各地でバラバラの保健所の名称は健康危機管理対策ではマイナスに作用する可能性が否定できないかもしれない。例えば、警察署や消防署の名称が各地で、○○センターや○○事務所となった場合をイメージするとわかりやすいかもしれない。とはいえ、最近、わが国では、マスコミをあげて、様々な分野の「規制緩和」が金科玉条になっている感がある。「規制緩和」に異議を唱えれば、「守旧派」「抵抗勢力」のレッテルを貼られてしまう。ところで、保健所の地図記号(http://www.weblio.jp/content/%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%89%80)はご存知であろうか。さすがに地図記号まで規制緩和はできないように感じるところである。
コメント
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