保健福祉の現場から

感じるままに

特定健診・保健指導の展開 ~医療機関~

2006年08月31日 | Weblog
平成20年度からの特定健診・保健指導では、健診結果で「要治療」で医療機関に受診勧奨されても、医師・保健師・管理栄養士等による積極的な支援を行うことになっている。「積極的な支援」は老人保健事業の個別健康教育事業や国保ヘルスアップ事業の個別健康支援プログラム(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/tp0703-1.html)のイメージである。医療保険者において、専門職が確保できない場合は、保健指導のアウトソーシングが推奨されている。アウトソーシング先は専門職が揃っている医療機関になることも多いであろう。しかし、医療機関では健診で「要治療」で受診した方に対しては、診療報酬上の生活習慣病管理料(http://kaitei.com/archives/35/index.html)が算定されるであろう。そのような場合、特定保健指導との役割分担は果たしてどうなるのであろうか。
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医療機関・機能情報の報告・公表制度

2006年08月29日 | Weblog
今般の医療制度改革(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html)において、最も地域保健現場で重要なのは、平成19年度からの「医療機関・機能情報の報告・公表制度」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk19-01.pdf)のように思える。改正医療法(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/164-4c1.pdf)第6条の三により、医療機関は、受診者が医療機関受診の選択を適切に行うために必要な情報として、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に報告するとともに、当該事項を閲覧に供さなければならない。また、5項により、都道府県知事はそれを公表しなければならない。医療機関から報告が義務付けられる情報例として、①管理・運営・体制に関する事項(診療日、診療時間、安全管理体制、医師等の略歴等)、②情報提供や医療連携体制に関する事項(クリティカルパスの実施、他の医療機関との連携の状況、セカンドピニオンの実施等)、③医療の内容・実績に関する事項(診療・治療内容、在宅医療の実施、専門外来の設置、手術件数等)が検討されているとされる。この情報は、患者の医療機関選択だけではなく、行政側による住民からの医療相談や医療機能の機能分担・連携に係る企画・調整に活用されるのは間違いないであろう。そこで、思うのは、法律条文には「保健所」は記載されていないが、それらの情報の収集は保健所を通じて行い、取りまとめた情報を保健所に還元すべきではないかということである。地域保健対策の推進に関する基本的な指針(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/10/tp1030-2.html)において、保健所の運営として、「都道府県の医療計画等の計画策定に関与するとともに、医療機関の機能分担と連携等医療提供体制の整備について企画・調整を推進すること」が示されている。保健所には住民の相談に応じる窓口もあるが、基本は「情報」である。さて昨日、全国の保健所長と話す機会があった。医療制度改革に向けての作業が始まっており、すでに保健所が療養病床を有する医療機関のヒアリングを行っている県もあった。どうも都道府県間においても取り組みの格差が拡大するように感じられてならないのである。
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高齢者の負担増

2006年08月28日 | Weblog
平成16年税制改正による、今年度からの高齢者の住民税・所得税の増加に関して、全国各地で窓口に苦情が相次いだ(http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200606170073.html)(http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2006/06/21/2006062109583117011.html)(http://www.mainichi.co.jp/universalon/clipping/200606/583.html)(http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006080800028&genre=A2&area=K10)(http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000055564.shtml)(http://373news.com/2000picup/2006/07/picup_20060709_1.htm)(http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=796560004)(http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m08/d23/NippoNews_8.html)(http://www.sanriku-kahoku.com/news/2006_06/i/060627i-zei.html)(http://d.hatena.ne.jp/amt/20060618/RoureisyaKoujyo)(http://hb3.seikyou.ne.jp/home/Ando-Harumi/orienge.htm)(http://homepage3.nifty.com/sizenrankato/minpou/minpou2006/minpou2006.6.25/newpage1.html)(http://www.osaka-minkoku.info/orz/index.php?e=2773)(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-23/2006062301_01_0.html)(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/11200/)(http://www.minyu.co.jp/morning/0606gatsu/0622m.html)。苦情殺到の理由は負担が急増したせいもあろうが、事前の説明が足りなかったこともあろう。行政だけではない。マスコミもあまり報道しなかったように感じる。しかし、高齢者に対する課税強化は途上である(平成18年度1/3、19年度2/3、20年度全額課税)。65歳以上で前年所得125万円以下を対象とする非課税制度は平成20年度までに全廃されることになっており、十分に知らせる必要がある。そして、高齢者に対する負担増は課税強化に留まらない。本年10月からは70歳以上(平成20年度から65歳以上)について、医療療養病床の食費・居住費の負担増が実施される(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-03-01.pdf)。昨年10月から、介護保険施設の食費・居住費の負担増が行われている(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/topics/0508/dl/01d.pdf)が、介護保険施設では施設と入所者との契約で自由に価格設定が可能となっている。しかし、医療療養病床については入院時生活療養に係る額は大臣告示で定められるため、全病床が共通額である。一応、病状の程度と治療内容によって負担額が軽減されるが、医療区分2・3の患者の病状が改善して区分1になった場合は改善した日から負担軽減されなくなってしまう。その内容について、現在、医療療養病床に入院している患者・家族に対して十分に説明しておく必要があるのはいうまでもない。そして、さらに、本年10月からと平成20年度からの2段階で実施される医療費定率負担割合の引き上げと医療費自己負担限度額(高額療養費)の引き上げ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk01-02.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-03-02.pdf)や、平成20年度からの後期高齢者医療制度の保険料徴収(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-02-03.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-02-04.pdf)についても周知徹底する必要がある。それらについて、是非まとめて、高齢者にもわかりやすく、政府広報してもらいたいものである。至急ホームページで公開されたらどうであろうか。
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医療制度改革

2006年08月27日 | Weblog
地域保健現場でも次第に今般の医療制度改革の凄さを実感してきている(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html)。平成20年度からの特定健診・保健指導だけではない。まずは、療養病床の再編成である。本年7月から医療療養病床について医療必要度に応じた入院基本料が導入され、医療区分1の患者の診療報酬が大幅に引き下げられた(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/ryouyou01c1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/ryouyou02.html)。医療機関としては医療区分1の患者を診療報酬の高い医療必要度の高い患者に振り替えたいが、介護保険施設も満杯で行き先が容易でないのである。また、本年10月から医療療養病床の食費・居住費の負担増もある(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-03-01.pdf)。一般所得かつ難病等の者でない場合の月額負担額は食費4万2千円+居住費1万円(現行2万4千円)となることが決まっている。さらに本年10月からと平成20年度からの2段階で医療費定率負担割合の引き上げと自己負担限度額の引き上げも決まっている(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk01-02.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-03-02.pdf)。一応、低所得者に対する負担軽減措置があるものの、高齢者にとってはますます入院しづらくなるのは間違いないであろう。必然的に療養病床削減が進むのかもしれない。そしてこれから、医療機能の分化・連携が推進される。既に平成16年度からの新医師臨床研修制度をきっかけにして医師の偏在化が進んでいる。地方の、特に中小病院では医師確保に苦慮しているところである。それにつれて受診患者の偏在化も毎月の病院報告などで現われているところである。これにさらに大きな影響を与えると思われるのが、改正医療法(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/164-4c1.pdf)第6条の三に基づく平成19年度からの「医療機関・機能情報の報告・公表制度」である(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk19-01.pdf)。医療法改正によって広告可能事項が拡充されたが、報告・公表制度は義務的に行われるものである。医療機関・機能情報に関して、医療機関から都道府県に報告が義務付けられる例として、①管理・運営・体制に関する事項(診療日、診療時間、安全管理 体制、医師等の略歴等)、②情報提供や医療連携体制に関する事項(クリティカルパスの実施、他の医療機関との連携の状況、セカンドピニオンの実施等)、③医療の内容・実績に関する事項(診療・治療内容、在宅医療の実施、専門外来の設置、手術件数等)が検討されており、都道府県は集約してインター ネット等に公表することになっている。おそらく、マスコミでも大きく取り上げられ、それによって患者の受診行動に大きな影響がでるあろう。そして医療機能の分化・連携が必然的に進むというシナリオなのであろう。ともかく、ここ数年で保健、医療、福祉の大転換が起こるように思うが、何故か嵐の前の静けさのようにも感じるこの頃である。
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保健所での医師研修

2006年08月26日 | Weblog
保健所の業務は?、「健診」。保健所の英語名は?、「わからない」。保健所の地図記号(http://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign/tizukigou/h05-01-09hokenjo.htm)は?、「わからない」。保健所での医師研修の最初の会話である。結核、感染症、食中毒が発生した場合、特にそれらが施設、学校、職場で発生した場合はどうするか。未然に防ぐためにどのような活動をしているか。処遇困難ケースでの関係機関との調整をどうしているか等、すべてが新鮮に感じられるようである。市町村での予防接種や健康教育等も実践し、2週間の研修後、「保健所のイメージが変わった」という。「病院に受診した患者の診断・治療」だけではないことを実感したのであろう。しかし、いつも思うのは大学の公衆衛生の授業で何を学んできたのかということである。公衆衛生学の教官は果たして保健所の業務内容をどれだけ理解し、教育されているのであろうか。とはいえ、学生時代に公衆衛生学の授業をサボっていた本人が地域保健業務に携わっていること自体が不思議かもしれない。
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特定健診・保健指導の展開 ~構造改革~

2006年08月25日 | Weblog
社団法人日本経済団体連合会(経団連)のHPに8月11日付の政策提言「生活習慣病予防に係る効率的で質の高い特定健康診査・特定保健指導の実施に向けて」が掲載された(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/058.html)。非常に興味深い内容である。まず、健診受診率向上に向けて、「各保険者は企業の人事部門と連携し、従業員(被保険者)ならびに被扶養者に積極的に受診を呼びかける努力を行う必要がある」としているのは当然として、「対象と知りつつ受診をしない者に対する何らかのディスインセンティブを講じることも検討すべき」としている点に注目したい。未受診者にはペナルティを科せ、という意向である。また、「各地域の公民館や、民間施設等の生活に身近で人が多く集まる場所を活用した健診を積極的に推進すべき」としているのは、被用者保険加入者が市町村で受けた場合を想定したものであり、「健診費用の支払に関して、償還払い以外の決済方式を採用すべき」としている点について、「高齢者の医療の確保に関する法律」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)第26条で健診費用の償還払いが規定されているものの、流石に拙いと思われているようである。次いで、効果の高い保健指導サービスの確保に関して、「(アウトソーシング)基準が保険者の望む効果を挙げるための事業者の創意工夫を一律的に妨げる結果とならないようにすべき」としており、いくら基準で「保健指導を行う際に商品等の勧誘・販売を行わないこととする」としても、実際には健康機器や健康食品等が雪崩れ込んでくるであろう。そして効率的な実施体制の確立に関して、「民間事業者が健診・保健指導に係る事業計画の立案、データの分析等を支援することを容認すべき」「派遣形態による保健師業務を認めるべき」「健診・保健指導レセプトによる電子的管理で非医療機関型事業者による業務受託を容認すべき」と提言され、やはりビッグビジネスと認識されているようである。実際に各保険者が取り組むのは大変であり、この提言の方向に進むしかないのであろう。平成20年度からの特定健診・保健指導は地域保健・産業保健の構造改革といえるかもしれない。まさに大転換であるが、これまで世界一の長寿国であったわが国は、今後どうなるのであろうか。
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特定健診・保健指導の展開 ~市町村~

2006年08月24日 | Weblog
平成20年度から、医療保険者による加入者に対する特定健診・保健指導が義務付けられるにあたって、市町村はどうなっていくであろうか。これまでは老人保健法に基づき、40歳以上の住民に対して基本健診を行ってきた。勤務者については労働安全衛生法の健診が受けられるため、事前に除いて案内している市町村も少なくない。平成20年度からは、被用者保険の被扶養者も実施主体から除かれ、市町村は基本的に国保加入者に対して実施することになる。しかし、そう簡単にはいかないであろう。まず、被用者保険の被扶養者については、従来どおり身近な市町村で受けるケースが続出すると思われるからである。被用者保険の加入者が市町村で受けた場合は、「高齢者の医療の確保に関する法律」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)第26条2項により、健診・保健指導の記録を速やかに当該者が現に加入する医療保険者に送付する必要がでてくる。第26条では、保険者は、その加入者の特定健診等の実施に支障がない場合には他の保険者の加入者に係る特定健診・保健指導を行うことができるとされ、市町村が被用者保険加入者に対して行うのは、「国保加入者に対して実施しても余裕がある場合」と解することもできるが、住民が住所地の市町村での受診を希望した場合は拒否しにくいであろう。平成20年度以降も市町村が実施主体である「がん検診、骨粗鬆症健診、歯周疾患健診等(これらは20年度以降どうなるかわからないが)」と一体的に実施・評価できるメリットもある。また、今後、団塊の世代の退職者が増加し、市町村国保への加入者が必然的に増えてくると思われるが、法第27条で、保険者は、新たな加入者について、以前加入していた保険者から記録の写しの提供を求めることができ、その記録を保存することになっている。さらに、65歳以上の住民全員に対して、介護保険地域支援事業の生活機能評価を市町村主体で行う必要もある。
「市町村は国保だけ」というわけには、決していかないであろう。
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特定健診・保健指導の展開 ~雑感~

2006年08月23日 | Weblog
平成20年度から、保険者が加入者に対して特定健診・保健指導を実施しなければならないことについて、このブログで述べてきたように様々な懸念がある。管内では地域・職域連携のための協議会を設置し、改めて調査を行っているところであるが、企業からは否定的な意見が少なくない。しかし、非常に期待したい面がある。市町村国保については、基本的に現状の老人保健事業が引き継がれるイメージであろう。あえて期待したいのは被用者保険、特に企業の組合健保の展開である。特定健診・保健指導の対象者は被保険者だけではなく、被扶養者も含まれる。特定健診は、事業者による労働安全衛生法に基づく従業員の健診との一体的な実施が図られ、企業では「家族ぐるみの健康管理」が推進されるかもしれない。個人の健康は、家族の健康、ひいては社会の健康につながるという意識が醸成されるかもしれない。ぜひ、そうなってもらいたいものである。
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特定健診・保健指導の展開 ~構造改革~

2006年08月22日 | Weblog
平成20年度から、老人保健法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S57/S57HO080.html)に基づく「市町村による住民に対する基本健診」から、高齢者の医療の確保に関する法律(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)に基づく「保険者による加入者に対する特定健診」に切り替わる。健診だけではない。老人保健法では保健事業として市町村が健康手帳交付・健康教育・健康相談・訪問指導・機能訓練を行ってきたが、高齢者の医療の確保に関する法律では保険者が特定保健指導を行うことになる。これまでは、市町村が健診の案内をし、健診結果に基づき、訪問指導し、個別や集団で健康教育・相談し、健康手帳が活用されてきた。保健師等のしつこく熱心な指導に「大きな御世話」と感じた住民も少なくないであろう。今度は、保険者が加入者に対して、特定健診結果に基づき特定保健指導を行うのであるが、果たしてどのような対応がなされるであろうか。特に市町村国保以外の被用者保険において、しかも被保険者ばかりでなく、被扶養者に対しても、である。保険者において、保健師や管理栄養士が確保できなければ、国から「保健指導のアウトソーシング」が推奨されている。そのアウトソーシング先が課題となる。基本的に「ビジネス」であり、「御予算に応じた松・竹・梅」の世界である。手間がかかる指導は高くつき、効率性が追求されるであろう。おそらく競争相手の有無で費用も変わるはずである。質の保証が問われ、今度はそのチェックが重要となろう。今年4月、日本経団連から、厚生労働省に対して、特定健康診査・特定保健指導のアウトソース推進に向けて要望(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/021.html)が出されていたが、8月11日に「生活習慣病予防に係わる効率的で質の高い特定健診・特定保健指導の実施に向けて」として提言されたところである(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/058.html)。その中では、派遣による保健師業務や民間業者による事業計画の立案・データ分析等の支援も容認するよう提言がなされている。
まさしく「構造改革」なのであろう。
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感染症

2006年08月21日 | Weblog
インドネシアやタイ等で高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)のヒト感染例が続いている(http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html)。中国では、最近、2003年11月に起こったH5N1のヒト感染症例が確認される(http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/62who17.html)とともに、感染源が不明なヒト感染例が報告(http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/62who18.html)されており、従来の報告以上に流行している可能性がある。連日、日本のマスコミでは海外からの帰国ラッシュが報道されているが、我が国でヒト感染例が発生しても不思議はない。今年、6月12日、インフルエンザ(H5N1)は検疫感染症と指定感染症になっており(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/08-03.html)、警戒が必要なのであるが、どうも現場ではあまり意識されていないように感じるのは気のせいであろうか。さて、先日、総務省行政評価局が、厚生労働省に対して感染症対策に関する勧告を行ったとの報道があった(http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060725_2_yousi.pdf)。第1種感染症指定医療機関は47都道府県中25道府県(53.2%)で未指定で、これらのうち15県は指定のめどなし(http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060725_2_sankou.pdf)とされるなど、検疫所や都道府県の感染症対策について様々な不備が指摘されている。感染症対策は「国民保護」(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)の重要な一面であるが、やはり、身近で起こらない限り、意識は変わらないし、対策も進まないということなのかもしれない。
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高齢者の医療の確保に関する法律

2006年08月20日 | Weblog
地域保健の現場では先般公表された「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」等をもとに特定健診・保健指導に関する研修がされているが、どうも法律条文自体はあまり読まれていないように感じる。「高齢者の医療の確保に関する法律」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)の関連部分を正確に理解しておく必要がある。まず第19条で、保険者は5年毎に国の基本指針に即して「特定健康診査等実施計画」を策定しなければならない、とされている。平成20年度の開始前にはすべての医療保険者が計画策定していなければならないのである。次に第20条で、保険者は40歳以上の加入者に対し特定健診を行わなければならない、とされている。対象は「医療保険の加入者」であり、第7条3項により被保険者だけでなく被扶養者も含まれることになる。これに関して、法付帯決議第8項(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83c.pdf)において、被扶養者の健診機会確保に十分配慮するように記されているほどで、特に「被用者保険の被扶養者」が懸念されるところである。第21条で、加入者が労働安全衛生法等による健康診断を受けた場合又は受けることができる場合は、特定健診を行ったものとする、とされている。「受けることができる場合」であり、仮に事業主が労働安全衛生法の健診を怠っていても、従業員については特定健診実施済みとされるかもしれない。第22条と25条で、保険者は、特定健診・保健指導に関する記録を保存しなければならない、とされている。また、第27条で、保険者は、新たな加入者について、以前加入していた保険者から記録の写しの提供を求めることになっており、これも保存しておかなければならない。退職や転職などで医療保険が変わった場合には、特定健診・保健指導の記録が引き継がれることになっているのである。第26条で、保険者は、その加入者の特定健診等の実施に支障がない場合には、他の保険者の加入者に係る特定健診・保健指導を行うことができ、第2項で、実施記録を速やかにその者が現に加入する当該他の保険者に送付しなければならないとされている。例えば、市町村国保が、被用者保険の加入者に対して実施した場合は、その保険者に対して実施記録を送付しなければならないが、「速やかに」とされているため、後日、保険者ごとにまとめて送付するというわけにはいかない。また、費用は、第26条第1項で、受診者に請求し、第3項で、加入する保険者が受診者に相当額を支給するとなっている。一応、第4項で、費用の請求及び支給の取扱いに関し、別段の定めをすることができるとされているが、他の保険者で特定健診・保健指導を受けた場合は、費用は「償還払い」なのである。第29条で、保険者は、前期高齢者について介護保険の地域支援事業を実施する市町村と適切な連携を図るよう留意する、とされている。今年度から、65歳以上に対する生活機能評価は基本健診に合わせて実施されているが、平成20年度からは保険者による特定健診と連携されなければならない。これから、数多くの政省令がでてくるが、地域保健の現場では多少の混乱は避けられないであろう。果たして、数年度どうなっているであろうか。
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特定健診・保健指導の展開

2006年08月19日 | Weblog
平成20年度からの医療保険者による特定健診・保健指導について、このブログで様々な懸念を示してきたが、市町村では案外順調に行われるような気がしないでもない。なぜなら、昭和58年度以来、老人保健事業として基本健診を実施してきているからである。健診対象者が国保加入者になり、プログラムに基づいた対応が行われるであろう。判定ソフトも開発中とのことである。保健指導は「学習教材集」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html)を活用して行われ、「積極的支援」は従来の個別健康教育のイメージである。国保事業だから国保サイドに保健師・管理栄養士を配置して実施することも考えられるが、乳幼児健診、予防接種事業、がん検診、啓発普及等は保健センターが行わねばならず、市町村には国保サイドに専門職を手厚く配置できる余裕はないであろう。しかし、専門職が配置できないからといって、国の推奨する「保健指導のアウトソーシング」にならなくてもよい。多くの市町村では従来どおり保健センターの保健師・管理栄養士が実施するか、国保と兼務をかけて実施するように思える。先般の全国保健センター連合会による市町村における保健事業委託の実態調査では健診事後指導の委託は1割強に留まっているではないか。それにしても国はなぜ「保健指導のアウトソーシング」を殊更強調するのであろうか。何か別の意図が隠されているように感じられて仕方がないのである。
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アッチラズルール

2006年08月18日 | Weblog
地域保健の現場では、本当に聞きたくないような情報があがることが少なくない。長年従事されてきた方は、これまで、様々な苦情、処遇困難ケースや関係機関とのトラブルなど、いろいろ経験したであろう。こういった情報は、なるべく早めに報告があがって、チームで対応する方が良い。しかし、現実にはなかなか難しい。それは、探知当初の感度が鈍い場合や希望的観測で悪循環に陥る場合もあるが、現場の「マイナス情報があがりにくい雰囲気」も影響しているように思える。マスコミ報道される様々な不祥事をみてもわかるように、自ら積極的にマイナス情報をあげるのは容易ではない。さて、管理者の心得として有名なものの一つに「アッチラズルール」(http://www.uvc.co.th/J75.htm)というものがある。これは、「悪い報告をした部下を褒めよ」「悪い報告をしなかった部下を罰せよ」というものであるが、報告をする方より、報告を受ける側の姿勢の方がはるかに大事とされている。このルールは、様々な健康危機管理に対応する地域保健の現場でも重視されるべきと思っている。そこで、苦情やトラブル等のマイナス情報があがっても、日頃からなるべく褒めて明るく振舞うようにしているのであるが、どうも最近、「不謹慎」と思われているふしがある。なかなか難しいものである。
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特定健診・保健指導の影響 ~受診勧奨~

2006年08月17日 | Weblog
先般公表された「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/index.html)に基づき、40~74歳において、収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上で「受診勧奨」、中性脂肪150mg/dl以上で「受診勧奨」等とした場合、間違いなく、受診勧奨者が溢れるが、医療機関受診で「最初にクスリ」にならないようにしなければならない。保健指導を実施すべき医療保険者で保健師や管理栄養士を十分に確保できないため、国からは「保健指導のアウトソーシング」が推奨されている。委託先には、健診業者もあるが、多くは保健師・管理栄養士がいる病院や診療所であろう。医療法人の附帯業務には様々な保健福祉業務があり、医療制度改革によってますます拡大する流れにある。「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)」に基づく個別・集団指導は医療機関に委託されても不思議はないであろう。受診勧奨者であるため、診療報酬上の「生活習慣病管理料」(http://kaitei.com/archives/35/index.html)も利用できる。医療機関で発行される療養計画書は保健センターで使用する個別健康教育の様式に近い。しかし、特定健診・保健指導の導入にあたって、今のところ、保健師や管理栄養士の研修が盛んに叫ばれているが、肝心の医師に対する研修、周知徹底が低調なようである。国の目標である「平成20~27年度に医療費の伸び2兆円抑制」が本当に達成できるのであろうか。あるいは、軽症での受診者を大幅に増やして、国が目指していた「保険免責制」(http://www.doiren.jp/key_hokenmensekisei.html)の導入につながっていくのであろうか。そういえば、医療制度改革関連法の成立に際して、附帯決議原案に入っていた「保険免責制を導入しない」の文言が削除されていたところである。
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計画、計画

2006年08月16日 | Weblog
地域保健現場では、様々な計画策定に携わることが多い。市町村では、これまで、母子保健計画、児童育成計画、次世代育成支援行動計画、健康増進計画、老人保健福祉計画、介護保険事業計画、障害福祉計画、地域福祉計画等が策定されてきた。もちろん、総合計画の関連部分もある。しかし、最近の市町村合併で雲散霧消したものも少なくない。まだ計画期間中であり、策定に携わった関係者には名残惜しい感じがあるかもしれない。一方、「健やか親子21の推進のための情報システムの構築及び各種情報の利活用に関する研究班」が次世代育成支援対策行動計画の策定でコンサルタント活用した自治体は69.2%にのぼり、このうち8割が行動計画の素案作成もコンサルタントに依頼したとの報道があった。今流行の「アウトソーシング」の方が気楽かもしれないと感じる方もいるであろう。さて、今年も食育推進計画、新法に基づく障害福祉計画等の策定が始まっている。また、来年には市町村(国保)は特定健康診査等実施計画も策定しなければならない。どうも最近は、新法制定や法改正によって、新たな計画を策定したり、既存の計画を全面改訂しなければならなくなる場面が多くなったようである。厳密にいえば、それによって、関係する既存計画の関連部分を改定しなければならないのであるが、どうもこれは計画的には行われないようである。「果たしてこの計画は期間を全うできるであろうか」、最近、そんな声も聞こえてくる。
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