保健福祉の現場から

感じるままに

介護保険改革の行方

2019年02月28日 | Weblog
メディウォッチ「介護保険改革論議スタート、給付と負担の見直し・事業所等の大規模化・人材確保などが重要テーマ―介護保険部会」(https://www.medwatch.jp/?p=25072)。<以下引用>
<2021年度からの第8期介護保険事業(支援)計画の策定に向けて、社会保障審議会の介護保険部会で制度改正論議がスタートしました。2022年からいわゆる団塊の世代が75歳以上に到達しはじめ、2025年には、すべて後期高齢者となります。その後2040年にかけて、高齢化のスピードは鈍化しますが、「支え手」となる現役世代が急速に減少していきます。このため、介護保険財政が厳しくなるとともに、サービス提供の要となる「人材」の確保も難しくなってくることから、「介護保険制度の持続可能性」が極めて重要なテーマとなってきます。2019年中に改革案を詰め、20年に改正法案提出、2021年度から第8期計画スタート 介護保険制度は「3年を1期」として、サービス提供体制の整備や、保険料の設定などが行われ、現在は、2018-20年度を対象とする「第7期介護保険事業(支援)計画」が走っています。次の2021-23年度を対象とする「第8期介護保険事業(支援)計画」の策定スケジュールを考えると、▼2019年に制度改正等の内容を固める▼2020年の通常国会に介護保険法等改正案を提出し、成立を待つ▼改正法等を受け、2020年度に市町村で第8期介護保険事業計画、都道府県で第8期介護保険事業支援計画を策定する▼2021年度から第8期介護保険事業(支援)計画を走らせる―こととなります。介護保険部会では、本年(2019年)末を目途に意見を取りまとめる必要があり、2月25日から制度改正論議をスタートさせました。検討項目について厚生労働省老健局総務課の黒田秀郎課長は、2040年にかけて訪れる超少子高齢社会を見据えながら、第8期介護保険事業(支援)計画の策定を進めることが必要との考えを示し、「まず制度全体に関連する横断的な事項を議論し、その後、『施設サービス』『居宅サービス』『利用者負担』などの個別施策に係る事項を検討してほしい」と介護保険部会委員に要請。まず、以下の5つの「横断的な項目」を、今夏(2019年夏)までに集中的に議論していくことになりました。【横断的検討事項】(1)介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)(2)保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)(3)地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)(4)認知症「共生」・「予防」の推進(5)持続可能な制度の再構築・介護現場の革新 もっとも、後述するように、委員からは「介護事業所・施設の大規模化による経営の安定」などといった事項も健康項目に加えるべきとの提案が出ており、今後、柔軟に見直されると考えられます。2月25日の介護保険部会では、介護保険制度改革全般にわたる幅広い自由討議が行われました。順不動で見ていきましょう。「給付と負担の大胆な見直し」「事業所・施設の大規模化」の検討を冒頭に述べたように超少子高齢社会となる2040年に向けて、(5)の「持続可能性の確保」が非常に重要となります。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)、井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)、河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)らは、現役世代の負担・企業の負担が限界に来ていることを訴え、「給付と負担の大胆な見直し」の必要性を強調しています。例えば、「支え手」を増やすために、現在40歳以上となっている「第2号被保険者」の範囲を拡大する(例えば、30歳以上、20歳以上と引き下げるなど)こと、給付の対象を「重度者に限定する」(例えば、要支援者の給付は介護保険から別の制度に移管するなど)ことなども検討テーマとして挙がってくる可能性があるでしょう。これらはいずれも「介護費の縮小」を意味します。この場合、中小規模がほとんどである介護事業所・施設では経営が厳しくなるでしょう。このため、佐藤主光委員(一橋大学国際・公共政策大学院、大学院経済学研究科教授)や安藤委員、井上委員らは「介護事業所・施設の大規模化に向けた、経営の統合・再編を検討すべき」と提案しています。大規模化は、事務コストの削減につながるとともに、労働者の負担軽減にもつながります。新経済・財政再生計画でもこの点への指摘があり、次期介護保険制度改革に向けた重要な検討テーマと言えるでしょう。併せて、多くの委員からは「制度の複雑化」を懸念する声も出ています。多様化する利用者のニーズに応えるために、新たな介護保険サービスの類型の創設(例えば、最近では定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護)などが行われています。しかし、その反作用として「制度の複雑化」が生じていることも事実で、介護保険制度の全体像を理解できている国民・利用者はごくごく一部にとどまっています。さらに、サービス類型の多様化が、事業所等の大規模化を阻害する一因になっているとの指摘もあります。「利用者のニーズ」と「分かりやすさ」とのバランスをどうとっていくかも、今後の制度改革論議における重要視点の1つになりますこの点に関連して齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)は、「いきなり経営統合(つまり事業合併)となるとハードルは高い。訪問看護分野では、病院の看護師が一定期間、訪問看護ステーションに出向し、後に病院に戻るという仕組みをとっている自治体もある。こうした点の拡充から検討していってはどうか」と提案しています。いわば「地域資源全体を活用し、地域全体で1つのサービスを経営・運営する」仕組みと言えるかもしれません。2040年に向けて現役世代が急速に減少、「介護人材の確保」が極めて重要 さらに、多くの委員から指摘されたのが「人材確保」の重要性です。第7期介護保険事業計画に基づくだけでも、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人の新規介護人材が必要と試算され、「年間6万人程度」の介護人材養成が必要です。その後に訪れる現役世代減少を踏まえれば、人材確保が極めて難しくなることが容易に想像されます(関連記事はこちらとこちら)。厚労省では、「介護人材の処遇改善」「ICTやロボットの活用」「元気高齢者の介護助手としての活用」などを検討テーマに掲げていますが、さらに幅広い視点での検討も待たれます。委員からは「人材確保を検討項目の1つとせよ」との提案も相次いでいます。もちろん、特別の検討項目となっておらずとも、人材確保の重要性は誰もが認識しており、検討が疎かになることはありません。ところで、人材確保に関連して「職場定着」の推進も課題の1つとなっています。介護従事者の給与水準が低い背景の1つとして、「1つの事業所・施設に勤続する期間が短く(つまり短期間で転職等してしまう)、これが基本給増を阻んでいる」との指摘があります。こうした点を踏まえて、2017年度の臨時介護報酬改定で、キャリアアップの仕組み構築を要件とする【介護職員処遇改善加算(I)】が新設され、今般の2019年度の臨時介護報酬改定でも新たな処遇改善加算【特定介処遇改善加算】の新設が行われます。ただし、この点に関連して江澤委員は、「介護事業所・施設で、すべての職員が定年まで労働することになれば、給与水準が上がり、経営が破たんしてしまうだろう」と見通し、「職員が長く働ける仕組み」構築の必要性を強調しています。 認知症の「予防」(重症化予防など)を、共生・社会参加と並ぶ柱の1つに また認知症高齢者の増加が見込まれる(2012年:462万人→2025年:約700万人)ことから、(4)の認知症対策も最重要テーマの1つとなります。黒田総務課長は、これまでの▼共生▼社会参加―に加え、新たに「予防」(重度化の予防、粗暴行動などのBPSDの発生予防など)を柱に据える考えを強調。今年5・6月には、「新オレンジプラン」(認知症施策推進総合戦略)に続く、新たな認知症施策に関する「大綱」が固められます(現在、関係閣僚会議を中心に議論中)。この点について、花俣ふみ代委員(認知症の人と家族の会常任理事)から「現在、認知症初期チームがあるが、重度化してからの対応となっているようだ。早期発見を柱の1つに据えてほしい」との、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)から「早期の段階での共生が重要である」との指摘が出ています。なお、鈴木隆雄委員(桜美林大学大学院自然科学系老年学研究科教授)は、最新の研究では「認知症発生リスクとして、教育水準が大きい」ことが明らかになってきている点を指摘。「すでに老年になった世代と、これから老年を迎える世代では教育水準が異なる。また生涯教育も認知症発症に大きく関係しているとの研究結果もある」ことし、エビデンスに基づいた施策の推進の重要性を訴えています。市町村の「一般介護予防」事業推進に向けて検討会を設置  また(1)の「健康寿命延伸」は、2040年にかけての超少子高齢社会を見据えた非常に重要なテーマとなります。厚労省は今通常国会に健康保険法等改正案を提出し、そこでは「高齢者の保健事業と介護予防事業を、市町村が中心となって一体的に進められる仕組み」の構築なども盛り込まれています(関連記事はこちらとこちら)。また、厚労省では「一般介護予防の推進」に関する研究・検討の場を新たに設置する方針も決定。こうした動きを見ながら、介護保険制度の中で「健康寿命延伸」をどう進めるかを検討していくことになります。なお、厚労省老健局老人保健課の眞鍋馨課長は、介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の一環である「通いの場」(体操による健康づくり、認知症予防、カフェなどさまざまな形態がある)の整備が進んでいる(2013年度:1084自治体で設置→2017年度:1506自治体で設置(39%増)など)ことを紹介。各種調査などのエビデンスに基づき、さらなる拡大・充実に向けたPDCAサイクルを回していく考えを示しています。保険者機能の強化と併せて、「保険者の在り方」を議論すべきとの指摘も また(2)の保険者機能については、「サービス提供体制の整備」「保険料の設定・徴収」などの基幹機能に加え、▼介護予防▼生活支援―などの新たな機能についても強化していくことが求められています。後者の新たな機能として地域支援事業(▼要支援者への訪問・通所サービスなどの「介護予防・日常生活支援総合事業」▼在宅医療・介護連携推進などの「包括的支援事業」▼家族介護支援などに「任意事業」―)があげられ、その体制が各保険者(市町村)で整ってきています。黒田総務課長は「地域支援事業実施に向けて保険者には大きな苦労をかけた。ここで改めて立ち位置を確認してもらうことで、あらたな景色が見えてくるのではないか」と、さらなる保険者機能の強化への期待を述べています。この検討テーマに介護保険者である大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、香川県高松市長)は、「保険者の在り方の検討も必要」と提案しています。地域によっては、すでに人口減少モードに入り、都市部でも近い将来人口が減少していきます。そうした中では、サービス提供体制整備の格差・保険料等の格差などが広がっていきます。介護保険制度創設時には、「地域住民がサービス提供量・保険料の水準を自ら考える」(保険料の高騰を避けるためにサービス量を抑えるという選択肢もあれば、サービス量を十分に確保し、高水準の保険料を受け入れるという選択肢もある)こととされ、一定程度の地域格差は「必然」とも言えますが、どこまでが許される地域差であるのかも検討する必要が出てきそうです。今般の制度改正に向けたテーマに据えるかどうかは別として、「地域に密着した自治体である市町村」が介護保険者としてふさわしいのか(より広域とすべきか)などを、将来に向け、継続して検討していく必要がありそうです。ちなみに武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、かねてから「保険者規模の拡大」を提案。「介護保険料の高騰」を危惧して、医療療養病床から介護医療院への転換に市町村な介護保険者がありますが、大規模化によって高騰を一定程度抑えることが可能になると見通しています。さらに2018年度からは保険者の取り組み状況を評価する「インセンティブ交付金」がスタートしています。介護予防等に関する取り組みを積極的に行い、かつ成果を上げた保険者に交付金が交付されるもので、今後、実態調査の上で、見直しの必要性はあるかなども検討されると考えられます。また、「在宅医療・介護連携事業」に関しては、今年度(2018年度)からは全市町村で「8項目の事業すべてを実施することとなっており、その実態なども踏まえた議論(更なるテコ入れが必要なのか、など)が行われることでしょう。なお、(5)の持続可能性の確保とも関連しますが、「保険者の独自性」をどう考えるかというテーマも議論となりそうです。地域の状況は大きくことなるため「保険者の独自性・柔軟性をより広く認めよ」という意見がある一方で、「保険者によって報告書様式等が異なり、事業者の負担が大きくなる。国で標準を定めるべき」との意見もあります。異なる次元の問題とする見方もありますが、項目によってバラバラに動けば異なる問題が生じる可能性もあります。介護保険部会では、今後月に1-2回のペースで議論を行い、今年末(2019年末)に制度改正に向けた意見とりまとめを目指します。>

介護保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html)で「主な検討事項(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000482291.pdf)が出ているが、経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「新経済・財政再生計画改革工程表2018」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1220/shiryo_01-1.pdf)で方向性がある程度示されている。財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)p108「ケアプランの利用者負担」、p113「多床室の室料負担」、p124「介護保険の利用者負担割合」も検討されるかもしれない。昨年8月からの「70歳以上医療保険高額療養費の引き上げ」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000209857.pdf)とともに、「現役並み所得者の介護保険利用負担割合の引き上げ」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/20180608.pdf)が行われているが、①消費増税、②保険料増加、③窓口負担増加は覚悟しなければならないのかもしれない。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」が出ていたが、保険料・率は全国一律ではない。介護費の地域差については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、地域別の要介護認定率、介護費用額、保険料額が公表されていることは常識である。地域ごとの介護保険料をみれば、高齢化と必ずしも関係していないことがわかるであろう。この際、3年ごとに実施される「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)は予防、生活支援などの取り組みの評価指標として活用されるべきである。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)では自立支援、重度化防止等に資する施策の推進として、「(1)地域密着型サービス」「(2)介護支援専門員・介護サービス事業所」「(3)地域包括支援センター」「(4)在宅医療・介護連携」「(5)認知症総合支援」「(6)介護予防/日常生活支援」「(7)生活支援体制の整備」「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」が評価指標となっているが、それらが各自治体においてどうなっているか、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で明らかにされても良いであろう。資料「介護サービス情報公表制度の活用等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115405_1.pdf)にあるように、介護保険法改正で「市町村は地域包括支援センターと生活支援等サービスの情報を公表するよう努めなければならない」と規定され、平成27年10月から、介護サービス情報公表システム(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)を活用して公表できるようになった。厚労省の介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)による生活関連情報の公表項目には、見守り・安否確認、配食(+見守り)、家事援助、交流の場・通いの場、介護者支援、外出支援、多機能型拠点などがあり、市町村ごとに取り組み状況が公表されていることになっているが、介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)に入力していない自治体が少なくない。重要なことは、資源の見える化、取り組みの見える化、成果の見える化と感じる。そもそも介護保険法で規定されている、データ分析や情報公表にしっかり取り組まないようでは、地域包括ケアシテム(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)の構築はあり得ない。全国各地の自治体で「認知症ケアパス」(http://www.zaikei.or.jp/index.html)(http://www.pref.toyama.jp/branches/1273/hoken/nintisyousiengaido.pdf)が作成されているであろうが、果たして地域住民にどれほど知られているであろうか。そもそも「認知症ケアパス」(http://www.zaikei.or.jp/index.html)(http://www.pref.toyama.jp/branches/1273/hoken/nintisyousiengaido.pdf)はどれほど運用されているであろうか。
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保険者協議会の活性化が必要

2019年02月28日 | Weblog
国保情報2月25日号「上位・下位保険者に厚労相が「メッセージ」送付へ 特定健診」。<以下引用>
<厚労省は20日、特定健診・保健指導の実施率について、29年度分の実績を保険者ごとに公表し、上位・下位の保険者に厚生労働大臣からメッセージを送る方針を決めた。市町村国保や被用者保険など保険者種別ごとに、特定健診・保健指導それぞれの実施率が上位の保険者、下位の保険者を対象にする。上位の保険者には頑張りを称え、下位の保険者にはさらなる努力を促す内容になる見通し。特定健診・保健指導の実施率向上策は、自民党厚生労働部会(小泉進次郎)のもとに設置した「国民起点プロジェクトチーム(PT)」で検討されてきた。PTでは、厚労省が公表した保険者ごとの実施率をランキング形式にして公表することを検討している。PT関係者は「がんばっているところを顕彰して、保険者間の競争を促すといったことも大事だ」と話している。PTでは、ちょっとしたきっかけを与えて行動変容を促す「ナッジ理論」と呼ばれる考え方を政策に活用することを検討している。>

特定健診・保健指導(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161103.html)について、現時点では平成28年度の実施状況(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173202_00001.html)が出ているが、例えば市町村国保では市町村別には出ていない。健康増進の各種取り組み状況は日本健康会議(http://kenkokaigi.jp/)データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)のデータマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の地図をクリックすればわかる。医療費適正化計画は、まず、自分たち自治体の状況を認識するところから始まるように感じる。特定健診・保健指導の実施率;第二期全国医療費適正化計画の進捗状況(http://。www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12403550-Hokenkyoku-Iryoukaigorenkeiseisakuka/0000188599.pdf)の都道府県医療費適正化計画の進捗状況では、いずれの都道府県も特定健康診査の実施率、特定保健指導の実施率は目標値を大きく下回っている。さて、日本医師会「高齢者の医療の確保に関する法律第14条について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/006701.html)、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204023.pdf)p23「高齢者医療確保法第14条について」が出ており、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204029_1.pdf)p20「地域別の診療報酬の設定(具体的な活用メニューの提示)」では、「都道府県は「医療費適正化計画」に基づき取組を実施。計画終了後に、目標の達成状況について実績評価を行い、次期計画での目標達成に向けた方策について検討。」→「その際、各都道府県において、必要となる具体的な施策・取組を検討。その上で、なお目標達成のために必要があると認めるとき、都道府県は、保険者・医療関係者が参画する保険者協議会での議論も踏まえた上で、地域別の診療報酬について国に意見を提出。」→「厚生労働省では、都道府県の意見を踏まえ、中医協における諮問・答申を経て検討。」の手順が示されているように、医療費適正化の推進には保険者協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190712.html)が重要な位置づけになるのは間違いない。しかし、まずは、協議会メンバーでの情報共有が欠かせないように感じる。例えば、①医療費の地域格差;医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)では、「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)、「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているほか、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。②後発医薬品割合;厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000153730.pdf)p96~p113「自治体別後発医薬品使用割合」が出ているが、内閣府「経済・財政と暮らしの関係「見える化」ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)の「経済・財政一体改革に係る「見える化」ページ リンク集」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/db_top/link/index.html)には、「調剤医療費の動向調査:集計結果」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/cyouzai_doukou_yougo.html)では、市町村別の後発医薬品割合(https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/16/gaiyou.html)が公表されている。③日本医師会「地域医療情報システム」(http://jmap.jp/)、日医総研「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2017年度)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_637.html)、「地域の医療提供体制の現状 - 都道府県別・二次医療圏別データ集 - (2017年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_636.html)では、医療と介護について、詳細な提供状況の偏差値と将来推計が出ている。今後、「保険者データヘルス全数調査」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)で、保険者協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190712.html)の活動状況がも見える化されても良いかもしれない。
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医療機関経営と地域医療構想

2019年02月26日 | Weblog
メディウォッチ「2017年度の入院患者単価、特定機能病院で7万3938円、地域医療支援病院6万1780円、DPC病院で5万7549円―厚労省」(https://www.medwatch.jp/?p=25022)。<以下引用>
<2017年度の入院患者単価は、特定機能病院では7万3938円(前年度に比べて2.5%増)、地域医療支援病院で6万1780円(同2.2%増)、DPC病院で5万7549円(同1.9%増)などと上昇している。一方、平均在院日数が短縮する中で、病床稼働率は十分には伸びておらず、地域の医療ニーズを勘案した上で、適正な病床規模を探る必要がある―。こういった状況が、厚生労働省が2月21日に公表した2017年度の「病院機能別 制度別医療費等の状況」から見えてきました。1日当たり入院単価、急性期度の高い病院で上昇度合いが高い 「病院機能別 制度別医療費等」では、病院を▼特定機能病院▼地域医療支援病院▼DPC病院—などの機能別に分類し、また患者が▼被用者保険▼国民健康保険▼後期高齢者医療制度―など、どの医療保険に加入しているのかで分類し、医療費を詳しく分析しています。どの医療保険制度に加入する人が、どういった機能の病院にどれだけかかり、どれほどの医療費がかかっているのか、などを把握することできます。裏返せば、病院経営的には「どういった患者を積極的に受け入れることで、収益向上につながりやすいのか」といった視点で分析結果を眺めることができるでしょう。まず病院機能別の1日当たり入院医療費(いわば患者単価)を見ると、▼特定機能病院:7万3938円(前年度に比べて1797円・2.5%増加)▼地域医療支援病院:6万1780円(同1344円・2.2%増加)▼DPC病院:5万7549円(同1079円・1.9%増加)▼療養病床のみの病院:2万1998円(同414円・1.9%増加)―などとなっています。急性期度の高い病院で、単価の増加度合いが大きい傾向が伺えそうです。また、「病院機能に関わらず『未就学児』で単価が高い」状況も伺えます。特定機能病院では9万1029円(前年度に比べて2799円・3.2%増加)で、当該病院における医科入院全体よりも1万7091円・23.1%高く、また地域医療支援病院では7万2614円(同895円・1.2%増)で、同じく1万834円・17.5%高く、さらにDPC病院では7万3325円(同1219円・1.7%増加)で、同じく1万5776円・27.4%高くなっています。逆に、75歳以上の後期高齢者では、「病院機能に関わらず単価が低い」ことも分かります。特定機能病院では7万1261円(前年度に比べて1776円・2.6%増加)で、当該病院における医科入院全体よりも2677円・3.6%低く、また地域医療支援病院では5万6075円(同1134円・2.1%増加)で、同じく5705円・9.2%低く、さらにDPC病院では5万589円(同992円・2.0%増加)で、同じく6960円・12.1%低くなっています。1日当たり入院外単価、国保加入者で高い傾向 また医科入院外の単価(1日当たり医療費)は、▼特定機能病院:2万5672円(前年度に比べて1145円・4.7%増加)▼地域医療支援病院:2万349円(同768円・3.9%増加)▼DPC病院:18798円(同880円・4.9%増加)▼療養病床のみの病院:7546円(同170円・2.3%増加)―などとなっています。入院と異なり、未就学児では単価が低くなっています(精神科のみの病院を除く)。特定機能病院では1万7958円(前年度に比べて364円・2.1%増加)で、当該病院における医科入院外全体よりも7714円・30.0%低く、また地域医療支援病院では1万4316円(同261円・1.9%増加)で、同じく6033円・29.6%低く、さらにDPC病院では1万2255円(同184円・1.5%増加)で、同じく6543円・34.8%低くなっています。一方、国民健康保険の加入者(自営業者など)では単価が高く、特定機能病院では2万8010円(前年度に比べて1363円・5.1%増加)で、当該病院における医科入院外全体よりも2338円・9.1%高く、また地域医療支援病院では2万2179円(同865円・4.1%増加)で、同じく1830円・9.0%高く、さらにDPC病院では2万649円(同823円・4.2%増加)で、同じく1851円・9.8%高くなっています。傷病種類や診療行為別の内訳なども勘案した、詳しい分析が期待されます。平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い 次に、平均在院日数を見てみると、▼特定機能病院:15.9日(前年度に比べて0.4日短縮)▼地域医療支援病院:15.0日(同0.2日短縮)▼DPC病院:16.5日(同0.1日短縮)▼療養病床のみの病院165.0日(同4.7日短縮)―などとなり、順調に短縮傾向が続いています。未就学児では、在院日数が短い傾向にあります。特定機能病院では14.3日(前年度に比べて0.6日短縮)で、当該病院における医科入院外全体よりも1.6日短く、また地域医療支援病院では8.4日(同0.1日短縮)で、同じく6.6日短く、さらにDPC病院では8.8日(同0.3日短縮)で、同じく7.7日短くなっています。逆に在院日数が長いのは、やはり75歳以上の高齢者です。特定機能病院でも17.0日(前年度に比べて0.3日短縮)で、当該病院における医科入院外全体よりも1.1日長く、また地域医療支援病院でも18.8日(同0.2日短縮)で、同じく3.8日短く、さらにDPC病院でも21.5日(同0.2日短縮)で、同じく5.0日短くなっています。また70歳未満でも、国保加入者(自営業者や無職等)は被用者保険加入者(サラリーマンとその家族等)に比べて在院日数が長い傾向にあります。国保加入者は、被用者保険加入者に比べ、▼一般病床全体では9.6日▼特定機能病院では2.5日▼地域医療支援病院では4.2日▼DPC病院では4.3日▼療養病床のみの病院では63.0日―長いことが分かりました。国保加入者では「無職者」が増加しており、退院困難な患者が増えていることが予想されます。2018年度の診療報酬改定では、【入退院支援加算】(退院支援加算から名称変更)の算定対象患者に「生活困窮者」などが追加されています。無職者への入退院支援をこれまで以上に強化することで、「加算の算定」によるダイレクトな増収が可能になるとともに、「在院日数の短縮」による医療の質の向上・DPC診療密度の向上(DPC特定病院群(旧II群の要件として非常に重要)などにつなげることができそうです。稼働率のアップに苦戦、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり さらに、病床の稼働率に目を移してみると、次のように推移しています。【特定機能病院】▼2013年度:82.2% → ▼14年度:82.0% → ▼15年度:82.8% → ▼16年度:82.9% → ▼17年度:83.0%【地域医療支援病院】▼2013年度:81.9% → ▼14年度:81.4% → ▼15年度:81.2% → ▼16年度:80.5%→ ▼17年度:81.5%【DPC病院】▼2013年度:80.3% → ▼14年度:80.0% → ▼15年度:80.3%→▼16年度:80.1%→ ▼17年度:81.2% 大きな上昇は見られず、平均在院日数が減少傾向にある中で、多くの病院では病床稼働率低下に苦しんでいる状況がうかがえます。在院日数の減少は「空床の拡大」を意味し、同時に新規入院患者を多く受け入れなければ、病院経営は厳しくなっていきます。新規入院件数が前年度に比べてどれだけ増加(あるいは減少)しているのかを見ると、▼一般病床全体:1.5%増▼特定機能病院:2.3%増▼地域医療支援病院:7.2%増▼DPC病院:1.7%増▼療養病床のみの病院:3.8%増―などとなっており、多くの病院では、新規入院患者に向けた努力をしていることが伺えます。新規入院患者の獲得方法としては、一般に▼地域の中小病院や診療所などとの連携強化による「紹介患者」の確保▼救急搬送患者の積極的受け入れ―などが考えられますが、地域の患者数は限られており、かつ人口減少(地方では既に、大都市でも近い将来)を考えれば、その努力にも限界があります。稼働率上昇が見られない地域医療支援病院やDPC病院では、「現在の規模(ベッド数)が適正なのか、地域の医療ニーズ(患者数)に比べてベッド数が多すぎないか」という点を検証し、「ダウンサイジング」や「近隣病院との合併・統合」なども視野に入れた経営戦略を考えることが重要です。>

医療費適正化計画を進める上で、「平成29年度病院機能別制度別医療費等の状況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000480607.pdf)p8制度別「推計新規入院件数、推計平均在院日数、推計1入院当たり医療費」は理解しておく必要がある。全国医政関係主管課長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_518295_00001.html)と医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)では、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)に関する資料がいろいろ出ているが、今回報道されているように、病床稼働率の低下傾向を踏まえるべきであろう。「入院医療等の調査・評価分科会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128166.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000333642.pdf)p8、p13「急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系の見直しの影響について;調査内容:(1)各医療機関における入院料の届出状況、職員体制(2)重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の状況(3)各入院料等における患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況」が今後注目される。なお、医療法人は医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第54条で剰余金の配当が禁じられているように、医療経営は営利が前面に出てはいけない。他の産業と違って、医療は需要を喚起できないばかりか、むしろ、予防重視で需要を縮小させる必要がある。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の推進にあたって、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」において、急速な人口減少地域では、政策医療を勘案しながら、ダウンサイジングが避けられない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。病院報告(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)、医療施設(静態・動態)調査・病院報告の年次統計(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)は、それぞれの地域における「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に活用すべきであるが、そうなっていない。すでに厚労省通知「地域医療構想の進め方について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180213_4.pdf)が出ているが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を進めるには、急性期と慢性期の議論を分けて考えた方が良い。急性期については、①病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)が病棟単位での報告であること、②「地域医療構想策定ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p6「高度急性期… 他の構想区域の医療機関で、医療を提供することも検討(アクセスを確認)・急性期… 一部を除き構想区域内で完結;主な疾病ごとに検討」の理解が欠かせない。そして、医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)で、二次医療圏ごとの「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480270.pdf)、「将来時点(2036年時点)における不足医師数、供給推計」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480267.pdf)、「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)が出ており、自分たちの医療圏がどうなっているか、認識したいところである。
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気になる麻しんと風しん

2019年02月26日 | Weblog
NHK「千葉県 はしか感染新たに2人」(https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190227/0026200.html)。<以下引用>
<千葉県茂原市の病院ではしかの患者の対応に当たった看護師など県内の2人がはしかに感染していたことが新たに分かりました。千葉県によりますと、はしかの感染が確認されたのは、茂原市の公立病院に勤務する30代の女性看護師と市川市に住む30代の女性の2人です。このうち看護師は、今月10日、夜間救急外来を受診したはしかの女性患者を対応したあと、25日の夜に発熱の症状が出て検査の結果、はしかの感染が確認されたということです。また、市川市の女性は今月21日に悪寒の症状があり、24日に発疹が出てその後、医療機関を受診し、26日、はしかの感染が確認されました。この女性は、直近に海外渡航歴がなく、どこで感染したか不明だということです。今月20日から24日にかけて都営新宿線で本八幡駅と九段下駅まで移動、その後、東京メトロの半蔵門線や東急田園都市線を使って東京・世田谷区の駒沢大学駅まで乗車し、同じ経路で戻っています。乗車の時間帯は、20日と21日は、午前5時ごろに本八幡駅を出発、午後9時ごろに駒沢大学駅を出発。22日は、午前5時ごろに本八幡駅を出発、午後11時ごろに帰宅していますが、この間の詳しい経路は明らかにされていません。23日は、午前8時半ごろに本八幡駅を出発、午後8時半ごろに駒沢大学駅を出発。24日は、午前9時ごろに本八幡駅を出発、午後4時半ごろに駒沢大学駅を出発したということです。千葉県は、はしかにかかったことがなかったり、予防接種したか分からない場合などは、2回のワクチン接種を検討するよう呼びかけています。また、はしかが疑われる症状が出た場合には、事前に医療機関に連絡したうえで指示に従って受診するよう呼びかけています。これでことしの千葉県内のはしかの患者は8人となりました。>

NHK「はしか患者増加 全国で222人 大阪で新たに24人」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190226/k10011828451000.html?utm_int=news_contents_news-main_003)。<以下引用>
<はしかの患者が増えていて、大阪府では1週間に報告された新たな患者数が24人になるなど、ことしの全国のはしかの患者数は222人になりました。すでに、去年1年間の患者数の7割以上に達していて、国立感染症研究所は、はしかに感染した疑いで医療機関を受診する際には、事前に電話で相談してほしいと呼びかけています。はしかは、発熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、感染力が極めて強く、重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産のおそれもあります。国立感染症研究所によりますと、今月17日までの1週間に全国の医療機関から報告されたはしかの患者は48人で、このうちの半数の24人は大阪府で、首都圏からも10人余り報告されました。このため、ことしの全国の患者数は222人と、すでに去年1年間に報告された患者数の7割以上に達しています。都道府県別では、最も多いのが大阪府で77人、次いで三重県で49人、愛知県で20人、東京都で14人、京都府で9人などとなっています。国立感染症研究所は、過去にワクチンを接種した記録がない人や、はしかに感染したことがない人などで、医療機関の関係者や保育士などは特にワクチンの接種を検討してほしいとしています。また、はしかに感染した疑いで医療機関を受診する際には事前に電話で相談してほしいと呼びかけています。>

NHK「はしか患者搬送の消防隊員もはしか感染 千葉」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190225/k10011827841000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001)。<以下引用>
<千葉県内で、今月に入って、はしかの患者を救急搬送した消防隊員がはしかに感染していたことが確認されました。千葉県によりますと、はしかの感染が確認されたのは、千葉県茂原市にある長生郡市広域市町村圏組合消防本部に所属する30代の男性隊員です。今月10日に発熱などの症状を訴え、その後、はしかの感染が確認された女性の患者を救急車で搬送したあと、23日に自分も発熱の症状が出たため医療機関を受診し、24日、はしかに感染したことが確認されたということです。男性隊員は発症する前日の今月22日以降、救急車には乗車せず、公共の交通機関も利用していませんが、千葉県は受診先の医療機関などで隊員に接触した可能性のある人などに症状がないか、経過を観察しているということです。>

NHK「男児がはしか感染 同じ施設や電車を利用した人に注意 川崎」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190225/k10011827711000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001)。<以下引用>
<今月、海外から帰国した川崎市に住む幼い男の子がはしかに感染していたことが分かり、男の子が発症後に商業施設や電車を利用していたことから感染が広がるおそれがあるとして市が注意を呼びかけています。川崎市によりますと、はしかに感染していることが分かったのは市内の幼い男の子です。この男の子は東南アジアから帰国した1週間後の今月18日に発熱の症状が出たあと、23日、医療機関ではしかと診断されました。男の子は症状が出た翌日の今月19日、午後6時から8時ごろまで川崎区小田栄の「イトーヨーカドー川崎店」のフードコートやゲームコーナーを利用したほか今月20日にはJR京浜東北線の川崎駅から東京駅、JR山手線の東京駅から御徒町駅、さらにJR上野東京ラインの上野駅から川崎駅まで利用したということです。川崎市では、はしかの感染が広がるおそれがあるとして同じ施設や経路を利用した人に対し、症状が現れた場合には事前に医療機関に連絡したうえで、指示に従って受診することや受診する際は公共交通機関を利用しないことなどを呼びかけています。>

麻しんの流行世界地図(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html)をみれば、どこで集団発生してもおかしくはない。麻しん(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html)の潜伏期は10~12日間とされ、空気感染するため、水際対策よりも今急ぐべきは、「麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf)の「医療関係者(救急隊員、事務職員等を含む)、保育関係者、教育関係者、不特定多数の人と接触する職業に従事する人【可能な限り早めのMRワクチン接種が推奨される者】」であろう。保健医療関係者は「麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf)、「医療機関での麻しん対応ガイドライン(第7版)」(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/medical_201805.pdf)、「麻しんの検体採取について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/dl/101116_01.pdf)を周知徹底しておきたい。厚労省「麻しん発生時対応ガイドライン」(http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/pdf/30130315-04html-pdf/20130315pdf02.pdf)では、「麻しん発生時には「1例出たら即対応」する。」「麻しんサーベイランスの強化、接触者調査を行い、麻しん患者を迅速かつ確実に把握する。」とあり、感染拡大抑制はまさに届出があった保健所の初動にかかっているといえる。厚労省の麻しん・風しんサイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou21/index.html)や国立感染症研究所「麻疹最新情報」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html)はタイムリーな更新があっても良いように感じる。ところで、風しん対策(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html)(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/)について、風疹急増に関する緊急情報(https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8278-rubella1808.html)が更新されている。風しんの追加的対策(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html)による、市町村から対象者へのクーポン送付は事業所での健診に間に合わなければいけない。
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免疫機能低下と生ワクチン

2019年02月25日 | Weblog
NHK「免疫抑制剤使用の子どもに安全にワクチン接種を 臨床研究へ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190225/k10011826611000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_002)。<以下引用>
<免疫を抑える薬を使っているため、水ぼうそうなどのワクチンを接種できない子どもたちが接種を見送ったあとに感染症で死亡した事例が報告されていることから、全国の専門の医師が協力して、安全にワクチンを使用する方法を検討する臨床研究が始まることになりました。難病の治療や移植手術などで免疫抑制剤を使っている場合、水ぼうそうなどの一部のワクチンは、接種するとその感染症を発症してしまうおそれがあり、原則使用できないことになっていますが、ワクチン接種を見送ったあとに子どもが水ぼうそうで死亡する事例が起きています。このため、全国各地の小児科の医師などが協力して、安全にワクチンを接種する方法を検討する臨床研究を来月から始めることになりました。対象となるのは、腎臓の機能が低下するネフローゼ症候群という病気や、臓器移植を受けたあとの治療で免疫抑制剤を使用している子どもなどで、およそ2000人を選びます。ワクチンの接種は、専門の医師が免疫の状態を細かく検査するなどして慎重に実施するということです。臨床研究の責任者を務める国立成育医療研究センターの亀井宏一医師は「すべての患者に接種していいわけではないが、問題のない子どもには接種の機会を作れるようにしたい」と話しています。生ワクチンと死亡事例 ワクチンの中には、生ワクチンと呼ばれる毒性を弱めているものの感染する能力がある病原体を使ったものがあります。健康な人は生ワクチンを接種しても毒性が弱いので、重い症状は出ず、免疫ができるため、その病気を予防することができます。しかし、免疫抑制剤を使用していると、毒性が弱い病原体であっても感染して発症してしまうおそれがあるため、原則として生ワクチンの使用は禁忌とされ、接種できないとされています。その一方で、平成24年までの10年間に、免疫抑制剤を使っているためにワクチンを接種できなかった3人の子どもが、水ぼうそうを発症して死亡したことが分かっています。研究を行う医師は、こうした事例について、水ぼうそうのワクチンを安全に接種できれば防ぐことができた可能性があると考えています。今回の臨床研究で、免疫抑制剤を使用している子どもにワクチンを接種するときには、事前に免疫の状態を調べて、生ワクチンで重症化するおそれが低いことを確認したり、症状が出たときにすぐに対処する態勢を整えたりして、慎重に実施したいとしています。免疫抑制剤服用 感染症にかかりやすく神奈川県に住む小島帆侍郎君(4)です。去年4月、顔にむくみが現れ、その後、ネフローゼ症候群と診断されました。ネフローゼ症候群は腎臓の機能の低下や体がむくむ症状が出る難病で、毎年1000人ほどの子どもが新たに発症するとされ、治療のために免疫抑制剤が使われるケースがあります。帆侍郎君はこれまでに3回入院して治療が行われ、現在は自宅にいて1日に2回免疫抑制剤を服用しています。そのため、感染症にかかりやすいということで、発熱することも多いと言います。今月も肺炎になり、39度の高熱が続いて1週間余り入院しました。退院後も、感染症への不安から10日たっても幼稚園には行っていません。帆侍郎君と家族は、特に気をつけている感染症があります。水ぼうそうです。水ぼうそうはワクチンで予防でき、子どもの時に2回、定期接種することになっています。帆侍郎君は1回、ワクチンを接種しましたが、その後、免疫抑制剤を使うようになったため、2回目のワクチンを接種しておらず、検査をしたところ、水ぼうそうに対する免疫は十分にはないことがわかりました。このため、外出時にはマスクを必ずして、人混みや水ぼうそうの流行が確認された地域には出かけないほか、狭い場所に多くの人がいるバスや電車などを使った長時間の移動もふだんから避けていると言います。そのため、旅行は難しいほか、多くの時間を家の中で過ごしています。母親の秋乃さんは「水ぼうそうで亡くなることもあるので、本当に怖いです。遊んだり出かけたりという元気な子であれば普通にできることが制限されているので、ワクチンを接種して少しでも安心した生活を送りたいです」と話していました。>

予防接種基本方針部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127714.html)で、長期療養特例(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000467116.pdf)と「骨髄移植等の医療行為により免疫を消失された方に対する再接種への支援の実施状況及び居住地以外で定期接種を実施した場合の取扱いについての調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000377366.pdf)が出ていた。生ワクチン(http://www.wakuchin.net/about/type.html)では、水痘だけではなく、麻しん・風しんも気になる。
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緩和ケア研修と公的介護

2019年02月25日 | Weblog
メディウォッチ「公的介護が必要な65歳未満の「がん」患者、主治医意見書の診断名は「がん」のみでも可―厚労省」(https://www.medwatch.jp/?p=25033)。<以下引用>
<40歳65歳未満のがん患者から要介護認定申請があった場合、主治医意見書の特定疾病の記載が、▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼末期がん▼がん末期―などの記載のほかに、単に「がん」とされたものでも受理してよい―。厚生労働省は2月19日に事務連絡「がん患者に係る要介護認定等の申請に当たっての特定疾病の記載等について」を示し、こうした点の周知を都道府県に依頼しました。がん患者、迅速に要介護認定が行われるような配慮 2000年にスタートした公的介護保険制度では、65歳以上(第1号被保険者)の要支援者・要介護者においては要介護状態などの原因を問わず自立支援に向けたサービスを受けられます。一方、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)の要支援者・要介護者に対しては、以下の「特定疾病」によって要支援・要介護状態になった場合に限りサービスを受けられます。【特定疾病】(16種類)▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼関節リウマチ▼筋萎縮性側索硬化症▼後縦靱帯骨化症▼骨折を伴う骨粗鬆症▼初老期における認知症▼進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】▼脊髄小脳変性症▼脊柱管狭窄症▼早老症▼多系統萎縮症▼糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症▼脳血管疾患▼閉塞性動脈硬化症▼慢性閉塞性肺疾患▼両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症― 公的介護サービスを受けるためには、市町村で「要支援状態・要介護状態」と判定されることが必要ですが(要介護認定)、利用者による申請から判定結果が出るまでに一定の時間がかかります(通常1か月程度)。この点、「末期がん」患者においては状態が急速に悪化するケースもあることから、迅速なサービス提供に向けて、▼保険者(市町村)が必要と認めた場合、申請から認定までの段階でも「暫定ケアプラン」を作成して、介護サービス提供を開始できる▼サービス利用に急を要する場合には、迅速な要介護認定を実施する(申請日中に認定調査を実施し、直近の介護認定審査会で2次次判定を行うなど)▼入院段階から医療機関とケアマネジャーが連携し、退院後、切れ目のないサービス提供を行う―などの対応が図られています(2010年4月30日付の事務連絡「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」)。また、要介護認定には「主治医意見書」が必要となりますが、40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、診断名欄に「介護を必要とさせている生活機能低下等の直接の原因となっている特定疾病名」を記入することになっています。特に、末期がんの場合には、保険者(市町村)等が「迅速な要介護認定が必要か」などを判断するために必要とされています。一方で、医療現場では「予後を見通しにくく、主治医意見書に『末期がん』と明記しにくい」との声も出ています。がん対策推進基本計画(第3期)でも、「在宅緩和ケアにおける医療と介護との連携について、65歳未満のがん患者が要介護認定の申請をする際には、『末期がん』を特定疾病として申請書に記載する必要があるが、実際には記入しづらいため、利用が進まないとの指摘がある」「国は、要介護認定における『末期がん』の表記について、保険者が柔軟に対応できるような方策を検討する」こととされました。こうした点を踏まえ、厚労省は今般、「特定疾病の名称記入に当たっては、▼がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)▼末期がん▼がん末期―などの記載に限らず、単に『がん』と記載されたもので申請を受理して差し支えない」ことを決定。都道府県を通じて、介護保険者(市町村)などに周知するよう依頼しています。主治意見書を記載する医療現場でも、特定疾病名を「がん」のみと記載することが可能となります。なお、厚労省の特定疾病名について、従前は「がん【がん末期】(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったものに限る)」と記載されていましたが、【がん末期】の記載が削除され、上記のとおり「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)」と変更されています。介護が必要ながん患者について、より円滑・迅速に「要支援・介護の判定がなされ、公的介護サービスが提供される」ことが期待されます。>

昨年の「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針の一部改正について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/16_20180509_01.pdf)p2「研修対象者;がん等の診療に携わる全ての医師・歯科医師を対象とする。また、これらの医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者も、参加することが望ましい。」とあったが、事務連絡「がん患者に係る要介護認定等の申請に当たっての特定疾病の記載等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000480885.pdf)を周知徹底したい。介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)p3「終末期の悪性腫瘍の利用者又はその家族の同意を得た上で、主治の医師等の助言を得つつ、ターミナル期に通常よりも頻回な訪問により利用者の状態変化やサービス変更の必要性を把握するとともに、そこで把握した利用者の心身の状況等の情報を記録し、主治の医師等や居宅サービス事業者へ提供した場合を新たに評価する。;ターミナルケアマネジメント加算400単位/月(新設)」(http://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/company/docs/2018041900034/files/3004terminaltoriatukai.pdf)、平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p94「国民の希望に応じた看取りの推進」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の個別改定項目(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000193708.pdf)p233~「国民の希望に応じた看取りの推進」のp233「訪問診療におけるターミナルケアにおいて、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえた対応を要件として追加し、居住先に応じて評価を充実する。」、p235「訪問看護におけるターミナルケアにおいて、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえた対応を要件として追加し、評価を充実する。」「機能強化型在宅療養支援診療所・病院、機能強化型訪問看護ステーションの施設基準について、看取り等の実績要件に、一定期間の訪問診療等を提供した患者が、あらかじめ患者又はその家族から聴取した意向に基づき、7日以内の入院中に死亡した場合を含めることを可能とする。」、p239「末期のがん患者については、在宅時医学総合管理料等の要件に、当該患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援事業者に対し病状や予後等について情報提供することを追加する。」なども踏まえたい。介護保険地域支援事業「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「(カ)医療・介護関係者の研修」と「緩和ケア研修」(http://www.hospital.or.jp/pdf/16_20180509_01.pdf)をリンクさせても良いように感じる。
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経営に関する情報の共有化が必要

2019年02月25日 | Weblog
神戸新聞NEXT「赤字積みあがる三田市民病院 審議会、規模拡大促す」(https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201902/0012091745.shtml)。<以下引用>
<兵庫県三田市は19年度予算案で、一般会計から17億円を市民病院に投入する。このうち9割以上の15億7千万円は、救急(3億6千万円)や小児医療(7千万円)など市民の命を守るため、もうからなくて当然の部分に充てられる。病院の建設費を30年かけて分割返済する資金(10億円)も含まれる。こうした支出は国の基準で決まっている。一方、補助金を投入しても赤字額が大きいため、市は国の基準外で独自に補助金を上積みしている。07年度に医師不足などから年間10億円超の赤字となり、市は経営を安定させるため、09年度から毎年約2億円を“援助”している格好だ。ところが18年度は約7千万円、19年度予算案では約2千万円をそれぞれ前年度から減らした。財政再建を進める市が、病院にも歳出カットを求めたからだ。病院はカテーテルや注射器など診療材料の調達に医師が関与し、より価格を抑えるなど地道なコストカットを進める。その一方で、ここ数年は「稼ぐ力」も高めてきた。開業医と連携を深め、患者を市民病院に紹介してもらうほか、より診療報酬の高い急性期の患者を多く受け入れようと「断らない救急」を徹底。70%台だった病床の利用率は16年度以降、80%を超えている。こうした取り組みは成果を挙げているが、黒字経営には至っていない。ただ、ベッド数が300という中規模病院には構造的な課題がある。病院経営の専門家らが1年間にわたり、市民病院の将来像を議論した審議会では「24年前の開業当初は十分な規模だったが、現状では中途半端」との声が上がった。若手医師の研修制度が変わり、大規模で多くの経験を積める病院に志望者が集まるようになった。大学が地域の病院に医師を派遣する時代ではなくなっている。また、中規模では救急対応ができる医師や診療科が限られる。三田市民病院は循環器や消化器科はいつでも受け入れ可能だが、脳神経外科は土日は対応できない。市内の救急搬送に占める同病院の割合は65%(17年度)にとどまり、20%以上の患者は神戸市内の病院に運ばれている。審議会は今月「現状のままでは将来にわたる存続は難しい」と結論づけ、統合・再編による規模の拡大を促した。病院が市から借りる5億円には返済義務がある。赤字が積み上がっても、いずれ市が面倒を見てくれる-。そんな時代は終わった。>

「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)で最優先すべき議論は、病床利用率の低い一般病床(特に休棟)を有する病院について、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」と政策医療を踏まえて、今後の方向を打ち出すことである。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)で、二次医療圏ごとの「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480270.pdf)、「将来時点(2036年時点)における不足医師数、供給推計」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480267.pdf)、「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)が出ており、自分たちの医療圏がどうなっているか、認識したい。地域医療構想調整会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)は急性期医療だけの議論ではないであろう。
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個人インセンティブと見える化

2019年02月20日 | Weblog
保健指導リソースガイド「府民のための健活マイレージ「アスマイル」が始動 700万人の健康づくりを支援 大阪府」(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/007998.php)で、おおさか健活マイレージ「アスマイル」(https://www.asmile.pref.osaka.jp/)が紹介されている。「個人インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html)は全国各地で取り組まれており、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000192093.pdf)p31都道府県別「個人インセンティブの提供」が出ている。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000192093.pdf)p13「【共通指標④(1)個人へのインセンティブの提供の実施】」には「商工部局との連携、地域の商店街との連携等の「健康なまちづくり」の視点を含めた事業を実施しているか」も評価指標になっており、留意事項には「商工部局との連携とは、例えば、健康づくりを「まちづくり」と結びつけて展開し、地域の民間企業を活用するため、庁内で商工部局との議論の場を設け、検討を行うこと等を指す。地域の商店街との連携とは、例えば、各種検診受診者、健康づくりの取組参加者に、商工会発行のポイントを付与し、ポイントが貯まると、市町村内店舗で使える商品券とする。等の取組を進めるため、地域の商店街等と議論の場を設けること等を指す。」とあり、「商工部局との連携」にもっと目を向ける必要があるように感じる。「個人インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html)は、ブロック会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170677.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170676.pdf)p11保険者インセンティブ「保険者共通の指標」であり、被用者保険者でも取り組まれるのは間違いない。「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000428884.pdf)というのであれば、介護予防の自助や互助を含めても良いであろう。「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakaihosyou.html?tid=368203)の「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000130500.pdf)には、「住民」「医療機関、事業者」「保険者、行政」の自立と協働のトライアングルが必要であり、情報共有と戦略的取り組みが欠かせないであろう。日経BP「新・公民連携最前線」(https://project.nikkeibp.co.jp/ppp/health/)のような公民連携も期待されるであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000179571.pdf)p133~135通知「地域づくりに資する事業の一体的な実施について」が出ていたように、地域包括ケアの推進では事業の弾力化を図る必要があるように感じる。それ以前に、この重要な通知が保健福祉関係者に周知徹底されるべきである。健康増進の各種取り組み状況は日本健康会議(http://kenkokaigi.jp/)データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)のデータマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の地図をクリックすればわかる。また、介護予防(週1回以上の通いの場)は地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で市町村単位で公表されていることは知っておきたい。
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医師法第21条、第20条

2019年02月20日 | Weblog
メディウォッチ「死体外表面に異状所見なくとも、諸般の事情から「異状を認める」場合、医師は警察署に届け出を―厚労省」(https://www.medwatch.jp/?p=24967)。<以下引用>
<死体外表面に異状所見が認められなくても、死体発見場所や発見までのいきさつなど諸般の事情から「異状を認める」場合には、医師は医師法第21条に基づいて警察署に届け出を行ってほしい―。厚生労働省は2月8日に通知「医師による異状死体の届出の徹底について」を発出し、こうした点の周知を都道府県の担当者に依頼しました。医師法第21条では、医師に対し「死体また妊娠4か月以上の死産児を検案し、異状ありと認めたときは24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」旨を規定しています。この規定について近年、「死体の外表面に異常所見が認められない場合は、所轄警察署への届け出が不要である」と解釈する向きがあり、これが放置されれば、▼薬物中毒▼熱中症―などで死亡し、外表面に異常所見が認められない死体が所轄警察署への届け出が適切になされず、初動捜査などに支障を来す恐れ、さらには犯罪や事故などが明るみにでないおそれがあります。そこで厚労省は今般、「死体の外表面に異常所見が認められない場合であっても、▼死体が発見されるに至ったいきさつ▼死体発見場所や、その状況―など、諸般の事情を考慮して『異状を認める場合』には、医師法第21条に基づき、所轄警察署に届け出なければならない」との解釈を明確にしました。>

通知「医師による異状死体の届出の徹底について」(http://jshg.jp/wp-content/uploads/2019/02/6cdc843497c6a0606a76f28d97cdb3a9.pdf)は医師の初期研修や医学生教育でも周知すべきと感じる。また、「平成30年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/)は、医師会や公的病院協議会等を通じて、改訂要点の周知が必要であろう。警察サイドにも周知された方がよい。なお、医師法(http://www.ron.gr.jp/law/law/ishihou.htm)第二十条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」の規定の正確な理解は、在宅医療の現場でも重要と感じる。
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診療科と地域の偏在と二次医療圏

2019年02月20日 | Weblog
メディウォッチ「2036年の医療ニーズ充足には、毎年、内科2946名、外科1217名等の医師養成が必要―医師需給分科会(3)」(https://www.medwatch.jp/?p=24959)。<以下引用>
<医師偏在対策に向けた医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)の論議が大詰めを迎える中で、厚生労働省は2月18日の会合に「診療科別の必要医師数の見通し」(たたき台)を提示しました。今後、「医師の働き方改革」や「総合診療専門医」の動向なども踏まえながらブラッシュアップし、将来的に、専門医資格取得を目指す専攻医の基本領域別定員上限の設定などに活用していくことを狙います。診療科と疾患の紐づけを行い、将来の患者数を勘案して「必要医師数」を推計 地域の医師偏在対策の解消が重視され、医師需給分科会では、各地域(都道府県・2次医療圏)の医師配置状況を可視化するとともに、各都道府県で新たに「医師確保計画」を定め、実行し、2036年度に偏在を解消する方向に向けた検討を進めています。しかし、「例えば産科医師が不足している地域に、皮膚科医師がどれだけ派遣されても、本当の意味での医師不足解消にはならない」ことから、「診療科別の医師偏在対策」を進める方針も確認されています。診療科別の医師偏在を解消するためには、「診療科別の必要医師数」と「診療科別の供給医師数」を推計し、その差を埋めていくことが必要となります。ただし、例えば脳梗塞であれば、脳神経外科や内科、さらにはリハビリテーション科で対応するなど、1つの疾患を複数の診療科で診ている実態があることから、「●●診療科の医師がどれだけ必要なのか」を推計することには多くの苦労が伴います。そこで、「診療科別の医師偏在対策」は、将来的な課題に位置付けられ、2020年度から本格スタートする医師偏在対策と同時並行的に「研究」が進められることとなりました。ただし、後述するように「産科」と「小児科」については医師確保が喫緊の課題となることから「暫定的な対策を一先ずとる」ことになっています。2月18日の医師需給分科会には、「診療科別の必要医師数」の推計に関する、いわば「これまでの研究結果」が厚労省から提示されました。上記のとおり、同じ疾患であっても、異なる診療科で対応している状況があることを踏まえ、厚労省はまずDPCデータなどを用いて、「どの疾患には、どの診療科が対応しているのか」を分析しました。例えば、脳梗塞であれば▼脳神経外科:48%▼内科:46%▼リハビリテーション科:4%▼外科:1%▼救急科:1%―などとなっています。これを裏返しに見ると、どの診療科が、どういった割合で疾患を診ているのかが分析できます(内科では、A疾患を●%、B疾患を●%、C疾患を●%診ている、というイメージ)。ここに、「医師・歯科医師・薬剤師調査による診療科別の医師数」や「厚生労働科学研究で明らかにされた診療科別の医師の勤務時間および全体との比率」などを組み合わせることで、「2016年時点における診療科別の必要医師数(ニーズ量)」を推測できます。さらに、「患者調査と人口動態推計から導かれる将来の疾患別医療ニーズ」などを加味することで、「将来時点における診療科別の必要医師数(ニーズ量)」を推計することが可能となります。大雑把なイメージを示すと、「内科の医師は2016年時点で●名いる」→「内科では、脳梗塞患者を●%、心疾患患者を●%診ている」→「内科の勤務時間を医師全体の勤務時間と比較・調整し、2016年に必要な内科医数は●名と分かる」→「脳梗塞の患者は将来◆%増加し、心疾患患者は◆%増加することが統計から推測されるので、この増加ニーズに対応するためには、内科医師は◎名必要と考えられる」といったロジックで推計する、と言えるでしょう。また推計に当たっては「診療科別の医師の勤務時間」が、「医師全体の平均になる」方向での検討も一部行われています。例えば、救急科の医師は全体平均よりも1.21倍勤務時間が長いことが厚生労働科学研究結果から明らかになりました。これを将来、1.00倍にするためには、「より多くの救急科医師(単純計算では1.21倍の医師)が必要になる」ことから、その点も勘案した推計がなされています。ただし、現在議論中の「医師の働き方改革」については、結論が出ていないことから、現時点では勘案されず、今後の研究課題の1つに位置付けられています。こうしたロジックに基づいて機械的に推計された結果を見ると、例えば内科や外科では、次のように大幅な医師不足状況にあるようです。【内科】▽2016年時点では12万2253名分の内科医が必要だが、実際には11万2978名しかおらず、9275名分不足している▽2024年時点では12万7446名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年3910名分の内科医養成」が必要となる▽2030年時点では12万9204名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年3246名分の内科医養成」が必要となる▽2036年時点では12万7167名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年2978名分の内科医養成」が必要となる【外科】▽2016年時点では3万4741名分の外科医が必要だが、実際には2万9085名しかおらず、5656名分不足している▽2024年時点では3万4916名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1587名分の外科医養成」が必要となる▽2030年時点では3万4605名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1323名分の外科医養成」が必要となる▽2036年時点では3万3448名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1217名分の外科医養成」が必要となる 一方、皮膚科や精神科などでは、すでに医療ニーズに対し医師数が過剰となっている状況が分かります。【皮膚科】▽2016年時点で8376名分の皮膚科医が必要であるのに対し、実際には8685名おり、309名分過剰となっている▽2036年時点では皮膚科医師は7270名分必要になると見込まれ、1414名の過剰になると推計される【精神科】▽2016年時点で1万5437名分の精神科医が必要であるのに対し、実際には1万5691名おり、254名分過剰となっている▽2036年時点では精神科医は1万4003名分必要になると見込まれ、1688名の過剰になると推計される 皮膚科や精神科において「現時点で医師数が過剰」と推計される背景には、「皮膚科や精神科では医師全体の平均に比べて勤務時間数が短い」ことがあります。皮膚科では医師全体平均の85%、精神科では同じく91%となっています。つまり、皮膚科医・精神科医が医師全体平均と同水準の勤務を行うと仮定すれば、計算上は同じ仕事量を85%・91%の医師数で回せる計算になるのです。診療科の偏在是正、新専門医制度の「専攻医定員」での厳格な調整が必要 こうした「診療科別の必要医師数」をもとに、偏在を解消するためには、「専門科を選択する時点・場面での対策」をとるよりありません。すでに精神科として活躍している医師に、「外科が不足しているので、外科に転向してほしい」と要請することは、現実的には極めて困難でしょう。この点、医師多数地域で働くA医師に、「医師の不足するB地域で勤務してほしい」と要請する、地域偏在解消とは大きく様相が異なる点に留意が必要です。医師が専門科を選択する時点・場面としては、「新専門医の資格取得に向けた専攻医登録」が考えられます。この専攻医登録の時点で、「貴殿は皮膚科の専門医資格を目指し専攻医登録しているが、医師が不足している外科専門医を目指し、専攻医登録の内容を変えてはどうか」などと勧奨すること、あるいはさらに強力に「皮膚科の専攻医登録定員数を減員し、その分を不足する内科や外科に振り向ける」ことなども考えられるかもしれません。ちなみに、日本専門医機構が明らかにした、今年度(2018年度)の専攻医採用状況(2018年3月15日時点)と、上述の「必要医師数を充足するために、年間に養成すべき診療科別医師数」とを比較とする、次のような状況が分かります。【内科】2018年度専攻医採用数は2671名で、▼2016年度の維持水準(2289名)に比べ382名過剰▼2024年度の必要数充足水準(3910名)に比べ1239名不足▼2030年度の必要数充足水準(3246名)に比べ575名不足▼2036年度の必要数充足水準(2978名)に比べ307名不足―【外科】2018年度専攻医採用数は807名で、▼2016年度の維持水準(907名)に比べ100名不足▼2024年度の必要数充足水準(1587名)に比べ780名不足▼2030年度の必要数充足水準(1323名)に比べ516名不足▼2036年度の必要数充足水準(1217名)に比べ307名不足―【皮膚科】2018年度専攻医採用数は275名で、▼2016年度の維持水準(193名)に比べ78名過剰▼2024年度の必要数充足水準(115名)に比べ160名過剰▼2030年度の必要数充足水準(147名)に比べ128名不足▼2036年度の必要数充足水準(159名)に比べ116名過剰―【精神科】2018年度専攻医採用数は430名で、▼2016年度の維持水準(293名)に比べ137名過剰▼2024年度の必要数充足水準(208名)に比べ222名過剰▼2030年度の必要数充足水準(243名)に比べ187名過剰▼2036年度の必要数充足水準(257名)に比べ173名過剰― 例えば、皮膚科や精神科の定員をより厳しくし(100名程度減員)、その分を内科や外科に振り向けると、計算上は「診療科別の偏在」が解消されていく見込みです。後述するように精緻化に向けた課題があるものの、「たたき台となる数字が示されただけでも非常に大きなステップである」との賞賛の声が福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)らから相次ぎました。もちろん、このロジックの中には、「医師の働き方改革」や「総合診療専門医の動向」(総合診療専門医が増えることで、他診療科で診る疾患等の構成も変わってくる)などが勘案されていません。こうした点も研究しながら、より精緻な「診療科別の必要医師数」「診療科別の養成が必要な医師数」を推計し、新専門医制度において「診療科別の専攻医定員上限(シーリング)」設定論議の基礎資料としていくことなども検討していくことになるでしょう。なお、厚労省はさらに「都道府県別」の「診療科別の必要医師数」なども推計していく予定を示しています。喫緊の課題である産科・小児科の医師確保は、暫定的指標に基づいて実施 前述したように、「産科」「小児科」については医師確保が喫緊の課題とされていることから、両科に特化した「医師偏在指標」(産科の医師偏在指標、小児科の医師偏在指標)を暫定的におき、新たな「医師確保計画」の中で、「産科・小児科医の確保」に向けた方針や目標数を設定し、具体的な施策を実施していく方針が2月18日の医師需給分科会で了承されています。将来的に、「診療科別の必要医師数」などが精緻に設定されれば、産科・小児科についてもその中で「専攻医増加」などの対策を打っていくことになるでしょう 産科の医師偏在指標は、都道府県別・2次医療圏別の「分娩件数1000件当たりの産科・産婦人科医師数」をベースに設定され、小児科の医師偏在指標は、同じく都道府県別・2次医療圏別の「15歳未満の年少人口10万人当たりの小児科医師数」をベースに設定されます。この産科・小児科の医師偏在指標をもとに、下位●%(今後、設定する)を「相対的医師少数三次医療圏(都道府県)」「相対的医師少数区域(2次医療圏)」に定め、産科医・小児科医の確保を進めていくことになります。ただし、全国的に産科医・小児科医が不足している状況なども勘案し、例えば「医療圏の見直し(広域化)」や「産科医・小児科の勤務環境改善」など、幅広い医師確保策を各都道府県で検討・実施することが求められます。この点に関連して鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は、産科医確保のために「適正な分娩費用の設定」(分娩費用が低すぎれば、産科医を確保する原資が不足する)などを要望しています。>

医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480265.pdf)p2「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」は臨床研修医や医学生に注目されるのは間違いない。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480275.pdf)p17「新専門医制度開始後、専攻医の東京都等への集中が進んでいる。」とあったが、偏在解消は診療科と地域がセットでなければならない。また、医師偏在指標(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480270.pdf)と外来医師偏在指標(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)とセットでみる必要がある。一口に医師不足といわれるが、どの診療科なのか、どの地域なのか、入院か外来か、など様々な要素がある。交通アクセスも非常に重要であろう。ところで、以前の資料では「人口20万人未満で流入率20%未満・流出率20%以上」の2次医療圏の設定見直し(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhrr.pdf)が要請され、該当の二次医療圏は87ヵ所(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhyi.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhyr.pdf)とあったが、その後、二次医療圏の見直しはどうなったのであろうか。
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在宅医療推進にかかるデータ分析

2019年02月19日 | Weblog
「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の議論を踏まえた厚労省通知「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」(https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/tuuti448.pdf)で「在宅医療の取組状況の見える化(データ分析);都道府県単位・二次医療圏単位のデータのみでは、医療関係者の当事者意識を喚起できないことや個別の地域の議論につながらないこと等の理由から、在宅医療の提供体制については、市町村単位等でデータを用いて把握すること。そのため、都道府県は、関係者の在宅医療の提供体制整備に係る取組状況を評価できるよう、以下の情報収集及び情報共有に取り組むこと。①KDBシステムのデータ等を活用して情報収集を行い、在宅医療の詳細な分析に取り組んでいる他の都道府県の事例を参考にすること。(留意事項)KDBシステムのデータの取扱いに当たっては、国保・後期高齢者以外の被保険者(被用者保険や医療扶助など)については把握できないことや、訪問看護ステーションの医療保険レセプトは電子化されていないことに注意が必要である。②将来人口を見据え、既存統計等では把握できない医療機関ごとの訪問診療の実施可能件数や訪問診療への参入意向等について実態調査等を行い、その結果に基づいて有効な施策を講じること。また、調査の結果については、市町村や関係団体と共有し、有効に活用すること。」が目にとまった。国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)の活用は今後期待されるが、既存のデータを積極的に活用すべきと感じる。例えば、①厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」、②地域医療情報システム(http://jmap.jp/)、日医総研「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2017年度)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_637.html)、③内閣府「経済・財政と暮らしの関係「見える化」ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)の在宅医療関係SCR(往診、在宅患者訪問指導料、訪問看護指示料等)は市町村単位でデータが出ている。また、個別の機関がどのような在宅医療に取り組んでいるかは、病院・診療所(一般・歯科)は「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)、薬局は「薬局機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)、介護事業所は「介護サービス情報」(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)、障害サービス事業所は「障害福祉サービス等情報」(http://www.wam.go.jp/sfkohyoout/)が出ている。病院・有床診療所(一般病床、療養病床)の入退院支援の取り組み状況は「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)をみればわかる。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では、病院・病棟ごとに、①1年間/月間の退棟患者数(退棟先の場所別、退院後の在宅医療の予定別)、②急性期後・在宅復帰への支援(退院支援加算、救急・在宅等支援(療養)病床初期加算、介護支援連携指導料、退院時リハビリテーション指導料、退院前訪問指導料)、③平均在棟日数「(在棟患者延べ数)÷(((新規入院患者数)+(退棟患者数))÷2)」の実績が把握でき、一括ダウンロードができるようになっていることは常識としたい。どの病院が入退院支援加算(入退支)を算定しているか、医療介護情報局(https://caremap.jp/)で厚生局届出機関が公表されているが、その前に、関東信越厚生局HP(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/originalshiryoushu.html)のオリジナル資料集「在宅医療・介護連携における診療報酬と介護報酬 (平成30年度報酬改定版)」は理解しておきたい。なお、訪問看護ステーションの実績については、訪問看護ステーション連絡協議会の報告書が出ている地域が少なくないであろう。とにかく、在宅医療推進にかかるデータ分析は、都道府県・市町村の組織横断的な連携・協働で取り組む必要がある。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)の都道府県評価指標p1「指標;管内の市町村の介護保険事業に係るデータ分析等を踏まえた地域課題の把握と支援計画」では「地域包括ケア「見える化」システムその他の各種データを活用し、当該都道府県及び管内の市町村の地域分析を実施し、当該地域の実情、地域課題を把握しているか。また、その内容を保険者と共有しているか。※単に見える化システムのデータを共有しているだけでは課題把握とはいわない ・地域包括ケア「見える化」システムその他の各種データを活用し、地域分析を実施している(単に地域包括ケア「見える化」システムのデータ等を閲覧するのではなく、分析が必要) ・有識者を交えた検討会を開催し、地域分析を実施している ・地域分析を元に、各市町村における課題を把握している ・現状分析や地域課題を保険者と共有している」、p4「在宅医療・介護連携」では「在宅医療・介護連携について、市町村を支援するために必要な事業を行っているか。・在宅医療・介護資源や診療報酬・介護報酬のデータの提供をしている ・地域の課題分析に向けたデータの活用方法に対する指導・助言をしている ・入退院に関わる医療介護専門職の人材育成に取り組んでいる ・二次医療圏単位等地域の実情に応じた圏域において、地域の医師会等の医療関係団体と介護関係者と連絡会等を開催している ・在宅医療をはじめとした広域的な医療資源に関する情報提供を市町村に対して行っている ・在宅医療・介護連携推進のための人材育成を行っている ・住民啓発用の媒体を作成し、市町村が実施する普及啓発の支援を実施している。」等とある。都道府県と市町村が組織横断的に連携・協働した「在宅医療推進にかかるデータ分析」は会議、従事者研修、住民普及啓発などに積極的に活用したい。まずは人材育成が欠かせないであろう。
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災害医療コーディネーター、災害時小児周産期リエゾン

2019年02月19日 | Weblog
救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_540690.html)で、「災害医療コーディネーター活動要領及び 災害時小児周産期リエゾン活動要領」(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000477426.pdf)で協議されているが、今後それぞれの地域で具体的な取り組みが必要で、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000477432.pdf)p24「災害医療コーディネーター研修事業」、p25「災害時小児周産期リエゾン養成研修事業」の受講を計画的に進めたい。人材だけではない。「災害時における乳児用液体ミルク」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%B3%E5%85%90%E7%94%A8%E6%B6%B2%E4%BD%93%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%AF)は需要がありそうな気がする。ところで、消防庁「避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果等」(http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/11/301105_houdou_1.pdf)の市町村詳細(http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/11/301105_houdou_1-1.pdf)が出ていたが、災害医療コーディネーター、災害時小児周産期リエゾンに関する都道府県の取組の見える化も期待されるかもしれない。毎年の大々的な防災訓練の割には、内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(http://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_toilet_guideline.pdf)p12~16災害用トイレ(携帯トイレ、簡易トイレ、仮設トイレ、マンホールトイレ等)も心許ないように感じるのは気のせいであろうか。
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妊産婦に対する保健・医療体制

2019年02月18日 | Weblog
メディウォッチ「妊産婦の保健・医療はどうあるべきか、2020年度診療報酬改定論議にもつなげる―妊産婦保健医療検討会」(https://www.medwatch.jp/?p=24909)。<以下引用>
<妊産婦の支援に向けて、公的な保健・医療サービスはどのようにあるべきか―。こういった議論が厚生労働省の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(以下、検討会)で始まりました。今年(2019年)5、6月を目途に意見がとりまとめられ、その意見は、中央社会保険医療協議会の2020年度診療報酬改定における「妊産婦に対する診療を支援する評価の在り方」論議にもつながります。妊婦だけでなく、産婦も含めた「あるべき保健・医療の姿」を検討 少子化対策にも関連し、妊産婦が安心して子どもを産み育てられる社会の構築が強く求められています。そこで、厚労省は、▼妊婦健診に対する交付税措置や費用助成▼妊産婦に十分な医療を提供するための周産期医療体制の整備やハイリスク妊産婦への診療の充実―などを進めています。しかし、妊産婦の診療については、通常よりも慎重な対応や胎児・乳児への配慮が必要となることから、診療に積極的でない医療機関が存在することも指摘されています。例えば、妊婦が風邪などで内科診療所などを受診した場合、「当院では妊産婦の診療は難しい。産婦人科のクリニックや、産婦人科のある病院を受診してほしい」と要請されるケースもあるといいます。こうした状況を改善するために、中医協で「妊婦を支援する診療報酬」について議論を行い、2018年度の診療報酬改定で【妊婦加算】(初診料や再診料、外来診療料などの加算)を新設しました。ただし、「十分な説明なく妊婦加算が算定される」「通常の患者と同様と考えられるコンタクトレンズ処方などでも妊婦加算が算定される」との指摘があり、また「妊婦税である」などの偏った意見が大手マスコミ報道等でもなされるようになりました。さらに政治の場でも「妊婦加算の見直し」に向けた議論が行われ、根本匠厚生労働大臣は「妊婦加算の一時凍結」を決断。中医協でも了承され、今年(2019年)1月1日より凍結されています。あわせて根本厚労相は、「妊婦に対する診療の在り方について、有識者も含めて幅広く議論する」考えも提示し、検討会設置に至りました。検討会では、「妊婦」だけでなく「産婦」も含めた保健・医療のあり方を幅広く議論し、今年(2019年)5、6月を目途に意見を取りまとめます。さらに、検討会の意見を踏まえ、中医協で「妊産婦の保健・医療体制を支援する診療報酬」について議論し、2020年度の次期診療報酬改定での対応を検討することになります。「妊婦の妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療」「産婦の不安解消なども踏まえた適切な診療」を評価する診療報酬(加算など)の創設が今夏(2019年夏)以降、議論されることとなり、その要件(施設基準や算定要件)を検討する際には検討会意見をベースにする、というイメージが考えられます。妊婦の偶発的合併症に、一般医療機関も積極的に対応してほしい 2月15日の検討会初会合では、構成員間で自由討議が行われ、さまざまな意見が出されました。産婦人科医である中井章人構成員(日本産科婦人科学会代議員、日本医科大学多摩永山病院院長)は、妊婦の合併症には、▼妊娠に伴う合併症(産科合併症、ハイリスク妊娠管理加算などでカバーされる)▼妊娠とは直接関係のない合併症(偶発合併症)―の2種類があることを説明。後者の診療は産婦人科だけでの対応には限界があることを指摘し、産婦人科以外の診療科でも積極的な応が可能となる環境整備に期待しています。同じく産婦人科医である鈴木俊治構成員(日本産婦人科医会常務理事、葛飾赤十字産院副院長)も、「夜間に具合が悪くなった場合など、遠方にあるかかりつけの産婦人科を受診することがたいへんなケースもあり、近隣の医療機関できちんと診てもらえる環境が整えば、妊産婦は安心できる。また、感染症などでは、産婦人科での対応が困難な場合もあり、(例えば感染症の)専門医療機関において、妊婦の診療を積極的に実施してほしい」と要請しました。上述した【妊婦加算】は、こうした産婦人科医の要望をも踏まえたものでしたが、批判も強く、凍結に至っています。この点について中医協の公益代表でもある野口晴子構成員(早稲田大学政治経済学術院教授)は、「診療報酬改定で医療側の行動がどう変わるのか、サービスの水準が向上するのかを検証する良い機会であったが、凍結となってしまった」と感想を述べるとともに、批判の背景には「医療サービスの質向上コストについて、質の評価を十分に行えない患者(妊婦)に負担させた点があったのではないか」と分析しました。ほとんどの患者は医療に関しては「素人」であるため、「自身が受けている医療サービスの質」を評価することができません。このため「医療サービスの質が上がっているか分からないままに、高い価格を支払う(妊婦加算についての患者負担)ことには、十分に納得できなかった」というイメージでしょう。保険者代表として参画する松本義幸構成員(健康保険組合連合会参与)も、「妊婦への医療提供に当たっては、特別の配慮が必要なことは十分に理解している」と述べた上で、「妊婦加算の算定要件を検討する中で、患者視点が不十分であった」とコメントしています。また平川俊夫構成員(日本医師会常任理事)も、「妊婦加算への批判の理由を十分に検討していく必要がある」との考えを示しています。平川構成員は「産科医療機関と一般の医療機関との間、産科医療機関と行政との間、産科医療機関と患者・国民との間での情報連携の重要性」も指摘しました。もっとも検討会では、診療報酬に関する議論を正面からするわけではありません。妊産婦に対する保健・医療はどうあるべきかを中心テーマとして議論を行い、その中で「診療報酬での評価の必要性」に関する付随的な議論を行うにとどまる見込みです(診療報酬改定の論議は中医協で行うことになる)。妊産婦の多様なニーズを踏まえた相談支援体制が必要 妊産婦を支援する仕組みとしては、例えば▼産前・産後サポート事業(身近に相談できる者がいない妊産婦やその家族に、助産師や保健師、看護師などが相談等にのる)▼産後ケア事業(家族等から十分な家事・育児など援助が受けられない褥婦・産婦、その新生児・乳児に、宿泊(医療機関の空きベッドを活用)・デイサービス・アウトリーチ(訪問)サービスを提供する)―などがあります。また、妊産婦への適切な医療提供を行うために、すべての都道府県に▼総合周産期母子医療センター▼地域周期産母子医療センター―が整備され、さらに第7次医療計画(2018-23年度)では「無産科二次医療圏の解消」に向けた取り組みの強化なども行われています。しかし、石井和美構成員(知ろう小児医療守ろうこども達の会代表補佐)は、「妊産婦は多くの不安を抱えている。妊産婦を支援する国の制度や施設などもよくわからないのが実際である。普通の妊産婦が、簡単に理解し、納得できる仕組みが望ましい」と要望しています。また、保健・医療は「人」によって提供されます。この点、井上真智子構成員(浜松医科大学地域家庭医療学講座特任教授)は、産科医・総合医を経験する中で「産科医・総合医の教育」の重要さを痛感し、浜松医大で後進の育成に尽力。「妊産婦への医療提供の在り方についても熟知し、身近で何でも相談できる医師」の育成の重要性を強調。さらに、医師だけでなく「生活、医療の両面で、妊産婦と伴走できる、正確な知識を持った医療専門職」も必要であると井本寛子構成員(日本看護協会常任理事)が指摘しています。人材育成についての議論が展開される可能性もありそうです。さらに戸矢崎悦子構成員(全国保健師長会総務担当理事、横浜市南区福祉保健センター子ども家庭支援課長)は「妊婦が母子健康手帳(母子手証)を受け取りに来た時点で、『入所可能な保育所』に関する相談もある」ことを、福本怜構成員(下関市保健部長)は「経済的の困窮している妊産婦、精神疾患や精神的な不安を抱える妊産婦も少なくなく、社会的リスクにも配慮した保健・医療体制を整備する必要がある」ことを指摘しており、妊産婦の多様な相談支援ニーズに応えられるような体制も議論される可能性があるでしょう。検討会では、非常に幅広いテーマを議論していきますが、幅広すぎれば議論が拡散してしまう可能性もあります。今般の検討会で、どこまでをテーマとするのか、今後の動向が注目されます。検討会では、今後、構成員や外部専門家からの意見発表(プレゼンテーション)を踏まえて、妊産婦の保健・医療体制のあるべき姿を検討していきます。妊婦等対象に、診療で「配慮が不十分」と感じた経験や「配慮してほしい事項」など調査 あわせて厚労省では、「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」も実施します。産科医療機関(500の病院・診療所)を通じて、9000人から1万人程度の妊婦・褥婦(出産後間もない産褥にある女性)を対象に、▼妊娠・出産歴や基礎疾患の有無などの基本属性▼妊娠中の医療機関の受診状況▼妊娠中・産後の診療で「十分配慮されている」と感じた経験▼逆に「配慮が不十分」と感じた経験▼妊娠中・産後の診療で「特に配慮が必要」と考える事項(要望)▼妊娠中・産後の健康管理で留意している事項▼妊娠中・産後の健康管理に関して受けている支援―などを調べます。妊婦等の負担にも配慮し、スマートフォンなどで簡単に回答できるような工夫がなされます。調査結果は4月にも検討会に報告され、議論の重要な基礎資料となります。>

「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00007.html)がスタートしている。直接的なきっかけは、妊婦加算の凍結(http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20181219_01.pdf)であるが、この機に「妊産婦にかかる 保健・医療」全般(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000479245.pdf)の議論が期待される。ただし、それぞれの地域の状況がどうなのか、問われるであろう。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=129064)の母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p697~698都道府県別・政令市・中核市別の実施市町村数・割合が出ていたが、厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市町村ごとの実施状況について「見える化」すべきと強く感じる。里帰り分娩が多いことや分娩施設がない市町村の存在を考慮すれば、広域的な情報共有が不可欠であろう。この際、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)や日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)のように、母子保健事業の見える化があった方が良いであろう。ところで、「妊産婦」「医療費助成」でネット検索すれば、かなり多くの自治体で妊産婦医療費助成が行われているが、自己負担軽減策とセットであれば展開が変わったように感じる。あるいは妊産婦は保険診療の自己負担割合を3割から2割にするような意見も出るかもしれない。財源は妊産婦に良くないもの、例えば、このネット記事(https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-2475.html?readmore=1)をみると「タバコ税の引き上げ」も考えられるかもしれない。
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医師確保計画・外来医療計画とPDCA

2019年02月18日 | Weblog
NHK「5年後 内科医1万4400人 外科医5800人が不足 厚労省が推計」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190219/k10011819441000.html?utm_int=news_contents_news-main_007)。<以下引用>
<特定の診療科や地域で医師不足が深刻化する中、厚生労働省は診療科ごとの医師の不足数を初めて推計し、公表しました。今のままでは5年後に、▽内科で1万4000人余り、▽外科で5000人余りの医師が不足するおそれがあるとしています。厚生労働省は将来の医師不足について初めて診療科ごとに推計し、18日開かれた検討会で公表しました。それによりますと、医師の数が3年前と変わらなかった場合、5年後の2024年には、内科で12万7400人余りの医師が必要なところ、11%にあたる1万4400人余りが不足するおそれがあるとしています。また、▽外科では必要な医師の17%にあたる5800人余り、▽小児科で必要な医師の7%にあたる1200人余り、▽産婦人科で必要な医師の7%にあたる900人余り、がそれぞれ不足するおそれがあるとしています。さらに2030年には、▽内科で1万6200人余り、▽外科で5500人余り、▽小児科で600人余り、▽産婦人科で300人余り、不足するおそれがあるとしています。一方、医師の数が必要な人数を上回る診療科もあり、5年後の2024年には、▽精神科で700人余り、▽皮膚科で600人余り、▽耳鼻咽喉科で500人余り、上回る可能性があるとしています。そのうえで厚生労働省は、▽各都道府県ごとに診療科別の必要な医師数を推計し、医師が多い地域からの移動を促したり、▽若手の医師などに数が足りていない診療科を選択するよう促すなどして、必要な医師を確保していきたいとしています。医師をめぐっては現在、働き方改革が議論されていますが、長時間労働を防ぐためには診療科や地域ごとの医師の偏りを解消することが不可欠です。厚生労働省は必要な医師を確保するための実効性のある対策を早急に打ち出す必要があります。>

NHK「「医師少数県」16県指定へ 岩手や新潟 偏在解消へ対策 厚労省」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190218/k10011819311000.html?utm_int=news-new_contents_latest_002)。<以下引用>
<医師が都市部などに偏り、地方の病院で不足する偏在の問題を解消しようと、厚生労働省は16の県を「医師少数県」に指定し、医師の確保に向けた対策を重点的に実施していく方針を示しました。医師が都市部などに偏り、地方で不足する偏在が進む中、厚生労働省は検討会を開いて協議を行い、18日、対策案を示しました。案では、全国の都道府県の中で人口当たりの医師の数が少ない県などを「医師少数県」に指定し、重点的に対策を実施することで2036年までに偏在の解消を目指すとしています。少数県には岩手県、新潟県、静岡県など全都道府県のおよそ3分の1に当たる16の県が指定される見通しです。また複数の市町村にまたがる二次医療圏でも、全国112か所が「医師少数区域」に指定される見通しです。2036年には全国で合わせて2万4000人余りの医師が不足すると推計されています。一方で、東京都や京都府など16の都府県は「医師多数都府県」に指定される見通しです。2036年には全国で合わせて1万8000人余りの医師が過剰になると推計され、厚生労働省は少数県への医師の移動を促していきたいとしています。そのための具体的な取り組みとして、少数県で一定期間勤務した医師に国の認証を与える制度を活用したり、大学卒業後に特定の地域での勤務を義務づける医学部の「地域枠」を増やしたりすることなどが想定されています。ただ、医療関係者からは今想定している取り組みだけでは必要な医師を確保できないなどという声も上がっていて、実効性のある対策を打ち出せるかが焦点となります。「医師少数県」と「医師多数都府県」「医師少数県」に指定されるのは次の16の県です。人口当たりの医師の数などが少ない順で見ますと、▽最も少ない岩手県、▽次に少ない新潟県、▽そして、青森県、福島県、埼玉県、茨城県、秋田県、山形県、静岡県、長野県、千葉県、岐阜県、群馬県、三重県、山口県、宮崎県の16県です。「医師多数都府県」に指定されるのは次の16の都府県です。人口当たりの医師などの数が、▽最も多い東京都、▽次いで多い京都府、▽そして、福岡県、沖縄県、岡山県、大阪府、石川県、徳島県、長崎県、和歌山県、鳥取県、高知県、佐賀県、熊本県、香川県、滋賀県です。>

医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)で、二次医療圏ごとの「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480270.pdf)、「将来時点(2036年時点)における不足医師数、供給推計」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480267.pdf)、「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)が出ており、自分たちの医療圏がどうなっているか、認識したい。「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)の外来医師多数区域 は必ずしも都市部だけではない。厚労省医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)にある「医師確保計画・外来医療計画」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)は今後大きな話題になると思われるが、地域のデータに基づくPDCAが欠かせない。医療政策は、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)からの飛躍が必要になっているようである。そういえば、平成29年度全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197363.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000197362.pdf)p40「地域枠の導入状況(都道府県別)」、p41「各医学部の地元出身者(地域枠を含む。)の割合」、p43「(参考) 秋田県地域枠の状況」が出ており、「これまで地域枠で秋田大学医学部に入学した者全員が、卒業後に秋田県内に勤務している。」とあったが、各都道府県ごとに、これまでの年度別の「自治医大・地域枠出身医師の勤務先(診療科、地域)」「派遣ルール」「キャリア形成プログラム」が公表されるべきであろう。医師の養成に積極的に公費が投入されている自治医大・地域枠出身医師に関する情報公開すらできないようではいけない。自治医大出身医師(義務年限内)の派遣は知事権限ではあるが、地域枠出身医師も含めて、地元大学、都道府県医師会、病院団体等とスクラムを組んだ都道府県ガバナンスの強化が欠かせないであろう。
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NDBと介護DBの連結解析

2019年02月18日 | Weblog
国保情報2月11日号「KDB活用を通知 医療計画の中間見直しで」。<以下引用>
<厚労省は1月29日、第7次医療計画の中間見直しと第8期介護保険事業(支援)計画の策定に向け、在宅医療の取り組み状況についてKDBを活用し分析するよう都道府県に通知した。厚労省と国保中央会の間で、都道府県が分析しやすい形でKDBを提供できないか協議しており、まとまるのは4月以降になる見通し。データは都道府県と市町村、医療関係者などが在宅医療と介護施設の追加的需要に対する受け皿整備について、医療区分1の退院患者の医療・介護サービスの利用状況などを市町村別で集計し、関係者で共有化して協議するよう求めている。厚労省は都道府県の分析を支援するため、31年度予算案に費用を計上している。>

国保情報2月11日号「国保連に委託可能と法定 NDB・介護DBの第三者提供事務」。<以下引用>
<国が保有する医療保険と介護保険のレセプトデータベース(NDBと介護DB)の民間などへの第三者提供について、厚労省は今国会に提出する健保法等改正案に、その事務を国保連合会と社会保険診療報酬支払基金に委託できるとの規定を盛り込んだ。32年10月1日の実施を予定する。医療・介護提供体制を効率化することや地域包括ケアシステムの構築を目的に、厚労省は両データベースの連結データなどを、民間企業や研究機関などに第三者提供することを決めている。国がデータ提供の可否など根幹の事務は担うが、法案には情報を提供する時の事務や連結解析は委託できるとした。厚労省の有識者会議では「レセプト情報の構造に係る知見を元にした支援や人材の参画が妥当」との意見が出ており、審査支払機関にその役割を担ってもらうことにした。>

国保情報2月11日号「健康づくり、政府の改革工程表とリンクし推進を 知事会」。<以下引用>
<全国知事会は5日、昨年7月にまとめた「健康立国宣言」に基づく先進・有料事例の横展開は、政府が昨年末にまとめた「改革工程表」と方向性は同じだとし、テーマごとに作った各ワーキングチーム(WT)で関連する改革工程表の項目を整理するよう求めた文書を各都道府県に示した。今春に示す提言書に盛り込む。6日に開いた知事会の「持続可能な社会保障制度の構築に向けた会議」で説明した。文書は、上田清司会長(埼玉県知事)と尾崎正道社会保障常任委員長(高知県知事)の連名。政府が12月20日にまとめた「新経済・財政再生計画改革工程表2018」について、「各WTで進めている横展開の取り組みを深化させていくことは、すなわち、改革工程表に掲げられている改革項目を進めることにつながる」と強調。来年度もWTの活動を継続することや、「必要となる規制緩和や支援措置の提言を行うとともに、改革工程表の項目自体に課題等がある場合は是正に向けた提言も行う」と記述した。知事会事務局は、「政府の改革工程表とリンクをさせて取り組みを進めて行くという方向性を示した。具体的な進め方はこれから検討していく」としている。6日の会議は、渡辺俊介・日本健康会議事務局長が「日本健康会議が目指すもの」、堀田聡子・慶大大学院教授がオランダでの地域包括ケアの取り組みについて講演した。>

経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「新経済・財政再生計画改革工程表2018」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1220/shiryo_01-1.pdf)p5~10「予防・健康づくりの推進」は理解したい。医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)では、p4~5「NDB、介護DBの連結解析」、p6~7「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」が注目される。「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000428884.pdf)が法定になるのであれば、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は組織横断で活用される必要がある。また、3年ごとに実施される「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)は評価指標として活用されるべきである。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)では自立支援、重度化防止等に資する施策の推進として、「(1)地域密着型サービス」「(2)介護支援専門員・介護サービス事業所」「(3)地域包括支援センター」「(4)在宅医療・介護連携」「(5)認知症総合支援」「(6)介護予防/日常生活支援」「(7)生活支援体制の整備」「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」が評価指標となっているが、それらが各自治体においてどうなっているか、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で明らかにされても良いであろう。また、「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000192093.pdf)p4「保険者努力支援制度」は今年度から本格化しているが、介護保険の「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)と一体的に推進したい。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」が出ていたが、全国一律ではない。医療費の地域差については、医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)では、「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)、「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているほか、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。また、介護費の地域差については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、地域別の要介護認定率、介護費用額、保険料額が公表されていることは常識である。これからの社会保障は「一人当たり医療費の地域差半減、一人当たり介護費の地域差縮減」にどれだけ取り組めるかにかかっているであろう。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p1「医療・介護費は経済の伸び以上に増加。その要因を分析し、データに基づく政策の戦略的展開により、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促すことが必須。」、p3「地域における『予防・健康・医療・介護』は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラ。都道府県の役割は限定的。」「都道府県を、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促す司令塔へ。このため、制度(権限)・予算(財政)・情報(データ)・人材などの面で、都道府県の保健ガバナンスの抜本強化を検討。」とされているのであるが、やはり、「実践に基づく人材育成」が急務であろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」であるが、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=553056)資料にも目を通しておきたい。すでにNDBデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)は保険局「国保データベース(KDB)システム」(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)のような全国共通分析ツールで普遍的に分析活用が進んでいるが、介護データの分析活用は老健局「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)でも一部の項目に留まっているように感じる。NDBと介護DBの連結解析への期待は大きい。
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