保健福祉の現場から

感じるままに

負担増ラッシュ

2019年10月31日 | Weblog
NHK「国民健康保険の保険料上限額 来年度から2万円引き上げへ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191031/k10012159451000.html?utm_int=news_contents_news-main_004)。<以下引用>
<自営業者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、保険財政を改善するため、高所得者の年間の保険料の上限額を来年度から2万円引き上げて82万円にする案を、31日の社会保障審議会に示しました。自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、高齢化で悪化している保険財政を改善するため、毎年、保険料を見直していて、31日開かれた社会保障審議会の医療保険部会に来年度からの見直し案を示しました。それによりますと、年間の保険料の上限額を今の80万円から2万円引き上げて、82万円にするとしています。引き上げは3年連続で、厚生労働省の試算では、上限額を支払うのは年収がおよそ1120万円以上の単身世帯になるということです。また、40歳から64歳の人が一緒に納める介護保険の保険料についても、年間の上限額を今の16万円から1万円引き上げて、17万円にするとしています。これらを合わせた保険料全体の年間の上限額は99万円となり、加入者全体の1.68%の世帯が対象になる見通しです。>

医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の「国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000562176.pdf)p3「令和2年度においては、医療給付費等の増加が見込まれる中で、基礎賦課分を2万円、介護納付金分を1万円、それぞれ引き上げることにより、中間所得層と高所得層の引上げ幅の公平を図ることとしてはどうか。(後期高齢者支援金等分は据え置く)」とある。一方で、介護保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html)の「制度の持続可能性の確保」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000560823.pdf)の(1)被保険者・受給者範囲、(2)補足給付に関する給付のあり方、(3)多床室の室料負担、(4)ケアマネジメントに関する給付の在り方、(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、(6)高額介護サービス費、(7)「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準の行方が注目されており、ぜひ、医療と介護のセットでの保険料、窓口負担割合・上限額の議論を期待したい。そういえば、財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「財政健全化に向けた取組みについて~長期財政試算を踏まえて~」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300514/01.pdf)p7「ベースシナリオ;少なくとも17%までの消費税率引き上げ」・p8「リスクシナリオ;少なくとも22%までの消費税率引き上げ」とあり、朝日新聞「財政健全化には消費税26%も OECDが日本に指摘」(https://www.asahi.com/articles/ASM4H4CCXM4HULFA012.html)とあり、消費税率の引き上げが続く可能性が高いかもしれない。今後、①窓口負担割合の増加、②給付削減、③保険料の上昇、④消費税率の引き上げ、などさまざまな負担増が予定されている。とはいえ、窓口負担、保険料は所得によって異なり、保険料は地域によっても異なることは認識したい。医療費の地域格差;医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)では、「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)、「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているほか、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。医療費の大きな地域格差をみると、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204023.pdf)p23「高齢者医療確保法第14条」が脚光を浴びてもおかしくはないかもしれない。また、介護費の地域差については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、地域別の要介護認定率、介護費用額、保険料額が公表されていることは常識である。地域ごとの介護保険料をみれば、介護保険料額は高齢化率と必ずしも関係していないことがわかるであろう。負担増ラッシュは、予防・地域包括ケアの推進につなげるべきと感じる。
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ロボット支援下内視鏡手術

2019年10月31日 | Weblog
医療技術評価分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128167.html)の「令和2年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価等について(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000562215.pdf)p3「内視鏡手術用支援機器を用いた内視鏡手術等に対する評価について、レジストリを要件とする以下の技術のうち、関連学会等から分科会に対して当該技術に関連した提案書が提出された場合は、当該技術に係るレジストリへの参加状況及び手術等の実績等について検証を行った上で、検証結果を当該提案書に添付するよう求めることとする。」とされている。中医協総会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html)の資料「科学的な根拠に基づく医療技術の評価の在り方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000517304.pdf)p6「ロボット支援下内視鏡手術」について、p8「医療技術評価分科会において、既存の技術と同等程度の有効性及び安全性があるとされた医療技術については、平成30年度診療報酬改定の考え方と同様に、今後も診療報酬上においては同等の評価として保険適用を行うことについて、どう考えるか。」の行方が注目される。さて、「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kousei_408914_00001.html)の資料「日本における重点開発領域」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000515847.pdf)では⑥手術支援も位置付けられている。資料「オンライン手術(遠隔手術)について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000495289.pdf)p15「中国福建省、世界初の5G遠隔操作外科手術に成功」も出ていたが、現実を踏まえて、優れた海外の取り組みを貪欲に参考にすべきと感じる。「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101520_00002.html)の「医療・福祉サービス改革プラン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000513536.pdf)p1「2040年に向けたロボット・AI等の研究開発、実用化」とあるが、展開がかなり早まることは想定されないのであろうか。技術革新は何も日本だけの話ではないであろう。そういえば、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に関して、3月14日通知「医療機能情報提供制度実施要領の一部改正及び医療機能情報提供制度の実施に当たっての留意事項の一部改正」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)が発出されているが、保険収載された医療技術は、情報公開されるべきと感じる。平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の医科2資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197984.pdf)p25「ロボット支援下内視鏡手術;保険導入を行うロボット支援下内視鏡手術」は知っておきたい。
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PDCAからSPDCAへ

2019年10月31日 | Weblog
通知「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について」(http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000859068.pdf)では、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)に調査(Survey)が加わった、SPDCAが打ち出され、調査(Survey)は、「イ 事業所の医師の診療、運動機能検査、作業能力検査等により利用者の心身機能や、利用者が個人として行う日常生活動作(以下「ADL」という。)や手段的日常生活動作(以下「IADL」という。)といった活動、家庭内での役割、余暇活動、社会地域活動、リハビリテーション終了後に行いたい社会参加等の取組等といった参加についての状況を把握すること。別紙様式1「興味・関心チェックシート」を活用し、利用者の興味や関心のある生活行為について把握すること。 ロ 介護支援専門員より居宅サービス計画の総合的援助の方針や解決すべき具体的な課題及び目標について情報を入手すること。また、事業所とは別に医療機関において計画的な医学的管理を行っている医師がいる場合にあっては、適宜、これまでの医療提供の状況についての情報を入手すること。」とある。状況把握や情報入手はPDCAの基本であり、個別のケースマネジメントのみならず、地域マネジメントでも調査(Survey)を組み入れた「SPDCA」が良いかもしれない。そういえば、厚労省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000490342.pdf)p28「地域包括支援センターにおける事業の実施状況については、平成29年介護保険法改正において、地域包括支援センター設置者及び市町村による評価を行うことを義務化」とあり、p34都道府県別「市町村における地域ケア会議実施状況」が出ているが、p29「地域包括支援センター評価指標」ごとのデータが公表されるべきであろう。例えば、介護サービス情報(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)に資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000490342.pdf)p29「地域包括支援センター評価指標」を盛り込むか、あるいは、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で「地域包括支援センター評価指標」を公表しても良いように感じる。MUFG「 <地域包括ケア研究会> 2040年:多元的社会における 地域包括ケアシステム ―「参加」と「協働」でつくる包摂的な社会―」(https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/04/koukai_190410_17.pdf)p28~「行政・保険者の役割の再定義」で、p31「地域の課題解決を行政が丸抱えし、施策を検討し、実行、あるいは実行を依頼するといったスタイルから、地域の各種専門職団体や事業者、住民グループや地縁団体等の参加を得つつ、多様な主体が結合・連携する場を提供するためのコーディネーション機能を持つスタイルに移行すること、すなわち「参加と協働」を重視した行政を志向していく。このような役割を行政が担うためには、行政職員が「地域包括ケアシステム」を介護保険事務の延長として考えるのではなく、地域づくりのための企画業務であるということを強く認識し、そのミッションを担う人事を検討していくことが重要である。」は全く同感で、p33「地域包括支援センターの使命の中には、地域の多様な関係者とともに地域の仕組みづくりを進める業務(地域マネジメント)も重要な位置を占めており、業務は単に個別ケースの支援への対応にとどまらない。」は、地域包括支援センター(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/#HID1)だけで考える時代ではないように感じる。地域の関係機関・団体、地域住民が地域包括支援センター(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/#HID1)と連携・協働する時代であろう。
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予防接種従事者研修会

2019年10月31日 | Weblog
予防接種リサーチセンター(http://www.yoboseshu-rc.com/)の「予防接種従事者研修会資料」(http://www.yoboseshu-rc.com/publics/index/1/detail=1/c_id=171/page171=1/type554_171_limit=5/#page1_171_172)に目を通しておきたい。市町村保健センターでは、予防接種基本方針部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127714.html)の資料「ロタウイルスワクチンについて」(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000550937.pdf)p34「論点のまとめ」にあるように、来年10月からのロタウイルスワクチンの定期接種化が気になるところかもしれない。市町村の来年度予算に反映する必要(システム変更含む)もある。なお、日本ワクチン産業協会(http://www.wakutin.or.jp/)の資料は有用であるが、厚生科学審議会資料(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/indexshingi.html)とセットでみておきたい。
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厚生年金「加入逃れ」

2019年10月31日 | Weblog
NHK「厚生年金適用拡大 中小企業団体 “負担増え影響大きい” 」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191105/k10012164941000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_020)。<以下引用>
<パートなどで働く短時間労働者への厚生年金の適用拡大をめぐって自民党のヒアリングが行われ、中小企業の団体からは保険料の負担が増え影響が大きいとして、緩和が検討されている企業規模の要件について、現状維持や段階的な引き下げを求める意見が相次ぎました。厚生年金への加入は従業員501人以上の企業で、週20時間以上働き、月収が8万8000円以上あることが条件となっていますが、厚生労働省はパートなどで働く短時間労働者が加入しやすいよう企業規模の要件を緩和する方向で検討しています。これについて、自民党の社会保障制度調査会は5日、中小企業で作る団体などからヒアリングを行いました。この中で、全国中小企業団体中央会などは保険料の半分は企業が支払うことから中小企業は負担が増えるとして、「従業員501人以上」となっている要件を現状のまま維持するよう求めました。そのうえで仮に緩和する場合でも100人や50人規模の企業まで一気に拡大すると影響が大きいとして、段階的な引き下げを求める意見も出されました。一方で日本チェーンストア協会などは、企業規模によって加入条件が異なるのは不公平だとして、要件の緩和を容認する姿勢を示しました。自民党は引き続き関係団体からヒアリングを行い、今月中に具体策をまとめることにしています。>

NHK「厚生年金「加入逃れ」対策 日本年金機構の権限強化へ」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191030/k10012157651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_023)。<以下引用>
<厚生年金の保険料を支払わずに「加入逃れ」をしている事業所が後を絶たないことから、厚生労働省は強制的に立ち入り検査ができるよう、日本年金機構の権限を強化することになりました。厚生労働省によりますと、厚生年金への加入は、すべての法人事業所と、従業員が5人以上の個人事業所に義務づけられていて、合わせて236万社、およそ4000万人が加入しています。しかし、保険料を意図的に支払わず、加入義務を逃れる、いわゆる「加入逃れ」をしている事業所がおよそ36万社あり、およそ156万人は、厚生年金が適用されない状態になっているとみられます。このため、厚生労働省は、30日開かれた社会保障審議会の年金部会に、「加入逃れ」が疑われる場合には加入の届け出がない事業所でも、強制的に立ち入り検査ができるよう日本年金機構の権限を強化する案を示しました。これに対し、出席者からも「逃げ得をなくす取り組みだ」として、賛成する意見が出されました。このほか、部会には、未婚のひとり親で所得が低い人の国民年金の保険料の支払いを全額免除する案や公的年金の加入者に交付されている年金手帳を廃止する案なども示され、いずれも了承されました。厚生労働省は年内に具体案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。>

年金部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126721.html)の「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項 について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000561886.pdf)p11「厚生年金の適用の可能性がある法人事業所(国税庁情報に基づく調査対象);約36万件〔H31.3末時点〕」「法的権限に基づく立入検査はH30年度46件」「未適用事業所であるものの、「適用事業所である蓋然性が高いと認められる事業所」については、法的権限に基づく 立入調査が行えず、任意の指導等によって適用対策を進めている。こうした事業所に対しても、法的権限に基づく立入調査の対象に加える改正を行うことで、未適用事業所への実効性ある対応を可能とし、社会保険の適切な適用の促進に資するよう、規定の明確化を行う。」とある。「経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0621/shiryo_04-1.pdf)p26「短時間労働者に対する年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めていく。」、p56「年金及び介護については、必要な法改正も視野に、2019年末までに結論を得る。医療等のその他の分野についても、基盤強化期間内から改革を順次実行に移せるよう、2020年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(以下「骨太方針2020」という。)において、 給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる。」とあった。まずは、厚生年金(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/)に関する基本的な理解の普及が欠かせないように感じる。


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看護職員の需給

2019年10月30日 | Weblog
CBnews「看護職員が余るか考えたら人事制度の課題に行き着いた」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20191029193245)。<以下一部引用>
<■看護職員需給分科会「看護職員は都市部で大幅に不足する」 21日に行われた「医療従事者の需給に関する検討会 第12回看護職員需給分科会」にて、2025年の看護職員に関する需給推計を含む中間取りまとめ案が示された。「2025年看護職員需要、16年比最大36万人増」(9月30日開催の第11回看護職員需給分科会についての記事) 需給推計の人数、特に25年に約6万-27万人不足するとした推計結果は、用いた推計ツールの妥当性やシナリオなどの推計方法に対し、議論の余地はあるかもしれない。しかし、その過不足に地域差が生じることについては異論なしだろう。東京や神奈川などの首都圏や大阪では大幅に不足する可能性を示唆した=グラフ1=。ただし、秋田など供給過剰となる地域があることも同時に示している。「病院経営課題は看護職員の『確保』から『マッチ』へ」と題した拙稿で、神奈川と秋田の病院看護職員の需給見通しから、このような地域差が生じる可能性について示した。その記事でも言及したことだが、看護職員における需給バランスの地域差は、将来、職員確保に影響を与えることは間違いない。当然、病院経営にも影響を与える問題だと理解すべきだろう。■公立病院の人件費率の高さは「年齢」が影響している?? 地方公営企業年鑑のデータ分析を基に述べた「公立病院の構造的課題を解決するには」の拙稿において、中小病院ほど職員給与費の比率が高くなっていることを示した=グラフ2=。>

看護職員需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_338805.html)の9月30日資料「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10805000/000553127.pdf)p11~12「都道府県別需給推計」が出ており、p12「平成31年1月17日に開催された第5回看護職員需給分科会において決定された「推計ツール」による推計方法に統一することで全国単位の共通軸で状況把握を行う必要から、その推計方法と異なる独自の推計をもって提出された都道府県分においては、国が数値を客観的に把握している事項について、補正した(該当都道府県の実提出データは後掲)。」とあり、p13~14「都道府県の実提出データ」が出ていた。9月30日中間とりまとめ案(https://www.mhlw.go.jp/content/10805000/000553127.pdf)p12「(国の)推計方法と異なる独自の推計をもって提出された都道府県」では「独自の推計」に関する説明が必要になるかもしれない。看護職員需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_338805.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000514972.pdf)p23「都道府県別にみた病院の病床100対看護職員数(平成28年)」、p24「2次医療圏毎の病床数と病院の看護職員就業者数の関係(平成28年)」をみれば、看護職員数は病床数と強い相関があることがわかり、看護職員の需給は「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)による病床数の適正化の影響が小さくない。看護職員の需給推計(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000469053.pdf)p2「各都道府県が行う看護職員の需要推計は、次のような方法で実施する。 ① 現在の病床数・患者数及び看護職員数をもとに、医療需要(病床数あるいは患者数)あたり看護職員数を設定。 ② 医療需要については、 ・ 一般病床及び療養病床については、都道府県の地域医療構想における2025年の病床数の必要量による。また、訪問看護事業所、介護保険サービスについては、介護保険事業計画による。 ・ 地域医療構想で医療需要が示されていない領域(精神病床、無床診療所(外来)、保健所・市町村・学校養成所等)については、一定の仮定を設定して推計を行う。 ③ ①②により、将来の看護職員数を推計する。その際、常勤換算人員数に加えて、実人員数も推計する。また、看護職員の労働時間や勤務環境改善に関する複数の仮定を設定して推計する。」とある。9月30日資料「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(案)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10805000/000553127.pdf)p11~12「都道府県別需給推計」とp13~14「都道府県の実提出データ」の違いはどこで生じているのであろうか。
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診療実績データの分析

2019年10月30日 | Weblog
CBnews「「再編統合」で民間データも公表へ、医政局課長が明示 回復期・慢性期の分析も検討し提供」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20191030122434)。<以下一部引用>
<厚生労働省が29日に開いた「地域医療構想に関する自治体等との意見交換会」で、医政局の鈴木健彦・地域医療計画課長は、高度急性期と急性期の民間病院の診療実績データなども収集し、公表する方針を示した。民間も含めて各病院が地域でどのような医療機能を担うべきかを議論する必要があるといった意見があったためで、鈴木課長は「どのように公表するか検討する」と説明。また、回復期や慢性期機能を担う医療機関のデータの分析も検討し、提供する考えを明らかにした。地域医療構想を実現させるため、厚労省は9月、がんや急性心筋梗塞などの地域シェアが小さい自治体立・公的424病院のリストを公表。今後、これらの病院の地域での役割を、「再編統合」を含めて見直すよう各都道府県に要請する。意見交換会は、424病院を公表した趣旨の説明などを行うために開いたもので、関東信越会場の省内に関係者約270人(傍聴者を除く)が集まった。鈴木課長は意見交換会の冒頭、424病院の公表によって地域住民や対象病院の従事者らに不安や混乱を招いたとして、「深く反省している」と謝罪。その上で、データの公表は地域での議論を活性化させるのが目的で、再検証の対象病院に「再編統合」を強制するものではないと改めて強調した。また、地域医療構想の実現に向け、地域でそれぞれの実情に見合った取り組みを行うよう求めた。>

NHK「民間病院の診療データ公表 日本医師会「現場に混乱」と反対」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191030/k10012157191000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_028)。<以下引用>
<公立病院の再編・統合をめぐり、厚生労働省が、民間病院の診療実績などの公表を検討していることについて、日本医師会は、病院名を公表すると風評被害が起き、現場に混乱を招くとして反対する考えを示しました。厚生労働省は、地域ごとに病院の再編・統合の議論を促そうと、診療実績が特に少なかったり、近くに似たような病院があったりする全国424の公立・公的病院名を公表したのに続き、民間病院の診療実績などのデータについても公表を検討しています。これについて日本医師会の中川俊男副会長は、記者会見で「公立病院には税金が投入されているが、民間病院には直接的な財政支援はなく同じ土俵にはない。民間病院の分析の公表は、現場に混乱を招く」と指摘しました。そのうえで「公表データで病院のランキングがつくられたりしたら、風評被害は計り知れず、金融機関からの資金調達にも支障が出るおそれがある。病院名を広く一般に公表する必然性はない」と述べ、民間病院のデータの公表に反対する考えを示しました。>

閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2019」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/decision0621.html)(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/2019_basicpolicies_ja.pdf)p60「地域医療構想の実現に向け、全ての公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針について、診療実績データの分析を行い、具体的対応方針の内容が、民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、重点対象区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うとともに、適切な基準を新たに設定した上で原則として 2019年度中に対応方針の見直しを求める。民間医療機関についても、2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す。」とあった。地域医療構想調整会議における民間病院のデータは、すでにネット公表されている「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)や医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)などの分析は必要であろうが、9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された公立公的病院の再検証要請対象医療機関のようなリストアップはしなくても良いように感じる方が少なくないかもしれない。さて、各地で開催されている「地域医療構想に関する自治体等との意見交換会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07279.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558822.pdf)は最終日である。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558822.pdf)p2「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません。また、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもありません。」とあり、「地域医療構想のこれまでの議論について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558405.pdf)p11「具体的対応方針の再検証における「再編統合」とは」の「地域の医療提供体制の現状や将来像を踏まえつつ、個々の医療機関の医療提供内容の見直しを行う際には、・医療の効率化の観点から、ダウンサイジングや、機能の分化・連携、集約化 ・不足ない医療提供の観点から、機能転換・連携等を念頭に検討を進めることが重要である。(これらの選択肢が全て「再編統合」に含まれると解する。)」の理解が欠かせないが、「再編統合」の響きが強すぎて、「再編統合=病院自体の統廃合」の誤解が広まっているようである。そもそも9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関については、①急性期6分野で実績0(例えば周産期)で役割分担されていても「類似」の取り扱いにされていること、②すでに大規模な再編が行われた病院も抽出されていること、③病床稼働率が全く勘案されていないこと、などの疑問がある。一応、地域医療構想に関するワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の今年6月21日の会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05350.html)で、全国の構想区域ごとの個別の病院の状況(民間病院も含む)が示されている。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料「地域医療構想について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000516866.pdf)p16「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知;都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。;③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」にあったが、全国各地の地域医療構想では個別病院データがどこまで示され、議論されてきたかが、問われる。
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外来医療計画

2019年10月30日 | Weblog
日本医師会「2018・2019年度地域医療対策委員会中間答申について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008931.html)(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20191016_2.pdf)(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20191016_2.pdf)が出ている。まず、「外来医療計画」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)は「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について(地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000527381.pdf)p105「地域における外来医療機能の不⾜・偏在等への対応」ばかりではない。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)では、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)がメイン分析ツールとなっているように、「外来医療計画」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)がメイン分析ツールとなるべきと感じる。もっといえば、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)と「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の実績項目で重複が多く、医療機関の負担軽減の観点から、将来的な統合が図られても良いであろう。通知「医療機能情報提供制度実施要領の一部改正及び医療機能情報提供制度の実施に当たっての留意事項の一部改正」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)で、診療所には、かかりつけ医機能(地域包括診療加算・診療料、日常的な医学管理と重症化予防、地域の医療機関等との連携、在宅療養支援・介護等との連携など)が公表されるようになっていることは知っておきたい。「外来医療の機能分化、かかりつけ医の機能の評価」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197995.pdf)の行方が注目される。「外来医療計画」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)では、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)p21~「医療機器の効率的な活用に係る計画」が前面に出ても良いように感じる。
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保健事業と介護予防の一体的な実施

2019年10月30日 | Weblog
「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の推進に向けたプログラム検討のための実務者検討班」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00013.html)の報告書(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106699_00012.html)の「高齢者の保健事業と介護予防等との一体的な実施を推進するため広域連合の財源で市町村が実施する事業等」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000551950.pdf)p2「市町村においては、広域計画に基づき高齢者保健事業の委託を受けた場合において、高齢者の保健事業と介護予防等との一体的な実施の事業内容を含む基本的な方針を定め、広域連合との委託契約及び基本的な方針に基づき事業を実施する。」「医療専門職(1市町村において、KDBシステムを活用し医療レセプト・健診(後期高齢者の質問票の回答を含む。)・介護レセプトのデータ等の分析を行い、一体的実施の事業対象者の抽出、地域の健康課題の把握、事業の企画・調整・分析・評価等を行う保健師等の医療専門職(当該業務の一部を他の職員等と分担して実施しても差し支えない。)、2市町村内の各地域(日常生活圏域を想定)において、通いの場等への積極的な関与や個別訪問等の支援を行う医療専門職(保健師、管理栄養士、歯科衛生士等))を配置して事業を行うものとし、広域連合は委託事業費を交付する。」とあるが、p12「委託事業費の対象となる医療専門職については、既に市町村に配置されている医療専門職が委託に係る業務を実施する場合であっても交付の対象とするが、広域連合からの委託に係る業務を年間を通じ適正に実施する必要がある。なお、企画・調整等の業務に従事する医療専門職は正規職員を念頭に置いているが、各地域において個別的な支援や通いの場等の関与等の業務を行う医療専門職については常勤、非常勤等を問わない。」「広域連合から交付される委託事業費を活用して、新たに医療専門職を地域包括支援センター内に配置し、一体的実施等の保健事業を実施することは差し支えない。ただし、当該医療専門職は、一体的実施等の保健事業に従事する必要があり、人件費等の会計処理も地域支援事業交付金と明確に区分することが必要である。また、当然ながら、地域包括支援センターの包括的支」とあり、柔軟な対応が必要と感じる。「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_520284_00006.html)の「専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000558773.pdf)ではp20「地域リハビリテーション活動支援事業」によるリハビリ専門職が念頭に置かれているが、市町村保健センターの医療専門職(保健師、管理栄養士、歯科衛生士等)も保健事業と介護予防の一体的な実施には欠かせないであろう。「PDCAサイクルに沿った介護予防の推進」では、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)、後期高齢者健診(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000551949.pdf)、「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)はセットで評価されるとともに、地域住民を巻き込んだ「保健事業と介護予防の一体的な実施」の推進組織として、市町村保健センター所管の「健康づくり推進協議会」(https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/shisei/shingikai/1010349/1015187.html)(https://www.city.date.hokkaido.jp/hotnews/detail/00000891.html)(http://www.city.narashino.lg.jp/kenkofukushi/minnnanokennko/kenkousuisin/431120120824165044064.html)を積極的に活用しても良いように感じる。
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児童虐待防止と母子保健履歴

2019年10月30日 | Weblog
NHK「生後1か月の長男死亡 暴行容疑で母親逮捕 死亡の経緯調べる」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191029/k10012154931000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001)。<以下一部引用>
<去年10月、当時住んでいた川崎市の自宅で生後1か月の長男をうつぶせに寝かせたまま放置し、口や鼻を塞ぐなどしたとして30歳の母親が暴行の疑いで逮捕されました。長男はことし1月意識不明の状態で搬送され、その後、死亡していて、警察は詳しいいきさつを調べています。逮捕されたのは東京 八王子市の事務職員、木下利華容疑者(30)です。警察の調べによりますと、木下容疑者は去年10月、当時住んでいた川崎市宮前区のマンションの部屋で、生後1か月だった長男の登満ちゃんをうつぶせに寝かせたまま40秒ほど放置して口や鼻をふさいだほか、その8日後にも胸を複数回たたいたとして暴行の疑いが持たれています。登満ちゃんはことし1月に自宅で意識不明の状態となって救急搬送され、その1か月余りあとに死亡していて、児童相談所が頭部に不自然な損傷があるとして警察に通報したということです。警察が捜査した結果、去年10月の暴行の様子が撮影された動画が見つかり、事件に関わった疑いがあることが分かったということです。調べに対し「何も話したくない」と供述しているということです。警察は登満ちゃんが死亡したいきさつについても詳しく調べることにしています。児童相談所「以前に扱いない家庭」 川崎市の中部児童相談所は登満ちゃんが意識不明の状態で救急搬送されたことで、ことし1月に初めて木下利華容疑者の家庭の状況を把握したということです。それ以前に扱ったことはなかったということです。木下容疑者が当時説明した内容や、子どもとどのような関わり方をしていたかなどについては「明らかにできない」としています。一方、乳幼児の健診や子育て支援などを行っている川崎市宮前区によりますと、生後1か月ほどの赤ちゃんがいる家庭を対象に行っている新生児訪問で、木下容疑者の家庭を訪問し親子と面会したということです。その際の詳しい状況などは明らかにできないということですが「行政として適切な対応をとった」としています。>

NHK「生後1か月の長男に暴行疑い 逮捕の母親「育児に悩んでいた」」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191030/k10012156021000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_080)。<以下一部引用>
<去年、自宅のマンションで生後1か月の長男をうつぶせに寝かせたまま放置し、口や鼻を塞ぐなどしたとして暴行の疑いで逮捕された30歳の母親が、任意の調べに対し「育児に悩んでいた」と話していたことが警察への取材で分かりました。長男はその後、死亡していて警察は詳しいいきさつを調べています。東京・八王子市の事務職員、木下利華容疑者(30)は去年10月、当時住んでいた川崎市宮前区のマンションの部屋で、生後1か月だった長男の登満ちゃんをうつぶせに寝かせたまま放置して口や鼻を塞いだほか、胸をたたくなどしたとして暴行の疑いで逮捕されました。木下容疑者は調べに対し黙秘しているということですが、逮捕前の任意の調べには「育児に悩んでいた」と話していたことが警察への取材で分かりました。これまでの調べで、当時、登満ちゃんと1歳の長女、それに38歳の夫との4人暮らしで、木下容疑者が撮影したとみられる暴行の様子を映した動画が見つかっているということです。登満ちゃんはことし1月、意識不明の状態で搬送され、その翌月に死亡していて、警察は死亡したいきさつについても詳しく調べることにしています。>

このケースの妊娠届出、妊婦健診、産婦健診、出生届、新生児訪問などの詳細な母子保健履歴が問われるように感じる。保健センターの記録や母子健康手帳の記載はどうなっているであろうか。母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p695「産婦健康診査事業」では、産後2週間、産後1か月に「精神状態の把握」も行われ、「産後に心身の不調又は育児不安等がある者」にはp694「産後ケア事業」も行われることになっている。母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p697~698都道府県別・政令市・中核市別の実施市町村数・割合が出ていたが、厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市町村ごとの実施状況について「見える化」すべきと強く感じる。里帰り分娩が多いことや分娩施設がない市町村の存在を考慮すれば、広域的な情報共有が不可欠であろう。「子ども虐待による死亡事例等の検証」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198645.html)の度に、母子保健と児童福祉がクローズアップされるようではいけない。児童虐待防止(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html)に関して、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000152978.pdf)p97「子育て世代包括支援センターの法定化、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備(改正母子保健法第22条及び改正児童福祉法第10条の2)」がタテワリであってはならないのはいうまでもない。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/000339275.pdf)p18「市区町村における子育て支援施策及び母子保健施策」について、それぞれの自治体では、取り組み実績は理解されているであろうか。
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再編統合と周産期医療

2019年10月29日 | Weblog
朝日新聞「妊婦専用の救急車、導入を検討 分娩休止予定の丹波篠山」(https://www.asahi.com/articles/ASMBY4F02MBYPIHB00K.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<兵庫医科大学ささやま医療センター(丹波篠山市)が産科医不足などから来年3月末で分娩の取り扱いを休止する方針を示していることを受け、丹波篠山市の酒井隆明市長は29日の市議会全員協議会で、出産が迫った妊婦を病院に運ぶ「マタニティサポートカー」などの運行を検討する方針を示した。ささやま医療センターは産科医2人で、安全な出産態勢の維持が困難として、3月末での分娩休止の方針を示している。存続を求める市とセンターの議論は平行線をたどり、市が設置した検討会では、いざという時に市外の病院に行けるか懸念が示されていた。マタニティサポートカーは妊婦専用の救急車で、出産が近づいた妊婦をかかりつけ医がいる病院まで無料で搬送する。また市は、「お産応援タクシー」も検討。事前に登録した妊婦を対象に、陣痛が始まった時などに医療機関へ優先的にタクシーで送迎する仕組みで、県内でも事例があるという。酒井市長は「速やかに検討し、安心できる態勢を作りたい」と述べた。検討会では、市立の産科診療所設立案や助産師が出産に対応する「バースセンター」の設置案も示されている。>

地域医療構想(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、地域医療構想に関する自治体等との意見交換会資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558822.pdf)p2「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません。また、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもありません。」とあり、「地域医療構想のこれまでの議論について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558405.pdf)p11「具体的対応方針の再検証における「再編統合」とは」の「地域の医療提供体制の現状や将来像を踏まえつつ、個々の医療機関の医療提供内容の見直しを行う際には、・医療の効率化の観点から、ダウンサイジングや、機能の分化・連携、集約化 ・不足ない医療提供の観点から、機能転換・連携等を念頭に検討を進めることが重要である。(これらの選択肢が全て「再編統合」に含まれると解する。)」の理解が欠かせないが、9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関については、①急性期6分野で実績0(例えば周産期)で役割分担されていても「類似」の取り扱いにされていること、②すでに大規模な再編が行われた病院も抽出されていること、③病床稼働率が全く勘案されていないこと、などの疑問がある。リストアップされている病院の再検証は当然として、それ以外の病院も継続的な検証は必要であろう。経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の厚労相資料(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1028/shiryo_02.pdf)p1「三位一体の取組」が出ているが、これまでの報道(https://www.asahi.com/articles/ASMBP3R1TMBPPJLB00H.html?iref=com_apitop)(https://www.asahi.com/articles/ASMBR569MMBRTIPE024.html?iref=com_apitop)では、「再編統合=病院自体の再編・廃止」の誤った受け止めが多く、「医師の働き方改革」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000558850.pdf)p22「医師の時間外労働規制(2024年4月~)」が全く念頭にないように感じる。全国医学部長病院長会議「今後の「医師確保対策」の進め方について」(https://www.ajmc.jp/pdf/20190611_02.pdf)p2「医師不足問題は医療提供体制と表裏一体の問題であり、それぞれの地域における現状の医療提供体制を前提として、「医師確保計画」を検討すべきではない。特に診療密度の高い高度な先進的医療や急性期医療は、症例数に比例配分して医師を配置できる訳ではなく、医療の質や医療安全などの観点からも、集約化が不可欠である。したがって、病院の再編・統合を含めた医療提供体制の見直しも視野に入れながら、医師の適正配置を検討すべきである。」とされ、CBnews「公立・公的医療機関の再編統合「やぶさかではない」 全自病・小熊会長」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20190620205245)と報道されていることは認識したい。特に、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05173.html)で日本産婦人科学会資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000529934.pdf)p11「地域の公的病院の分娩室機能の集約化」が要請されており、9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関で分娩を取り扱っている場合は、周産期医療体制の検証が欠かせない。資料2「具体的対応方針に係る再検証の要請等、診療実績データ分析等の活用について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551026.pdf)p2「公立・公的医療機関等に求める再検証の内容について」では「① 2025年を見据えた構想区域において担うべき医療機関としての役割の見直し例として、「周産期医療を他医療機関に移管」が例示されている。周産期医療体制の検証にあたっては、①人口動態統計(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450011&tstat=000001028897)による市町村別出生統計、②国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)の「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」による市町村別15~49歳女性将来推計人口、③医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)による医療機関ごとの産科領域の一次診療の有無、正常分娩件数、選択帝王切開術件数、緊急帝王切開術件数、NICU、MFICU、産婦人科専門医数、周産期(新生児)専門医数、助産師数、新生児集中ケア認定看護師数、助産所の人員配置・分娩取扱数、④病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)による有床医療機関ごとの新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、助産師数、分娩件数、などの地域データを踏まえたい。医療介護情報局(https://caremap.jp/)は、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)の正常分娩件数、選択帝王切開術件数、緊急帝王切開術件数、産婦人科専門医、周産期(新生児)専門医、助産師がデータベース化(https://caremap.jp/cities/search/facility_medical)されるとともに、基本診療料の「A236-2 ハイリスク妊娠管理加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a236-2.html)、「A302 新生児特定集中治療室管理料」(https://www.clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_3/a302.html)、「A303 総合周産期特定集中治療室管理料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_3/a303.html)、特掲診療料の「B005-4 ハイリスク妊産婦共同管理料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-4.html)、「B005-10 ハイリスク妊産婦連携指導料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1/b005-10.html)がどの医療機関で算定されているか容易に把握(https://caremap.jp/cities/search/facility)でき、有用である。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」での若年女性人口のほか、少子化社会対策白書(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30pdfhonpen/pdf/s1-3.pdf)p14「50歳時の未婚割合の推移と将来推計」;50歳男性未婚23.4%(2015年)→26.7%(2020年)、50歳女性未婚14.1%(2015年)→17.5%(2020年)を踏まえれば、日本産婦人科学会資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000529934.pdf)p11「地域の公的病院の分娩室機能の集約化」は避けられないようにも感じる。産科セミオープンシステム(http://www.med.jrc.or.jp/hospital/clinic/tabid/412/Default.aspx)(http://www.wakayama-osannet.org/sankasemi.html)(http://www.aiiku.net/cooperation/)や院内助産システム(https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/innaijosan/index.html)の推進も考えられるであろう。日本看護協会「日本助産評価機構が新たに992人認証 アドバンス助産師1万2,000人に」(http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20181219095403_f.pdf)の「2018年度 アドバンス助産師認証者数(都道府県別)」(https://josan-hyoka.org/wp/wp-content/uploads/2018/12/2018認証者都道府県別.pdf)が出ていたが、平成30年度からの第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の別表9「周産期医療の医療体制構築に係る現状把握のための指標例」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)の評価指標(ストラクチャー)には「アドバンス助産師数」(http://josan-hyoka.org/personalidentification/namelist/)があることは知っておきたい。なお、産科セミオープンシステムの推進のためには、医療法(https://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)の「第二十一条 病院は、厚生労働省令(第一号に掲げる従業者(医師及び歯科医師を除く。)及び第十二号に掲げる施設にあつては、都道府県の条例)の定めるところにより、次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。」の「十 診療科名中に産婦人科又は産科を有する病院にあつては、分べん室及び新生児の入浴施設」を見直すべきと強く感じる。「分娩はやらないが、妊婦健診を実施する病院」は少なくないからである。
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病床機能の見直しとダウンサイジング

2019年10月29日 | Weblog
国保情報10月21日号「病院団体が風評懸念 再編統合の公立病院公表」。<以下引用>
<厚労省の医療計画見直し検討会は18日、同省が公立公的病院の再編統合・縮小に向け、424の病院名を先月の地域医療構想ワーキンググループ(WG)で公表したことの報告を受けた。岡留健一郎構成員(日本病院会)は「各病院が戦々恐々。医政局は慎重にやってほしい」と要請。「風評被害が必ず出てくる。病院がなくなり医者がいなくなる」と懸念した。一方、本多伸行構成員(健保連)は、全国知事会などが公表事態を批判したことを「個人的に残念」と述べた。WGには、本多氏や医療関係団体、都道府県担当者も参加し30年春から議論してきたと振り返り、「知事まで情報が全く上げられていないことは悲しい」「厚労省は間違っていない。引き続き頑張ってほしい」と発言した。藤井康弘構成員(協会けんぽ)は、各医療圏の地域医療構想調整会議に「市町村国保や広域連合が参画していると、被用者保険が参画できないことがある」と指摘。市町村との立場の違いを主張して、都道府県に被用者保険代表の参画を要望。また、協会が保有するビッグデータを調整会議の活性化に役立てることを提案した。>

朝日新聞「病院再編構想、都内でも10病院 区長「実情反映せず」」(https://www.asahi.com/articles/ASMB83TR2MB8UTIL01C.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<厚生労働省が9月末、再編統合を検討してもらうことが必要だと評価された424の公立・公的病院の名前を公表した問題。リストには東京都内の10病院も含まれており、地元の自治体からは「実情を反映していない」と不満の声があがっている。厚労省は29日、都内で自治体や病院関係者との意見交換会を開いた。対象となった施設は、23区内にも。その一つが、台東区立台東病院だ。高齢者の慢性期医療を担う拠点病院として、区が2009年に開設、内科、整形外科、リハビリ科、眼科など9科がある。併設する老人保健施設と連携するのが特徴だが、同病院は「診療実績が特に少ない」「類似かつ近隣」とされた。区は隣接の文京区内に東大病院や順天堂大学順天堂医院など大学病院があることが影響したとみているが、「情報収集をし、対応したい」としている。>

NHK「“病院再編” 全国424病院 実名公表で広がる波紋 各地の声は」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191029/k10012155791000.html?utm_int=news_contents_news-main_004)。<以下引用>
<それは突然の公表でした。厚生労働省は、9月、全国の公立病院などのうち、再編や統合を議論すべきだとする全国424の病院について実名を公表しました。国が病院の再編の議論を進めようとする背景には、深刻化する医師や看護師の不足や、赤字の公立病院に支出している公費がおよそ8000億円にまで膨らんでいることなどがあります。ただ、今回、病院の実名が突然、公表されたことに、各地から、強い反発の声があがっています。このため、厚生労働省は、29日、都内で、自治体との意見交換会を開きましたが、地方の実情を考慮していないなどという批判が相次ぎました。波紋が広がる各地の現場では、いまどのような声が上がっているのでしょうか。次の項目ごとに見ていきます。1.国が各地で意見交換会 2.そもそも国は何を判断材料に公表? 3.公表された病院(1)“ここだけ”の医療も 4.公表された病院(2)経営改善で黒字化目前なのに 5.国が病院再編急ぐ背景は 6.地域に手を上げてもらい国が支援を 1.国が各地で意見交換会 厚生労働省は29日、都内で、関東甲信越の1都9県の担当者との意見交換会を開きました。この中で長野県の公的病院の統括院長は、「地方の病院は民間病院では採算がとれない医療を提供して住民たちの暮らしを必死に守っている。今回の公表はそうした病院に統廃合を迫るもので、『地方に人が住む必要はない』と言っているように聞こえる」などと話し、再編や統合の議論が必要な病院の対象をもう一度見直すべきだと訴えました。一方、厚生労働省の担当者は「唐突な公表となり心配をかけたことは反省している」とした上で、病院名を公表したのは地域での議論を活性化することが目的で、結論を決めつけるものではないと説明しました。厚生労働省による意見交換会は、全国7か所で順次開かれ、今月17日に福岡市で開かれた意見交換会では、出席者から「地域の医療実態を無視した機械的な公表で、撤回を求める」といった批判も出されました。2.そもそも国は何を判断材料に公表? そもそも、“再編が必要”だとして公表された424の病院は、何を判断材料に選ばれたのでしょうか。▼1つは、「がんや周産期、それに救急などの領域で診療実績が特に少ないこと」。▼そして、もう1つは、「近隣に似たような機能を持つ医療機関があること」です。このどちらか1つでもあてはまった病院が、公表の対象となりました。3.公表された病院(1)“ここだけ”の特別な医療も ただ、公表された病院の中には、この2つの要素だけでははかることができない病院も含まれています。その1つが、福岡県新宮町の「福岡県こども療育センター新光園」です。この療育センターでは、手足の筋肉が動かしづらいなど体に機能障害のある子どもたちの治療や運動訓練を行っているほか、脳性まひの子どもたちの整形外科手術などを行っています。子どもの療育センターであるため、今回、厚生労働省が判断材料とした、がんや脳卒中などの診療実績は全くありません。1日におよそ30人の子どもたちが利用していますが、保護者や医師からは戸惑いや不安の声があがっています。療育センターの園長は、「急な発表で、いらない混乱を招き、保護者もスタッフも心配している。県内全域から利用があり、病院が続くように頑張れるだけ頑張りたい」と話しています。4.公表された病院(2)経営改善で黒字化目前も 病院改革を進めて、黒字化が見込まれている病院も、公表の対象となりました。石川県志賀町の富来(とぎ)病院です。人口減少と高齢化の影響で赤字が続いていたこの病院は、2年前から、経営改善を進めてきました。その1つが、ことし1月に全国の公立病院で初めて開設したという「介護医療院」です。これは、医療も提供できる院内にある介護施設のことで、地域からのニーズも多いといいます。こうした取り組みで去年までおよそ60%だった病床の利用率は、今年度は90%前後まで回復し、今年度は開業以来初めての黒字化を見込んでいるということです。病院長は「病院改革で、病院が良くなってきている中の今回の公表におどろきました。今後も絶対になくしてはならない不可欠な病院だと思っています」と話しています。5.国が病院再編急ぐ背景は 国が再編や統合の議論が必要な公立病院などを公表したのは今回が初めてです。国が再編や統合の議論を進めようとする背景には次のような事情があります。▼1つは、多くの公立病院が深刻な「赤字経営」に陥り、公費の負担が増していることです。全国の自治体が負担している繰入金の総額は年間およそ8000億円にものぼっています。▼また、特に地方の病院で深刻化している医師や看護師などの人手不足があります。国は、病院の再編や統合によって集約化を図ることができ、医療の質を担保できるとしています。6.地域に手を上げてもらい国が支援を 各地の反発を招いている今回の病院名の公表について、専門家はどうみているのか。病院の再編・統合に詳しい城西大学の伊関友伸教授は、「予告なく名前を公表したのは乱暴なやり方で、『この病院はなくなるのか』と患者などに不安を与えてしまった。風評が広がれば、医師が病院から離れることにつながりかねず、反発を招いたのではないか」と指摘しています。また、データを示して再編・統合を議論することは決して悪いことではないが、都市部と地方では、全く事情が異なることにも留意すべきだとしています。では、どのように議論を進めるのがよいのか。伊関教授は、「地域や自治体が主体となって再編の対象となる病院を決め、手をあげてもらって国が支援する進め方が望ましい」と話しています。>

「地域医療構想に関する自治体等との意見交換会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07279.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558822.pdf)が開催されているが、医療部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126719.html)の「地域医療構想について(公立・公的医療機関等に対する具体的対応方針の再検証の要請等)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000558851.pdf)を踏まえて、正確に理解する必要がある。第一に、9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関は、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000552165.pdf)にあるように、平成29年病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00002.html)で、「高度急性期」又は「急性期」の機能選択病棟がある公立公的病院である。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00002.html)で「高度急性期又は急性期の選択病棟がない病院は抽出されていない」ことは大きなポイントである。第二に、「具体的対応方針の再検証の要請に係る診療実績の分析方法等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551025.pdf)により、「A:対象となる全ての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期・災害・へき地・研修派遣機能)で「診療実績が特に少ない」とされた医療機関」または「B:対象となる全ての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期)で「類似かつ近接」とされた医療機関」で抽出されており、6領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期)は参考資料1-3(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551038.pdf)に示すように、がん(放射線療法、肺・乳・消化器・泌尿生殖器)、心疾患(急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル手術、外科手術必要な心疾患)、脳卒中(脳血管内手術、開頭手術、超急性期脳卒中加算)、救急(救急搬送等医療、大腿骨骨折等)、小児(小児入院医療管理料、NICU管理料等)、周産期(ハイリスク分娩管理加算、分娩件数)の「急性期診療」の実績が分析されている。資料2「具体的対応方針に係る再検証の要請等、診療実績データ分析等の活用について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551026.pdf)p10「具体的対応方針の再検証における「再編統合」とは」では「地域の医療提供体制の現状や将来像を踏まえつつ、個々の医療機関の医療提供内容の見直しを行う際には、・医療の効率化の観点から、ダウンサイジングや、機能の分化・連携、集約化 ・不足ない医療提供の観点から、機能転換・連携等を念頭に検討を進めることが重要である。(これらの選択肢が全て「再編統合」に含まれると解する。)」、p2「公立・公的医療機関等に求める再検証の内容について」では「② 2025年に持つべき医療機能別の病床数の見直し例として、「一部の病床を減少(ダウンサイジング)」、「(高度)急性期機能からの転換」等の対応が考えられる。」と例示されている。「再編統合=病院自体の再編・廃止ではない」ことは絶対に理解しておきたいポイントである。実際の再編統合について、まず必要なのは、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00002.html)での「高度急性期又は急性期の選択病棟」について、参考資料1-3(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551038.pdf)に示す、がん(放射線療法、肺・乳・消化器・泌尿生殖器)、心疾患(急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル手術、外科手術必要な心疾患)、脳卒中(脳血管内手術、開頭手術、超急性期脳卒中加算)、救急(救急搬送等医療、大腿骨骨折等)、小児(小児入院医療管理料、NICU管理料等)、周産期(ハイリスク分娩管理加算、分娩件数)の「急性期診療」の実績、そして、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00002.html)で、「(平均在棟日数)=(在棟患者延べ数)÷(((新規入院患者数)+(退棟患者数))÷2)」の計算を踏まえて、「高度急性期又は急性期の選択病棟」が適切かどうか検証すべきである。特に、通知「令和元年度病床機能報告の実施について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/191002_3.pdf)の基本編p6「地域包括ケア病棟については、当該病棟が主に回復期機能を提供している場合は回復期機能を選択し、主に急性期機能を提供している場合は急性期機能を選択するなど、個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして、医療機能を適切に選択」について、「地域医療構想策定ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000196935.pdf)p14「推計における医療資源投入量に入院基本料相当分は含まないこととする。」「入院から医療資源投入量が落ち着く段階までの患者数を高度急性期機能及び急性期機能で対応する患者数とし、急性期機能と回復期機能とを区分する境界点(C2)を600 点として推計を行う」を踏まえて、急性期機能対応患者が主たる病棟かどうか、再検証された方が良いように感じる。そういえば、入院医療等の調査・評価分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128166.html)の資料「DPC/PDPS等作業グループにおける分析について(報告)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000554270.pdf)では、急性期の医療の標準化をすすめるという観点と、粗診粗療の懸念のある病院や制度になじまない可能性のある病院として、①医療資源投入量が平均から外れた病院、②在院日数が平均から外れた病院が挙げられ、①医療資源投入量、②在院日数、③転棟した症例の占める割合、④「手術なし」かつ「手術・処置等1なし」の症例が占める割合を各病院に対し試験的に個別に知らせることとしてはどうか、とあった。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000554271.pdf)p6に示すように、DPC/PDPSは、急性期入院医療を対象とする診断群分類に基づく1日あたり包括払い方式であり、「入院医療等の調査・評価分科会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128166.html)で、「機能評価係数Ⅱの内訳(医療機関別)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000519256.pdf)、「地域医療指数(体制評価指数)の内訳(医療機関別)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000519490.pdf)が出ている。9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関のなかには、DPC/PDPSでない病院も少なくないが、果たして、それらの病院の(高度)急性期病棟は、急性期機能対応患者が主たる病棟なのであろうか。次に、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では医療機関ごとに、病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数が出ており、「病床利用率(前年度一日平均入院患者数/許可病床数)」と国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)の「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」を勘案し、人口減少地域で、病床利用率が低い病院では、ダウンサイジング(病床削減)が検討されても良いように感じる。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p13「構想区域の2025 年の医療需要=[当該構想区域の2013年度の性・年齢階級別の入院受療率×当該構想区域の2025年の性・年齢階級別推計人口]を総和したもの」であり、人口減少地域では急性期病床が過剰になりやすい。厚労省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000482857.pdf)p7「病床機能報告における「稼働病床数」は、過去1年間に最も多くの入院患者を収容した時点で使用した病床数と定義」、p8「病床利用率=在院患者延べ数((注)在院患者延べ数とは、毎日24時現在の入院患者数の合計)/(許可病床数×診療実日数)」とあるが、稼働していても利用率が低い一般病床が少なくないことは認識したい。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に関する総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請されており、「経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0621/shiryo_04-1.pdf)p72「地方自治体や住民が自ら課題を発見し解決・向上につなげていくよう、総務省は地方単独事業(ソフト)の試行調査における歳出区分の適正化や公営企業の経営・資産の状況等の見える化を徹底する。」とあり、すべての公立病院の経営・資産の状況について、専用ページでの見える化が期待される。地域医療構想に関するワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の資料「地域医療構想調整会議での議論の活性化にむけて」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000520443.pdf)p12「公立病院への繰入金には、収益的収入に対する繰入金と資本的収入に対する繰入金があり、繰入金は合計で年8,000億円程度である。ランニングコスト(収益的収入)に対する繰入金だけで1病院当たり7億円である。」、p26「一般病床のある公立病院の約3分の1は赤字で、一般病床の病床利用率が70%未満の病院が少なくなく、病床利用率70%未満ではほとんど赤字である。病床利用率が低い病院は地域の需要に対して病床が過剰である。」とあるが、まずは、自分たちの病院がどういう状況にあるか、情報共有されなければ、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の推進は覚束ないであろう。
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地域医療情報連携ネットワークの検証を

2019年10月29日 | Weblog
朝日新聞「交付金整備の医療システム、4道県で未使用 検査院指摘」(https://www.asahi.com/articles/ASMBS67HNMBSUTIL06F.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<医療法人などが国の交付金を受けて整備した患者情報の共有システムについて、会計検査院は28日、4都県の4システムが全く使われていないなどとし、厚生労働省に改善を求めた。システムは「医療情報連携ネットワーク」と呼ばれ、カルテなどの電子データを病院や診療所、介護施設との間で共有する仕組み。厚労省は都道府県の基金に交付金を出し、都道府県は市町村や医療法人にシステム整備費の一部を基金から助成している。検査院は、18都道県が2013~17年度に支出した交付金約155億円を受けて整備された60システムの運用状況を調べた。その結果、東京都と千葉、愛知、鳥取各県の4システムは、整備から1年以上経つのに患者の登録がなく、東京都の別のシステムは50人以下だった。この5システムには交付金計約2600万円が使われていた。>

「会計検査院法第34条の規定による処置要求及び同法第36条の規定による処置要求(元年10月28日)  医療介護提供体制改革推進交付金等により造成した基金を活用して実施する事業について」(https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/r011028_2.html)(https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/pdf/11028_zenbun_02.pdf)p3~「検査したところ、6都道県から交付された基金助成金により13事業主体が整備等を行った9システムにおいて、次のような事態が見受けられた。;(1) システムの動作確認が十分でなかったため、システムが利用可能な状態となっていないなどの事態 ア 整備されたシステムへの参加患者の登録が皆無となっているなどしていて、システムが全く利用されていないなどの事態」と散々な状況である。今回(https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/pdf/11028_zenbun_02.pdf)はp3に示すように、「18都道県及び104事業主体」の会計実地検査であるが、地域医療再生基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saiseikikin/index.html)や地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109090.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150609.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199985.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199985_00001.html)による莫大な予算を使って、「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000527381.pdf)p68「地域医療情報連携ネットワーク」が進められてきた地域はもっと多い。日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「ICTを利用した全国地域医療連携の概況(2017年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_670.html)では【地域医療連携】「2012年度調査開始以降、継続できている地域は約6割」「1地域医療連携あたりシステム平均構築費用(累積)は、約1億7,600万円(有料地域のみ)、約1億4,900万円(無料地域を含む)」「1地域医療連携あたりのシステムの平均年間運用費用は、約1,400万円」「将来システム更改時の費用負担をどうするかについては、58.8%の地域で未定、調査開始以降漸増傾向」、総務省資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/health/dai3/sankou1.pdf)p2「全国に約270の地域医療連携ネットワーク(EHR)が存在するが、多くは一方向の情報閲覧であること、運用コストが大きいこと等から、参加施設及び患者の参加率が低く、活用が十分進んでいない。」とあり、すべての地域医療情報連携ネットワークの検証が必要と感じる。例えば、「検査・画像情報提供加算」「電子的診療情報評価料」(https://medical-info.hateblo.jp/entry/2016/04/17/054605)の算定状況がどうなっているか、である。医療介護情報局(https://caremap.jp/cities/search/facility)では、特掲診療料「検査・画像情報提供加算、電子的診療情報評価料(電情)」(https://medical-info.hateblo.jp/entry/2016/04/17/054605)がどの医療機関で算定されているか、容易に検索できることは知っておきたい。さて、医療等分野情報連携基盤検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_537922.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000555960.pdf)p5「令和元年度において、医療情報化支援基金を創設し、医療分野におけるICT化を支援する。 (地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の改正。令和元年10月1日施行);1 オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援 オンライン資格確認を円滑に導入するため、保険医療機関・薬局での初期導入経費 (システム整備・改修等)を補助 2 電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援 国の指定する標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテシステム等を導入する 医療機関での初期導入経費を補助」が注目である。「経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0621/shiryo_04-1.pdf)p60「医療情報化支援基金の使途や成果の見える化を図りつつ、電子カルテの標準化を進めていく。」について、データヘルス改革推進本部(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-jyouhouseisaku_408412.html)の「今後のデータヘルス改革の進め方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000545974.pdf)p7「医療情報化支援基金の活用等による電子カルテの標準化を推進する。それに向けて、民間の創意工夫を尊重し、かつ相互運用性も意識して、医療分野における標準規格の基本的な在り方を検討する。【令和元年(2019年)検討開始】」とあった。令和時代のICT連携を進めるには、少なくとも過去の基金事業の検証と成果の見える化徹底が必要であろう。
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外来医療の機能分化・連携

2019年10月29日 | Weblog
CBnews「大病院受診時定額負担、対象病院拡大で合意、中医協」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20191030191941)。<以下一部引用>
<厚生労働省は30日の中央社会保険医療協議会・総会で、紹介状なしで大病院を受診する時の定額負担について、対象となる病院を拡大する考えを示した。委員から反対の意見はなかったが、拡大の対象について200床以上の地域医療支援病院などの意見があり、引き続き議論する。外来医療の機能分化を進めるため、紹介状なしの大病院受診時の定額負担の対象について、2018年度診療報酬改定で特定機能病院および一般病床500床以上の地域医療支援病院から、特定機能病院および許可病床400床以上の地域医療支援病院へと拡大した。中医協・診療報酬改定結果検証部会による、18年度診療報酬改定の結果検証の調査報告書では、18年10月の「紹介状なしの患者比率」が、18年度改定で対象となった病院で17年10月と比べて4.4ポイント低下したことが分かった。しかし、紹介状なしで外来受診した患者の割合を病床規模別に見ると、いずれも5割以上あり、機能別に見ると、特定機能病院では46.3%、地域医療支援病院では61.6%と、依然として高い割合だった。一方、初診患者の紹介状の有無比率では「なし」が36.9%で、このうち、救急や自施設の他の診療科を受診している患者など、定額負担の徴収対象外患者の割合は55.4%だった。同様に再診患者を見ると、他の病院・診療所を紹介したにもかかわらず自院を受診した患者が0.7%あった。>

読売新聞「紹介状なし負担「200床以上」に…厚労省検討、来年度から 初診5000円以上 義務化拡大」(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20191029-OYT1T50094/)が報道されている。中医協総会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html)の「これまでの議論について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000531114.pdf)p3「定額負担の対象病院をさらに拡大することについて検討する必要があるのではないか。」とp4「患者をかかりつけ医へと誘導するための評価の在り方について検討する必要があるのではないか。」の行方が注目されている。財政制度等審議会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html)の「令和時代の財政の在り方に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20190619/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20190619/06.pdf)p14「「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」との考え方の下、高額医薬品や医療技術を引き続き保険収載していく場合には、小さなリスクについて、薬剤自己負担の引上げや、少額受診等に一定程度の追加負担を求めることなどが必要である。(中略)少額受診等における一定程度の追加負担に当たっては、かかりつけ医・かかりつけ薬局等への誘導策として定額負担に差を設定することについても、検討を進めるべきである。」とあり、資料「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310423/01.pdf)p40「受診時定額負担」の行方も注目である。医政局長通知「医療法及び医師法の一部を改正する法律の施行について」(http://www.pref.okayama.jp/site/361/608324.html)(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100334_misc.pdf)の「4 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する協議の場に関する事項」では、「イ 病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進に関する事項」があり、「外来医療計画」(http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/608324_5100337_misc.pdf)を機に、診療報酬改定による外来医療の機能分化・連携の推進が期待されるであろう。
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母子保健施策と児童福祉施策の一体的展開

2019年10月29日 | Weblog
「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律施行令案(仮称)」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495190233&Mode=0)(https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000193391)では、「都道府県の作成の際に成育過程にある者等に対する成育医療等の提供が確保されるよう適切な配慮をするよう努めるものとされた計画であって政令案で定める計画」は、 ①都道府県障害児福祉計画(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の22第1項)、②都道府県地域福祉支援計画(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第108条第1項)、③自立促進計画(母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)第11条第2項第3号)、④都道府県障害者計画(障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第2項)、⑤予防計画(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第10条第1項)、⑥都道府県男女共同参画計画(男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第1項)、⑦都道府県基本計画(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第2条の3第1項)、⑧都道府県健康増進計画(健康増進法(平成14年法律第103号)第8条第1項)、⑨都道府県食育推進計画(食育基本法(平成17年法律第63号)第17条第1項)、⑩都道府県障害福祉計画(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第89条第1項)、⑪都道府県自殺対策計画(自殺対策基本法(平成18年法律第85号)第13条第1項)、⑫都道府県がん対策推進計画(がん対策基本法(平成18年法律第98号)第12条第1項)、⑬教育振興基本計画(教育基本法(平成18年法律第120号)第17条第2項)、⑭都道府県子ども・若者計画(子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)第9条第1項)、⑮都道府県子ども・子育て支援事業支援計画(子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第62条第1項)、⑯都道府県子どもの貧困対策計画(子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年法律第64号)第9条第1項)、⑰都道府県アルコール健康障害対策推進計画(アルコール健康障害対策基本法(平成25年法律第109号)第14条第1項)、⑱都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画(ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)第13条第1項)、⑲都道府県循環器病対策推進計画(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(平成30年法律第105号)第11条第1項)※医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第1項に基づく医療計画は成育医療法第19条第1項において規定済み。」とある。例えば、児童虐待防止(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html)に関して、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000152978.pdf)p97「子育て世代包括支援センターの法定化、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備(改正母子保健法第22条及び改正児童福祉法第10条の2)」がタテワリであってはならないのはいうまでもない。資料(https://www.mhlw.go.jp/content/000339275.pdf)p18「市区町村における子育て支援施策及び母子保健施策」について、それぞれの自治体では、取り組み実績は理解されているであろうか。母子保健施策と児童福祉施策の一体的展開のためには、「健やか親子21」(http://sukoyaka21.jp/)、「子ども・子育て支援事業計画」、「子どもの貧困対策計画」、「障害児福祉計画」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163638.html)などとの整合(計画期間、評価指標含む)・見える化(計画自体、評価指標)の徹底が必要と感じる。今年施行の成育基本法(https://jps-saitama.jp/article.php/20181213)で「「母子保健法」「児童福祉法」などに分かれている子どもに関する法律を統括する法律」で「政府は基本方針の策定や必要な財政措置を行い、実施状況を毎年公表する」とあるではないか。そういえば、子どもの貧困対策(https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/index.html)について、今年6月12日現在の「市町村子どもの貧困対策計画の策定状況」(https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/keikaku/sakutei_city.html)が出ており、自分たちの自治体がどういう状況が知っておきたい。子供の貧困対策に関する大綱案に対する意見募集(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095191210&Mode=0)が出ている。
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