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【cinema】『ツリー・オブ・ライフ』(試写会)

2011-07-31 04:18:32 | cinema
'11.07.25 『ツリー・オブ・ライフ』(試写会)@よみうりホール

yaplog!で当選! いつもありがとうございます。これは見たかった! シネ通かSHOWBIZで紹介された時の映像、大好きな「モルダウ」が感動的に美しかったから。試写状届いた時はガッツポーズだった(笑)

*ネタバレありです!

「成功した実業家ジャックは人生の岐路に立ち、人生で最も辛かった時、両親がどうやって乗り越えたのか、思いをはせる。やがて思いは、少年時代に遡り…」という話で、これは美しかった。個人的には好き。見終わった後もよかったけれど、実は後からじわじわ来ている。ただ、これはダメという人は多いんじゃないかな…。

初めに書いてしまうけど、普段あまり映画は見ないけど、"ブラピ様"は大好きという人には、あまりオススメできない。これは間違いなく映画だけど、いわゆる普通の映画とはちょっと違う。そして、何よりブラピはカッコイイ役ではないので。このブラピの役柄は、劣等感があり、人生に悩み、息子達を愛しながらも、厳しく接してしまう不器用な父親。このブラピの演技は素晴らしいので、ファンなら必見だと思うけれど、どうファンかによると思う。ファンになり方は人それぞれだと思うので、どんなファンも否定していない。ただ、2時間18分と長いので、ちょっと心配になっただけ(笑) もちろん、"ブラピ様"目当てで見て、感動することもあると思う。

前置きが長くなったけど、ここから本題(笑) この試写会でも、本編終了後に大半の人が席を立ってしまったし、この日twitterで話た方によると、スコットランドでは40数名の観客中、8名が途中で席を立ったとか… 原因は何かと言えば、こちらの感性でとらえる作品というか、観念的というか宗教的というか… ちょっと説明が難しいんだけど、この映画には、いわゆるストーリーはない。いや、あるけど、起承転結のある明確なストーリーはない。なぜなら、これは大人になったジャックの回想と思考だから。

冒頭、中流家庭という感じの家に、郵便配達の少年が一通の手紙を運んでくる。彼はこの家の女主人にそれを手渡すと、悲し気に顔を背け帰って行く。女主人はミッドセンチュリーモダンな家具が並ぶリビングの窓辺で、手紙を読み泣き崩れる。そして、彼女の夫のもとにも知らせが届く。彼らの19歳の息子が亡くなったのだった。そこから一気に現代へ。スタイリッシュな高級住宅の寝室で目を覚ますジャック。美しい妻との会話はなく、暗い表情で起き出す。どうやら昔の夢を見ていたということらしい。そういう説明らしいセリフなどは一切無い。彼が社会的にどんな立場なのか、妻以外に家族はいるのかなどは不明。ただ、大きな会社でかなりの地位を得ているらしい感じではある。彼は何か悩んでいるらしい、それは例えば離婚とか具体的なきっかけがあってのことなのか、単に年齢的なことなのか、よく分からない。離婚についてのセリフがあった気がしたけれど・・・ 彼は夢に見たあの人生で最も辛かった日々、母親がどうやって乗り越えたのかと考える。そこから回想の世界へ。

ここからの数10分間が、この映画が好きか嫌いかの分かれ目だと思う。要するにタイトルどおり『THE TREE OF LIFE』=生命の系譜ってことを描いているのだけど、そこから?って、ところから思いをはせちゃっているので・・・ 天地創造からだからね(笑) 急に地球が画面いっぱいに映し出されて呆然となるけど、後から考えると納得して、じんわり心に落ちてくる。今、自分が生きているのは、ご先祖様達が命を継いでくれたからなんだけど、もっともっと辿っていけば、確かにそこに行き着く。でも、普通はそこまで考えないと思う(笑) まぁ、これはキリスト教圏の話なわけだから、神が天地創造してってなるのかな? でも、人間も生命であると考えれば、実はそこから繋がっているわけで、気が遠くなるくらい昔に、海の中で生まれた生命体が、自分の遠い遠い祖先とは考えにくいけれど、それと人間とは別だと無意識に思ってしまうのは、ちょっと傲慢なのかも・・・

と、つらつら書いているけど、このシークエンスの映像は本当に美しい。まず地球が美しい。そして、どんどん時が経って、ジャックの父と母が出会い、ジャックが誕生する。この時、うれしそうに、こわごわと小さなジャックの足に触れるブラピの姿が、チラシやポスターになっているけど、このシーンは印象的。そして、家族が増え・・・と、この映画で主な舞台となるジャックの思春期へ。そして、ここで! 予告で心奪われたスメタナの「モルダウ」が流れる。これが素晴しい! 映し出される映像自体は、実は重要ではないけど、そこに「モルダウ」を使ったということに意味がある! モルダウというのはチェコを流れる川。実はこれはドイツ語名で、チェコ語ではヴルタヴァ川。プラハの街にも流れていて、有名なカレル橋はこの川に架かっている。プラハを旅した時に渡ったけれど、かなり大きな川。以下は毎度のWikipediaから、「モルダウ」はスメタナが作曲した6つの交響詩からなる連作交響詩「わが祖国」の中の1つ。チェコの国民音楽として記念碑的な作品を交響詩でと考えて作曲された。「モルダウ」は第2曲で、源流近くからプラハを流れ、エルベ川へ合流するまでを描く。第1曲「ヴィシェフラド」も組み込まれ、スメタナの故郷を思う気持ちが現れている。個人的にこの「モルダウ」の壮大で郷愁を誘う美しい旋律が大好き。日本にいるとあまり感じないけど、祖国とか民族とかを感じさせる。大好きなミュシャの「スラブ叙事詩」が浮かんできたりする。で、説明が長くなったけど、この曲の持つその感じと、そこまで見てきた映像、そして今見ている映像の意味がしっかりリンクして、心に湧き上がってくるものがあり、気づいたら泣いてた。これは素晴しい!

もう実は「モルダウ」のことさえ書ければ個人的にはOKという感じなのだけど、ここから先が本題だからね(笑) さっきも書いたけど、ここからはジャックの記憶。その時体験したことは、その時感じた気持ちや思いに紐づいている。でも、それを体験したのは、まだ少年だったジャックであるということがポイントになってくる。そして、いわゆる回想シーンとは違うけれど、回想なのだということ。上手く言えないけれど、あるエピソードを始点から終点までを回想するってことが、繰り返えされてジャックの少年時代を描いているとう感じ。きちんと流れはあるのだけど、見せられるのは回想シーンの繋ぎ合わせなので、混乱する人はいるかも。大人になったジャックに戻ることがほとんどないので、混乱してしまうのだけど、これはあくまでジャックの回想であって記憶だと考えると分かりやすいかも。自分が何かを考えて、それに連動して昔の記憶を思い出す時ってこんな感じで、次々別の記憶を思い出したりする。しかも、全てが重要なことばかりでもない。でも、何故かその時心を捉えた事を覚えていたりする。そして、その記憶と共に、当時の思いもよみがえる。でも、その思いはまだ視野が狭かった自分が、自分の感覚で捉えた思い込みもあって、実は見方を変えれば全然違っている場合も多かったりする。

この映画の主題である父子関係と母子関係。特にジャックは父との関係に悩んでいる。自分は負け組だと思っている父親は、子供達には明るい未来をと、厳しく接してしまう。ジャックの記憶には父が息子達をかわいがり、楽しく遊んでいる場面もちゃんとある。見ている側には彼が息子達を愛している事が、きちんと伝わってくるけど、ジャックには厳しくされた時の記憶が鮮明過ぎて、愛されていることに自信が持てない。その辺りの葛藤がしっかり伝わってくる。そして、その父の厳しさも、もしかすると記憶の捏造というか、ちょっと大げさに記憶している場合もあると思う。子供の頃、ある家の前で熊ぐらい大きな犬に吠えられてスゴイ怖い思いをした、後日その家の前を通ったら、実は思ったより大きな犬ではなかったという体験がある。記憶って意外と捏造しがち。ジャックにもそういう部分があったように思う。もちろん父は厳しかったのは事実で、それがトラウマとなったのも事実。見ている側としては、この父がジャックにだけ厳しかったわけではないということに、救われた。3人に厳しかったし、彼なりに3人を愛していることが分かるシーンがちゃんとある。でも、3人には疎まれてしまっている。それが切ない(涙) その辺りのことは、分かりにくくはないけど、あからさまには描いていないから、自分で拾わないとダメ。なので、そういう映画が苦手な人は、合わないかもしれない。

母子の感じはよかった。母はまだ娘のような人で、とっても純粋で愛に溢れている。厳し過ぎる父に対して、憤りを感じているけれど、どこか諦めている部分もある。この時代、アメリカでも女性の立場は、専業主婦で夫に従うって感じが多かったのでしょうか・・・ それが女性の美徳とは思わないけれど、クラシカルできちんとしているけれどフワリ感のあるワンピースを着て、儚げに微笑む母を、女性的だと感じて、少し憧れてしまうのは、自分に無い部分だからかな(笑) でも、この母の愛に包まれて、少し擬似恋愛みたいない感情を抱くのは思春期男子って感じがするし、やっぱり素足で洗濯物を干す姿や、ホースで足を洗う母になまめかしさを感じたりする。その映像が美しい。

ジャックの記憶なので、彼目線で描かれている。ジャックは長子なので、弟達が生まれた時、今まで自分のみに注がれていた愛情の一部が奪われるという、悲しみを味わっていて、実はそれが甘えベタとか、自信のなさに影響しているのだけど、その辺りも短い映像できちんと見せている。それを拾えたのは、自身が長子だからかもしれないけれど・・・ ジャックの両親は問題のある人達というわけではない。あまり裕福ではなかったけれど、厳格な父と優しい母という構図は、別にめずらしくないし、父は虐待しているわけじゃない。だから、これは大人になる過程で、誰もが通る道なのかもしれない。もちろん1人1人エピソードや振り幅は違うと思うけれど。だからジャックの気持ちはとっても分かるし、年齢的には親世代だから親の苦悩も分かる。誰だって親になったからって、急に完璧になれるわけじゃない。みな悩みながら成長していってるんだと思う。その感じが伝わってくる。そういう意味では『THE TREE OF LIFE』というのはダブルミーニングなのかな? 深読み?

キャストは良かった。少年ジャックのハンター・マクラケンは、思春期特有の潔癖さ、暗さ、反抗心、性の目覚め、そして母への思慕をきちんと表現していたと思う。次男のことがほとんど描かれなかったけど、19歳で亡くなってしまう三男のタイ・シェリダンがかわいい。ちょっとブラピ似。母のジェシカ・チャスティンが良かった。優しい愛に溢れていて、でも少女のように無邪気な部分もある。彼女が3人の息子達と遊ぶシーンは好き。女性らしい儚げな美しさが良かった。成年ジャックのショーン・ペンは、出演シーンはわずかながら、さすがの存在感。思えばこのジャックの記憶や思考なので、実はとっても重要。その辺りはすごく良かった。特にラストの演技は素晴しい。父のブラピが素晴しかった。もともとブラピは演技派ってことで世に出てきた気がするけれど、人気が先行してしまい、特に日本では"ブラピ様"って扱いになってしまって、演技に注目されることが少なくなってしまった気がする。でも、この演技は見事だったと思う。もちろん、人間だから感情で怒ってしまう時もある。そんな部分まで含めてきちんと表現していたと思う。切なくて、歯痒かった。

とにかく、映像が全て美しい。現代のシーンの林立する高層ビルや、高級感があるけど温かみのないジャックの家の殺伐とした感じや、天地創造からの圧倒的な映像美、ジャック達が少年期を過ごした家や町のノスタルジー感、そしてラストの情景。あれは境界とか、結界ってことなのかな? 多分、撮影場所はウユニ塩原じゃないかと思うんだけど・・・ あのラストの世界観もダメな人は多いと思うけれど、個人的には好き。『ラブリー・ボーン』好きな人は好きかも。そして、なんと言っても「モルダウ」! 音楽全部良かったけど、やっぱり「モルダウ」! その使い方が素晴しい!

これは叙事詩なんだと思う。叙事詩のことが実はあんまり分かってないんだけど(笑) 好き嫌いが分かれる作品だと思うので、手放しでオススメしにくいけれど、見て欲しいなぁ・・・ 「モルダウ」好きな方は是非!

『ツリー・オブ・ライフ』Official site


コメント (10)
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【cinema】『モールス』(試写会)

2011-07-29 01:14:41 | cinema
'11.07.22 『モールス』(試写会)@中野ZERO

yaplogで当選! これは見たかった。『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ目当てで行ってきた。


*ネタバレありです!

「両親は離婚調停中で、学校ではイジメに合っているオーウェン。孤独な彼はある晩、アパートの中庭で不思議な少女アビーと出会い…」という話。これは昨年日本公開されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド・リメイク。一部変更されている部分もあるけど、ほぼオリジナルに忠実。CGやセットなどにお金がかけられる分、大味になってしまうのじゃないかと心配だったけど、オリジナルの雰囲気を壊さない作りは良かったと思う。ただ、これはオリジナルを見てると、意見が分かれるかなと思う。

オリジナルの邦題は『ぼくのエリ 200歳の少女』 個人的に"200歳の少女"部分がダメだと思うけど、この映画の邦題は『モールス』 原題は『LET ME IN』で、主人公のアビーとオーウェンの関係の重要な要素。邦題の『モールス』は原作のタイトルでもあって、こちらもやっぱり2人にとって重要。どちらのタイトルがグッとくるかによって、見方や感想も変わってくるかと思う。個人的には『モールス』の方が好みかな。より2人に特化している気がするので。

1つ1つのエピソードは基本『ぼくのエリ』と同じ、上映時間的にはそんなに違わないと思うけれど、省かれた部分は結構多かったわりに、追加になった部分があまり分からなかったのだけど・・・。まぁ、見たの1年前なので細かい部分は覚えていない(笑) これを書いてしまうと全否定になってしまうかもしれないけれど、そもそもリメイクって何でするんだろう? オリジナルがあるんだからそれを見ればいいのに。もう、ほとんど公開された記憶も無いくらい昔の作品ならば分かるんだけど・・・。オリジナルが公開されてから数年しか経っていないのに、リメイクするのは何故なんだろう? 大人の事情?(笑) オリジナルはスウェーデン映画。個人的にはこの作品の場合、舞台が北欧であるということが重要だったように思うので、ハリウッド・リメイクと聞いた時に、アメリカ?と思ったものだった。じゃ、何で見るんだと思うけれど、それはクロエ・グレース・モレッツがどう演じるのか見たかったから(笑)

うーん。リメイクといえども別の作品なわけだから、オリジナルと比べていろいろ言うのも違うのかもしれないけれど、ストーリー自体はほとんど同じで、オーウェンとアビーが会うのも、アパートの中庭という設定なども基本同じなので、どうしても見方が比較になってしまう。そういうのも鑑賞の仕方としてありかと思うので、今回はこの感じで行こうかと思う。って誰?(笑)

*以下、ネタバレありです!

主人公オーウェンのキャラ自体はそんなに変わっていない。オリジナルでは両親は離婚しているけれど、本作では調停中。母親が信心深過ぎるという設定は、そんなに生かされていないけど、これは『キャリー』のオマージュか? 考え過ぎか(笑) オーウェンの隠れ家ってオリジナルにはあったかな・・・。忘れちゃった(笑) 2人の絆を深める場としてはよかったと思う。この隠れ家の内装は好き。オリジナルでも効果的に使われていた中庭のジャングルジムとルービックキューブはそのまま。オリジナルは'80年代を感じさせるのは、このアイテムくらいだったけど、本作では"父親"に襲われる青年達の服装や髪型、車などで感じることができる。アメリカの方がそういうのは分かりやすいけど、別に'80年代に意味があるわけではないように思うので、ここは好みの分かれるところかと思うけれど、個人的にはオリジナルの方が好き。

オリジナルは北欧独特の暗さと寒さがあった。この作品も全体的に薄暗く古い感じの映像処理で作られているけど、どうしてもアメリカの明るさみたいなものを感じてしまう。もちろん明るい要素は全くないんだけど、例えば中庭のシーン、雪は積もっているけど、本作は5~10度くらいの気温はありそう。でも、オリジナルは氷点下じゃないかと思う。その感じも、どちらが好みかは人それぞれだと思うけれど、やっぱり個人的にはオリジナルの方が好き。オリジナルの感想記事には「洗練され過ぎないスタイリッシュ」と書いたけど、まさにそんな感じで、本作の'80年代アメリカはその逆でちょっとダサイ(笑) この辺りも好みが分かれるところかと思う。

時間的に本作の方が2人が一緒にいる描写が長かった気がするけれど、その分アビーのミステリアスさが薄らいだような気はする。原作では少し違うみたいだけど、オリジナルでは"父親"=オーウェン(オスカー)の将来像を示唆するように描いてはいるけど、それはそんなにあからさまじゃない。でも、本作ではもう少し分かりやすい描写が入っている。"父親"を演じているのがリチャード・ジェンキンスだからか、"父親"の比重が増えている。それはより切なさを増した気もするけれど、オーウェンとは純愛であるという部分が薄くなってしまった気もする。

決定的な違いは"ぼかし"シーンがないこと。ぼかしについては日本がしていることなので、オリジナルではどうなっているのか詳細は不明。ただ、ぼかしが入っていることと、エリが繰り返し「女の子じゃない」と言っていることが意味している部分が重要で、それがより切なく耽美さを感じさせた。本作では、ぼかしシーンごとカット。ぼかしがあろうがなかろうが、別にどうしても見たいわけではないけど、そのシーンがないとアビーが「女の子じゃない」と言っていることの意味が、単純に"普通の女の子"じゃないというニュアンスになっちゃう気がする。それでも十分切ないけれど、原作ではそれが重要な要素みたいなので、それでは意味が違ってしまう。基本的に今作ではアビーは"女の子"として描かれていたように思うので、そういう解釈なのかもしれないけれど。まぁ、あくまで映画と原作、オリジナルとリメイク版とでは違うというのは、別にありかと思うけど…

とはいえ、けなしてばかりいるみたいだけど、ダメな映画ではない。'80年代の雰囲気も、アビーとオーウェンの孤独感も、寒くて暗い感じもちゃんと出ていた。画的に美しいシーンもたくさんあって、例えばオーウェンがアビーの衝撃的な姿を見て涙を流すシーンは、その少年の純粋で美しい涙に感動した。車の事故シーンやアビーが人を襲うシーンのCGがちょっとやり過ぎな気がするけれど、それもハリウッド大作の呆れるほどやり過ぎ感に比べたら、数10分の1程度。この作品だけ見てたら、好きな世界観だし、感動してたと思う。

キャストは良かったと思う。リチャード・ジェンキンスは、自分の老いを自覚し、アビーの行く末を思い嘆きつつも、アビーがオーウェンに心を移したことに、嫉妬と悲しみを感じている、その切なさが感じられた。哀しくも、ちょっと不気味なのもいい。オーウェンのコディ・スミット=マクフィーくんは、ちょっと若い頃のウィノナ・ライダー似。"女の子"と呼ばれてイジメにあっているけど、確かにかわいい。だけど、やっぱり男の子であるということが重要だと思うので、その辺りはきちんと感じられて良かったと思う。彼が流した涙が美しくて、切なかった(涙) ただ、オリジナルのカーレ・ヘーデブラントのプラチナ・ブロンドの美しくしさの方が好みかなぁ… そういう意味では、お目当てのクロエ・グレース・モレッツも、やっぱり上手くてすごく良かったんだけど… さっきも書いたけど、女の子のヴァンパイアという要素が強いので、その少女らしい切なさはすごく良かったと思うし、オーウェンを守るって感じも良かったんだけど、オリジナルのリーナ・リアンデションのいつも自信なさ気で、心細そうな感じがすごく切なくてよかったからなぁ… やっぱり、その辺りアメリカ人&オーストラリア人と、ヨーロッパ人の違いなのかなぁ… まぁ、この辺りもあくまで好みの問題。単純に自身がオリジナルの方が好みというだけ。

オリジナル未見で、原作を読んだだけだと、また感想も違うんじゃないかと思う。これは、それぞれ好みが分かれそう。個人的にはオリジナルが好きだけど、この映画の方が好きという人もいると思う。

オーウェンはアパートの住人を覗いていて、窓から見えるのは体を鍛える男、美女とダンナさんの痴話喧嘩、犬など。これって『裏窓』のオマージュ? もしかしたら、他にもあるかも?

舞台はアメリカだけど、ヨーロッパっぽいヴァンパイアものに興味がある方にオススメ。クロエ・グレース・モレッツ好きなら是非!

『モールス』Official site


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【cinema】『アリス・クリードの失踪』

2011-07-24 01:50:10 | cinema
'11.07.15 『アリス・クリードの失踪』@ヒューマントラストシネマ有楽町

これ気になってた。7月1日から実施された15%節電計画にともない、日替わりでフロア毎に17時退社を実施。残務処理担当の居残当番を残し、日次業務が終了していなくても、全員17時に退社するというもの。せっかくの早帰りを無駄にするのはもったいないので、映画見て帰ろうと思い立つ。調べてみたらちょうどいい時間。ってことで、行ってきた♪


*ネタバレありです!

「ダニーとヴィックの2人は、綿密な計画を立て、富豪の娘アリス・クリードを誘拐した。だが、ダニーには秘密があった…」という話。これは面白かった! これはサスペンスなのかな? とにかく3人の騙し合いがおもしろい! 舞台劇のような設定で、二転三転する展開は、よくよく考えると特別新しいわけでもないけれど、登場人物を極端に排除したため、役者同士の掛け合いも緊張感があり、独特の雰囲気を感じさせて、おもしろい!

監督は今作が長編デビューとなるJ・ブレイクソン、34歳。34歳で長編デビューって『メタルヘッド』のスペンサー・サッサーと同じ。偶然にしてもおもしろい(笑) 若手監督が脚本も手がけるのには、自分の表現したいものを具体的に表現できるからとか、単純にお金の問題とか、いろいろあるかと思うけれど、このJ・ブレイクソンは元々は脚本を書いていた。で、この脚本については、自主製作でもいいから自分で撮りたいと、温めていた企画だそう。なるほど、自信作なだけにおもしろい。

登場人物はわずか3人。主犯格のヴィックと相方のダニー、そして被害者のアリス。身代金を要求しているわけだから、当然アリスの家族は存在するし、警察も動いている。でも、画面には登場しない。電話の声ですら登場しないので、これは完全な3人芝居。これは斬新といえば斬新だけど、それが仕掛けとなっているわけでもない。緊張感を生むためにあえての設定だとは思うけど、予備知識なしで見てたら、その設定には気づかず、本編終了後に気づいて、エンドロールで確かめたくらい(笑) イヤ、そのくらい自然だったし、引き込まれたってこいうこと。

冒頭、2人の男が無言で黙々と作業をするシーンから始まる。工具店で様々な工具を購入、部屋に防音壁紙(?)を貼ったり、盗んだ車の荷台にビニールを貼ったり、手際よく作業を進めていく。観ている側としてはアリス・クリードが誘拐されてしまうことは知っているわけだから、2人が何のたのの準備をしているのかは分かっている。だから、余計に興味深い。不謹慎かもしれないけれど、その計画的で無駄の無い動きに感動してしまう。このシーンは流れとスピード感があってよかった。2人のセリフが一切ないので、そのリズムを乱すことがない。この冒頭シーンはよかったと思う。例え全く予備知識なしで見てても、そのテンポのよさと、暗い画像や、2人の不穏な雰囲気から犯罪の臭いを感じることが出来る。

誘拐シーン自体はさらりと、車の荷台に押し込む場面が映るくらい。そして、2人が冒頭で目張りをしたり、鍵を取り付けたりしたアパートの一室へ。古いホテルのような部屋には、大きなベッドが一台。そこに寝かされ、手足を縛られ、猿ぐつわをされ、全裸にされるアリス。まさか・・・!? と思うけれど、2人は写真を撮った後、アリスに服を着せる。この辺りは紳士的なのか、"仕事"徹しているのか・・・ もちろん、それもあるけど、実はそれぞれに理由がある。その辺りのことは、何故この誘拐が行われたかってことと、今後の展開の重要ポイントになるので、あまりネタバレしてしまうのもどうかと思うけれど、一部映画サイトなどでも既に紹介されてしまっている部分については書いてしまおうかな(笑) 実はダニーはアリスの恋人で、この計画をヴィックに持ちかけたのはダニー。ヴィックとダニーは刑務所で知り合ったらしいけれど、2人が何の罪で刑務所に入っていたのかは不明。ダニーがヴィックに計画を持ちかけて、ヴィックを乗り気にさせたのだけど、それには秘密があるけど、知らない方がおもしろいと思うので、書かないでおく。

アパートの間取りは、アリスが監禁されている寝室と、主にダニー達がいるリビング、ちょっとしたキッチン、バス&トイレという感じ。トイレが後に重要な役割を果たすけれど、ほとんどはこのリビングと寝室が舞台となっている。時々、交渉などのためにヴィックが外出するけど、そのシーンは出てこない。ダニーとヴィックの関係はヴィックがリーダーで、ダニーが子分という感じ。2人の食事シーンの会話がいい。2人の関係が過去、現在について自然と分かるようになっている。しかも、きちんと伏線が張られている。ヴィックが外出している間、落ち着かないダニーは脅迫に使ったアリスの写真に興奮。寝室へ入り、眠るアリスの体に手を伸ばすけど思いとどまる。この時点でアリスとダニーの関係は不明なので、ちょっとドキドキするシーンでもある。ヴィックはヒゲの中年だけど、ダニーは若いイケメン。それはそうだよねとドキドキしたけど、後から事情が分かるとニヤリ(笑) この時点ではダニーが、この手の犯罪に慣れていない小者だと思っていたので、おトイレの大きい方をしたいと言うアリスに対し、何で俺が的スタンスで準備する姿が笑えるし、涙ながらに片手の手錠を外して欲しいとか、向こうを向いてくれないとできないという要求を飲んでしまう姿に、そんなことじゃ反撃されてしまうぞと思っていると案の定(笑)

実はここまでヴィックとダニーは覆面を被っているので、アリスにはその正体は分からない。反撃にあったダニーは思わず正体を明かしてしまう。彼の説明によれば、アリスは家族と上手くいっていないのだから、彼女の父親からお金を奪い、2人で逃げようと考えた。ヴィックを騙すには演技ではダメだと思い、アリスにも計画は打ち明けなかったとのこと。でもねぇ・・・。後にアリスにも「本当に愛していたら、こんなことはしない」と言われるけれど、そのとおりだと思う(笑) いくら乱暴なことはしなかったからって、全裸の写真を撮られたり、しびんで用を足させられたり・・・。この計画自体が上手く行って、無事にお金を手に入れたからって、ダニーと恋人としてやっていけるとは思えない。そもそもの2人の感じが、どんなだったか不明だけど、普通に考えたら無理でしょう。

この後の展開については3人の関係が絶妙に入り乱れて、騙し騙されラストに向かって緊張感が高まっていく。あんまり書いてしまうと面白くないけど、ポイントとしてはアリスとダニーの関係、ダニーとヴィックの関係、そしてアリスとヴィックそれぞれの立場が二転三転しつつテンポよく進む。このかけ引きが面白い。アリスが逃走しようとしてからの流れは、一気に見てしまったという感じ。ここから場面は郊外の廃屋へ移る。そこに再びアリスを監禁、2人は計画どおり身代金の置き場である森へ・・・。そして、意外なラスト。このラストもよかった。『アリス・クリードの失踪』というタイトルどおりになるのでは・・・と、思わせたりする。

とにかく脚本がいい! 前にも書いたけど一つ一つはそんなに新しくはないけれど、そのテンポとかスピード感がいい。緊張感の中で、ダニーがピストルの弾の始末に悩むシーンのコミカルな感じを入れたり、緩急がきいている。あと、キャラ設定がよかったと思う。ダニーの詰めの甘い感じとか、でも甘く見てると意外に恐い感じとか、ヴィックのリーダー体質とか、落ち着いているように見えて、カッとなると子供っぽいところとか、意外な秘密とか・・・ 何よりよかったのがアリス。彼女はお金持ちのお嬢さんで、父親と上手くいっていない。イギリスといえば貴族だけど、そういう感じではない・・・ アイメイクバッチリ。彼女のことは他の2人同様語られないので、どういう感じだったのか不明だけど、刑務所に入るような男とつきあっているのだから、何となく分かる。でも、そのはすっぱな感じと、実はしっかりした女性である感じが、かけ引きやラストシーンに生きていると思う。

キャストは3人とも演技を見るのは初めて。かろうじて名前を知っていたのはジェマ・アタートンくらい。ヴィックのエディ・マーサンは『シャーロック・ホームズ』に出ていたらしいけど記憶になし。ちょっと傲慢なヴィックだけど、実は切ない。ラストの彼の見せる優しさがよかった。ダニー役には若い頃のコリン・ファレルをイメージしていたそうだけど、マーティン・コムストンはそんな感じではない(笑) 好みはいろいろあると思うけれどイケメン枠。個人的にはタイプ(笑) 途中の情けない姿も含めてよかったと思う。大胆な計画を立てたわりに、詰めが甘い感じとか、その計画を実行するためにとった手段とか、ダニーのことは好きになれないけれど、何か憎めない。その感じはよかったと思う。そして、アリスのジェマ・アタートンがよかった。ほとんどの場面でアイメークのはげた涙顔、髪ぼさぼさ。ちょっと考えの足りないはすっぱ娘なのかと思っていたけれど、実はしっかりした頭のよい女性である感じをきちんと表現していたと思う。命を賭けたかけ引きは、見ている側も騙すほど。ラストの表情もよかった。

パソコンで画像を送って脅迫しているし、ケータイも使っているから、現代なんだと思うけれど、何となくレトロな雰囲気。特にアリスが監禁される寝室の感じがよかった。この寝室、実はデヴィッド・リンチ風なのだそう。。森も幻想的できれいだった。この森で2人が何かを探すシーンは、コーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』のオマージュだそう。画がよかったと思う。音楽もよかった。録音はあのアビー・ロード・スタジオ。

監督の次回作は『ダークナイト』の脚本ジョナサン・ノーランが、脚本を手がけた1871年シカゴ大火を描く『Hell and Gone』とのこと期待大!

とにかく、3人の演技もいいし、独特の緊迫感がおもしろい! オススメ♪


『アリス・クリードの失踪』Official site


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【Googleのロゴ】グレゴール・ヨハン・メンデル生誕189年

2011-07-20 00:35:19 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



本日、7月20日はグレゴール・ヨハン・メンデルの生誕189年だそう。
189年って中途半端なお祝いっぷりだけど・・・(笑)

グレゴール・メンデルとは? ってことで調べてみた。
毎度のWikipediaによりますと・・・

オーストリア・ブリュン(現チェコ・ブルノ)の司祭で、
植物学の研究を行いメンデルの法則と呼ばれる、
遺伝に関する法則を発見したとのこと。

Alles Gute zum Geburtstag!



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【訃報】原田芳雄 死去

2011-07-20 00:00:00 | news
原田芳雄氏死去… 役者さんとしてだけじゃなく、タモリ倶楽部での鉄男ぶりも大好きだった… ご冥福をお祈りします(涙) #eiga Posted at 03:05 PM

2011年7月19日午前9時35分、俳優原田芳雄氏死去 享年71歳

原田芳雄さんは好きな役者さんだった。若い頃はアウトロー俳優だったそうだけれど、その頃のことはあまりよく知らない。出演作もそんなに見ていない・・・ でも、上手いなぁといつも思っていた。自分が感じていた、原田芳雄の上手さというのは、自身の強烈な印象とは逆に、ちょっとしたセリフの言い方とか、ちょっとしたしぐさから感じられるその役の人柄や人生みたいな部分を、とっても自然にスルリと感じさせるところだったように思う。

Wikipedeiaによると、若い頃の松田優作は、原田芳雄に憧れ、その一挙手一投足を研究し模倣していたのだそう。さっきも書いたとおり、その頃のことはあまり知らないのだけど、日本人にしては珍しく大人の男の色気を感じさせる役者さんだった。豪快っぽく見えて繊細だったり・・・ 上手く言えないけれど・・・

『大鹿村騒動記』見に行こう…(/_;) #eiga Posted at 06:14 PM



遺作となってしまった『大鹿村騒動記』 yaplog試写会募集の時、見たいと思ったんだけど、試写会がバレエの日だったため、断念・・・ 今思えば応募すればよかったな。当選したか分からないけれど・・・ でも、これは絶対に映画館で見ようと思っている。プレミア試写会に車椅子で登場した姿・・・ 変わり果てたあの姿を見せることに、賛否はあるかと思うけれど、個人的には役者魂を感じた。おそらく、ご本人は最後と知ってのことでしょう。ご子息の原田喧太氏によれば、99%ムリと言われての登場だったとのこと・・・ それが、ファンに対する感謝やお別れだったのかも。だったら、こちらも最後の演技を見届けなくちゃね。

『大鹿村騒動記』Official site

映画に関して言えば、主な出演作の中で見ていたのは以下の4本。それしか見てないかな・・・ もっと見てる気がするのだけど・・・ blogにレビュー記事があったものはリンクを貼っておく。

・『アナザヘブン』
・『KT』
・『オリヲン座からの招待状
・『たみおのしあわせ

『たみおのしあわせ』の演技もよかったなぁ・・・ 麻生久美子に靴を選んでもらったとはしゃぐオダジョーに「さっき見た!」というセリフが秀逸だった! そのセリフのためだけでも見る価値あり!

ドラマでは何といっても明日(7月21日) BSプレミアムで再放送される「火の魚」 尾野真千子とのほぼ二人芝居って感じだけど、二人の演技が素晴しい! 小さな作品だけど、景色も美しいし、セリフも素敵。これは予約完了! 保存版にする。

今日は『大鹿村騒動記』行けなかったので、barumixに焼いてもらったタモリ倶楽部で、鉄っぷりを発揮している原田芳雄氏の映像を見つつ、blog更新… カシオペアの回は最高だったな(涙)自ら設定したドアキーの暗証番号4405どおり、天国へ芳雄GO! Posted at 11:22 PM

俳優としてももちろんだけど、タモリ倶楽部での鉄っぷりが大好きだった! 目がキラキラしちゃってホント失礼ながらカワイイ! オープン前の鉄道博物館で、小さな山手線にギッシリ詰まって乗ってみたり(笑) カメラ無視してはしゃぎまくる姿もカワイイ! 若手タレントなんかがするとあざとい感じがするのだけど、ちょっと笑えてしまう。

tweetにあるカシオペアの回というのは、念願のカシオペアの個室寝台に乗車した原田芳雄が体験を語る回。自ら撮影した車内食や、同行した若手俳優が撮影したと思われる「カシオペアとオレ」などの写真を紹介しつつ、カシオペアへの思いを熱く語るというもの。"4405"は原田芳雄自ら設定したドアキーの暗証番号。「4405ヨシオゴー(笑)」と語る姿がカワイイ。

で、実はこのカシオペア乗車券は入手困難。どうしても乗りたかった原田芳雄は、青森ロケの映画出演の条件として、カシオペアに乗せて欲しいと頼んだらしい(笑) 7人がかりで手配し、やっと入手できたというプラチナ・チケットだったのだそうだけど、この時出演した作品が松山ケンイチ主演の『ウルトラミラクルラブストーリー』 これ録画してあるんだけど、まだ見てないんだよね・・・ 今週末見る!



同じくタモリ倶楽部大好きで、鉄のbarumixがDVDに落としてくれた鉄道特集にはほとんど参加。京急貸切、東京メトロ貸切・・・ おもしろかったなぁ。あの姿がもう見られないのはホント悲しい(涙)

タモリ倶楽部の鉄道特集出演回では、以下の2本を除いて全て持っている。これ見たいなぁ・・・ 特に小湊鐵道・・・

・鉄道の見えるBARで電車グッズを肴に一杯やる
・小湊鐵道一日入社! タモリ・芳雄の出発進行!

ちなみに原田芳雄氏はタモリ電車クラブゴールド会員No.002。No.001はタモリ。天国でも電車に乗りまくれ!

原田芳雄さんのご冥福をお祈りします

原田芳雄|Wikipedia



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【cinema】『メタルヘッド』

2011-07-19 07:10:00 | cinema
'11.07.13 『メタルヘッド』@渋谷シアターN

これ見たかった! だってジョセフ・ゴードン=レヴィットがメタルになるんだよ! それは見なきゃ(笑) ということで、『ムカデ人間』観賞の際、盛り上がってtomocoさん、migちゃんと3人で行く予定だったんだけど、残念ながら都合によりmigちゃんと2人で行ってきた♪

*ネタバレありです!

「2ヶ月前事故で母親を亡くしたTJ。父親も彼も立ち直れずにいた。ある日、長髪に半裸の不思議な男と出会い…」という話。なかなかよかった。正直、ナタリー・ポートマン & ジョセフ・ゴードン=レヴィットと豪華キャストにもかかわらず、地味な印象ではあるけれど、そういう作品なので問題はなし。ただ、『ブラック・スワン』がなかったらDVDスルーだった気がする。twitter連動記事にもあるとおり、立見(正確には通路で座り見)してまで映画館で見なくてもって気はするけれど(笑)

若干34歳の監督スペンサー・サッサーはこれが長編デビュー作。一応、ブライアン・チャールズ・フランクという人の原作モノみたいだけど、メタル野郎ヘッシャーのキャラが強烈なだけで、深い傷を負った家族が再生する話という王道ストーリー。なので、この作品でのデビューというのはある意味、無難でよかったんじゃないかと思う。ほめてます! ヘッシャーのキャラを除けば、大成功もしないけれど、大失敗もしない感じ。なので、ヘッシャーをどう生かすかってことにかかっているかと思うけれど、それは成功していると思う。

原作は未読なので、どの程度忠実なのか不明だけど、主人公TJは2ヶ月前に母親を交通事故で亡くし、生きる希望を失ってしまった父親と共に祖母の家に身を寄せている。初めのうちは、この事実自体はそんなにハッキリと語られているわけではないのだけど、冒頭チャリで業者に運ばれていく車を追いかけるTJの姿や、どう考えても使い物にならない事故車を返してくれと業者に頼みに行くTJの姿から、母親は事故死したのだということが分かる。ただ、個人的には、母親の命を奪った事故の際、乗っていた車にそんなに固執する気持ちが、ちょっと理解しにくかったのだけど、これは最後の方にその理由となるシーンが出てくる。ただ、そのシーンを見て、彼がその記憶を残しておきたいと思った気持ちは分かったけど、やっぱり自分だったら事故車を残して置きたい気持ちにはならないなぁ・・・ まぁ、これは原作がそうなのかもしれないし、理解できるできないは個人の問題なので別にいいけれど。ただ、そこでTJがどれだけ母の死を悲しんでいるかとか、寂しさや孤独を感じているかとかが分かるエピソードの軸として使われているので、気持ちは伝わってきたのだけど、どうも感情移入しずらい部分が残ってしまったのは事実。

父親はすっかり生きる気力を失ってしまい、嫌がるTJと共にカウンセリング・セミナーに通う日々。アメリカの映画でよく見かける円座になって、同じ体験をした人々が、それぞれの体験や思いを語り合うというもの。TJはこの会に出たくない。父親だから悲しみを見せてはいけないとまでは思わないし、あんな状態で愛する妻を奪われれば、そうなってしまうでしょうと思うので、この父親を責めることはできないけれど、学校でいじめにあっているTJにしてみれば、父親に頼れないことは孤独で辛いことだったと思う。優しい祖母は大人になりつつあるTJにとって、甘える存在ではなくなってしまっていたことが、より切ない。そういう感じは伝わってきた。そこにヘッシャーが現れるのだけど、通常こういう物語に現れる人物としては、型破りな部分があったとしても主人公の少年に対しては、たとえ一見厳しくても愛情ある態度を見せるものだけど、ヘッシャーは型破り過ぎ(笑)

出会いは車を返してもらえなかったTJが、イライラして廃屋の窓ガラスを割ったため。実はヘッシャーはこの廃屋に住んでいた。ガラスの割れた音を聞きつけ警官がやって来る。パトカーに向けて爆薬を投げつけるヘッシャー。しかも、既にTJをボコボコにしている(笑) 後日、何故か学校の現れるヘッシャー。TJがいじめられているのを黙って見ている。何故か、窓の外からTJにペンを投げてくるヘッシャー。彼はイジメっ子の車に落書きしていた(笑) 怒ったイジメっ子にボコボコにされるTJ。それを助けてくれたのがスーパーのレジ係ニコール。メガネのサエないニコールにボロ車で送ってもらうと、何故か現れるヘッシャー。ズカズカ家に入って来る。TJを全く無視して、どんどん服を脱ぎ、勝手に洗濯を始めるヘッシャー。とうとうパン一に・・・。パンツも脱いじゃったらどうしよう! と、ジョセフファンとしてはドキドキしたけど、パン一のまま(笑) ドッカリとソファーに腰を下ろし、禁煙だと言うTJを相変わらず無視してタバコを吸う。枝切バサミみたいな大きなハサミでTJの鼻をつまみ、自分と知り合いだと言わないと、鼻を切り落とすと脅す。これは犯罪だよね(笑) でも、何故か憎めない。全然、コミカルな演技じゃないけど笑える。もちろん作り手、演じ手も狙って作ってるんだけど、それが自然であざとくない。バカ。ほめてます!

実はヘッシャーの犯罪行為はこの後もたくさん出てくるけど、全部書いちゃうとおもしろくないので自粛(笑) 一方TJは助けてくれたお礼にとニコールの働くスーパーに向かい、アイスを奢る。そこからニコールとの交流が始まる。バイトのシフトにあまり入れてもらえず、家賃も払えないという話を、TJ相手にしてしまう飾り気がなさ過ぎるニコールに、TJは少しずつ心を開いていく。かなり年上だけど、恋愛感情に似た気持ちを抱くTJ。分かるなぁ。ニコールは彼が少年だから自分を出してしまった部分はあるのだろうけれど・・・。この2人の関係は母子のようであり、姉弟のようでもあり、少年の淡い恋ありな感じが良かった。そんなTJの姿を見て興味津々のヘッシャー。ある日嫌がるTJと後をつけると、目の前で追突事故を起こすニコール。確かにネチネチ嫌味なオヤヂではあったけれど、脅して無かったことにしてしまうヘッシャー。これはどう?と思ってしまうけれど、笑えるシーンとなっている。その直後、勝手に人の家(ヘッシャーは叔父さんの家だと言っていたけれど・・・)に入り、TJとニコールをプールに突き落とす。自らも飛び込み、3人ではしゃぐ姿は楽しかったのだけど、急にノリノリになってイスやら、テーブルやらをプールに投げ込み始めるヘッシャー。ガレージに勝手に入ってまで、いろいろ投げ込むに至っては、呆然としてしまう2人。ひとしきり暴れた後、そんな2人を残して帰ってしまうヘッシャー。理解不能(笑) でも、この感じがおかしい! 仮に本当に叔父さんの家だったとしても、犯罪だよね(笑) この辺りはメタル野郎であるという設定が生きている。

ヘッシャーはズカズカ押しかけて来た日からTJの家のガレージに居候しているわけだけど、こういう作品のパターンで言えば、型破りであったとしても、TJが困っていたら助けてくれるとか、何かしら味方になってくれるものだけど、TJがイジメっ子に便器に顔を押し込まれ、脱臭剤を食べさせられそうになっても、その場では助けてくれない。実はTJもやられっぱなしではなく、反撃したりしているので、そこまで陰湿な感じはしないし、ヘッシャーとしては自分で何とかしろというスタンスなのかもしれないけれど、終始ヘッシャーは敵か味方か分からない。まぁ、敵ではないと思うけれど(笑) ただ、TJには上から目線で、TJの父親にはバカにしたような態度をとるけれど、TJの祖母を見る目は優しかったりする。祖母と並んでパイ作りを手伝ったり、TJと父親が喧嘩をして、祖母が作った食事をひっくり返してしまった時、文句も言わずに自分がもう少し力になれたらと嘆く祖母を、涙を浮かべて見つめる姿が印象的。一貫して祖母に対する視線は優しい。この辺りヘッシャーの人柄が分かって上手い。具合が悪いと寝室に向かう祖母を心配するヘッシャー。医療用大麻を吸引機で吸わせてしまったり、相変わらずやる事はめちゃくちゃだけど、微笑ましいシーンとなっている。祖母とヘッシャーのシーンは全部良かった。

祖母が亡くなってショックを受けたのは、父親やTJよりもむしろヘッシャーだったように思う。TJは寂しさを埋めるため、ニコールに会いに行く。あの車を買い戻そうと、父親の財布からカードを盗み下ろしたお金を、ニコールにあげようと考えていた。でも、ニコールはヘッシャーと寝室に。ヘッシャーとニコールの間には、多分恋愛感情はない。ニコールは少しヘッシャーが気になる風ではあったけれど・・・。でも、お互い悲しみや、不安を抱えていた場合、そんな風に人を求めてしまうことはあるように思う。女子としてはあまり肯定しきれない部分はあるけれど・・・(笑) でも、気持ちは分からなくはない。でも、TJには理解できない。その気持ちはよく分かる。彼にとっては淡い恋心もあっただろうし、思春期特有の潔癖さもあるだろうし、複雑・・・(笑) この事があってヘッシャーは出て行くけれど、祖母のお葬式にやって来る。ヘッシャーらしい言葉で大演説し、父親とTJを救うことになる。言葉遣いや例えは相変わらずヒドイけれど、なんだか微笑ましい。笑えるけど、ホロリとさせるラスト。これは好き。

キャストは良かった。こういう小さな作品は、キャストって重要だと思う。TJのデヴィン・ウィルソンは繊細で、でも男の子であるという強がりを感じさせて良かったと思う。父親のレイン・ウィルソンは『SUPER』の人なんだね。この作品では、気力を無くしてしまったダメ父親だったけれど、父親だからといって迷わないわけでも、すぐに立ち直れるわけでもないと思わせたのは、良かったと思う。エンドロールで気づいたのだけど、祖母役はパイパー・ローリーだったんだね。「ツイン・ピークス」で暗躍してたあの人! 老けましたね・・・(涙) でも、このおばあちゃんのゆったりしたペースと、優しさに救われたのだった。

ニコールのナタリー・ポートマンは相変わらず上手い。今回の役はすごく地味。大きなメガネに化粧っ気もなし。サエないレジ係。特別ナタリーじゃなくてもいいような役だけれど、ヘッシャーを除けば地味な作品に深みを持たせていたと思う。製作も手がけているけれど、ナタリー・ポートマンですという芝居ではなくて、きちんと脇役に徹していたのはさすが! 本当に上手い役者は、自分の役割を理解し、作品全体を考えた演技のできる人なのだと納得。そして、ヘッシャーのジョセフ・ゴードン=レヴィットがいい! 正直、メタルは曲や、長髪やいでたちが苦手なんだけど、彼らのバカ行動はおもしろかったりする。ほめてます! ジョセフ自身も音楽やっているみたいだけど、ファンといいつつ曲は聴いたことないので、どんな感じなのか不明。でも、このメタル野郎はすごく合ってた(笑) 長髪似合ってたし、ちょっとアゴを上げて、無表情でゴツゴツ歩く感じも良かった。終始何を考えているのか、敵か味方か分からない感じもいい。でも、意外にいい人なんだけど(笑) やらないとなったら、どんなに頼んでもやってくれないわりに、やるとなったら、どんなに頼んでも止めてくれないばかりか、むしろやり過ぎてしまうヘッシャー。同じ犯罪でも車爆破までは笑えたけど、鼻はちょっと・・・(笑) でも、ヘッシャーが実は繊細な人なんじゃないかと思えたのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィットのおかげ。大音量でメタルをかけて、呆然とするTJの横で、ハンドルをガンガン叩きながらヘッド・バンキング。ヘッド・バンキングしながらチラッとTJを見る瞬間がすごく好き!

原作者や、脚本も担当した監督の真意は分からないけれど、これはメタル野郎が家族を救うヒーローものなんだと思う。上手く言えないけど、メタルマンみたいな・・・(笑) 結局、ヘッシャーのことは全然分からないし、そもそもどうやって生活しているのか・・・。居候か(笑) でも、ガソリン代は? とか、疑問もあるけど、メタルマンだと思えばOK。まぁ、思わなくても全然楽しめるけど(笑)

ちょっとバカで、じんわり感動。小さな作品だけど良かった。メタルファンの方にはめったに楽曲は提供しないという、空耳多発でおなじみのメタリカが楽曲を提供。大音量で聴くことが出来る。ジョセフ・ゴードン=レヴィット ファンの方は是非! ワイルドで、バカで、優しい姿を見ることができます! オススメDEATH!

追記:予告編の最後に出るMETALHEADってロゴがMETALLICAみたいになってるけど、これは日本オリジナルだよね? 原題『HESHER』だし・・・(笑)

『メタルヘッド』Official site


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【cinema】『デビル』(試写会)

2011-07-14 22:35:40 | cinema
'11.07.07 『デビル』(試写会)@よみうりホール

お友達のmigちゃんのお誘い。気になってたので鑑賞♪ なんだかんだと言っても、結局見てしまうシャマラン作品。まぁ、今回は原案と製作のみですが…


*ネタバレありです!

「転落事故が起きたばかりの高層オフィス・ビル。偶然同じエレベーターに乗り合わせた5人の男女。突如エレベーターが停止してしまい、閉じ込められてしまう。電気が消える度、人が殺されていく。犯人は誰なのか…」という話。これは密室サスペンス・ホラーという感じでしょうか… 展開的にはベタだけど、王道ゆえに見所がきちんと用意されていて、飽きてしまうことはない。それなりにおもしろいけど、全く怖くない(笑)

実は見る前、配給会社の人が、女性の方は関係者席にどうぞと言うので、最前列の2人席へ移動。おトイレ行って戻ってきても、まだ関係者席への誘導していて、そのアナウンスを落ち着いて聞いたところ、どうやらリアクションをカメラで撮影、鑑賞後コメント撮りが条件だったらしい! それはムリってことで席移動。個人的にあの暗視カメラの映像のリアクション & 声を揃えてのコメントCM好きじゃないので… 周囲でもあんまり評判よくないので、やめた方がいい気がする。余計なお世話だけど(笑)

で、上から見てたら、元いた席の直ぐ近くでカメラ撮ってたけど、多分私達の映像はカットだと思う。全くリアクションしてないので(笑) 怖くないから… ホラー映画なのに怖くないって言っちゃうと全否定になってしまうけど、閉じ込められた5人の中に犯人がいるんじゃないかってことで、捜査やストーリーが展開して行くので、密室サスペンスとしても楽しめる。タイトルが『デビル』である以上、悪魔が出てくるのは分かっているわけだから、逆にその設定を受け入れやすかった。キリスト教徒の方々は、幽霊などよりも悪魔の方が怖いらしく、しばしば悪魔登場の映画が作られる。日本人としては悪魔ってピンとこない。漠然とした理解だし、そもそも信じていないので怖くない。ホラー映画ならば、例えば『エクソシスト』は傑作だと思うけど、知らずにサスペンスだと思って見てたら、実は悪魔の仕業だってオチだとガッカリする。そのオチにしちゃったら何でもありじゃんと思ってしまうし。でも、それは悪魔を信じていないからなんだよね。欧米人にとってみれば悪魔は恐怖の対象なのでしょう。

個人的には悪魔憑きとかっていうのは、精神病の一種であって、エクソシストっていうのは、ある意味催眠療法なのかなと思っているけれど、この作品では犯人は悪魔そのもの。一応人間の姿はしているけれど、悪魔。だって『デビル』だって言ってるから(笑) ということは、ネタバレも何も乗り合わせた人達の中の誰かが悪魔なわけで、それならばスッキリ犯人逮捕とはならないけれど、一応犯人は特定されるということ。なのでサスペンスとして見ても、それなりにおもしろい。超常現象的なシーンもあるけれど、犯人が自分は悪魔だと思い込んでいる人物としても、十分成り立つストーリー。正直、現時点では事件なのか、自殺なのか分かっていない転落事故が起きたばかりのオフィスビルが、何事もなかったように稼動しているのはどうか? とか、ツッコミどころ満載だったりするのだけど、まぁその辺は話を進める上では必要な部分でもあるので問題なし。転落死についていえば、製作者であるシャマランの『ハプニング』同様、オープニングでドーンっと落下してくるっていうのをやりたかったんだと思うので、それだけでOK。だって、この事故全然生かされてないし(笑)

この転落死を捜査していた刑事が現場に駆け付ける。かなりの高層ビルだけど、ビル管理室には2人しかいないっていうのも不自然な気もするけど、まぁいいか(笑) 初老の男性と南米系の男性職員。南米系の男性は早い段階で悪魔の存在を訴えるも、初老の男性には相手にされない。このキャラ分けはよかったと思う。2人とも適度に有能(笑) ほとんどの場面が、この管理室とエレベーター内部のみ。後は、管理会社職員と、刑事、刑事の部下がそれぞれ出入りする際に、別の場所が登場するくらい。それもほぼビル内に限られている。その感じはよかったんじゃないかな。特別新しい演出とも思わなかったけど、飽きてしまうことはなかったので。

管理室の声はエレベーター内には聞こえるけれど、エレベーター内の声は管理室には届かない。ケータイも圏外。身元確認が遅くなることと、被害者達の不安が募る効果としてはよかったと思う。被害者の身元は徐々に明らかになっていき、それが彼らが集められた理由でもある。汚い手口を使い、大損した客から恨まれているディーラー、暴力事件ばかり起こしている黒人ガードマン、金持ちの夫との離婚訴訟でもめている女性、スリの老婆、ひき逃げ事件を起こした男性。で、結局その内の1人が実は悪魔で、この人物達に制裁を加えようとしているということ。イヤ、確かにいい人物達ではないので、その設定に特に異論はないけど、悪魔ってそもそもそういう存在なの? 悪魔って善人を悪の道に落とすとか、無差別に殺すとか、そういう存在なんだと思っていた。正義の観点から制裁を加えるっていうのは、悪魔のイメージと違っていたんだけど・・・ それは、まぁいいとしても、この人達確かにいい人物達ではないけど、悪魔がわざわざ出張してきて、制裁を加えるような人物達でもないよね。それなら、もっと制裁を加えられるべき人達たくさんいると思うんだけど・・・。捕まっていない凶悪犯はいくらでもいるし、利権がらみの政治家とかね! まぁ、作品のこじんまり感としてはこんな感じでいいのだけど(笑) でも、初老の管理会社職員は不明だけど、いち早く悪魔の存在に気づく担当としてのメキシコ系職員や、刑事も集められた人物だという設定は面白い。刑事とたった一人生き残る人物との意外な関連も面白かったし、刑事の下した決断も「汝の敵を愛せよ」という教えにのっとったものであって、それこそが人類を救うのだということなのかと思う。

*以下ネタバレ!

犯人については、特別勘がよくなくても分かると思う。だってその人じゃないと、全然おもしろくないし。で、これはアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」が下敷きにあるのかな? あれも、法律では裁けない罪を犯した人々を孤島にあつめて、中の一人が次々制裁を加えていた。そして、その犯人が途中で死んだことになっている人物であるというのが、どんでん返しなんだけど、その偽装死因が首吊りだった気がする・・・ ちょっと、自信ないけど。犯人が動き出した時、この作品を思い出していた。

キャストはほとんど知らなかった・・・ 刑事役のクリス・メッシーナは『ジュリー&ジュリア』のジュリーの旦那さん役の人だったんだね。あの旦那さん好きだったのに全然気づかなかった(笑) あと、乗客の1人ジェフリー・エアンドはチラシに『(500)日のサマー』と書かれているのを読んで気づいた。でも、最初に出てきた瞬間、てっきりシャマランお得意のカメオ出演だと思って笑ってしまった。直ぐに間違いに気づいたけれど(笑) こちらも乗客の1人ローガン・マーシャル=グリーンは『アクロス・ザ・ユニバース』に出てたみたいだけど、全く思い出せない・・・ という感じで、とっても地味(笑) まぁ、こういう作品は俳優の演技力とか評価しにくい部分はあるけれど、全体に漂うチープ感には合っていたと思う。ほめてます!

フィラデルフィアの街の感じとか、画がちょっとかっこよかった。クリス・メッシーナの刑事と生存者が帰る夜景とか、ちょっとフィルム・ノワールっぽい画がかっこよかった。オープニングの映像と、エンディングの映像が呼応してるのは、逆にダサい気もするけど、まぁよし(笑)

ということで、全然怖くなかったけど、普通におもしろかった! まぁ、シャマラン作品に怖さを求めて観に行く人もあまりいないかもしれないけれど・・・ でも、何故だか見ちゃうシャマラン映画(笑) 毎回、それなりにおもしろい。今回もそんな感じ。特別、オススメもしないけれど、見て損はしないと思う。

『デビル』Official site


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【Googleのロゴ】聖ワシリイ教会450周年

2011-07-12 02:06:21 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



ロシア赤の広場にある聖ワシリイ教会が450周年なのだそう!
教会が450周年って変な言い方(笑)

正式名称は「堀の生神女庇護大聖堂」というのだそう。
なんて読むんだろ?

もう何年前だろう・・・
東欧旅行した際、トランジットで泊まったモスクワ
「ビザがないのでホテルから一歩も出られません」と言われ、
ホテルから出たら撃たれるに違いないと思っていた(笑)

そしたら、観光バスがやって来て、日本語ぺらぺらのガイド登場!
10ドルで市内観光に連れて行ってくれた(笑)

前置きが長いけど、その時聖ワシリイ教会を見た!
たまねぎ型の屋根がカワイイ、お菓子の家みたいな教会

С Днем рождения!



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【art】「夏の嵐展」@マリアの心臓

2011-07-12 01:57:40 | art
【art】「夏の嵐展」@マリアの心臓

先日おじゃましたマリアの心臓「夏の嵐展」素敵だった。中央の恋月姫のお人形スゴイ!何度も見てる四谷シモンの人形も好き。入口にいたATカワイイ☆これ素晴らしい!大好きなブリュとも再会♪他にお客さんいなくて貸切状態。至福の時でした☆ #doll Posted at 02:24 PM



特別に許可を得て撮影 & 掲載しています。
本来は撮影禁止ですのでお気をつけ下さい


この子ホント素晴しいです! とにかく顔がきれい! そしてカワイイ。ドレスも素敵。ボンネットもカワイイ。結構大きい。写真には入りきれなかったけど、ショーケースも素敵だった。

★夏の嵐展:7月1日(金)~31日(日)
マリアの心臓



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【cinema】『ムカデ人間』

2011-07-12 01:34:30 | cinema
'11.07.06 『ムカデ人間』@シネクイント

コレ!実はお友達のmigちゃんと「ムカデ飲み」に参加するつもりで、公式アカウント様をフォロー。急に外せない用事が入ってしまい、結局飲み会には行けなかったのだけど、フォローしたからには公開情報がどんどん入って来てた(笑)『ムカデ人間』ってどうよ?と思っていたけど、正直気になってはいた。初日見てきたmigちゃんと、お友達のtomocoさんとtwitterで会話してたら、急に盛り上がって行くことに!というわけで行ってきた(笑)



*ネタバレありです!

「ドイツ郊外。人里離れた森の奥、愛犬ムカデ犬を亡くし悲しみにくれる博士。長年の夢を実現すべく、行動を開始する…」という話。おもしろかった!大好きなバカ映画!一応、くくりはホラーだけど、グロいシーンもほとんどないので、個人的な分類としてはバカ映画(笑)バカ映画といっても、いわゆる"おバカ"とは違う。もちろん狙って作ってはいるんだけど、"おバカ"であることを狙ってるわけじゃない。バカ映画とは真剣に作った結果、バカになったみたいな感じ。バカ映画の説明難しい(笑)個人的に考える"おバカ"映画は、ちょっと古いけど『Mr.ビーン』とか・・・ 主人公や登場人物達が、バカな行動をするドタバタ感を笑う感じというか… 嫌いなわけでもないんだけど、個人的にはあざとい感じがするのが"おバカ"映画という感じかな。あくまで個人的な感覚なので、好きな方はごめんなさい!

前置きが長くなったけど、要するに本作は素晴らしいバカ映画だということ! とにかく発想がバカ過ぎる! シャム結合双生児の分離手術の第一人者だったハイター博士は、分離ではなく結合したいと考え、ムカデ犬の手術に成功、大変かわいがっていたが死んでしまい、次はムカデ人間を作りたいってことになったわけです。もうバカ発想。こんな発想はどうしたって理解できないのだけど、愛犬を失ったと歎く気持ちはよく分かる。でも、その愛犬がムカデ犬だからね。そして、誰かがムカデ人間になってくれないと、話が始まらないんだけど(笑)

で、冒頭トラック運転手を拉致。だけど、この人"不適合"ってことで殺されてしまう。何が適合しないのか特に説明はない(笑) 多分、2号と3号になるアメリカ娘達と適合しないってことかと。背の高さとか、体格とか。この2号と3号はレンタカーを借りてヨーロッパを旅行中。知り合ったドイツ人男子に誘われたクラブに向かうも、道に迷ってしまうという典型的なパターン(笑) 2人がムカデ人間にされちゃうことは分かっているので、早く博士宅へ辿り着いて欲しいところなんだけど、けっこう引っ張る。でも、2人のバカっぽい会話や、道に迷ってから次々襲いかる困難に、つい笑ってしまって飽きさせない。だって、森で通りかかった車に助けを求めたら、イジリー岡田みたいな動きの変態オヤヂだし(笑)

で、いよいよ2人博士宅に向かうわけだけど、この博士宅がスゴイ豪邸。なんか広すぎて高原のホテルみたい(←盛りすぎ(笑)) 内装もスタイリッシュ。出迎えた博士はイグアナっぽいけど紳士的な佇まい。まぁ、でも十分怪しいんだけど、イジリーオヤヂに遭遇した直後だけに、博士の小芝居を信じてしまう。2人にはかわいそうだけど、博士がどうやって監禁するのかドキドキ。意外に普通だったけど、まんまと2人を眠らせることに成功。次に2人が目覚めると病室のベッドの上。隣にはドライバー。だけど不適合。で、ドライバーは殺されちゃうしで大パニック。1人は隙を見て逃走。けっこう頑張って逃走するので、尺は長めだけど、ここは適度にドキドキして飽きない。変に演出を加えていないので、実はそんなにスピード感はないんだけど、それが逆にリアル。そしてB級感がぷぃーんとする(笑) この時、彼女は自分一人なら逃げられたのだけど、友達を置いて逃げられないと助けに戻る。これは、彼女が捕まってしまうためだけでなく、後の伏線にもなっている。

で、結局2人また捕まっちゃうわけだけど、その時の博士が(笑) それは、後ほどまとめて書くとする。連れ戻された2人が目を覚ますと再び病室。そして日本人青年が新たに捕らえられていた。この日本人青年カツローが北村昭博さん。カツローがどんな経緯で博士に捕まってしまったのか一切説明なし。それどころか、日本語しか話さないカツローが、何故ドイツにいたのかも不明。彼の人生の一部については、後にカツロー自身から語られることになるけど、結局この辺りのことは不明。そして何故ドライバーはダメで、カツローは適合なのかは、相変わらず説明なし(笑)

結局、3人はつなげられちゃうわけだけど、その形状については、チラシなどに絵が出てるので、何となく分かるかと。詳細は避けますが、そのままです(笑) 医学的にその状態で生きていけるのか、そもそもその手術自体が可能なのか、サッパリ分からないのだけど、博士は自信満々。まるで患者にこれから行う手術の説明をするかのように、落ち着いた調子で丁寧に説明する。泣き叫ぶ2号と3号や、関西弁でまくし立てる1号のことはおかまいなし。イラストまで描いて理路整然と説明されると、見ている側は「なるほどねぇ」なんて思ってしまう(笑) だって、つながることは知ってて見てるわけだからね。ちなみに、この時博士が描いた絵が、チラシや渋谷駅に出現したアレ。これまた絶妙なタッチ(笑) あの絵を使って嬉々として説明する姿がおかしい!

結合手術自体は全然グロくない。一部キモイシーンもあったけど、ほとんど患部とかも見せないので、手術シーンのリアル感は「JIN -仁-」の方が全然ある。「JIN -仁-」けっこう直視できなかったし… で、手術が終了するんだけど、博士高名な医者なのにあの縫い目… これがビックリな縫い目なんだけど、ここも後の伏線となっている。ツッコミどころでもあるけど(笑) ムカデ人間が目覚めるまで満足げに過ごす姿が笑える。しかも、あんなにムチャして造り上げたムカデ人間と、やりたかったことがあんな… まぁ、実は一貫してるとも言えるのだけど(笑)

後半、さらに2人の人物が加わり、サスペンス調になる。この2人がまた…(笑) 何だろうこの'80~'90年代の香り。まぁ、典型的ないでたちともいえるけど、古い(笑) 中途半端な長髪、ヒゲ、ノーネクタイのシャツに革ジャン。そして、ややお腹出てる。ねぇ(笑) その感じが、ここから先に展開される全てが、B級でバカであることを象徴している。ほめてます! 仮にこの展開の映画を、夜中テレビで見てるとして、救出対象がわがままな社長令嬢とかだったら、ゲンナリして見るの止めてるとこだけど、救って欲しい相手はムカデ人間だからね(笑) しかも、北村さん大活躍!

よく考えると1号しか喋れないんだよね… 博士はドイツ人だけど、英語を話すので、2号と3号は理解できる。1号がどのくらい英語を理解している設定なのか不明だけど、とりあえずほとんど分かっていないと仮定すると、喋れるのは彼のみだけど、博士の言葉が理解できず、2号と3号は理解は出来ても、1号には伝えられない。1号は2号と3号に伝えたい思いがあっても、日本語しか話せない。逃げたい思いは同じでも、意志の疎通ができない。でも、2号と3号は手を握って励ましあったり、1号は2号と3号を気遣ったりする(涙) その辺りはリアル。例の古いタイプの2人組の存在に気づき、3人力を合わせるシーンがせつないけど、笑える(笑) バカだからね。

で、例えば3人が助かった場合どうなるんだろうかと考えてしまう。かなりの傷は残るとしても、人並みの生活ができるようになるのだろうか? そんなことをつらつら考えていると、博士達がベタな展開を繰り広げている。博士意外にしぶとい(笑) で、1号最大の見せ場がやってくる。詳細は伏せておくけど、おそらく博士の作り上げた世界を壊すことで、彼に復讐したのだろうし、2号と3号を救おうとしたのかも。北村さん熱演! しかもドアップ(笑)

キャストは全員初めて見る俳優さんばかり。公式アカウント様のRTで北村昭博さんは知っていたし、一回migちゃん経由でRTした覚えがある。確か、「スティーブ・ブシェミみたいな俳優になりたい」って、つぶやいてた気がする。ブシェミ大好きなのでRT(笑) アメリカで活動されてる役者さんで、出演作を見るのは初めて。初めての作品がコレというのもどうかと思うけど、そういう部分も含めて良かったと思う! あのセリフってアドリブだったりするのかな? migちゃん情報によると、脚本も担当したトム・シックス監督が日本好きで、北村さんが日本語でセリフを言うたび大喜びだったとか(笑) 「火事場の馬鹿力」を2回言ったのがツボ。あと、生理現象を抑えきれずに言う「ごめーん」が素晴しい(笑) ほめてます! 目指せブシェミ! 2号のアシュリー・ウィリアムズ、3号のアシュリン・イェニーも頑張った! この役よく引き受けたなと思うけど(笑) 適度にかわいくて、適度にビッチな感じが、後の健気さと哀れさを際立てていた。ほぼ半裸で頑張った! 残念ながら体勢的に、あまり見えませんが(笑)

そして、博士のキャラがすご過ぎ! 博士をドイツ人にしたっていうことと、人体実験的な手術をするってことは、ナチスを皮肉っているのかなと思ったのは考えすぎかな? ナチスで人体実験といえば、ヨーゼフ・メンゲレだけど、ハイター博士もヨーゼフ。メンゲレは双子に異様に関心を持ち、手術によりシャム双生児を作り出したのそうなので・・・。Wikipediaで調べてたら、あんまりにも残酷なのでもうやめ! ムリ! とにかく、演じるディーター・ラーザーはもちろん初めて見たのだけど、スゴイ熱演。しかも、この方本国ドイツでは「マクベス」など、シェイクスピア作品の舞台に出てるんだね。ちょっとジェレミー・アイアンズに似てる気がするけど、どうかな? そしてイグアナっぽい。この役にピッタリ。よくぞこの人をキャスティングしてくれましたという感じ。博士はあきらかにDS(どうかしている)だけど、ちょっとおもしろい。思い通りにならないと駄々っ子みたいになっちゃうし、ちょっとカワイイ(笑) ムカデ人間が言うことを聞いてくれなかった時の、悲しげな表情が絶妙。だから、ちょっと切なかったりする。そして、そういう要素を含めて全てが、バカだということ!

ちょっと切なくて、面白い。そして、バカ! 真面目にバカなことをしているのがすごく好き! 本当にバカなことって、真面目にしっかり考えないとできない。スゴイ芸人さんって本当は真面目で、頭がいい。当blogで使う"バカ映画"っていうのは、そういう意味。最大級のほめ言葉です(笑)

絶対MJ(みうらじゅん)大好きだと思う!

*以下、ネタバレあり!

【個人的にツボだったところ】

①トラック運転手を埋めるシーン :T シャツをジーンズにイン
②逃げた2号を麻酔銃で撃つシーン : いつの間にかサングラス着用
③2号と3号の頬の縫い目 : 粗すぎ! だから膿んじゃうんじゃん!
④ムカデ人間に脚を噛めと言うシーン : ブーツ着用(笑)
⑤ムカデ人間を追うシーン : あんなに弱ってたのに、急に早っ!
⑥ムカデ人間が目覚めるまで :
疲労困憊の博士 → 眠るムカデ人間 → 眠る博士 → 眠るムカデ人間(まだ起きない・・・) → くつろぐ博士 → ムカデ人間(まだ寝てる!)

他にもいろいろあるけど、とりあえず! 思いついたら追記するかも?(笑)

『ムカデ人間』Official site


コメント (9)
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