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【cinema】『クィーン』

2007-04-30 01:12:52 | cinema
'07.04.29 『クィーン』@TOHOシネマズ 市川コルトン

世界で最も有名な人物の1人英国女王エリザベス2世。そしてこれまた未だに物議をかもしているダイアナ妃の事故死。その死から葬儀までの一週間を描いた映画。

トニー・ブレアが新首相となり女王から任命を受けに来るところから始まる。この若き首相は女王に会うため緊張している。自分が首相に任命するのは10人目で、最初はチャーチル(!)だったと余裕の発言の女王。チャールズ皇太子と同じ世代の首相を息子のように導く。でも、時にユーモアも交えて交わされる会話も威厳に満ち、人としての温かみは感じない。といって冷淡なわけではない。感じるのは孤独。

大英帝国という大国のトップにいる人々は、様々な情報を頭に入れて即座に決断を下していかなくてはならない。そしてその決断に則した態度や姿勢を貫かなくてはけない。女王は国家元首として生き、王室の伝統を守ることを自らに課してきた。26歳の若さで即位してから50年間そうして生きてきた。でもどこかにズレが生じていた。第2次世界大戦後、戦争自体はなくなっていないけど、主要な大国は自国が戦場になるようなこともなく、民主主義の下に自由を謳歌してきた。もちろんそれは良いことだけど、古い伝統や英国人(だけでなく)の美徳とされていた「悲しみや苦しみを自らの中で抑えることができる」人々は少なくなっていた。良い意味でも悪い意味でも自己主張をハッキリする人々。ダイアナ妃の事故死で、その「人々の変化」に気づくことになる。

王室には王室側の言い分もあるだろう。確かに伝統を重んじることに存在価値があると言っても過言ではない王室に嫁ぎながら、それらをことごとく打ち破ろうとするダイアナはやっかいな存在ではあっただろう。マーガレット王女が「ダイアナは生きていても死んでもやっかいだ」と言ったらしいけど、言葉だけ抜き出すとヒドイけど、そういった側面はあったのだろう。いくら私的な会話でも公人が口にする言葉ではないけど・・・。ダイアナ妃はチャールズ皇太子と離婚して王室からは離れていたけれど、国民の人気は絶大だった。むしろ離婚によりダイアナに同情が集まっていただろう。そして衝撃の事故死。国民の感情は必要以上にダイアナの悲劇に向かった感はある。でも、彼女は2人の王子の母親であり「人民のプリンセス」だったのだ。

女王の対応は間違ってはいなかったのだろう。鹿狩りばかりしているフィリップ殿下はどうかと思うし、2人の王子の気持ちを本当に考えれるのであれば、直ぐに母親の元に行かせるべきだったと思うけど。でも、王室の者としての処し方は国民の求めていたものではなかった。そのことを思い知らされた時の苦悩はすごい。そして、孤独。

ブレア首相があんなに尽力したとは知らなかった。映画のとおりだとすれば的確で見事な判断だった。そしてそれに応えた女王もすごい。映画の中で女王をあざけった側近に対して首相が怒りをあらわにするシーンがあるけど、その言葉どおりだと思う。公の人というのは時に自分の考えとは違っていてもそれを受け入れなくてはならず、さらに自らが間違っていたと認めなくてはならないのは辛いところだ。まぁ、女王じゃなくてもフツーのOLにだってある事だけど。でも、それが「責任」だから。

アカデミー賞を受賞したヘレン・ミレンは女王そのもの。まるで本物の女王を見ているようだった。それだけにドキュメンタリーを見ているようで「映画」を見たという感じはあんまりしない。狩りのシーンの自然や宮殿内部の装飾、衣装などは豪華。ファッションには定評のある女王の衣装は素敵。ダイアナ妃の件では悪役になりがちなチャールズ皇太子が意外にも(失礼)ダイアナを擁護していたり、女王に意見していたりしたのはびっくり。それにはある意図があるように描かれていたけど(笑) 女王自ら運転していたのもびっくり。鹿のシーンは美しくて良かった。その鹿によって命のはかなさや残酷さをかみしめるのも・・・(涙) その辺りはやっぱり「映画」的ではある。

あの一週間になにがあったのかが良く分かるし、ドキュメンタリーとして見ると面白い。


『クィーン』official site

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【cinema】『蟲師』

2007-04-29 01:06:24 | cinema
'07.04.21 『蟲師』新宿ミラノ3

漆原友紀の人気コミックを『AKIRA』の大友克洋が実写化した映画。原作は未読でよく知らなかったけど気になった。もちろん同行したTのお目当てオダジョー映画ってこもともあるけど(笑)

「蟲と呼ばれる怪しい生き物が人にとりつき困らせていた。そんな蟲の正体を探り、人々を救いながら旅をする蟲師のギンコは・・・」というあらすじのとっても書きにくい話。あんまり核心に触れるとネタバレになってしまうし、かといって実はそんなにいわゆる「ストーリー」があるような作品でもない。原作を読んでいないので、どういうスタイルで描かれているのか良く分からないけれど、おそらくギンコが旅をしながら蟲と対峙していくというエピソードが各話完結の形で進むのだと思う。まだ連載中ということもあるし、そもそも全てを映像化するのはムリだろうから、何本かのエピソードをつないでという形になっているのだろうとは思うのだけど、なんとなくつぎはぎ感がする。

ギンコのというか蟲師というのものの説明としては、蟲退治している映像を見せるのが手っ取り早いし分かりやすい。でも、ちょっと長かったかな。少女のエピソードはギンコの生い立ちやヌイとの関係の伏線になってはいる。でも、なんか繋がらない。少女の化粧や表情がキモかっただけでそんなにグッとこなかったし。蟲の映像は良かったけど、角はちょっと・・・。そもそも使用人のエピソードだけでも良かった気がするけど、あれで女主人が信用するというのもあるからな。女主人役のリリィは良かった。リリィの上手いのか下手なのか良く分からないセリフ回しと独特の存在感は好き。

見たいと思った理由は、おそらく何らかの病因で身体的にか精神的にか患っている人のことを、昔の人は蟲が憑いたと考えていたと何かに書いてあったのを読んだから。例えば『エミリー・ローズ』の悪魔憑きとか今なら医学で説明のつくこともでも、人は自分達の理解を超えると、超越した「何か」に答えを求めるところがある気がする。そこがおもしろいと思ったから。でも、この作品では蟲は怪しい「存在」として出てくるので実際は少し違っていた。それはそれで面白いので別にいいんだけど。

最後には繋がるんだけど大きく2つの話が交互に描かれる。それが少しダレるかな。最後に繋げたいためにあえて言わないみたいなところがあるので、ちょっとモタつく気がする。本筋ではない方の重要人物ヌイ役の江角マキコが熱演していたけど気負いすぎな感じで、少年の演技とあまりかみ合わないのも見ていて置いてきぼりな感じ。

淡幽役の蒼井優は良かった。品がいいのでピッタリだけど、ギンコとお互いに好意を持っている間柄にしてはやや若い気がする。たま役の李麗仙が見事。威厳があって姿勢や佇まいが美しい。ちょっと群を抜いている感じ。旅の同行者となる虹郎役の大森南朋が良かった。ちょっとトボけていながら、お人よし。巻き込まれながらもギンコを支える感じが良かった。

電気が少しずつともり始めているというくらいの時代設定。いまひとつ分からないけど基本的にみんな着物だし、100年くらい昔の感じなのかな? 日本人の原風景というような自然の美しさ。それと移動する虹などのCGとの融合は良かったかな。


『蟲師』Official site

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【cinema】『ハッピーフィート』

2007-04-10 23:42:33 | cinema
'07.04.07 『ハッピーフィート』@新宿ジョイシネマ

夕食までには少し時間があったので、映画を見ることに。本来は動きが過剰で表情過多の海外(特にアメリカ)のアニメは好きではない。でも、これはちょっと気になってた。全米公開時も社会風刺が話題になったらしいし、皇帝ペンギンのかわいさにも惹かれた。

「恋の季節になると歌を歌い相手を探す皇帝ペンギン。歌の上手い者が優秀とされている。歌が上手くSEXYなノーマ・ジーンとメンフィスの間に生まれたマンブルは生まれつき音痴だったが、その代わりにダンスの才能があった・・・」という話。う~ん。まぁこんなものでしょうか・・・。皇帝ペンギンの話で風刺といえば、人間の環境破壊に対してということくらいはすぐ分かる。人間をエイリアンとして描いていて、乱獲ぶりなんかは確かにマンブル達からしたら脅威だとは思うけど、人間も生きていかないといけないからなぁなどと思ったりする。

ネタバレになるけど、ラブレイスの首輪については心が痛む。人間が出したゴミが思わぬところで動物達に危害を加えることがあるのは本当に辛い。そのあたりに関しては説教臭くなくてよかったかも。要するに言いたい事は人間に対して「自然を守れ」ということと「地球は人間だけのものではない」ということ。マンブルは自分を受け入れてもらうためと、仲間を救うためにただ1人立ち向かったけど、結局、自覚はなけど人間を立ち上がらせることになる。その辺の皮肉な感じは良かった。人間を敢えて実写にすることにより逆にアニメ的な感覚で、醒めた目線で見れたのは良かったかも。それが逆に痛烈な批判になっている感じもした。でもなぁ。多分その後は見た人たちが行動して下さいって事なんだろうけど、なんだかそれも中途半端な気がしたし、子供には分かりにくくないかな? 意外に子供の方が本質を素直に受け止めるからこんな感じの方がいいのかな? それにしても的が絞りきれていない気がしないでもない。

前半は単純に楽しいけどちと長いかな。やっぱり過剰な動きが多くて落ち着かない。多分この手のアニメの良さは、いかに早い動きと表情の豊かさを表現できるかってとこなんだろうから、私が合わないだけなんだけど。ただ、映画のパロディーがたくさん入っていたのは映画好きとしてはニヤリ。そもそも母親ノーマ・ジーンはマリリン・モンローの本名だし(笑) 声はニコール・キッドマン。すごいかわいい声だったのでビックリ。1人留年してしまったマンブルを仲間の所に送り出す彼女が言う"Go get them,Tiger"(←ちとアヤシイ・・・)は『スパイダーマン2』のラストでMJがピーターに言うセリフだし! Spideyは大好きなのでうれしい(笑)

マンブル役はイライジャ・ウッド。何度も書いているけどイライジャの作品選びが好きで今回も見たようなところもある。まぁ、今回はやや失敗気味な気がしないでもないけど・・・。俳優を声優に使うと顔が浮かんでしまうのであまり好きではないんだけど、逆にマンブルはイライジャの美しい瞳と同じ青い瞳にしていたりして面白い。そもそも、1人旅立つ感じとか精神的に追い込まれてしまう場面とか『ロード・オブ・ザ・リング』を彷彿とさせたりするし。まぁ、いつまでもそれを言われるのもかわいそうだけど、今回狙っている部分はあると思う。重要人物(?)ラブレイスとアミーゴスのリーダー役はロビン・ウィリアムス。実はロビン・ウィリアムスは苦手。上手いと思うけど芸達者ぶりのアピールがちと・・・。でも、今回この2役の演じ分けは見事。特にラブレイスは後半いとおしくさえなった。

その他、父メンフィス役でヒュー・ジャックマン、長老ノア役でヒューゴ・ウィービング、恋人グロリア役でブリタニー・マーフィーと多彩。歌が重要アイテムなので皆歌を披露している。ヒュー・ジャックマンが上手いので驚いた。

正直おもしろくはない。ただ映像はすごい。南極の寒さも表現できてたし、ペンギンの質感がすごい。特に赤ちゃんペンギンのかわいさは『皇帝ペンギン』にも負けていない。自然も動物も本物にはかなわないけどね・・・。


『ハッピーフィート』Officialsite

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