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【Googleのロゴ】葛飾北斎生誕250周年

2010-10-31 03:45:28 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに!



葛飾北斎生誕250周年!
北斎大好きなので知ってるけど、毎度のWikipediaで調べてみた!

葛飾 北斎(かつしか ほくさい) は、江戸時代後期の浮世絵師。
化政文化を代表する一人。

代表作に『富嶽三十六景』や『北斎漫画』があり、
世界的にも著名な画家である。

これは「富嶽三十六景」の中の超有名作品、
"神奈川沖浪裏"の中にGoogleのロゴが隠れている!
素晴らしい

お誕生日おめでとうございます!


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【cinema】『トロンレガシー』(TIFF特別上映会)

2010-10-31 01:18:00 | cinema
'10.10.23 『トロン レガシー』TIFF特別上映会@TOHOシネマズ六本木

yaplogで当選。いつもありがとうございます! 六本木で31日まで開催中の東京国際映画祭(TIFF)の特別上映会。24分のダイジェスト版だけど、出演者のティーチインもあるとのことで応募! 見事当選した。

映画祭は日本で公開されない作品も見れて、映画ファンにはたまらない催しなんだけど、どうにもまめじゃないので、いつもほとんど出遅れて終わるパターンが多い。今回の作品は知り合いのブロガーさん達に評判が良かったので、ちょっこし後悔(涙) そんな中、この特別上映会が当たったので、少しだけ参加。baruの出産祝いを買ってから向かったので、ヒルズに着いたのは17時頃。チケット換えてからアリーナに行くと、グリーンカーペット・イベントの真っ最中。スゴイ人だったので、近づけなかったけど、映画祭の雰囲気が味わえて楽しかった。

20:10までにカメラチェックを終えてくださいとのことなので、時間に合わせて行く。タキシード姿の関係者と思われる人がたくさんいてカッコイイ。カメラチェック時にはケータイの電源を切ってから、配られた封筒に入れて封をさせられ、デジカメ持ってた人は預かりという厳重さ。でも、終演後のカメラセッション時に、デジカメ取り出して写真撮ってるおばさん2人組がいたけど… 意外に段取りが悪くて、20:30開始のはずが全然中に入れず。シアター2だったので、あんまり広くなかったので入り始めたら、そんなに時間はかからなかったけど、イベント自体が始まったのは21:00過ぎ。いとうさとりさんが登場し、プロデューサーのショーン・ベイリー氏の挨拶の後、いよいよ24分のダイジェスト版上映。もちろん3Dメガネ着用です!

wikipediaによりますと、1982年に公開された『トロン』はアメリカと台湾の合作のSFファンタジー。世界で初めてCGを導入した映画。コンピュータ内部世界の美しい映像と、プログラムを擬人化した作品は画期的だったけれども、ちょうど『ET』と公開が重なってしまい、興行的には失敗に終わってしまったのだそう。オリジナルを見た方も何人かいらしたけど、自身は未見。どうやらアニメーターとしてティム・バートンが参加していたらしい! 「自ら開発したゲームを盗作された挙句、勤めていたエンコム社を追われたケヴィン・フリンが、同僚のアランと調査していくと、コンピュータ内部にアランそっくりの人物が現れる。それこそがトロンであった。」というのが前作のあらすじで、今作はその続編。フリン役でジェフ・ブリッジスが、今作でも同じ役を演じている。

「エンコム社のCEOであったフリンの失踪から20年。息子のサムの元に父からのメッセージが届く。父のオフィスで、フリンの残したコンピュータを起動したサム。気づくと彼は父の作り上げたデジタルの理想郷グリッドの中だった…」というのが、今作のあらすじ。ダイジェスト版で上映されたのは、サムの元にアラン(たしか…)が、20年前から持ち続けているポケベルにメッセージが来たことを伝えに来るシーンから始まる。2人の軽いやり取りの後、倉庫のような建物に向かうサム。秘密の扉を通った先のこじんまりとした部屋は、まるで職人の工房のような感じ。埃にまみれたパソコン(?)を起動し、コンピュータ言語のようなものを打ち込むサム。この背景とは似合わない感じだけど、これからサムと共に体感するコンピュータの世界観との対比となっている。

このグリッドの映像がスゴイ! 上映後のティーチインでの、ショーン・ベイリー氏の説明によると『アバター』(未見)のアート・ディレクター・チームが再結成したそうで、最新の技術を使って始めから3Dカメラで撮影したとのこと。ダイジェスト版でグリッドの世界が見れるのは、中部に取り込まれたサムが、何人かの人の姿をしたプログラム達とともに振り分けられるシーンから。たぶん、エラー要素なのかな? サムは訳も分からずゲームに参加させられる。ドーナツ型の円盤のような武器を使い、1対1で対戦する。どちらかがバラバラになって消滅すれば終了。と、書くとグラディエーター達の生々しい闘いみたいだけど、まるでゲームのよう。常に夜なのか、真っ暗な中に、巨大ロボットのようにも見える要塞(?)のような物がそびえる世界観がスゴイ! 黒の質感もいい。

そして、別のシーン。サムは謎の人物が運転する車に乗り、何者かに追われている。この追っ手がまたスゴイ! 人の姿をしていたものが、くるりと宙を舞い、着地する瞬間バイク型になる。この形態がおもしろい。バイクと人の一体型なんだけど、このデザインもさることながら、滑らかな質感がスゴイかも。チェイスの迫力とかよりも、このデザインと質感に感動してしまった。この後、サムは助けてくれたクオラに導かれて、グリッドの奥深くに潜んでいる父ケヴィンと再会するシーンと、若かりし頃のケヴィンの姿をしたプログラムが、ケヴィンに向けて宣戦布告するようなセリフを言うシーンなどか紹介されて終了。これは楽しみ! SFはあんまり好んで見る方ではない。複雑過ぎてあんまりよく分からない、もしくはCGありきでストーリー自体はあまり重要じゃないかで、なんとなく入り込めないので… この作品もストーリー自体は…な気がしないでもないけど、この映像は大画面で見たいかも。正直、現実世界での映像は3Dじゃなくてもと思うけど、グリッド内部の映像は3Dで見てみたい! ティーチインで山田優も言ってたけど、ダフト・パンクの音楽が映像と合っててカッコイイ! 期待大!

【ティーチイン】
プロデューサー:ショーン・ベイリー、サム:ギャレット・ヘドランド、クオラ:オリヴィア・ワイルド、日本宣伝担当:山田優 によるティーチイン。

上映終了後、テレビクルーの準備が出来次第、プロデューサーと主演2人によるティーチイン開催。テレビクルーの準備がなかなか終わらなくて、司会のいとうさとりさんがイライラしてたっぽい。サムのギャレットは昨日来日したばかりで疲れていたのか、マイクをくるくる回して飽きてるみたいで、ちょっと心配だった(笑) それぞれ通訳の方がついてるのに、メインの通訳の方が全て訳してたのも時間の無駄だったかも。しかも、ちょっと噛みすぎ…(笑) 全体的に段取り悪かったかなと思うけど、ティーチイン自体は見れて嬉しかった。

メモを取ってなかったので、細かいことは忘れてしまったのだけど、それぞれが話してくれたことで印象的なことを少しずつ。

ショーン・ベイリー:(前作に比べて新しい感じがしたが?)今作を作るにあたっては、前作を踏まえつつも、新しいことに挑戦したいと思ったし、新しい世界を造りたいと思った。

(ダフト・パンクが映像と合う)ダフト・パンクは前作のファンだったらしく、彼らの方から売り込みがあった。

(続編は?)もちろん作りたいと思っているが、皆さんにかかっている。

ギャレット・ヘドランド:(肉体改造したのか?)撮影前からトレーニングした。LAの施設では様々なことを学んだ。

(忍者っぽいが日本の影響は?)LAの施設には忍者がたくさんいた(笑) 日本には昨日来たばかりだけど、グリーンカーペットを楽しんだ。

オリヴィア・ワイルド:(クオラの役作りは?)ジャンヌ・ダルクをイメージして演じた。

(忍者っぽいが日本的な影響は?)日本文化が好きで、この映画は近未来的でクールで、日本っぽいと思っていた。クオラは忍者っぽいと思っていたので、うれしい。

ギャレットは疲れてたっぽいけど、ショーンは真面目に熱く語ってくれたし、オリヴィアはキレイで、にこやかでいい人だった。公開時のプレミアにはまた来たいと言っていたので、期待大!

キャスト2人もこの日初めて見たという貴重映像。とにかく映像がスゴイし、音楽もカッコイイので映画館で見たい!

そういえば、グリッドに入る前、アランがサムを尋ねてくるシーンで、アランがサムに「トリプルアクセルで、着地に失敗したのか?」って聞いてた気がするんだけど、気のせいかな? 字幕は「飛び降りて、着地に失敗したのか?」になってたし、ヒヤリングは全く自信ないけど(笑)


『トロン・レガシー』Official site

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【cinema】『SP 野望篇』(試写会)

2010-10-29 00:17:11 | cinema
'10.10.20 『SP 野望篇』(試写会)@よみうりホール

yaplogで当選! いつもありがとうございます。岡田くん好きなので、目の保養に行ってきた(笑)

*ネタバレありです!

「SPの井上薫は子供の頃、目の前で両親をテロリストに刺殺された過去を持つ。その時、彼を庇った麻田総理がニヤリと笑うのを見てしまったことの心的ストレスで、神経が異常に過敏になり、周囲の音や気配から危険を察知する能力が備わってしまう。東大法学部卒ながら、あえて一般採用で入庁した係長 尾形は井上の能力を買い、引き抜く。彼には真の目的があった…」という話で、フジテレビ系で放送されていたドラマの映画化。という説明はあんまり必要ないかもしれないけど(笑) ドラマは全話録画したけど、録ったら安心してしまって見ていなかった。しかもビデオだからデッキ残してるけどめんどくさいし… とりあえず、公開に合わせて再放送された4話のみ見ての鑑賞。ついて行けるか心配だったけど、4話分でも人物相関図や背景なんかは、何となく理解できるように作られていたので、問題なし。ただ、ドラマ版(スペシャルかも…)のラストから1週間後という設定なので、見ていた方が楽しめるのは間違いないと思うし、映画版では人物紹介はほとんどないので、未見だとどうかな… でも、分からないってことはないと思う。

冒頭からすごいスピード感。六本木ヒルズでのイベントに出席する大臣の警護にあたる警護課第四係機動警護班のメンバー。フジテレビ系なのに六本木ヒルズでロケしたんだ(笑) なんて思っていたら、危険人物を察知した井上が、大爆発を予知。CMでも流れていますが、スゴイ迫力。その前に、散々怪しい人物を見せておいて、本物を見抜くのは井上というのは、王道だけどニヤリ。しかし、この本物とのチェイスがスゴイ! スゴイけどちょっとやり過ぎ(笑) なんでもVFX部分は『ターミネーター2』のロバート・スコタックをスーパーバイザーに迎えたとのことで、そのスピード感と迫力はスゴイし、映像処理も全く違和感ない。ハリウッドならばあと2~3台はいってるだろうと思われるトラック横転も、1台に抑えてはいるけど、日本という尺で考えると、結構ハデ。まぁ、日本映画でもトラック横転くらいはあったし、車のボンネット駆け上がりくらいはあるけれど、長い(笑) 井上はかなりの距離車の上を走る。なかなか見応えあるけど長い。

そして、犯人とのチェイスはまだまだ続く。かなりの距離を走った挙句、トラックの荷台に乗ってのバトルもあり。これもかなりのスピード感で、迫力もあって見応えあり、「誰も寝てはならぬ」に乗せての立ち回りは優雅(笑) でも、長い… イヤ、つまらないわけではないし、多分時間にしたら10~15分くらいだと思う。そのくらいのアクション・シーンはハリウッドものでは当たり前。岡田くんも犯人役の人も熱演してて、全然ダメなわけじゃないんだけど、なんだろう東京のスケール感なのかなぁ… 六本木から最終的どこまで行っちゃったんだろ? とか、考えてしまったのはこちらの問題だとしても、やっぱりハリウッドばりのアクションは東京という身近な風景のスケール感の中ではしっくりこない気がしてしまう。文字通り、都市全体の大きさとか、都会感とかじゃなくて、道幅とかいうスケール感のこと。まぁ、何度も言いますが面白かったのですが(笑)

うーん… イヤ、面白かったんだけど、感想が書きにくい…(笑) そもそも、この映画では完結しないし。ドラマと完結篇である『SP 革命篇』との中継ぎ作品なので… しつこいようですが、ドラマ版は4話しか見てないので、ラストがどんな感じで終わったのか不明。でも、チラシなどによると、どうやらこの先の核となる、尾形の"大儀"への関係を示唆して終わったらしい。本作では尾形の関与が明確になり、大儀についての大まかな説明と、数人のメンバーが分かったくらい。数人のメンバーについても若手ばかりで、イマヒトツ重みに欠ける印象。一応、与党幹事長役の香川照之が関わってて、年齢的には若くはないけど、政治の世界では若手だし… 大儀の部分も何となく説得力に欠ける。全貌を明らかにしてないってことかもしれないけど、ドラマ部分の事件がこのメンバーの仕組んだことだとすれば、ツッコミどころも満載な気もするけれど… うーん。見ている間はスピード感があって、楽しかったのだけど、感想を書こうと思ったら、ホントに何も浮かばない… たまにこういうことはあります(笑) 個人的には見終わった後に余韻の残るような作品が好きだけれど、見ている間だけ楽しくて、何も残らない作品も決して嫌いではないし、それもまた映画の在り方としてありだと思っている。と、書くとなんだか必死でフォローしてるみたいだけど、決してそんなことはない。ホントです(笑)



官房長官(だったかな?)を警護して、次々送り込まれた刺客達を倒して行き、次の攻撃があるかも知れないので、現場に残る者と、先に進む者に別れて進む。井上の危険察知能力が意外に生かされないじゃないかとか、いくらなんでもこんな住宅街で夜中にこれだけ暴れて苦情がこないのか? などのツッコミはあるけれど、迫力はある。官房長官も最初はイライラして横柄な態度だったけど、次々襲って来る敵にビビリまくり。でも刺客達の狙いは明らかにSP達で、全く相手にされてないんだけど(笑) でも、無事首相官邸に辿り着いた時には、すっかりいい人になっていくのが面白い。きっと政治家のセンセイはこんな感じなんだろうな。

実際、井上のように精神的に大きなショックを受けると、脳が過剰反応をして危険を察知する能力が備わるものなのかは不明だけど、そういう設定は興味深い。井上のキャラが面白い。普段はやる気がなさそうな不思議キャラ。手錠を持ってくるのも忘れるくせに、不審者を発見し追跡スイッチが入ると、自らが盾になってクライアントを守るどころか、クライアントを放り出して犯人逮捕に走ってしまう。職務ということを考えると、井上の行動は正しくない。でも、間違ってるとも言いきれない。その辺りがおもしろいし、どうやら係長の尾形が彼を買っている理由でもあるらしい。そして、あの運命の日の出会いも… この辺りのことは、次回作で明らかになるのかなと思ったり。今作の中では尾形は敵のように描かれているけど、果たしてどうなのか?

キャストは結構豪華。岡田くんは特別上手いとも、下手とも思わないけど、どこか何か深く考えてそうでもあり、考えてなさそうな感じが結構好き(笑)その感じがこの役にあってると思う。肉体改造を行い、スタントなしでアクション・シーンをこなしたそうで、もちろん早回わし的なことはしてると思うけれど、かなり体張っている。何となく華奢で小さい印象があって、良く知ってた人を彷彿とさせる。今ではもう何とも思わないけど、不思議な感覚を覚える。もちろん岡田くんの方が全然カッコイイですが(笑) 真木よう子目当てってところもちょっとあったのですが、今作ではそんなに見せ場はなかったかな… ボウガンで打たれちゃうところも、なんとなく自分から当たりに行ってるみたいな印象だったし(笑) 香川照之はやっぱり上手いけど、今回結構大芝居。尾形の堤真一はやっぱりカッコイイ! こういう役はピッタリという感じ。大儀のために悪に走ってしまいそうでもあり、でもホントは違うんじゃないか? いい人であって欲しいと思わせるべきだと思うので、そういう意味では素晴らしい。そして孤高感がカッコイイ!



ドラマ版未見でも楽しめると思うけど、できれば見ておいた方がいいように思う。登場人物達について一切説明がないので、レギュラーなのか、映画版で登場してきた人なのか全く分からない。分からなくても平気だけど、例えばCMでも流れてる井上をロックオンしてるあれ、あれが誰なのか分からなかったのだけど… 私だけ? 一緒に行ったMッスも分からなかったみたいだから、ちょっと分かりにくかったんじゃないかと思うんだけど… 顔以外の彼の姿は準備段階からずっと映していて、衝撃映像って感じで映されるんだけど、誰?(笑) 公安の彼に似てた気がするのだけど…

アクション・シーンは良かったし、VFXはカッコイイ! スピード感があって面白い。そして、岡田くんと堤真一がカッコイイ! お2人のファンの方は是非!

ドラマ版から引き続き、テーマ曲カッコイイ!


『SP』Official site


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【cinema】『遠距離恋愛 彼女の決断』(試写会)

2010-10-20 00:18:38 | cinema
'10.10.12 『遠距離恋愛 彼女の決断』(試写会)@ワーナーブラザース試写室

yaplogで当選! いつもありがとうございます。yaplog限定でしかも女子のみ、お一人様参加の試写会。ワーナーブラザース試写室はスゴイきれい! 入口にはWBのロゴ。座席も座りやすいし、傾斜がけっこうあって、スクリーンが高いので、見やすい。

*ネタバレしてます!

「何故かいつも恋愛に本気になれないNY在住のギャレット。誠意が足りないとフラれた日、友人達と行ったバーで、エリンと出会う。研修中で6週間後には西海岸へ戻ってしまう彼女とは、軽い付き合いのはずだった。本気で恋に落ちた2人は遠距離恋愛を始めるが…」という話。そのまんまです(笑) 王道ラブコメ。かなりドタドタで、けっこう下ネタ多い。でも、おもしろかったし、けっこう感動してしまった。なによりドリュー・バリモアがカワイイ♪

冒頭、ソファーでイチャつく男女。男性はキスに夢中で、早く寝室へ行きたい様子。ケータリングもしくは、デリで買ったと思われる食べ終わった食事の並ぶコーヒーテーブルが映り、ディナーのお礼を言う彼女。何となく噛み合わない。とうとう彼女がプレゼントはないのか尋ねる。君が要らないと言ったから、プレゼントはないと答えるギャレット。悪気はないらしい(笑) 言葉どおりに受け取った彼を誠実じゃないと怒る彼女。この彼女も捨てゼリフとはいえ、自分は"できた彼女"だからプレゼントは当然もらえると思ったし、要らないと言えばいい物をくれると思ったと言っちゃうような人なので、ギャレットが本気になりきれない気持ちは分からないでもない。でも、彼女からこんなセリフを引き出してしまったのはギャレット。彼は悪い人ではないけど、美人で俗っぽい彼女が求める恋愛マニュアル的なことは出来ないだろうと思うし、きっと彼女はイライラしながら我慢してたんだろうなと思ったりする。どちらが悪いわけじゃなくて、合ってないことはよく分かる。まぁ、女子としてはギャレットはもう少し頑張れと思いますが(笑) イヤ、プレゼントが問題じゃなくて、気持ちの問題。要するにギャレットは友達が言うとおり、彼女のことを本気で好きじゃないってこと。でも、好きでもないのに甘い言葉を囁いたり、プレゼントくれるような、下心のみの男よりはマシか…(笑)

31歳で大学院生のエリン。将来は新聞記者になりたいと思っている。でも、新聞業界はどこも不況。研修で来ている大手新聞社に、なんとかコネを作って就職したいと思っているけど、現実は甘くない。記事にさんざんダメ出しされた挙げ句、書き直すよう言われ、友人とやけ酒。そこでギャレットと出会う。このエリンが魅力的。会ったその日に、ギャレットの同居人ダンが流す『トップガン』をBGMにエッチしてしまうという、かなり大胆で軽い一面もあるけれど、それが全然イヤじゃない。2人の出会いはラブコメの王道ってことで、第一印象は良くない。エリンがバーのゲームで最高得点を出す直前、酔ったギャレットにじゃまされる。彼女がこの店の最高得点保持者だと知ったギャレットの謝罪を受け入れて、一緒に飲むことになるわけだけど、この時のエリンの対応がすごくいい。確かにゲーム機のところにやって来たギャレットに、酔ってムシャクシャしていたとはいえ、待ってても譲らないと言うのはスゴイなと思うけど、だからって人のじゃまをすることはないわけで、謝られれば許すとは思うけど、その後一緒に飲めるかどうかってことで、いろいろ違ってくるのかなと思う。考え方の違いなだけであって、どちらが正しくて、どちらが間違っているということではないと思うけど、エリンの方が男女問わず出会いの間口が広いのは事実。彼女の魅力はこういうところかなと思う。

一夜限りのつもりだったけれど、それではギャレットのプライドが傷つくってことで、2人で朝食に行き意気投合。前述の女性のプライドや、男性のプライドが傷つくポイントの違いが分かっておもしろい。もちろん、人それぞれなので一概には言えないと思うけれど。会話のやり取りで、それぞれの性格や、傷つくポイントが分かって、2人が無理せずそれを受け入れていく感じがすごく自然に描かれている。女子なので、エリンの気持ちの方が分かりやすい部分もあるけど、ギャレットの心の動きなんかも分かりやすい。2人は期間限定で付き合い始める。この間はパーッと2人がどんどん仲良くなっていく過程が描かれる。若干やり過ぎな部分もあるけど楽しそう。この映画全編を通して言えることだけど、ラブコメにありがちな大袈裟だったり、やり過ぎだったり、赤裸々過ぎるくらい下ネタ多発だったりするけど、30代女性の悩みもきちんと描いていて、そのバランスが絶妙。お互いある程度恋愛経験を積んだ上での余裕みたいのが感じられて、2人がとってもいい関係を築けているのが伝わってくる。例えばエリンがまずいワインを吐き出すシーンは、実際隣で他人にやられたら引くと思うけど、親しい仲なら笑っちゃうし、共感しちゃうみたいな。そういうのが上手い。

期間限定の仲のはずが、お互い本当に好きな相手であることが分かり、遠距離恋愛を始める。日本でも遠距離恋愛している人はたくさんいると思うけれど、広いアメリカでは距離がハンパない。時差が2時間もあるし! めったに会えないのは日本でも同じだと思うけど、時差があるんじゃ電話も大変。メールやスカイプを使ってやり取りしてるけど、こんな便利ツールの無かった時代、一体どうやって遠距離を乗り越えてたんだろう。この辺りのやり取りは、共感する人も多いと思う。特別遠距離恋愛じゃなくても、お互い忙しくてなかなか会えないカップルも、会えない辛さは同じだと思うし。様々な誘惑や、周りの雑音なんかも描かれているけど、本当に障害になるのはそこじゃないので、この辺りはサラリとした印象。それはよかったんじゃないかと思う。ギャレットが会いに来てのドタバタも次への伏線になっている。

核となるのは"仕事か恋か" アメリカも不況で、仕事がない。研修中に記事を評価してくれた部長に就職のお願いをするも、100人リストラしたばかりと体よく断られてしまう。2人の希望はエリンがニューヨークの新聞社に就職して、一緒にいること。30代の2人が、いくら付き合い初めて6週間だからといって、あまりに会いたい会いたいというのも、落ち着きがない気もするけれど、その年代だからこそ、出会えたピタリとくる相手は、大切なのかもしれない。そのわり結婚するってことにならないのは、やっぱりエリンの"夢"ってこともあるし、イマドキの感じなのかな。まぁ、ドタバタするのはラブコメの基本だし(笑) そういう感じもイヤではない。彼女の誕生日プレゼントも買わなかったギャレットが、内緒ではるばるやって来て、ウェイトレスとして働くエリンをご指名、しかも花束持参なんて、スゴイ変身ぶりも微笑ましく思ってしまう。冒頭のあんまりな姿が、ここできいてくる。そして、恋愛初期の男の人の盛り上がりっぷりにニヤリ(笑) ギャレットのロマンチック演出は、また出てくるけれど、それがその後に続く深刻シーンとの落差となって、切ないおかしさを演出している。

あんまりネタバレしてしまうのもどうかと思うけど、語りたい部分がネタバレなので仕方なし(笑)結局、エリンはシスコの新聞社に採用される。レコ社に勤めるギャレットは、自分の売りたいバンドは売り出してももらえず、全くいいと思えないバンドの担当にされるなど仕事に不満がある。これを機会にと考え、シスコ中のレコ社に就活するも全滅。一緒にいるためには、どちらかが自分の夢を諦めなくてはならない。エリンは以前も遠距離恋愛を経験し、夢を捨てて恋愛を取り、結局恋も失ってしまった過去がある。やっと取り戻した人生を、手放したくない気持ちは良く分かる。エリンが会いに来るからとロマンチック演出をしたのに、また遠距離になる話をされて憤慨するギャレット。気持ちは分かるけれど、エリンが求めていたのはロマンチック演出じゃない。エッチしたい気持ちが生理的欲求だけではないのも分かるけど、話をあまり聞いてもらえないのは悲しい。多分、男性側から見るとエリンは順番を間違えてるんだと思うけど、女子は気持ちが大切だからね。この態度は傷つく。もちろん、話を聞いてくれなかったからだけではない。

ケンカ別れしてしまった2人。エリンは仕事を諦めることにする。確かにエリンの言うとおり、ウエイトレスをしながら、機会を待つっていうのはありだと思うけど、やっぱり女性が犠牲になるしかないのかと思ったりする。"犠牲"って言うとちょっと語弊があるかもしれないけれど。確かに、どちらかが仕事を辞めなければならない場合、男性の方がリスクは高い気はするけれど、それはアメリカも同じなのかと思ったりする。この2人の場合、ギャレットはやり甲斐はなくても安定していて、エリンはこれから就職するわけで、結婚する前提でもなかったわけだから、エリンに歩が悪い気がする。多分、その辺りを心配した姉が、ギャレットに言うセリフがイイ! ちょっとウルウルきた(涙) ギャレットを認めているし、妹の決断も理解した上での言葉。軽い調子で話し初めて、少し涙ぐみながら強い口調、そしてまた冗談っぽく締めくくる。それだけに、ズッシリくる。恋愛初期って、一緒にいることが重要で、もちろんお互いを思いやっているけれど、自分の楽しい気持ちでいっぱいになってしまう。そして、彼(彼女)は自分のものだと錯覚してしまう。だから、相手が誰かの大切な人でもあるということをつい忘れてしまう。ギャレットはエリンのお姉さんの言葉で、改めてエリンの立場に立って、彼女の為に考えたんだと思う。そして、彼は決断する。それをエリンに伝える時、彼女を抱きしめた彼の顔がアップになり、涙が頬をつたう。泣いているであろうエリンの顔は見せず、ギャレットの涙を見せるこのシーンは好き! このシーンで全てのおちゃらけもチャラになるくらい切なくていい。

2人は別の道を歩く。それなりに充実して、楽しいけれど、どこか満たされず、物足りない日々。そして再びギャレットは決断する。2人のもやもや時間が少し長く、ヒゲパーティーのシーンとかは要らない気もするし、若干ご都合主義だけれど、ラブコメの王道的な終わりは良かったと思う。そこに落ち着くのはイマドキでいいかも(笑)

キャストは良かった。ギャレットの友達たちは、お笑い担当。下ネタ満載だったけど、悪友感が楽しかった。ダンのチャーリー・デイは特徴のある顔と声。何かで見た気がするんだけど… お姉さんのクリスティナ・アップルゲイトも基本お笑い担当。潔癖症ぶりが笑える。若干やり過ぎな部分もあるけど、それが例のセリフを引き立たせている。彼女はすごく良かった。ギャレットのジャスティン・ロングの出演作を見るのは初めてかも。親しみやすいタイプ(笑) この役合ってる。特別上手いとは思わなかったけど、涙のシーンが良かった。ドリュー・バリモアがカワイイ! エリンは下品ギリギリ(笑) でもそこをキュートに見せるのがさすが! ハスキーボイスも含めて魅力的。この映画がやり過ぎだけど、キュートで素敵な映画になったのは彼女のおかげ。

とにかくドリューがキュート! ちょっとやり過ぎな部分はあるけど、けっこう感動。ラブコメ苦手でも大丈夫。ラブコメ好きは是非! 恋したくなります(笑)

追伸:オープニングがかわいかった♪

『遠距離恋愛 彼女の決断』Official site


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【cinema】『十三人の刺客』(試写会)

2010-10-13 23:53:00 | cinema
'10.09.15 『十三人の刺客』(試写会)@よみうりホール

rose_chocolatさんからのお誘い。いつもありがとうございます! 気になって自分でも応募しようかと思っていた作品。よろこんで行ってきた♪

*ネタバレありです

「江戸末期、将軍の腹違いの弟で明石藩主松平斉韶は、権力にモノを言わせ、残虐な行為をくり返していた。将軍は彼を野放しにしているだけではなく、来年には老中にするという。これを憂慮した老中 土井大炊頭利次は、密かに御目付役 島田新左衛門に、斉韶暗殺の命を下す…」という話で、これは1963年池宮彰一郎監督(←修正! 工藤栄一監督でした・・・ すみません)作品のリメイク。女性はほとんど登場しない正に男の映画。かなりやり過ぎな部分も多いし、正直ツッコミどころも満載だけど、おもしろかった。

チラシによると、11代将軍・徳川家斉の25男(!)で、明石藩第8代藩主・松平斉宣が参勤交代で尾張藩を通過中、行列を横切った3歳の幼児に切り捨て御免を行ってしまい、これに激怒した尾張藩が、今後は明石藩の領内の通行を断ると伝えてきたため、明石藩は行列を立てず、藩士たちは農民や町民に変装して尾張藩内を通行したという史実が元になっているらしい。これは松浦静山の「甲子夜話」に記されているとのこと。切り捨て御免されてしまったチビッコはホントにかわいそうだけれど、ちょっとコミカルで、ほのぼのしている気がしてしまうほど、この映画のバカ殿は残虐。残虐行為自体は映画なら、なくはない。でも、将軍の弟だからと何をしてもお咎めなしなのはまだしも、来年には老中にするというのは、将軍もバカ将軍なのでは?(笑)

冒頭、バカ殿の残虐行為を幕府に訴えるため、家老が門前で切腹するシーンから始まる。江戸城内では老中達が将軍の決定を待っている。バカ殿が老中になるのは阻止したい。結論はお咎めなし。バカ殿には家老の家族には手だししてはならないと注意が出るけど、もちろん無視。上様のぬるい決定が新たな悲劇を招く。将軍がバカ殿をそこまで庇う理由が描かれていないので、この決定は腑に落ちない。もちろん、弟なわけだから、庇いたい気持ちは分かるし、事を大きくしたくない部分もあるのだろうけど、他に方法はあると思う。当時の法律は今とは違うわけだから、同じに考えることは出来ないかもしれないけど、切り捨て御免なんてものじゃないから! 行列の途中で泊まった家で、新婚の妻を手ごめにするわ、茫然自失するそのダンナを、惨殺するわで、もう暴君とかいう問題じゃなくて、幽閉レベルだと思うのだけど、来年には老中にするとは! まぁ、コイツがこんななのに、どうにも出来ないからこそ、十三人に密命が下るやわけなんだけど、同時にバカ将軍も何とか
した方がいいと思う(笑)

いきなり切腹から始まって、島田が呼び出されて、両腕両脚を切られ、舌を抜かれ、なぐさみものにされたあげく、道端に捨てられた娘が、血の涙を流しながら、口にくわえた筆で、家族は"みなごろし"にされたと書くのを見せられ、牧野靭負(松本幸四郎)から、上記の嫁と息子を惨殺された話を、もちろん映像つきで聞かされ、ものすごい辛い。もうずっと眉間にシワ。体もこわばりっぱなし… 酷すぎるぞバカ殿! と、コチラの怒りも頂点に達した頃、薄暗い部屋で闘志を燃やす島田新左衛門。スカッとするシーンではないけれど、新左衛門の中で怒りや憤りがどんどん沸き上がってくるのが分かる。急に笑い出す新左衛門にビックリするけど、多分あまりのことに笑っちゃうのでしょう。非道に対する怒りもそうだし、武者震いもそうだろうし… 時は泰平の世で、武士もサラリーマン化している。人を斬ったことのない武士が大勢いる。もちろん、人は斬らない方がいいけど、武士はある意味それが仕事みたいなものだし、明確な階級社会だったわけだから、下級の武士にとっては今以上に格差があって、閉塞感があったのかも。「死に場所を探しておりました」という島田の言葉には、武士に生まれたものの、満たされていないものを感じる。ここまでの画面がずっと暗いのも効果的。

島田の甥 新六郎は武士である自分を持て余している。新左衛門ほど剣の道に励む気も起きないけれど、侍のプライドは捨てられない。演じているのが山田孝之なので、きっとこれは今の若者の象徴なのでしょう。将来に希望が持てないから、投げやりになってしまう気持ちは分かるけれど、やっぱり新左衛門の潔さを見てしまえば、甘いなと思ってしまう。多分、それは自分が新六郎の突き当たっている壁は越えたってことなんだと思う。でも、新左衛門の境地には達していない。果たしてその境地に行けるのかも謎(笑) 新六郎はこの壁を乗り越える。多分、追い越された自分(笑) 彼の存在は良かったと思う。

新左衛門は強烈な個性のカリスマ的なリーダーではない。御目付役というのがどのくらいの身分なのかさっぱり分からないのだけど、多分そんなに高い位ではないと思われる。妻子がないと思われる彼の身なりはかなり質素。それは新左衛門の人柄を表している部分もあると思うけど、やっぱり金銭的にそんなに余裕がない部分はあるんだと思う。そういう人物がリーダーとなって、権力に立ち向かうっていう設定は、王道だけどやっぱりゾクゾクする。もちろんたった1人でできるはずもなく、タイトルにもあるとおり新左衛門のもとには12人の刺客が集まる。全員のエピソードを語る時間はないので、主要な人物以外はサラっと紹介されるのみ。2時間超の作品だけど、ラスト50分の死闘を描くことがメインなので、個性的な面々が集まってはいるけれど、それぞれ掘り下げることはしていない。それは潔いかなと思うし、それで薄っぺらくなってしまったということもない。



敵方、明石藩御用人 鬼頭半兵衛(市村正親)は、島田新左衛門と旧知の仲。同じ道場で学ぶが、いつも新左衛門には勝てなかった。職に就いたのも、出世も新左衛門の方が早い。いつか新左衛門に勝ちたいという一心で生きてきた。御用人のことがこれまたさっぱり分からないのだけど、かなりの地位っぽいのに、バカ殿の下では辛かろう。でも、彼は自らつかみ取った地位と、自らの武士道を守り抜こうとする。過激な発言だけど、こんなバカ殿密かに暗殺して、病死したことにした方がよっぽど世の中のためだと思うけれど、そうしない彼にイライラしっぱなし。まぁ、主君を守り抜くのが家臣のつとめというのは、武士じゃなくても正論だとは思うし、頼りない上司でも必死で支えなきゃならないのは、現代のOLちゃんでも同じことなので、分からなくもないのだけど… 人の考え方や生き方はそれぞれだけど、やっぱり彼の行動が正しいとは思えなかった。多分、それは新左衛門に勝ちたいという個人的な思いも絡み合っているからだと思う。まぁ、それじゃないと話にならないけど(笑) いずれにせよ、これは武士というか男の死に様を描いているので、これはこれでありかと。ただだいぶ人巻き込んだけど(笑)

どういういきさつだったか忘れてしまったのだけど、甥っ子新六郎以外は、倉永左平太(松方弘樹)絡みで11人が揃う。人物を掘り下げようとするならば、集まってくるまでの間のことを描くのでしょうが、メインの人物に絞って、後は軽く自己紹介程度。たしかに全員は無理だし、個々に語られても辛いので、それはOK。ただ、自分の部下から選びましたと連れてこられた若い侍達は、ホントに望んでここに居るのかと心配になる。仕事に抜擢されるのは嬉しいけれど、間違いなく命掛けの仕事なので、まだ10代と思われる平山九十郎(伊原剛志)の舎弟 小倉庄次郎(窪田正孝)は新左衛門に止められるけど、行きたいと主張し認めれる。この辺りも武士としてとか、男としての死に様ってことなのでしょう。旅の途中で13人目の野人 木賀小弥太(伊勢谷友介)が加わることになるけど、12人に関しての説明はわずか10分くらい。逆に先に書いた新六郎のくだりを長めに描いたことで、彼らと対比させて、より"武士"ってことを際立たせている。あと、13人目が野人であることも(笑)

作戦については詳しく書いてしまうと興ざめだけど、要するに参勤交代で国元に帰る道中で待ち伏せるというもの。こちらが先に動いては手の内を明かすことになってしまうので、相手が動くまでじっと耐える。そして一気に動く。目的地まで一気に馬を走らせる姿がカッコイイ! ここはしびれた(笑) 正直、ラスト50分が壮絶過ぎるので、個人的にはここが一番グッときた! そして、冒頭で登場した牧野靭負(松本幸四郎)が…(涙) 彼もまたカッコイイ! その潔よさに涙。このエピソードはいい。彼だけでなく、その他バカ殿の犠牲になった人々の思いを背負って戦う男達。カッコイイです!

ずっとバカ殿の悪行や、刺客達の覚悟、駆け引きなんかを見ていたので、かなり力が入って疲れていたところで、13人目の刺客 木賀小弥太(伊勢谷)がコミカル要素で和ませる。ヘタなドタバタはあざとくて興ざめだけど、彼のとぼけた感じと、死闘の場となる落合宿庄屋 三州屋徳兵衛(岸部一徳)のドタバタはやり過ぎだけど、笑えた。小弥太の登場から、このドタバタ、村人総出で準備をするシーンは、一息って感じでこの後に始まる"ラスト50分の死闘"に備える時間となっている。

そしてラスト50分! tweetしたけど50分もあったらラストじゃないから(笑)しかも13人vs300人! 旧作では相手は53人だったみたいだけど、大幅に増えてるし(笑) どう考えても無理だろうと思うけれど、これが良く考えられた作戦なので違和感なし。ほのぼのした準備風景は、こんな要塞を造っていたのかとビックリする。あの短期間で?と思わなくもないけど、気にはならない。初めこそ、落合宿に誘い込んで、弓矢を浴びせての攻撃だけど、最終的には刀を抜いての切り合いになる。そして予告やCMでも流れてる「斬って、斬って、斬りまくれー!」となるわけなのですが、そこからが壮絶。全員血だらけで誰が誰だか分からない(笑) 13人には密命を遂行する指名が、対する鬼頭半兵衛にも殿を守るという指名があるけど、どちらもバカ殿ゆえかと思うと、こんなに命を無駄にしてとバカバカしくなってくる。バカ殿側の侍達はいったい何のために戦っているのか… もう最終的には、死にたくないってだけなんだろうけど。

まぁ、13人の刺客がバカ殿を討つ話なわけだから、初めから結果は分かってるわけだけど、最後の島田新左衛門と鬼頭半兵衛の一騎打ちはおもしろかった。最終的にとんだ姿になってしまって、情け容赦ない感じなのはビックリ(笑) まぁ、ようするに一瞬でも"個"のために動いたり、"死にたくない"と思った方が負けなんだと思う。死にたくないと思っていないから怖くないのかも。そういう意味で、それまでこの状況を楽しんでいたバカ殿が、最期に死の恐怖の中でのたうちながら死んでいくのは、奪ってきた数々の命を思えば、まだまだ足りないよと思わなくもないけど、スッキリ感はある。変に改心したり、命乞いしたりせず、バカ殿のままだったのはよかった。



キャストは豪華過ぎて全部紹介しきれないけど、松本幸四郎、市村正親、平幹二朗、松方弘樹はさすがの存在感。実は、大芝居過ぎるのじゃないかと心配していたベテラン勢。特に舞台出身のお2人は滑舌が良すぎるあまり、浮いてしまわないか心配だったけど、作品自体の見応えゆえか、全く気にならず、作品に重厚さを与えていた。松本幸四郎の潔さが切なくて素晴らしい。市村正親はやや芝居がかり過ぎな気がしなくもないけど、こうしか生きられない姿に説得力があり、本来悪役であるはずの役に切なさを持たせている。13人の刺客達はみんな良かったと思うけれど、三池崇史監督作品『クローズZERO』(未見)組の若手俳優達が良かったと思う。若い命が散ってしまうのは、それだけで切ない。あまり1人1人詳しく語られることがなくて残念だったけど、それぞれの個性は出ていたんじゃないかと思う。特に初めて人を斬った庄次郎の窪田正孝くんは、もはや母目線でみてしまい、切なかった。彼が慕う平山九十郎(伊原剛志)と2人で、敵を迎え撃つため構えた姿がカッコイイ! 古田新太のとぼけた感じでいながら、達観してる感じも良かった。

山田孝之の出演作を見るのは初めてかも。あんまり好みのタイプではなかったのだけど、この新六郎は良かったと思う。武士としての将来に、生き甲斐も希望も感じられない。でも、武士としてのプライドは捨てられない。現代の若者の姿を見ているよう。その辺りを上手く演じていたと思う。セリフ回しなどは特別上手いとは思わなかったけれど、無力感みたいなものを漂わせていて良かったと思う。誰に主眼を置くかは、人それぞれ違うと思うけれど、武士が全く身近でない今、新六郎目線の人も多いのじゃないかと思う。彼がこのミッションを通して、男になっていく姿に共感できる。

バカ殿の稲垣吾郎が良かった。正直かなり心配だった。どう考えても"最凶の暴君"という感じがしなかったので… 暴君といえばそうなんだけど、結局バカ殿であるという感じだったので、それはよかったと思う。要するに最近増えてる、生きている実感がないので、人を殺してしまうということで、彼の心情は全く理解不能。彼を憎めるかってことが、13人に感情移入できるかどうかにかかっているとは思うけど、イライラするけど理解不能なので、憎めない。だから、最期やたらとコント的な感じになってしまうけれど、それもバカ殿って感じでよかったかも。

島田新左衛門の役所広司がよかった。現代モノに出ると何となく、大芝居気味な気がするけれど、時代劇ならOK。前にも書いたけれど、この島田新左衛門は、リーダーシップはあるけれど、強いカリスマ性でぐいぐい引っ張るタイプではない。綿密な計画を立てて、しっかり準備をし、焦る部下の気持ちを抑えて、耐えに耐えて時期を待つ。重要な部分で、大博打を打つ大胆さもあるけど、終始一貫軸がぶれない。なので配下は納得して、彼に従うことが出来る。そういう人物を見事に演じていたと思う。剣豪にしては線が細いかなと思ったけれど、そんなこともなかった。指揮官なので、彼自身の見せ場はなかなか出てこないけれど、全体的に潔くて良かったと思う。

女性はほとんど出てこない。役名のあるキャストと言えば、前述の若妻谷村美月ちゃんと、新六郎の恋人と木賀小弥太(伊勢谷友介)の恋人の2役を演じた吹石一恵のみ。しかも2人ともほぼ1シーンで、白塗りのコワメイクで、美しく撮ろうとしてないし(笑) ほんとにドキッ男だらけの男臭い映画。現代日本の先の見えない閉塞感とか、物質的に恵まれているが故に生きている実感が持てず、モンスター化する若者とか、揶揄している部分はあるのでしょうが、そんなに難しく考えなくても楽しめる。かなりツッコミどころも、やり過ぎな部分も多いけど、娯楽作品として優れている。キレイ系のイケメンじゃなく、カッコイイ男達が見たい方は是非!

イメージソングの"DESPERADO"(Eagles)がすごく合ってる。ラストの虚しさも良かった。


『十三人の刺客』Official site

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【nephews】甥っ子Kくん運動会&秋吉

2010-10-12 00:00:00 | nephews
バスなう 今から甥っ子(4歳)の運動会♪ Posted at 09:51 AM

玉入れ負けちゃった(涙) Posted at 10:39 AM

でも、親子かけっこは勝った! Posted at 10:51 AM

かけっこ一等賞! Posted at 11:59 AM


甥っ子Kくんの金メダル

総武線なう 焼鳥食べに渋谷へ向かいます♪ Posted at 03:57 PM

(記事は後ほど・・・)

渋谷秋吉で焼鳥! ピートロ激ウマ http://p.twipple.jp/LhfFh Posted at 06:32 PM


左:純けい 右:しろ


きゅうり&枝豆


左:タン 右:若どり


しんぞう


ねぎま


なんこつ揚


手前:若皮 奥:すなぎも


ピートロ


食べ終わった串

写真がほぼピンボケだ・・・

http://twitter.com/maru_a_gogo


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【Googleのロゴ】ジョン・レノン生誕70周年

2010-10-09 01:39:44 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことに



ジョン・レノン生誕70周年だそう。

もちろん知ってるけど、毎度のWikipediaで調べてみた!

ジョン・ウィンストン・オノ・レノン (John Winston Ono Lennon) は、
イギリスのミュージシャン。

ロックバンド・ザ・ビートルズの元メンバーで、
ヴォーカル・ギター・作詞作曲を主に担当した。
身長178cm。

出生名はジョン・ウィンストン・レノン (John Winston Lennon) であったが、
オノ・ヨーコと結婚後はジョン・ウィンストン・オノ・レノンと改名。

とのことで、詳しくはWikipediaで!

生きていれば70歳なのか・・・ 感慨深いものがあります。

これ、動画になっている。
「Imagine」に乗ってアニメが流れる。
これ、ジョン自身が描いたイラストなのだそう。
すごくカワイイ
LOVE & PEACE(笑)

Happy Birthday!


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【cinema】『わたしの可愛い人 シェリ』(試写会)

2010-10-07 02:46:08 | cinema
'10.09.28 『わたしの可愛い人 シェリ』(試写会)@松竹試写室

yaplogで当選。いつもありがとうごさいます! コスチューム・プレイが好きなので応募。見事当選した。ホントは『十三人の刺客』の方が先に見て、途中まで記事書いてるんだけど、諸事情により先にこちらの記事から書くことにする。

*ネタバレありです

「元ココット(高級娼婦)のレアは、娼婦仲間からその息子との仲を取り持たれる。穏やかな暮らしを望んでいたレアは乗り気ではなかったけれど、幼い頃から知っているシェリを拒絶することは出来ず、気づけば6年間も彼と暮らしてしまった。ある日、彼の母親からシェリの結婚が決まったから、彼を返して欲しいと言われるが…」 という話で、これは年上女と、年下男の恋愛の話で、さらにこれは1人の熟年女性の老後を考える人間ドラマでもあって、約1時間半と短かったけれど、おもしろかった。

原作はフランスの女流作家コレットの小説。原作は未読。コレット女史の作品はたぶん全く読んだことがないと思う。いくつかの作品は舞台や映画にもなっている。「ジジ」の舞台の主役に当時無名だったオードリー・ヘップバーンを抜擢したことでも有名で、まだ垢抜けないオードリーが、コレット女史から指導を受けているらしき写真を見たコトがある。「ジジ」は昔テレビで放送された『恋の手ほどき』という邦題の、レスリー・キャロン主演の古い映画を見たことがあるけど、ほとんど覚えていない。たしか、まだ15~16歳くらいの少女が、社交界デビューしていろんな恋の手ほどきを受けるけれど、その指南役の年上男性に恋に落ちるみたいな話じゃなかったかと・・・ わりと軽い感じのミュージカルっぽい作品だったような。「ジジ」が年上男と若い娘の恋愛モノだったのに対して、この映画は熟年女性と若い男の恋の話。どんなコトでも若いうちは知識が不足しているわけだから、経験豊富な年長者から習うのはありだと思うけれど、この2作に限って言えば、コレット女史の描く19世紀末~20世紀初頭と思われる時代の、ある階層の人達の間では恋愛に関しても手ほどきを受けていたらしい。それは多分、相手を落とすテクニックだけではなく、もう少し社会勉強的な・・・ 今より全然身分や金銭的に格差があった時代。どこに属しているかってことは、かなり重要だったんだと思う。そして、きっとそれぞれが属している階級やコミュニティーによって、様々なしきたりや処世術があったのでしょう。まぁ、それは現代でも変わらないけど、きっと当時の女性には恋愛が重要な武器であったのだと思う。それが良いか悪いかは別として、必要ならば習わなくてはならないのかも。

ココットというのは、政治家や貴族など、富裕層や上流階級の男性しか相手にしない高級娼婦のことだそうで、時には王族や皇族を恋人に持つこともあるらしい。レアの友人には様々な個性を持つ元ココット達がいる。彼女達は自分の個性に合った顧客と恋を楽しみ、宝石などの資産や、政治的、経済的な知識を蓄える。そして、ある年齢が来ると引退し、株を購入したりして資産運用しつつ、豪華な屋敷で使用人に囲まれて優雅に暮らすらしい。老後の部分だけ考えれば、なんともうらやましい限りだけど、酸いも甘いも噛みしめて、女1人文字通り体を張って生きるのは、並大抵のことではないと思う。それに耐えた者のみが、そんな生活を送れるのかも。そして、それは現代の私たちも同じ。でも、金銭的に余裕のあることだけが幸せとは限らない。事実、彼女達はお互い腹を探り合い、少し相手を軽蔑しつつも集まっている。なぜなら劇中のセリフによれば「ココットはココットとしか友達になれない」から。それは、お互い理解し合えるからといういい意味ではなくて、差別されているというマイナスの意味なのでしょう。などと、やけに長々とココットの老後について、勝手な憶測で書いてきたけれど、子供のいないレアはまさに老後のことを考えて、現役を引退し静かに暮らす準備に入ったところだったので(笑)

もう1人の主役であるシェリは19歳で女性たちとも遊び尽くしたので、そろそろ落ち着こうという人物。実際、お金がたくさんあって、働かなくても生きていけて、ある種の社会的地位はあるけれど、実際は決して尊敬されてはいないという現実は辛いのだろけれど、19歳でそれはどうよと思ってしまう(笑) そんな彼を1人前の男にしてもらおうと考えた元ココットの彼の母親マダム・プルーは、レアを家に招き2人の仲を取り持つ。引退して静かに暮らそうと考えていたレアは、止めておこうと思いつつ、感情を抑えることが出来ない。観賞後Tweetしたけど、どうやらこのシェリを"可愛い人"と思うには修行が足りないようなのだけど、さすが放蕩してきただけあって、甘え上手。まぁ、後に30過ぎてもチビッコだっただけだったことが分かるんだけど… 鼻にかかった声で、彼のみ呼ぶレアのあだ名「ヌヌーン」と囁かれると、母性本能をくすぐられるとでも言うのでしょう(笑) しかもこのあだ名、まだ幼かった彼が意味もなくつけたものだから、より「カワイイっ」てなってしまうのかも。どうやら欧米人が美しいと思う男性と、個人的な好みが全く一致しないらしく、どうにも白塗り赤い唇のシェリが好きになれない… 演じるルパート・フレンドは『縞模様のパジャマの少年』で少年の姉が恋するナチス兵。あの時も好みではなかったけど、神経質そうな感じが役には合っててよかったのだけど、これはちょっと… 『トワイライト』のエドワード(だったか?)同様ちょっとキモイ。お2人のファンの方はごめんなさい! でも、こういう映画はルックスが好みかどうかって重要だと思う。どれだけレアに感情移入できるかで、酔いしれ度合いも違ってくるわけだし。そういう意味では、イマイチ酔いきれず(笑) でも、演技は上手いので、レアのような、恋愛経験豊富過ぎで、なおかつ自立した大人の女性が、意外にもはまってしまう感じに説得力がある。←フォロー(笑)

穏やかな生活を望んでいたレアは彼を受け入れまいとするけれど、スルリスルリと擦り寄ってくるシェリを拒めず、結局受け入れてしまい、気づけば6年も一緒に暮らしてしまう。その間の描写は一切ないので、2人の関係がどんなだったのか分からないのだけど、後のレアのセリフを聞くまでもなく、要するにシェリがヒモ状態だったのは想像がつく。それしか知らないから、それしかできないし(笑) そんな2人の暮らしは孫が欲しくなったシェリの母親が、元ココット仲間の娘との結婚を決めたことにより突然終わる。この娘の母親のレアに対する態度が興味深い。レアも彼女を決して好きではないと思うけれど、一応の礼儀を持って話し掛けるけど、一切無視。レアとシェリのことを知って良く思っていないのかと思っていたら、娘の結婚式が終わると同時に、恋人の元へ直行するような母親だった(笑) とすると、この母親はレアのことが嫌いなんでしょう。女子にはいろんな複雑な思いがあるし、まして元ココットとなれば、嫉妬やらドロドロした感情がありそう。

この母親の態度にもビックリしたけど、シェリの母親マダム・プルーのレアに対する態度も良く考えると怖い。何かレアに頼み事がある時しか呼ばないし。後に旅に出たレアを自分達のテーブルに招き、母親がさりげなく息子を彼女に托すシーンがあるように、当時のしきたりとして、年上の女性に息子を託して男にしてもらうというのがあったらしいので、この場合シェリをホントに愛してしまったレアの負けということになるのだろうし、レアを好きかは別として見込んでシェリを託したことは間違いないのだと思うけれど、やっぱりこんな腹の探り合いみたいな関係はイヤだな(笑) でも、この辺りの会話や態度は、一見丁寧だけど蔑みなんかが見え隠れして見事。レアは決して軽蔑されるような女性じゃない。50を過ぎても若い男性を虜にする魅力を持ち、自立していて凛としている。自分の感情を表に表さない彼女の佇まいが、マダム・プルー達の嫉妬心を掻き立てている感じが伝わってくる。例え映画でも人の嫌な面は見たくないのだけど、このマダム・プルーの蔑みは実は嫉妬の裏返しなんだと気づくと、なんだか滑稽で彼女を憎めなくなる。さすがコレット女史。

結婚するならもう以前のようには会えないと、シェリとの別れを決意するレア。失ってみればシェリが一生に一度の恋の相手であったことが分かる。彼を忘れられない彼女は旅に出る。海辺の保養地はココット達の狩場だそうで、ここで例の母親から息子を託され、若い彼を夢中にさせるのだけど、虚しいだけ。ココットが行ける場所とかが、暗黙のうちにあったのかもしれないけれど、恋に逃げずに色恋事とは無縁の場所で穏やかに過ごせたら、後の絶望もなかったのだと思うけれど、やっぱりレアのような百戦錬磨の女性でも、なかなか難しいところなのかもしれない。

シェリとその妻との関係は、初めこそ愛されない妻が可愛そうだったけど、彼女がいろいろ葛藤した挙句、精神的に逞しくなってくると、それなりに上手くいくようになってくる。母親に愛されなかった彼女は、結婚した相手にも愛されていないと絶望したと思うけど、彼女には彼しかすがる者がいないわけで、その分強くなるしかなかったのでしょう。そんな彼女をシェリも愛するようになるんだけど、シェリのことが理解できるのはもう少し後。レアを失ったシェリは自暴自棄になり、妻に当たった挙句家出。レアの家の前で彼女の帰りを待っている。レア目線で見ていたけど、シェリの魅力がサッパリ分からず好きになれなかったので、彼がレアを思ってボロボロになる姿には、しめしめという気持ちで見ていたのだけど…(笑)

彼の様子を知って、彼の愛を核心して戻ってきたレア。そして現実を知ることになる。原作は未読なので分からないけど、忠実に映画化されているのだとすれば、ここが原作と映画のオチであり、言いたいことなのだと思うので、詳細は避けるけれど、結局この恋は実らない。2人の気持ちが盛り上がったのは、お互い上手くいっているところで、自分達の意志に反して引き裂かれてしまったために盛り上がっただけであって、それでも「あなたとは同じ日に死にたいと思うほど、愛してきたわ」というレアにとってはホントに愛していたのだと思うけれど、シェリが彼女の愛を重く感じたと分かった時点で、自分が幻想を愛してきたことを悟ったんだと思う。そして現実も見えた。このシーンは良かった。終わった恋は取り戻そうとせずに、美しい思い出にした方がいいってことなのでしょうか。しつこいようですが、シェリの魅力がサッパリ分からなかったので、レアと彼の妻が何故そこまで彼を愛しているのか理解できなかったのだけど、彼の"無邪気さ"みたいなものを愛していたのかなと思った。ただ、この"無邪気さ"は残念ながら、自分のことしか愛せない子供のままであったということなのだけど… そこに気づいてしまったレアは幸せなのか、不幸なのか… でも、自分にとって都合のいい女性でいてくれないからって、駄々っ子みたいに泣きじゃくる30超の男を、以前のようには愛せないでしょう… 要するに"理想"はあくまで理想であって、理想の相手との理想の恋はありませんということかも。なかなか皮肉な結末だけど、セリフがシャレていてすごく美しく描かれている。それだけに、人間の滑稽さや切なさが際立ってくる。

キャストは前にも書いたシェリ役のルパート・フレンドは、欧米映画のお耽美美青年ルックスが、個人的に全くダメだったのだけど、単純にチビッコのままだったシェリを好演していたと思う。彼がチビッコだったというのは、レアが自覚するシーンで分かってこそ意味があるので、それまでは女性をひきつける魅力的な人物として映らないといけない。個人的に好みのタイプではないので辛かったけど、好きだと思う人はいると思う。マダム・プルー役のキャシー・ベイツはさすが! こういう品がなくて俗物的な人物を演じさせたら右に出るものなしという感じ。レアとシェリの恋と別れは、全て彼女のわがままから始まったこと。でも、何故か憎めないのもキャシー・ベイツのおかげ。マダム・プルーのレアに対する愛憎入り混じった感じも見事に表現。さすがの演技。そしてやっぱり、レアを演じたミシェル・ファイファーが素敵! 彼女の実年齢は知らないけれど、登場シーンでは40代後半。19歳だったシェリが30超になるまでの話なのだから、彼女は50代後半くらいになるわけで、実質ココットは引退したとはいえ、恋愛に関しては現役。キレイだけど美人ではない。正直、やっぱり老けている。でも、自立していていつも凛としている姿は品があって魅力的。シェリを失って密かに取り乱したりするけれど、決して他人には見せない。その姿の演じ分けが見事。年増女性が年下男性にのめり込み、理想と現実を知る話で、マダム・プルーに利用されたようにも見えるけれど、優しかったレアのままでいて欲しいと言うシェリに、「本当に優しかったらあなたを大人の男にしたわ」と言うシーンにニヤリ。なるほど(笑) でも、レアはやっぱり魅力的。

コスチューム・プレイ好きとしては、大満足の衣装。マダム・プルーのは俗物らしく品がない。レアのは素敵! レアのアールヌーボー調の邸宅は、有名な建築だったような… マダム・プルーの屋敷からすると小ぶりではあるけれど品がいい。映像が美しい。

これは大人の映画。単純に恋愛映画として見ても、駆け引きなど楽しめるけど、ココット達の腹の探り合いや、レアの最後のプライドなど、多分原作のもつ皮肉や毒を含む滑稽さを、『危険な関係』『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督が90分にまとめたのは見事。感動!ってことはなかったけど、その世界に酔える作品だと思う。シェリに酔えるともっと楽しめるかも(笑)


『わたしの可愛い人 シェリ』Official site

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【cinema / DVD】『(500)日のサマー』

2010-10-04 00:00:00 | cinema / DVD
『(500)日のサマー』観了!面白かった。しかしサマーちょっとヒドイぞ(笑)ジョゼフ・ゴードン・レヴィット良かった!好き!! Posted at 03:29 AM

2本目は『(500)日のサマー』 タイトルからすると、500日間の夏の思い出かと思うけれど、サマーというのは主人公が恋する女性の名前。ちょっと不思議な女性で、男性にはすごく魅力的かも。こう書くと、男性にのみ魅力的で女性からは嫌われるタイプみたいだけど、そういうわけでもない。うまく言えないんだけど、こういう人いるなと思う。激しく自己主張するわけではないけど、自分の意志や考え方は曲げない。頑なな感じではないので、こちらが努力すれば受け入れてくれるんじゃないかと思わせる。でも、曲げない(笑) でも、急に曲げる。多分、本人の中では自然なんだと思う。彼女を好きになって、彼女がこちらを思うほど好きになってくれなかった場合、振り回されることになるけど、振り回してやろうという気はないんだと思う。でも、きっと振り回さないで欲しいと言えば、じゃあ会うのは止めましょうとアッサリ言われるんだと思う(笑)

グリーティング・カード会社に勤めるトムは、秘書のサマーに一目惚れ。ある朝、偶然乗り合わせたエレベーターで、サマーに話かけられ有頂天。彼女もThe Smithが好きと知り、カラオケ大会で急接近。でも、彼女は付き合う気はないと言う。"誰かの彼女"になりたくないという彼女の言っている意味は分かる。人それぞれ考え方が違うのでそれは全然OK。こんな言い方は何だけど、トムが勝手に好きになっただけ。彼女は始めから友達にしかなれないと言ってるし。でも、当然トムは期待する。だから、彼女の態度に一喜一憂する。まあ、サマーと出会ってから、2人の関係に結論が出るまでの500日の間に、トムが一喜一憂している姿を描く映画なので、当然なのだけど(笑) サマーがトムを意図的に弄んだとは思わないし、後のオチを考えると、そうは言っても彼女としては、あくまで自然な流れにまかせているのかも。意識してないと思うけど。要するに、トムとはタイミングが合わなかっただけという気がする。オチとトムと何が違うのかっていうと、たまたまそうなったというだけ。そんなようなこと言ってた気がするし。まぁ、言われた方は納得できないだろうと思うけど(笑)

と、書くとサマー支持みたいだけど、若干違う。恋愛観については、人それぞれの考え方があるから、お互いがあくまで友人として割り切れるのであれば、擬似恋愛もエッチも好きにしたらいいと思うけど、相手が自分に好意を持っていることを知ってて、付き合う気がないなら、エッチはしちゃダメだと個人的には思う。あんまりにもトムがかわいそう… まぁ、そこも含めて彼女の魅力かもしれないけど。映画の中で、サマーについて「平均的な身長で平均的な女の子。でも誰もが振り返る」って紹介されて、バスの後部座席に向かう彼女を乗客(主に男性)が振り返る映像が流れる。何か分かる! そういう人っている。それはやっぱり、主義主張は変わっても、彼女の"自分"ぶれがないからかも。

トムについては、サマーの言動に振り回される役なので、情けない感じになってるけど、トムみたいなタイプは嫌いではない。まぁ、演じてたのがジョゼフ・ゴードン=レヴィットだったからだと思うけど(笑) 男の人もこんに友達に愚痴るのかねと思うくらい、ぼやいているけど、それが緩急にはなっている。やっぱりジョゼフは上手い。トムのようなタイプがサマーを好きになる気持ちは分かる。でも、なんだかサマーに振り回されちゃう感じが似合う(笑) あくまでトムがだけど、それはジョゼフ演じるトムがってことでもある。情けなさを切なさに変えていた。そういう意味では、サマーのズーイー・デシャネルも良かったと思う。自分勝手な不思議キャラではなく、自分を持った人物になっていた。2人の演技もさることながら、脚本や演出も良かったと思う。

500日の間のサマーとのエピソードを、時系列ではなくランダムに見せる。その時々でトーンも違うので、混乱する人はいるかもしれないけど、始めから「これは恋愛映画ではない」と言っているわけだから、どのシーンもいわゆるハッピーエンドには向かってないので、そのシーンごとに楽しめばいいんだと思う。かわいい鳥のアニメと一緒に、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットが歌い踊るミュージカル・シーンが好き。特別、感動!というような作品ではないけど、面白かった。軽いタッチが良かった。かわいらしくて好き

『(500)日のサマー』Official site


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【cinema / DVD】『月に囚われた男』

2010-10-03 00:22:11 | cinema / DVD
『月に囚われた男』観了!面白かった!ちょっとチープなSF感が好き。そして切ない(涙)サム・ロックウェルいい!ガーティはケビン・スペイシーだったんだね! Posted at 11:45 PM

これは面白かった! デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズ初監督作品。あらゆる新人賞を総ナメしているそうだけど、納得という感じ。この少し古い感じのする宇宙ステーションの内装が好き。いい感じでチープ。ほとんどがサム・ロックウェルの1人芝居。ケヴィン・スペイシーも声のみという贅沢な使い方。このガーティの造形がいい! 上手く言えないけど、医療器具みたいな感じ。モニター部分にスマイルマークみたいな顔が映し出されていて、ガーティの感情を表している。これがまた適度にチープ。ケヴィン・スペイシーがさすがの演技で、ガーティの"感情"を表現している。なので、彼が自分の記録を消して欲しいと、再起動を申し出るシーンでは感動してしまう。電源を切って欲しいと背中を向けるシーンでは、彼のセリフはないのに泣いてしまった。

サム・ロックウェルがいい! ネタバレになってしまうので、詳しくは書かないけれどある意味1人3役。特に傷ついた男と、その男を救出する男の演じ分けが見事! よく考えると画面に登場しているのはサム・ロックウェル1人。他の出演者はあまり映りのよくないモニター越しの映像のみ。役1時間半と短めとはいえ、変則的ではあるけれど1人芝居でこれだけ見せるのは見事! 脚本もよく考えられていると思う。ほとんど彼のみなのに、全然飽きることなく引き込まれた。

何よりそのアイデアが素晴らしい! 人道的にやってはいけないことだと思うけれど、ネタ部分が技術的に可能なのであれば、将来的にこんな事件や問題は起きると思う。核の部分についての説明はあるし、きちんとオチているので、サムの運命についてはきちんと理解できる。でも、そんなに説明過多じゃないし、声高に何かを訴えているわけではないので、そんなに重くならずに見ることが出来る。まだ、そんなに現実的じゃないテーマを扱っていることもあるので、見ている側に実感がないせいもあるかも(笑) でも、よく考えるとこれはかなり重いテーマ。人の尊厳という部分に関わってくる。その技術そのものについては、大きな意味があって研究されているのかもしれないけれど、将来的に自由にその技術を使えるようになったとすれば、人の尊厳はとっても軽いものになってしまうのかも。

そんなに難しく考えなくても、少しサスペンス調に始まるこの作品。SFモノとしても楽しめる。サムが乗った探索機が、月面を走る姿を、遠景で見せるシーンが好き。上手くいえないけど、ちょっと漫画的というか・・・ 基地内のちょっと古いSFみたいな、いい意味でちょっとチープな感じも好き。これは見てよかった!

『月に囚われた男』Official site


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