'05.02.23 『オペラ座の怪人』鑑賞。
20世紀初頭にフランスの作家ガストン･ルルー（【黄色い部屋の秘密】が密室モノとして有名）の原作を、アンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲しミュージカル化したもの。初演から16年経って映画化された。
ミュージカルが苦手でなければ女性は好きだと思う。一見単純な純愛モノに見えるし、衣装やセットが豪華。冒頭、モノクロからスワロフスキーのシャンデリアに灯りがともり、あの有名なOvertureとともに荒廃したオペラ座が次々色づいていく場面は鳥肌モノ。ここだけでも劇場で見る価値あり。朝靄の中お墓に向かう馬車の映像も幻想的。
メトロポリタン・オペラで子供の頃から歌いプラシド･ドミンゴとも共演した(子供の合唱としてだったらしいけど･･･
)という経歴のエミー･ロッサムは高音がきれいで歌も良い。撮影当時16歳だったらしくまだ声が繊細でそれがクリスティーヌに合っている。ジェラルド・バトラーはロック的な歌唱が合わないという意見もあるけど気にはならない。ただもっと歌える人はいるんじゃないかとは思う。ファントムが若いと思ったけど三角関係に重点を置いたらしいのでそのための設定変更？
音楽が美しい。ロイド=ウェバーは当時30代後半くらいで脂が乗り、当時妻だったあのサラ･ブライトマンにインスパイアされてこのミュージカルを作った。ブロードウェイ公演では組合が厳しくてアメリカで舞台出演経験のないサラの主演を断られたのに押し切るなど、まさに彼自身ある意味ファントムだった(笑) "All I Ask Of You"や"Music Of The Night"はうっとり。フルオーケストラの演奏は大迫力だった。
とはいえ・・・
元々この作品が大好きで四季版5回、ロンドンで1回観て原作も数回読んでて、かなりこだわりがある。ジョエル･シューマッカーは三角関係に重点を置いて描いたとのこと。三角関係の話だからそれはOK。ただ最終的には恋愛を超えた人間愛の話だと思っているのでそのあたりが違和感の原因かも。
衣装やセットは豪華だけど作り物っぽい印象。舞台裏部分にオペラ座全体の大きさが感じられないし、オペラ座前の広場ですらスタジオ内のセット感がした。舞台を映画化した「作り物」と考えての効果なのだったらそれは成功だとは思う。舞台版のマリア･ビヨルスンの衣装やセットが妖しく美しく本物嗜好で大好きだったので、好みとは合わないってだけ。地下の道行の動く腕の燭台はコクトーの『美女と野獣』へのオマージュ？ オペラ・ガルニエが舞台とハッキリ言ってるわけじゃないけど、地下湖のあるパリのオペラ座といえばガルニエなわけで、そっくり再現する必要ないけどガルニエほど重厚でも壮麗でもなかった気が。オペラ･ガルニエは妖しくて美しくて大好き。
"Music Of the Night"のシーンは妖しくてエロくて好きだった。あのシーンの衣装は映画版の方がエロくて好き。"Point Of No Return"のシーンはもっと緊迫感が欲しかった。いくら警察に協力するからってクリスティーヌが目で合図なんて(涙) しかもそれすら緊迫感がない。歌詞も含めあのシーンが一番好きだからちょっと不満。ファントムは正にもう戻れないわけで、それを受けてクリスティーヌも覚悟を決めるんだから。そういう緊迫感が感じられないのは何故だろう。 かなりカメラがあちこち移動する。効果的な場面もあったけど、あのシーンでバックで踊ってるダンサーの画を挿入する意味はあるのか。 あくまで舞台上なんですよという演出？ だったらせめて足元を映して欲しい。すべてのダンスシーンで足元がほとんど映らないのも不満。踊りは足元が映らないと意味がないと思う。
ラストシーンのお墓のバラは･･･。ファントムが生きていてクリスティーヌを見守っていた。あの世で結ばれよう的な演出(バラに指輪ついてた)だろうけどそれは違くないか？ファントムは男性としては愛されなかったけど、人間として愛してもらえたから納得して死ぬんだと思う。だからマスクを残して去ったんだと思うんだけど。
何より字幕！「You are not alone」が何故「私もあなたに惹かれたわ」なの？ そこが肝なのに！ 「あなたは一人じゃない」って言ってくれたからファントムは救われたんだと思う。原作の「怪人の愛の終わり」の章で号泣した身としては大いに不満。
初見だったら素直に酔えたのかな？事実別の日に見た母親は感動してたし。でもそっくりなニセモノ見た気持ち。大味な印象。ミュージカルの映画化って限界があるとは思うけど『ウェストサイド･ストーリー』は傑作だと思うからそれだけじゃない気がする。残念。
『オペラ座の怪人』Official site
20世紀初頭にフランスの作家ガストン･ルルー（【黄色い部屋の秘密】が密室モノとして有名）の原作を、アンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲しミュージカル化したもの。初演から16年経って映画化された。ミュージカルが苦手でなければ女性は好きだと思う。一見単純な純愛モノに見えるし、衣装やセットが豪華。冒頭、モノクロからスワロフスキーのシャンデリアに灯りがともり、あの有名なOvertureとともに荒廃したオペラ座が次々色づいていく場面は鳥肌モノ。ここだけでも劇場で見る価値あり。朝靄の中お墓に向かう馬車の映像も幻想的。
メトロポリタン・オペラで子供の頃から歌いプラシド･ドミンゴとも共演した(子供の合唱としてだったらしいけど･･･
)という経歴のエミー･ロッサムは高音がきれいで歌も良い。撮影当時16歳だったらしくまだ声が繊細でそれがクリスティーヌに合っている。ジェラルド・バトラーはロック的な歌唱が合わないという意見もあるけど気にはならない。ただもっと歌える人はいるんじゃないかとは思う。ファントムが若いと思ったけど三角関係に重点を置いたらしいのでそのための設定変更？音楽が美しい。ロイド=ウェバーは当時30代後半くらいで脂が乗り、当時妻だったあのサラ･ブライトマンにインスパイアされてこのミュージカルを作った。ブロードウェイ公演では組合が厳しくてアメリカで舞台出演経験のないサラの主演を断られたのに押し切るなど、まさに彼自身ある意味ファントムだった(笑) "All I Ask Of You"や"Music Of The Night"はうっとり。フルオーケストラの演奏は大迫力だった。
とはいえ・・・
元々この作品が大好きで四季版5回、ロンドンで1回観て原作も数回読んでて、かなりこだわりがある。ジョエル･シューマッカーは三角関係に重点を置いて描いたとのこと。三角関係の話だからそれはOK。ただ最終的には恋愛を超えた人間愛の話だと思っているのでそのあたりが違和感の原因かも。
衣装やセットは豪華だけど作り物っぽい印象。舞台裏部分にオペラ座全体の大きさが感じられないし、オペラ座前の広場ですらスタジオ内のセット感がした。舞台を映画化した「作り物」と考えての効果なのだったらそれは成功だとは思う。舞台版のマリア･ビヨルスンの衣装やセットが妖しく美しく本物嗜好で大好きだったので、好みとは合わないってだけ。地下の道行の動く腕の燭台はコクトーの『美女と野獣』へのオマージュ？ オペラ・ガルニエが舞台とハッキリ言ってるわけじゃないけど、地下湖のあるパリのオペラ座といえばガルニエなわけで、そっくり再現する必要ないけどガルニエほど重厚でも壮麗でもなかった気が。オペラ･ガルニエは妖しくて美しくて大好き。"Music Of the Night"のシーンは妖しくてエロくて好きだった。あのシーンの衣装は映画版の方がエロくて好き。"Point Of No Return"のシーンはもっと緊迫感が欲しかった。いくら警察に協力するからってクリスティーヌが目で合図なんて(涙) しかもそれすら緊迫感がない。歌詞も含めあのシーンが一番好きだからちょっと不満。ファントムは正にもう戻れないわけで、それを受けてクリスティーヌも覚悟を決めるんだから。そういう緊迫感が感じられないのは何故だろう。 かなりカメラがあちこち移動する。効果的な場面もあったけど、あのシーンでバックで踊ってるダンサーの画を挿入する意味はあるのか。 あくまで舞台上なんですよという演出？ だったらせめて足元を映して欲しい。すべてのダンスシーンで足元がほとんど映らないのも不満。踊りは足元が映らないと意味がないと思う。
ラストシーンのお墓のバラは･･･。ファントムが生きていてクリスティーヌを見守っていた。あの世で結ばれよう的な演出(バラに指輪ついてた)だろうけどそれは違くないか？ファントムは男性としては愛されなかったけど、人間として愛してもらえたから納得して死ぬんだと思う。だからマスクを残して去ったんだと思うんだけど。
何より字幕！「You are not alone」が何故「私もあなたに惹かれたわ」なの？ そこが肝なのに！ 「あなたは一人じゃない」って言ってくれたからファントムは救われたんだと思う。原作の「怪人の愛の終わり」の章で号泣した身としては大いに不満。
初見だったら素直に酔えたのかな？事実別の日に見た母親は感動してたし。でもそっくりなニセモノ見た気持ち。大味な印象。ミュージカルの映画化って限界があるとは思うけど『ウェストサイド･ストーリー』は傑作だと思うからそれだけじゃない気がする。残念。
『オペラ座の怪人』Official site
