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【voyage】奈良旅行♪ Part.2

2009-11-29 15:31:13 | voyage
'09.11.06 Fちゃん&baruと行く奈良2泊3日の旅(2日目)

昨日の状況から、興福寺に9:00には行きたいということで、朝食は7:30からにした。朝食も昨日と同じ花鳥紋でいただく。和食系。湯豆腐と七輪で焼く干魚がおいしかった。昨日の夕食も朝食もおいしかったし、すごいボリューム。14,800円は高くないんじゃないかなと思う。チェックアウトして、また荷物を預かっていただく。本来のプランでは2手に分かれてbaruは近鉄奈良駅のロッカー、Fちゃんと私はこの日の宿、奈良ワシントンホテルプラザに預けに行く予定だったけれど、とにかく興福寺に早く行っちゃおうということで、飛鳥荘さんにお世話になってしまった。

9:00少し前に興福寺到着。すでに50分待ち。みんなはえー(笑) 「お堂で見る阿修羅特別展」は1,500円。仮設テントでチケットを購入して列に並ぶ。いい天気だけどちょっと寒い。結局は1時間くらい並んだ気がするけれど、なんとかお堂入り。しかし混んでる。阿修羅様は普段は国宝館のガラスケース内におられる。今回は仮金堂でご本尊の釈迦如来坐像と一緒にお祀りしようという企画。これスゴイです! チケットと一緒に配置図をいただいたけれど、これはもう夢のキャスティングです。スゴイ熱弁になること請け合いです(笑) ご本尊の釈迦如来を中心として、向かって左に薬上菩薩、右手に薬王菩薩が立っておられる。そして増長天、広目天、多聞天、持国天の四天王が四方を守る。最前列には十大弟子と八部衆が交互に立たれている。ご本尊の釈迦如来は江戸時代作だけど、薬王、薬上菩薩は鎌倉時代に運慶周辺の仏師によって造られたと推定されるとのことだし、四天王は運慶の父、康慶の作。そして阿修羅像を含む八部衆と十大弟子は奈良時代、光明皇后の母、橘三千代の一周忌法要のために造られたもの。もう夢の競演です。あまりの事にクラクラする。みんな阿修羅様を見に来ているので、阿修羅様は中央、釈迦如来の前に立たれている。ちょうど真横から列に並ぶ感じなので、ちょっと遠いけど阿修羅様の左のお顔が見える。感動(涙)

今年5月、上野で感動した康慶の四天王像。その持国天と多聞天がすぐ近く。でも混んでるのであまりよく見えない。この四天王達はホントに躍動感があって迫力がスゴイのだけど・・・ 薬師寺の日光、月光菩薩同様、小柄に見える。その迫力よりも、このお堂へのおさまりを感じてなかなか興味深い。やっぱり仏像はお堂にいらしてこそなんだなと思う。この四天王達ご本人はもちろん、実は邪鬼が素晴らしいんだけど、混んでるし遠いのでじっくり見れず(涙) 四天王が小柄に感じたくらいだから、八部衆、十大弟子はもっと小柄。この方達は脱活乾漆という、粘土で作った像に麻布を漆で何度も塗り重ねていき、乾いたら背中を開いて粘土を取り出すという手法で作られているため表情豊か。柳家小さん師匠似の目犍連立像にも再会(笑) 釈迦如来坐像以外の全員には一度上野でお会いしている。薬王菩薩、薬上菩薩立像にも再会。お2人ともかなり大きいけれど、やっぱり上野よりも小柄に見える。ちなみに女性は薬王菩薩を信仰し、修行をすれば阿弥陀仏の安楽世界に行けるのだそう。お2人が小柄に見えるのは釈迦如来が大きいから。釈迦如来もいいお顔をされている。

阿修羅様の前には一段高いバルコニー状の部分が設けてある。そこから全員見ることができる。これは壮観。まさにオーケストラです。素晴らしい。下に降りて間近で阿修羅様を見る。相変わらず悩める少年のようなお顔。でも、いいお顔。そして華奢。たぶん人々はこの華奢な少年のようなお姿に心惹かれているんでしょう。しかし、皆さん阿修羅様に集中しすぎ(笑) 他にも素晴らしい仏様がいらっしゃるのに、阿修羅様を見終わるとサッと帰ってしまうのはもったいない! 増長天も広目天も見てくれ(笑) 展示のメインが阿修羅様なので仕方ないけれど(笑) とにかく個人的には大満足。クラクラするほど幸せな時間だった。

仮金堂を出て北円堂へ向かう。こちらも特別公開で、このチケットで見ることができる。これは特別照明での展示。こちらはほとんど待たずに鑑賞できたけれど、お堂内は激混み。ここは何といっても運慶作弥勒如来坐像、世親菩薩立像、無著菩薩立像が見モノ。北円堂は720年に亡くなった藤原不比等の菩提のために建てられたもの。2度焼失してしまったけれど、1210年に復興され現在に至る。現存する八角形のお堂の中では最も美しいと言われているのだそう。ほんとに美しい八角形。お堂の中央に弥勒如来坐像がいらっしゃる。その両脇に法苑林菩薩、大妙相菩薩が立っておられ、その前に世親菩薩、無著菩薩が立たれている。そして四方に四天王。その周りに低い柵があり、ぐるりと一周して見る感じ。しかし、混んでてよく見えない。弥勒如来は丸顔に丸い肩のふくよかなお姿で、若干細木数子似。四天王はかなり小さい。無著、世親は4~5世紀の北インドの兄弟の僧侶なのだそう。なのでこの立像も僧侶の姿。もちろんインド人なんて見たこともなかっただろうから、全くインド人らしさのないのっぺりしたお顔だけど(笑) 鎌倉時代にインド人僧侶の情報が入っていたのはスゴイかも。まぁ、既にその時点で数世紀前の人物だからそんなにビックリでもないのかな・・・ 混んでて時間がかかった割には、じっくり見れなくて残念だったけれど、北円堂を見れたのはとっても良かった。北円堂を出てお土産見たり、写真撮ったりしならが五重塔の辺りに戻ると、なんと阿修羅様110分待ち! やっぱり朝一で来てよかった。

この後、東金堂を見る。特別展の半券を持っていくと団体料金(400円)で見ることができる。興福寺には3つの金堂があって、中金堂より東にあるので東金堂というのだそう。1280年前、聖武天皇により建立された薬師三尊を安置するお堂。なので、もちろんご本尊は薬師如来。ということは脇侍は日光、月光菩薩。ここの日光、月光もセクシー。でも、やっぱり薬師寺の日光、月光にはかなわないかなぁ・・・。四方には四天王がおり、文殊菩薩坐像、維摩居士坐像もいらっしゃる。どちらか忘れてしまったけれど、頭がぜんまい侍みたいになってしまっていた。薬師如来と文殊菩薩がいらっしゃるってことで、合格祈願や健康祈願の絵馬がたくさん掛かっていた。中には英語とか外国語で書かれた絵馬もあってビックリ。外人さんも書いてみたくなったんだね。気持ちは分かる(笑)

鹿とたわむれつつ、東大寺に向かう。すでに11:30頃。東大寺に向かう道の途中、正倉院展開催中の奈良国立博物館の前を通る。スゴイ人・・・ 30分待ちと書かれていたけど、絶対ウソだと思う(笑) 博物館向かいに釜めしの志津香公園店がある。釜めしすごく気になったけど、すでに長蛇の列。今日はbaruが帰らなくてはいけないので時間に限りがあるし、スケジュールもビッシリ。昨日の教訓を生かして今回はガマン。でも疲れたのでお茶しようってことで、その並びの仏像写真ギャラリー飛鳥園のカフェへ。メニューは飲物とケーキのみ。絵葉書などを売るショップの奥のスペースか、外の席。天気もいいので外の席にする。リゾート地なんかにあるようなパラソルつきのウッディーなテーブル&イスがかわいい。白のキャンパス地のパラソルがさわやか。けっこう大きな木が生えてて、どんぐりか何かの木の実がボタボタ落ちてきて、パラソルに穴が開いちゃったりしている。すごい破壊力(笑) なんか高原とかのお庭って感じで、外の通りは観光バスなんかも通っているのにとっても静かで落ち着く。寒かったのでホットコーヒーをオーダー。しばし休憩。この後のルートなどを確認。鉄子のbaruは郵便の風景印も集めているので、今日は奈良町の元興寺近くの郵便局に行きましょってことで、ここで奈良っぽい絵ハガキを買うことに。阿修羅様の横顔のハガキにした。ちょっと楽しみ。

とりあえずランチ食べましょってことで、志津香より手前にフランス料理のお店があったねってことで戻ってみる。Monsieur Pepeという女性スタッフのみのお店。店内は南フランス風でもあり、ロココ調のテーブル席ありと、個人的好みとは若干違う部分もあるけれど、女性が好きそうな感じ。メニューはシチューセットがあったけれど、朝食がボリュームあったので、そんなにお腹空いてないねってことで、単品のシチューとパンをオーダー。カフェオレボールよりやや大きめなカップに野菜たっぷりのクリームシチュー。そして白パンが2個で合わせて1,200円。正直そんなに安くはないけれど、シチューすごくおいしかったし、接客のおねえさんがメチャかわいかったので満足(笑)

東大寺の参道はさすがにお土産屋さんが並ぶ。お土産モノの定番、木刀などコテコテ商品が並んでいるのに、何となくほのぼのした雰囲気。あまりガツガツしていない感じ。古い店舗が並ぶ感じも風情があっていい。そして鹿がブラブラしているのもいい。さすがに東大寺は人多い。そして修学旅行生多い。小中学生が鹿とたわむれててかわいい。鹿かわいい。参道の突き当たりにドーンと南大門。南大門といえば金剛力士像。金網越しでほとんど見えないけれど、向かって右が吽形、左が阿形。これWikiによると通常の配置とは逆なのだそう。何故逆なのかは不明。吽形は湛慶と仏師12人、阿形は運慶と快慶の合作で、仏師13人とともに作成ということで、いずれにしても運慶の指揮の下に造られたのだそう。デカイ! そしてスゴイ躍動感! 筋肉の盛り上がった表現が素晴らしい。さすがの大迫力。門の中に入り込んじゃっているのはもったいない! まぁ、外に出てしまっては、本来の主旨と違ってしまうけど(笑)

いよいよ大仏殿。さすが東大寺。広い。大仏殿の周りは回廊で囲まれている。この空間が広い。しかし、修学旅行で間違いなく来たのにぜんぜん記憶が・・・ 何となく浮かんでた光景とも違ってるし(笑) さすがに当時は興味がなかったからね。人って興味がないと覚えていないものなんだな。大仏さまを納めるため、今まで見たどの金堂よりも巨大。そういえば「見仏記 ゴールデンガイド篇」発売記念サイン会&トークイベントの時、語っていた大仏運搬法を思い出した。MJ(みうらじゅん)によると、阿修羅様はじめほとんどのスター仏像は上京を果たしているのに、大仏様だけはいらっしゃってないとのことで、運べるわけないだろうとツッコミをいれるSI(いとうせいこう)に対し、運搬法を説明していた。その驚愕の運搬法とは ①大仏殿の屋根をはずし、四方の壁をパタパタと倒す。②巨大網を使って大仏様を吊り上げる。③強力ヘリで空輸、もしくはキャタピラを取り付けて高速を走る というもの。その運搬法を思い出してしまったので、大仏殿の屋根がはずれて壁がパタパタと倒れるところを想像して笑ってしまった(笑)

1人ニヤニヤしながら大仏殿内部へ。いらっしゃいました。ドーンと(笑) やっぱりデカッ! 8世紀中頃、疫病の流行などで都は大混乱。人々の心を静めようと聖武天皇の大仏造立の詔により大仏は造られた。ちなみに大仏様の本名は盧遮那仏。光り輝く仏という意味だそう。大仏様の座高は14.85mあるそうで、創建当時は16m超だったというからビックリ。大仏造立の詔が出されたのは743年で、開眼供養が行われたのが752年。さらに金メッキをほどこし完成したのは757年。なんと1252年前。クレーンも重機もない時代に、よく造ったなぁ昔の人。巨大ピザとか日本一長い海苔巻きとか、よくいろんなものを巨大化させてるけど、巨大化することになんの意味が? と思うし、巨大化するとちょっとバカっぽくなる気がするけど、ここまでデカイともう素晴らしいです。大仏様は何度も焼けてしまったり、壊れてしまったりしている。なので、実はかなりつぎはぎなのです。何度も壊れて、頭部のなかった時代もあったけれど、その都度、再建しようという動きが起こり、修復されているというのは何だかとってもいい。平成の世の私たちと同じ気持ちで、江戸時代の人も「昔の人スゲー」と思っていたんだろうか。だとしたらかわいらしい。そして、大仏様に限らず、各時代の人々が修復してくれたから、私達もそのお姿を見ることができるのだと改めて感動。サンキュー昔の人!

ご本尊が巨大なら脇侍や四天王もデカイってことで、巨大でしたが、修学旅行生多しで脇侍が何であったか失念・・・ 四天王はいらっしゃいました。かなりの大きさで。たしか「やっぱり四天王はいるんだ」と覚えがあるので、いらっしゃったと思う(笑) しかし、ホント何もかもデカイ。そしてやっぱり東大寺は奈良1番の観光スポットなんだね。人多いし、何よりお土産屋さんが豊富。大仏殿の中にもお土産屋さんが・・・。まぁ、お守りとかですが(笑) そして、今回の旅で気になっていた大仏の鼻の穴を大仏裏で発見! 実際は柱の下の方に開いている穴で、大仏の鼻の穴と同じ大きさがある。ここを通ると無病息災のご利益があると言われている。勝手に観光協会のライブ時には奈良のご当地ソング「ブッツ仏像」が、大仏の鼻の穴に潜り込んでいる中国人女性を写したスライドをバックに歌われた。是非、潜りたいと思ったんだけど、修学旅行生でいっぱい。1人1人くぐり抜けてきた姿を専属キャメラマンが撮影している。そこに混じる勇気はオバちゃんにはなかった。ちなみに少し前に放送された、ぴったんこカンカンで訪れた渡辺えりさんは、修学旅行生をかきわけてくぐっていたそう。さすがです(笑) テレビカメラも専属カメラマンもいないのであきらめ(笑)

大仏殿を出て、お水取りで有名な二月堂へ。ここ素敵だった。けっこう長い階段を上がった所にあるお堂。下から見上げるとその造形の美しさにウットリ。しかし、大仏殿からここまでゆるい坂道をけっこう歩いたのでキツイ。シャンデリアみたいな照明器具(?)が、かわいい。これはいつ頃作られたものなんだろう。これすごくいい。現代にも通じるセンス。ぜんぜん古くない。そしてこのお堂からの眺めが絶景。大仏殿の横に位置してる感じで、屋根が横向きに見えて、その向こうに奈良の街が広がる。高層ビルとかあまりないから、ちょっと昔っぽくていい。でも、せいぜい昭和だけど(笑) 昔はどんな風景が広がっていたんだろう。江戸時代から見ても飛鳥時代は大昔なんだから、時代時代で風景も違っていたんだろうな。などと考えると感慨深いものがある。お堂の反対側に回ると無料休憩所がある。セルフでお茶も飲める。歩き疲れたので、しばしお休み。次に向かう春日大社内の夫婦大國社へのルートを確認。

二月堂を後にして、しばし東大寺敷地内を歩く。そして若草山へ。左側の土手のような感じと、右手続く古いお土産屋さんや、旅館の感じは、なんとなく見覚えがあるような… 同じ道を修学旅行生も歩いているので、中学の頃歩いたのかな? 何で覚えてないんだろ(笑) しはらくそんな感じの道を進むと階段に出る。この辺りには昔ながらの団体さんあいての食堂って感じのお店が並ぶ。ちょっと観光地っぽい。どこから春日大社の敷地なのか不明だけど、森のような所にポツリと小さな神社があったりする。鹿について来られたりしながら歩く。鹿かわいい。そして神社らしい建物が… 団体さんの近くにいたら、ガイドの方がメインだけお参りすればOK的なことを話していたので、ついて行くことにする。おそらくメインと思われるところに到着。こちらは神様なので旅の安全を祈願。鹿の一刀彫がおみくじをくわえている鹿みくじ(500円)を購入。中吉。待ち人:来るが遅い 縁談:良縁あり、騒ぐな とのこと。なるほど(笑) そこからさらにトコトコ歩いて夫婦大國社へ。日本で唯一夫婦の神様をお祀している神社で縁結びの神様でもある。特別婚活はしていないけど、やっぱり気になるじゃないですか! ってことでハート型の絵馬を奉納し、しっかり祈願した(笑)よろしくお願いします! 芸能人が奉納した絵馬がたくさんあったけど、撮影とかで使われるのかな。

実はひそかに旅の目的であった夫婦大國社参拝を終えて、次の目的地奈良町に向かう。旅といえばもちろん観光だけど、やっぱり女子はショッピングとおいしいものよねってことで、奈良町で夕食も取る予定。とにかくトコトコ歩いて奈良町を目指す。途中、なら和み館に立ち寄り、ガラスの鹿(315円)を購入。これ、今回の旅のガイドことりっぷに載ってて、スゴイ欲しかったもの。意外に商店街近くのお土産屋さんで買えたことが翌日発覚するのだけど(涙) 憧れの奈良ホテル紅葉ナメの右手に見つつ、ひたすら奈良町を目指す。旅のプランではこの日する予定だった、日本酒の試飲5杯+ガラスのお猪口(420円)の今西清兵衛を発見! しかし、この日のお目当てはこの界隈にある元興寺にちなみ、聖徳太子の木像をモチーフとした風景印を押してもらうこと。後、30分しかないってことで急いで郵便局へ。

風景印っていうのは、文字どおり風景の消印。各地にあるみたいで、風景印コレクターのbaruから風景印の押された年賀状などをもらったことがある。元興寺も歴史のあるお寺だったみたいだけど、目的はあくまで風景印だったので全くスルーしてしまった。まぁ、時間も17:00くらいになってしまっていたので、そもそもムリだったけど。奈良町っていうのは地名ではなく、地域の通称みたいにな感じ。昔ながらの町屋が並んでいるかわいらしい町並。ここに最近、町屋を利用したカフェや雑貨屋さんがどんどん増えている。古い町屋は江戸後期から明治時代のものとのこと。こじんまりしててかわいい。女子は絶対好きに違いない。そんな町並みをトコトコ歩いて行くと、小さな郵便局に着いた。普通の郵便局。ボールペンを借りて、飛鳥園で購入した阿修羅様のハガキを書いて、baruからもらった奈良風景切手を貼り付けてカウンターへ。風景印を押すのは局長さんのお仕事のようで、奥の席からわざわざ出てきて押して下さった。baruによると押し方お上手だとのこと。

その後、少し猿沢池方面へ戻って遊 中川へ。前日、飛鳥荘の売店で見かけた奈良ふきん。奈良にちなんだ絵柄がプリントされたふきん。baruと私が気に入ったのが鹿モチーフのもの。だけど残念ながら1枚しかなく、宿のおねえさんが遊 中川さんのものなので、お店に行ったらあるかもと教えてくれた。ガイドブックにも載っているここは、1716年創業の奈良晒の老舗。もちいどの通りからわき道に入ったところにあるかわいいお店。間口はそんなに広くないけど、奥が深い町屋造り。かわいらしい和小物が並ぶ。しかし、残念ながら鹿柄の奈良ふきんはなし。とりあえず家とお嫁ちゃんに正倉院柄のふきんと、自分用に小さな鹿が刺繍された小銭入れを購入。ハンコみたいな鹿がプリントされたマスキング・テープ2本735円も気になって迷ったんだけど、マスキング・テープって使わないかもと思い、やめ。スゴイかわいかったんだけど・・・

一度、飛鳥荘に戻って荷物を受け取る。ホント長々ありがとうございました。そして再び奈良町へ向かう。本日の夕食は奈良町にある人気町屋カフェ カナカナ。ことりっぷに載ってた"カナカナごはん"がおいしそうだったし、なにより町屋カフェに行ってみたかった。町屋らしく間口はそんなに広くない。格子のはまった窓のある入口がかわいい。引き戸を開けて入ると土間。だけどカフェらしく棚にフリーペーパーや雑貨などを置いたりとポップな感じ。正面にガラスケースがあり手作りケーキが並ぶ。おいしそう。その横がレジで奥が厨房。土間部分にはテーブル席があり、柱で区切られて一段高くなって座敷となっている。ミッドセンチュリーモダンなコーヒーテーブルとイスが置かれた廊下を渡った奥の座敷の席に通された。荷物多いし落ち着くので良かった。正座は辛いけど(笑) エビのミソをたっぷりと使ったというエビカレーなども気になったけど、やっぱりカナカナごはん(1,250円)でしょうってことで、3人ともこれにする。メインはカボチャやニンジンなど野菜の素揚げの上に、軽く焼いた牛肉を載せ、大根おろしと甘辛のタレがかかったもの。里イモのそぼろ煮や、柿を使った紅白なますなど、和食のお惣菜が小鉢などに盛られ、大皿に載せてある。かわいい。そしておいしい! お肉やわらかい! タレの味つけもいい。煮物の味付けも薄味なのにしっかり味がついててホントおいしい。そしてヘルシー。baruの帰りの電車があるので、夕食には少し早めの18:00頃に行ったので、まだ若干席が空いてたけど、帰る頃には満席。一品一品はちょっと少なく感じるけど、全体的にはかなりのボリューム。コーヒーとデザートもついて(これはプラス料金だったかも)大満足。私達は行かなかったけど、隣のおねえさん達は2階に行っていた。どうやら2階にも何かあるらしい。店の外から見たら雑貨なんかが置いてあるっぽいけど、どうなのかな。町屋は勝手に平屋なんだと思っていたら2階もあってビックリ。食事もおいしかったし、お店もかわいくて大満足。

19:40発の京都行きでbaruが帰るので、お店などを見つつ近鉄奈良駅へ向かう。近鉄奈良駅のお土産屋さんも覗く。baruの夜食となるはずの柿の葉ずしがなんと売り切れ! どうしよう。奈良に来て柿の葉ずしを食べられないなんて! まだ時間があるので1度外に出ようとした時、FちゃんがKITTO J-STYLEというお土産屋さんで遊 中川の鹿柄の奈良ふきんを発見! なんとたくさんある(涙) ということで家とお嫁ちゃんに購入。自分用にも花柄の手ぬぐいハンカチを買った。これすごく良くて手ぬぐいの良さに目覚めた。しっかり水気を取ってくれるし、しかも乾きが早い。いい。急いで外に出て心当りのお店に行くもすでに閉店(涙) 駅から一番近い東向通りには柿の葉ずしのお店はなかったし、他の通りを探すにはすでにタイムアウト。ってことで、残念ながらbaruは柿の葉ずしなしで帰路に着いた。後ほど京都駅で無事、柿の葉ずしゲットしたとメールがあった。良かった。

baruと別れた後、東向通りの奈良 小鹿でお土産を買う。鎌倉の半月みたいな感じのお菓子。会社のSさんとKさんのお土産にする。買い忘れた奈良漬などを買いつつ、この日の宿 奈良ワシントンホテルプラザを目指す。三条通を猿沢池とは逆の方向へ行った先の、JR奈良駅近くのビジネスホテル。この辺りは映画館やスタバなんかもあって、ちょっと印象が違う。ホテルにチェックインして部屋に荷物を置き、コンビニに明日の朝食を買いに行く。なにしろ素泊まりなので(笑) 以前はホテルの隣にローソンがあったみたいだけど、なくなってしまったので、JR奈良駅前へ向かう。ローソンでプレミアム・ロールを買って帰って食べましょってことでローソンへ。宝島社のサンローランのトートバッグつきムック本を発見。わざわざ奈良で購入。地元の書店でも山積みになってたので、ちょっと失敗(笑) 隣のセブンにも寄ってパンやお酒などを買いホテルに戻る。荷物を宅配便で送ってしまおうと思うので、フロントで宅配用ダンボール箱を購入。部屋は広めを用意して下さったとのことで、まぁまぁの広さ。小さなテーブルとイスもある。そしてなんとお風呂には入浴剤が。素泊まり7,000円はいいんじゃないでしょうか。駅に近いし。箱詰めに意外に時間がかかったけど休んでいるとイヤになるので頑張った。交代でお風呂に入り、プレミアム・ロールと缶チューハイで乾杯。翌日のプランなど話していたら1:00過ぎ! あわてて就寝。もちろんふくらはぎには冷却シート、足の裏にはトルマリンシートを貼ってます(笑)


★カナカナ:奈良市公納堂町13 tel:0742-22-3214

コメント (1)
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【voyage】奈良旅行♪ Part.1

2009-11-23 01:31:17 | voyage
'09.11.05~07 Fちゃん&baruと行く奈良2泊3日の旅(1日目)

来年、平城京遷都1300年を迎える奈良。唐招提寺、薬師寺、興福寺などの修復作業も進み、様々なイベントが行われている。今年5月、上野でお会いした阿修羅様がお堂で特別公開されるということで、是非再会したいと思いbaruとFちゃんと奈良旅行を計画。遅い夏休みを利用して2泊3日で行ってきた。

計画の段階ではJRプランなどいろいろ考えたのだけど、鉄子のbaruから奈良・大和路遊々きっぷ27,500円があるとの情報が。これ、のぞみにも乗れるし、フリー区間内であればJR、近鉄の普通もしくは快速、バス路線が乗り放題というもの。旅行会社のJRプランはひかり利用設定で、のぞみを利用するにはプラス料金がかかる場合がほとんど。しかも、のぞみの本数が圧倒的に多いので、実は不便だったりする。移動するのならこれを利用して、好きな宿を取った方がいいんじゃないかということになった。フリー区間もかなり広いし、4日間有効だからお得だと思う。切符の手配は鉄子のbaruにおまかせする。宿がなかなか決まらず一週間を切った頃には、安い駅近のビジホは全滅という状態に・・・ 3人の意見を総合して勝手にまとめ、じゃらんnetで予約したのは古都奈良の宿 飛鳥荘 秋の花鳥紋懐石プラン 2食付 平日限定プラン サ・税込み 1人 14,800円と、奈良ワシントンホテルプラザ 禁煙ツインルーム 素泊まりプラン サ・税込み 1室 14,000円。今回、残念なことにbaruが1泊しかできないため、1日目は旅館で3人でのんびり泊まって少々豪華に。2泊目は安さ追求ってことでFちゃんとビジホでいいよねってことで、こんな感じになった。交通費+宿泊代49,300円は、まぁまぁなんじゃないでしょうか。ちなみに憧れの奈良ホテルのBed&Beakfastプラン15,000円~ なども探してみたけど、残っていたのは喫煙ルームばかり(涙)

7:40銀の鈴集合にしたけど3人とも早めに着いたので、各自朝食を買う。Grand Staはほとんどが8:00からだけど、お弁当系のお店は開店してた。baruはパン、Fちゃんと私はおにぎりを購入。8:00発のぞみ207号車へ向かう。もちろん鉄子baruの切符手配に抜かりはなく、新型車両N700系です! というわけでN700系の車窓からタモリ倶楽部でも紹介されてた727の看板を見つつ京都まで2時間20分の旅。前の週の土曜日、毎月恒例の笹塚の砂風呂Pasir Putihの後、baruと2人で練り上げた旅プランをFちゃんにプレゼン。Fちゃんの同意を得たのでこれでGO!

10:21京都着。近鉄奈良線に乗換え奈良に向かう。話に夢中になってしまい、京都と奈良の境は分からず。11:26近鉄奈良到着。とりあえず荷物を置きに行きましょってことで、この日の宿飛鳥荘へ向かう。途中、興福寺の境内を抜ける。並んでる! なんと120分待ち! 旅のプランでは明日東大寺に行ってから見る予定だったけど、朝一に変更することに。臨機応変に対応できるのも個人旅行の楽しみの一つ。宿は興福寺を抜けて、坂を下ったところにある猿沢池の近く。この池から見上げる興福寺五重塔は美しく写真ポイント。荷物を預かってもらい、ランチできるお店を探しながら近鉄奈良駅に向かう。

Fちゃんがケンミンショーで見たという巾着きつねのお店 麺闘庵を発見! お昼時なので結構並んでいるけど、うどんだからそんなに待たないだろうと並び始めたけど、これが・・・。結局、1時間半くらい待ってやっと店内へ。すっかり冷え切ってしまった(涙) まぁ、人手が足りないのでお待たせします的な張り紙もあるし、他のメニューは一切お休みで巾着うどんのみにするなど、お店の方も大変らしい・・・。巾着うどんというのは特大のお揚げの中にうどんが入っているというもの。たしかに巾着だけどインパクトはスゴイ。とにかくデカイ! どんぶりいっぱいお揚げの巾着です。お揚げを割ると中からうどんが。ホントにうどんのみ。一応、薬味にネギと七味はあるけど、具は一切なしです。うどんはモチモチしてて、少し甘めの汁もおいしい。揚げはそんなに濃く味がついていなくて、厚めでおいしいけど・・・。ちょっと飽きるかも。なにしろお揚げが大きいので・・・。たぶん20×10センチくらいの大きさあり。しかも肉厚。人生の中で1度にこんなに油揚げを食べたことはないと思う(笑) まぁ、でも奈良で人気のメニューを食べれて良かった。

ランチで意外に時間がかかってしまい、さらにお店を覗きながら駅へ向かったため、すっかり遅くなってしまった。本日のプランは薬師寺、唐招提寺に行き、時間があれば海龍王寺など小さなお寺を回るというもの。でも、近鉄奈良から大和西大寺に着いた時点で、薬師寺のある西ノ京駅へ向かう近鉄橿原線の各停は3時近くまでなし(涙) お寺ってたいてい16:30~17:00頃で閉まってしまうので、これはお寺2つを回るのもキビシイかも とりあえず、ここは大修復を終えたばかりの唐招提寺だけでも見ようということになった。西ノ京駅から細い道を通ると、これまた車が1台通れるくらいの道に出る。その右端が薬師寺、左端に唐招提寺があり、ちょうど向き合っているような感じ。遠くに田んぼが見える細い道の両側には民家が並んでいて、これが国宝唐招提寺の参道なのか?と思うほどほのぼのしている。イイ! 奈良イイ! ぜんぜん商売っ気のない感じがすごくいい。奈良に来たのは中学の修学旅行以来。だいぶご無沙汰(笑) 多分、唐招提寺には来ていないと思うけど、薬師寺には行ったハズ。だけどぜんぜん記憶がよみがえらない(涙) どうした?

唐招提寺は759年に鑑真が開いたお寺。当初の名前は唐律招提といい、これは唐の戒律を学ぶ所という意味なのだそう。大修復を終えたばかりで、前日11月4日から一般公開が始まった。ということで3日にはTBSで特集番組が放送されていた。前半は修復の様子を紹介し、後半は鑑真の一番弟子如宝を主人公として唐招提寺の成り立ちを紹介していた。それによると、当時の日本には授戒を行える僧がいなかったため、東大寺建立でおなじみ聖武天皇の命により、唐から僧を迎えることになった。鑑真は唐でもかなりの高僧であったのに、自ら日本に赴くことを決め、度重なる失敗を経て来日した時には、すでに失明していた。来日すると東大寺に戒律壇を設け授戒を行っていたが、最大の庇護者であった聖武天皇と、生き仏様と言われた光明皇后が相次いで崩御。後ろ盾を失った鑑真は授戒を行う場所として唐招提寺を開いた。後に乱を起こす藤原仲麻呂や智努王などの庇護の下、少しずつ寺も整備されるけれど、孝謙天皇が道鏡を重用すると、かなり苦しい状態が続いたらしい。鑑真は開山からわずか4年で失意のうちに亡くなっている。その後、ドラマの中では天皇と和解し、唐招提寺という文字を頂いていた。この文字を刻んだ木の盾(?)は講堂で見ることが出来る。個人的には仏教徒ではないので、お寺に行くのも仏像を見るのも芸術作品として見るという感じ。なので、正しく戒律を授け、人々を正しく導きたいという鑑真の志については、きちんと理解できていないのだけど、失明してまでそれをまっとうしようとした志半ばで亡くなったのかと思えば、なんとも申し訳ない気持ちになった。日本のために頑張ってくれたのに、その態度はなんだ(怒) しかも日本が呼んだのに。そんな鑑真が開いたお寺は是非行かなくてはと思った。

南門を通るとドーンと修復を終えた国宝 金堂が現れる。想像していたよりも小ぶりではあるけれど、天平建築を完備した遺構とのことでやっぱり素晴らしい。遺構って何だろうと調べてみたところ、残存する古い建築物のことだそう。ということは、これは天平時代の建築物なのか・・・。そういう事が最近ホントにしみじみと心に響いてくる。1300年近く前の物が残っているという事もそうだけど、むしろ当時の人がこの透かし彫りを彫ったんだという事がグッとくるようになった。年を取るのも悪くないかもしれない(笑) 様々な修復が行われたと思うけれど、番組でクローズアップされていたのは鴟尾。鴟尾っていうのは屋根の両側につけた魚の尻尾のような形をした飾り。金色だけれどこれも瓦で出来ている。これを今回作り直した。テレビで見たアレがきちんと屋根に乗っているのは感動的。とても小さく見えるけれど実際は2mくらいある。屋根に乗ってしまえば、肉眼ではほとんど確認できない部分にも装飾がほどこしてある。古代と平成の職人魂の融合。ちょっと感動。そしてなんと静かな佇まい。金堂にはご本尊の毘慮遮那仏がドーンと坐していらっしゃる。その向かって右に薬師如来、左手に千手観音が立っていらっしゃる。金堂の中に入ることはできず、扉の金網越しに見る感じ。お三方ともかなり大きい。そしていいお顔をしていらっしゃる。お三方は天平後期の仏像であるとのことで、これまた感慨もひとしお。ちなみにお三方ともこの度の修復に際し、解体修理された。千手観音の腕は990以上あったのだそう。ビックリ。お会いできたことを感謝し、今後のお導きをお願いした。以前、仏様にはかなえて欲しい願い事をするのではなく、自分が努力していることに対して、見守りとお導きをお願いするものだと聞いたことがあったので、今回の旅では仏様には毎回このようにした。

金堂の後ろには講堂がある。講堂にはご本尊の阿弥陀如来と持国天、増長天がいらっしゃる。持国天と増長天は本来、広目天、多聞天とともに四天王として須弥壇の四方を守る形で置かれるのだけど、残りのお2人はどうされたのだろう。講堂は中に入れる。天井からは梵字の飾りが何枚も下がっている。梵字を習っているbaruによると全部同じ文字で「あ」と書いてあるそうだけど、何故「あ」なのかは不明とのこと。講堂を出た後は御影堂へ。御影堂にはあの鑑真和上坐像が安置されている。先日の記念式典では、この坐像も練り歩かれたけれど、6月6日前後の一週間を除き、通常は非公開。御影堂は中に入ることは出来ず、門の外から眺めるという感じ。この門の辺りの紅葉がキレイ。御影堂から土壁の続く細い道を通り、鑑真和上御廟へ。この土壁の道の感じがいい。そしてその狭い門を通り抜けると、木が立ち並び苔むした空間。その先に御廟がある。この空間が素晴らしい。多分、あの世、極楽浄土を表しているのかなと思うけど、本当に静かで美しい空間。そして狭い門は結界なんだと思う。この世とあの世の境。ここは本当に素晴らしい。

この後、戒壇を回る。戒壇とは出家する者に戒律を授ける所。鑑真和上はまさに授戒のために来日されたわけだけど、この戒壇を実際に使われたのかは不明なのだそう。創建当時からあるという説と、鎌倉時代のものとの説があるそうだけど、仏教を志す者に正しい道を啓くために、12年もかけて失明もしながら、異国の地へやって来た鑑真を思うと、仏教徒ではないけれど感慨深いものがある。この戒壇の周りの木々の感じもすごくいい。今回、お寺ビッグネームばかり7箇所回って、どこも素晴らしかったけれど、わりとこじんまりとしながら静かで、控えめで、穏やかでなんとも美しい佇まい。個人的にはこの唐招提寺が一番好きだった。

チラリとお土産屋さんを見た後、時間を見たら16:00少し前。急げば薬師寺が見れるかもってことで急いで向かう。行きはずいぶんかかったように思ったけれど、帰りは早い。5分くらいで薬師寺到着。本日は、17:00までということなので一安心。1時間近くある。薬師寺はその歴史自体は古く、そもそもは天武天皇の発願により建てられたお寺。当時は"龍宮造り"と呼ばれる大伽藍だったそうだけれど、昭和42年高田好胤管主が復興を発願されるまでは荒廃し、わずかに東塔だけが残っているばかりだったのだそう。これもNHKの特集番組からの受け売りだけど(笑) この高田管主以下、お坊さん達の呼びかけで、全国展開で写経を募り、その寄付金で再建しようという作戦を実行。金堂、大講堂、西塔が再建された。というわけで、正直、建物自体は新しく、お寺らしいわびさびはないけれど、創建当時はこのように朱と緑の色も鮮やかで、瓦屋根の両端には黄金の鴟尾と、お寺って実はかなり派手だったのだということが分かったりする。

大講堂の中はさらに派手だった。壁や天井にも極彩色で唐草模様などがビッシリ描かれていてビックリ。お寺はたいていこうだったのか、薬師寺が建てられた白鳳時代の様式なのかどっちだろう。まぁ、お寺にもその時代の流行が取り入れられてきたことは間違いないとは思うけれど、お寺といえば茶色いイメージだったので、こんなに色鮮やかとはビックリした。講堂にいらっしゃるのは彌勒三尊像。ちょっと今回いろんな仏様を見すぎて記憶が・・・。彌勒様ということは半跏思惟なのかと思うと違う。でも、ご本尊ということは如来様なのでは? 三尊ということは脇侍は・・・ うーん記憶が・・・ でも、彌勒様の後ろに回ったら、光背がハート型にくり抜かれていたのは覚えている。あと仏足石と釈迦十大弟子がいらっしゃったのもぼんやり覚えているんだけど・・・。ところで、彌勒様といえばさっきも書いたけれど、半跏思惟の弥勒菩薩。如来は悟りを啓いた釈迦の姿を表したもので、菩薩はその手前で人々を導くためにとどまっているお姿。弥勒菩薩は釈迦入滅後56億7千万年後にこの世に下生し人々を救うお方。多分、そのために如来にならずにいらっしゃるんじゃないかと思うんだけど、何故に彌勒如来? 弥勒菩薩と彌勒如来は別なのか? 仏教は深い(笑)

そして金堂へ向かう。金堂を正面に左に西塔、右に東塔がある。東塔は"凍れる音楽"と呼ばれているのだそうで、均整のとれた美しさが魅力なのだけれど・・・。残念ながら修復作業中らしく足場が組まれてしまっていた。でも、この東塔が残っていたおかげで薬師寺は蘇ったのだと思えば、感慨もひとしお。昭和54年に再建された西塔は東塔より少し高いそうだけれど、それは木の縮みなどを計算しているからで、500年後には同じ高さになるのだそう。職人の技がかっこいい。二つの塔の間に立つと開かれた扉から薬師如来、日光菩薩、月光菩薩が見える。おぉ日光、月光菩薩と再会。お2人にお会いしたのは昨年5月上野で開かれた「国宝 薬師寺展」だった。あの時は、光背をはずされ背中も見える特別展示。その背中の美しさは感動的だった。今は金堂の中で、脇侍として薬師如来の両脇に三曲法で立っておられる。やっぱりお2人の美しさは別格という感じ。今回見た仏様は皆いいお顔をされていたし、美しかったけれど、お2人ほどバランスの良いお姿はなかったように思う。まさにナイスバディです(笑) 金色に輝く光背があるとまた少し印象が違う。そして金堂の中でみると意外と小柄。多分、天井が高いからだと思う。そして薬師如来との対比もあるのかな。薬師如来は人々を病から救うお方。その両手には悩める人々をもらさず救うため水かきがある。その神々しいけれど穏やかなお姿の両脇で、日光、月光菩薩も美しく立たれて、薬師如来を引き立てている。ホントに見れて良かった。あぁ、幸せ。

ゆっくり見たいけれど時間がないので外へ出る。金堂から大講堂へ渡って赤や緑の帯が何本も掛けられていて、パイプ椅子などが用意されている。ライヴでもあるのかな? すれ違う時会釈して下さったお寺の女性の方に「何かイベントがあるんですか?」とbaruが尋ねたところ、管主さんが代わられるので、7日のそのお披露目式があるので、その準備とのこと。なるほどすごいタイミング。別途料金を払うと「国宝 吉祥天像」が見れる特別展が開催中だけど、時間もないし、去年「国宝 薬師寺展」で見たので今回はスルー。一度門を出て玄奘三蔵伽藍へ向かう。

玄奘三蔵とは「西遊記」でおなじみ三蔵法師。Wikiによるとインドなどから経典をもたらし漢訳した人を三蔵法師と呼ぶことが多いけれど、日本では三蔵法師といえば玄奘三蔵をさすことが多い。サンスクリット語で書かれた「般若心経」を漢訳したと言われているのだそうで、薬師寺の宗派である法相宗の開祖とのこと。円形の玄奘塔の中に玄奘三蔵訳経像が坐しておられる。桜金造似のこの像にも、昨年上野でお目にかかった。そして大唐西域壁画殿へ。現代日本画家の巨匠 平山郁夫画伯が30年かけて描いた壁画を納めたお堂(?) 建物も新しいので美術館のような感じだけど、壁画を絵身舎利としてお祀りしているとのこと。この絵はシルクロードの自然の広がりや厳しさが感じられて素晴らしかった。というわけで、かなりキチキチ行動だったけど、とりあえず唐招提寺、薬師寺を見ることができて満足。

電車を乗り継いで近鉄奈良へ。ホテルに向いつつお土産などを買う。近鉄奈良駅から奈良町の辺りまでは大小の商店街が並んでいる。メインは東向通り。ここに奈良漬の老舗 山崎屋がある。正直、3人とも奈良漬は苦手と話していた。だってなんか甘いし。でも、ここのは、粕の風味もしっかりつつ、あの独特の甘さはないけどほどよい甘みはあり、しっかり味がついていておいしい。めずらしかったので家には生姜、お嫁ちゃんには刻み奈良漬にする。この刻み奈良漬は試食したけどおいしかった。東向通りを突き当たり、三条通りに出るとすぐに、あぶらとり紙専門店ひより総本店がある。かわいいイラストが表紙のあぶらとり紙がズラリと並ぶ。グレープフルーツの香りつきのテスターをいただく。香りつきなんておもしろいのでお土産にいいかもと思ったけれど、個人的にはあぶらとり紙は使わないので、なんとなく買わず・・・。その代わりといってはなんですがbaruが買っていたのでOKかと(笑) ちなみに、あぶらとり紙を使わなくなったのは鼻の頭の皮が剥けてきてしまったから。たまたま雑誌を読んだら、そういう人は脂をとり過ぎてしまっているので、あぶらとり紙の代わりにスポンジで化粧崩れを押さえるようにした方がいいと書かれていたから。あぶらとり紙自体に問題があるわけではないし、お店にも奈良にも全く関係ない話だけど(笑) 昼間食べた巾着きつねのお店麺闘庵があるのは、もちいどの通り。ここは奈良で一番古いと言われる商店街。小さなお店がたくさんある。手ぬぐい専門店朱鳥を覗く。何も買わずに出てしまったけれど、近鉄奈良のアンテナショップで買って帰った手ぬぐいハンカチの使い心地の良さで手ぬぐいに目覚めたので、職人さん手染めの手ぬぐいを買ってくればよかったと後悔。

朱鳥の向かいのならクターショップで会社のお土産を買う。やっぱりせんとくんでしょうってことで、せんとくんクッキーを購入。ここはせんとくんや、まんとくんなどのキャラクターモノが揃っている。大仏プリンも買える。三条通りへ戻ってお土産屋さんを覗く。ここはいろいろ取り揃っているので、会社の分とか、そんなにこだわりのないお土産を買うのに便利。ただし、ご当地キャラモノは向かいに並ぶ露店のようなお土産屋さんで買うと、修学旅行生プライスってことで消費税なしなのでお得。私はご当地チェブラーシカを買ってしまい25円損した。たかが25円と思うけれど、お寺巡りってお賽銭多発なので、25円だってバカにできない!(笑) とボヤキつつ猿沢池へ。池から興福寺五重塔ライトアップが見える。素敵! 写真撮ったけど・・・。あの美しさを再現できているとは思えない(涙) そして、本日のお宿飛鳥荘にチェックイン。

じゃらんで予約したのは「秋の花鳥紋炭火焼懐石プラン」 チェックインしたのが19:00頃で、夕食は19:30から。部屋はあまり広くないし、正直設備も少し古めではあるけれど、フロントの方や従業員の方の対応が感じ良い。仲居さんがくず餅を持ってきてくれて、お茶も入れてくださった。東京で食べる白いベタベタした感じのくず餅とは違い、半透明ですごく弾力がある。おいしい。食事は2Fのレストラン花鳥紋で頂く。懐石料理ってことで先付け、お造りなど次々出されるけれど、そんなにかしこまって食べる雰囲気ではないのでOK。量もたっぷりでどれもおいしかったけれど、やっぱり炭火焼が絶品だった。事前に部屋で牛肉、鶏肉、お魚の中からどれにするか聞かれていて、全員牛肉にしたけど大正解。やわらかくて脂があっておいしかった。ちなみにこの花鳥紋では大和かしわを使った大和肉鶏照焼丼が人気とのことで、ランチ時には大和茶麺がついて1,260円で頂けるとのこと。

売店を物色してから部屋へ。興福寺五重塔が見えるお部屋もあるけど、そちらはやはりお値段が・・・。ってことで、露天風呂から見るのを楽しみにしてたのに、諸事情によりbaruのみ行ってきたけれど、入る順番を間違えて大浴場→露天風呂の順で行ってしまったら、ライトアップは消えてしまっていたらしい(涙) ライトアップは22:00までみたいなので注意。というわけで、1日歩いて疲れた足にダイソーで買った冷却シートとトルマリンシートを貼って、普段はありえない23時台に就寝。お疲れ様でした。しかし・・・ 1日目から長文(笑)


じゃらんnet
麺闘庵(食べログ)

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【art】「皇室の名宝1 日本美の華」鑑賞@東京国立博物館 平成館

2009-11-04 01:45:14 | art
'09.10.23 「皇室の名宝1 日本美の華」@東京国立博物館平成館

これは見たかった! 何と言っても大好きな伊藤若冲の「動植綵絵」30点一挙公開! これは見に行かないわけにはいかない。天皇陛下の即位20周年特別展は会期を前半と後半に分けての公開となっているため、若冲や狩野永徳の「唐獅子図屏風」も11月3日まで。土日は混んでいるだろうと思い、20時まで開いてる金曜日に行く。ホントに毎日20時まで開館してくれると、とってもありがたいんだけど・・・

*長文です!*

【第一章 近世絵画の名品】何度も書いているけど、平成館は入口入って真ん中にあるエスカレーターを上がると左右に展示会場がある。上がって左が第一会場。イヤフォンガイドを借りて突入。会場に入ると屏風が3点。内2点が伝狩野永徳。「源氏物語図屏風」がおもしろい。六曲一双の屏風で、桂宮家に伝わったもの。元は八条宮邸の障壁画であったと思われるのだそうで、左隻は「若紫」、右隻左は「蜻蛉」、右隻中央下部に「少女」、右隻右上部に「常夏」が描かれているのだそう。源氏物語は田辺聖子版を読んだし、「あさきゆめみし」は全巻持っているけど、ちょっと章の名前だけで内容までは思いつかない。描かれた場面を見てピンとくるのは、源氏がまだ少女だった紫の上を見初める場面「若紫」ぐらい。この屏風の何がおもしろかったかといえば、その人物達の顔立ち。源氏物語とえいば瓜実顔と呼ばれる、下膨れでそら豆みたいな顔に、線のような目という印象だけど、この絵の人々は卵型でやや面長。男性はわりと男っぽい顔。雅な感じに描いているけど、ちょっと武将っぽい顔立ち。狩野永徳は安土桃山時代の絵師で、織田信長や豊臣秀吉に仕えた。そういう影響もあるのかな。それとも単に当時の作風なのか・・・

この会場の突き当たりに今回の目玉の1つでもある「唐獅子図屏風」が! 六曲一双となっているけど右隻と左隻では作者が違う。右隻が狩野派のスーパースター狩野永徳。そして左隻はそのひ孫となる狩野常信。作風もだいぶ違う。永徳の作品を見て描いたことは間違いないと思うので、金で描かれた雲や岩など背景は似ているけど、迫力ある右隻の永徳作に比べ、舌を出し跳ぶように走る獅子はコミカルでちょっとかわいい。筋肉の隆起や流れのある鬣や足毛も躍動感というよりは様式化して見えるところや、派手な感じはさすが狩野派という感じ。でも、やっぱりここは右隻でしょう。狩野永徳のことも作品名も知らなくても、多分ほとんどの人がどこかで見たことあると思う。2匹の獅子が並んで歩く姿を描いた作品。これは豊臣秀吉が毛利輝元に贈ったと言われているけれど、左端の木が不自然に切れていることから、諸将との謁見の間に描かれたものだというのが最近の見方とのこと。ちなみに右下の"狩野永徳法印筆"とあるのは、こちらも狩野派ビッグネーム狩野探幽が書いたものだそう。そういうのもおもしろい。本物を見るのは初めてだけど、思っていたより大きい。こんなに大きいと思わなかった。獅子はほぼ実物大なんじゃ? もちろん永徳はライオンを見たことないに決まっているし、ここに描かれているのは架空の動物なんだと思うけれど・・・ 最初はその大きさにビックリするけれど、すごいのはやっぱりその存在感。左前足を一歩前に踏み出し、右前足を少し上げ、足を真っ直ぐ前に向けて歩く茶色っぽい獅子と、それを見守るかのように寄り添って歩く緑色っぽい獅子。これは親子? この2頭の感じが圧倒的な迫力の中にも、どこか穏やかな空気が感じられて、何度もしつこいけどかなり大きな作品なので、一双の展示となると壁一面という感じなのに、圧迫感がなくゆったりと見れる。一通り見た後、閉館ギリギリに戻ってきて見直したけれど、人も少なかったのでゆっくり見ることができた。獅子の顔がだんだん人の顔のように見えてきて、とっても不思議な体験。力強い線とか、渦を巻いた鬣を描くその技術もそうだけど、本当に力のある絵というのは、その空間をも支配しちゃうんだなと改めて実感。素晴らしい体験だった。

そういう意味では次の展示会場で一挙公開された伊藤若冲の「動植綵絵」もそう。でも、これは後ほどゆっくり(笑) 夢のような若冲ワールドを抜けると、円山応挙の「牡丹孔雀図」がある。画面中央に描かれた岩の上に止まり、右の方を振り向くように画面いっぱいに描かれた孔雀が美しい。その美しい尾は閉じられて画面右下に向かって左上孔雀の頭から続く流れを作っている。その尾のすぐ左脇、画面中央辺りに配された牡丹の赤とピンク、岩に点々と描かれた苔の緑青が美しく効果的。とっても写実的でありながらも、これはやっぱり若冲とは違う。若冲大好きだけど30点一挙に見た衝撃でくらくらしていたので、この絵の静かな美しさに少しホッとする。応挙はもう一枚「旭日猛虎図」も印象的。応挙と言えば虎ですもの(笑) 墨で描かれた作品で、丘のようなところに登ってきた感じ。もしくは今まさに目覚めたのか、前足をそろえて背中を山なりにしている。この背中のラインがとっても美しい! そして毛並みの一本一本が細かい。でも全体的な丸みや顔のかわいさは、相変わらず猫ですが(笑) この会場にはもう1匹スゴイ虎がいた。数枚美しいけれど、そんなにグッとこない作品が続いた後、遠目でイイ!と思った作品。ハッキリ見えなかったけど虎。近づいてみたら谷文晁。なるほど(笑) 1匹の虎が今まさに水を飲もうとした瞬間、何かの気配を感じたのか、警戒したのか周りをうかがうように鋭く顔を上げたという感じ。山なりの背中のラインの美しさと、そこから伸び逆"?"の形に曲がった長い尻尾までの曲線は美しいけど、優美な感じはではない。ビッシリと描かれた毛並みもスゴイ。そしてこれも実際の虎とは違う気はするけど、でもやっぱり猫ではなく虎だと思う。谷文晁も実際虎を見てはいないと思うけれど・・・ これはスゴイ迫力! 眼光の鋭さがスゴイ。水面に写った顔の目線が、また別の方向を見ているのも狙いなのかな。これはいい。

葛飾北斎の「西瓜図」が印象的。半分に切ったスイカの上に白い透けた布もしくは紙をかぶせてあり、その上に包丁が置かれている。包丁の刃の青が印象的。画面上に張られた縄に掛けられた薄い赤と白のスイカの皮。裏書に「求めに応ず」とあることから依頼を受けて描かれたと思われるこの作品は、右下に"画狂老人卍筆 齢八十"と書かれているとおり北斎80歳の作品。とっても不思議な絵だけど、実はこれ七夕に行われていた中国の「乞巧奠」になぞらえていると考えられているのだそう。「乞巧奠」とは縄に紅白の糸を掛け、その下に水を張った盥を置き星明りをうつす。その星明りで針に糸を通して吉凶を占うというもの。スイカはこの盥を表し、スイカの皮が糸を表しているのだそう。さすが北斎シャレている。だけどこの会場で一番好きだったのは酒井抱一「花鳥十二ヶ月」 これは文字どおり1~12月まで、それぞれの月を表す花と鳥を描く12枚からなる作品。それぞれが繊細で優雅。春はもちろん、雪景色の12月でさえ心穏やかになるような静かで美しい作品。さすが抱一。どれも素晴らしかったけど、好きだったのは「一月 梅椿に鶯図」「五月 燕子花に鷭図」「十月 柿に小禽図」かな。右中央やや下辺りから画面中央、そして左下に描かれた紅白の菊が繊細で美しく、ちょこんと枝に止まった小鳥がかわいい「九月 菊に小禽図」もいい。「一月 梅椿に鶯図」は右やや中央より下あたりに描かれた椿の赤が美しい。その椿を遮るように伸びる梅の太い枝に、さり気なく配される緑青がきいている。細くしなやかに伸びる枝に咲く梅は控えめでかわいらしい。画面下に伸びた枝に止まった鶯は今まさに鳴いているように小さく口を開けている。かわいい。「五月 燕子花に鷭図」 燕子花というのは杜若のこと。抱一といえば琳派、琳派といえば杜若。画面中央に2株の杜若。そのスッと伸びた形と藍のなんともいえない美しさ、その間から顔を出し、花を仰ぎ見るように顔を上げた鷭がかわいい。鷭とは水鳥の一種だそう。「十月 柿に小禽図」これが一番好きだった。左下から右斜め上に向かって伸びる柿の枝。右中央辺りで一度画面から消え、そこから伸びて細い枝が画面中央に戻ってくる流れのある構図。真っ赤に色づいた柿は左下と、この中央に戻ってきた枝の先に実る。その少し寂しい秋の風景に柿の朱が美しい。そしてなんとも奥ゆかしい。その柿を愛でるように見上げる3羽の小鳥の緑と、中央に1つだけ描かれたまだ青い柿が印象的。このシリーズは良かった。なんとも清々しい気持ちになった。

【第二章 近代の宮廷装飾と帝室技芸員】 第2会場へ移って作品も明治から昭和へかけてとなる。帝室技芸員というのは今で言う人間国宝のことだそう。ここでも横山大観などのビッグネームが並ぶ。上村松園などお目当てもあったのだけど、若冲がやっぱり人気で全部見るのに時間がかかってしまったし、最後にもう一度見たかったので、第2会場は時間的余裕がなくて駆け足になってしまったのが残念。第一章が絵画のみだったのに対して、こちらはガラス、焼物、彫刻など様々。旭玉山の「官女置物」が素晴らしい。十二単を身に着けた官女が、右手の檜扇で左手に持った鏡を少し隠すようにして立っている。わずかにうつむき鏡を覗く官女のふくよかな顔が美しいこの作品は、なんと象牙を彫ったものだそう。ビックリ! そのやわらかな着物のドレープの表現からは固い素材は想像できない。袖の衣の表現が素晴らしい。そして何と鏡の中には官女の顔が! 細かい。後ろに回らないと気づかない、そんな所まで手を抜かない。というよりむしろ、だからこそのこだわりなのかも。素晴らしい。川之邊一朝ほか「菊蒔絵螺鈿棚」がかわいい。明治天皇の御下命により制作されたこの違い棚は、全体的に金蒔絵と螺鈿で八重菊と小鳥が描き出されている。これは全面どの部分も図柄がつながるように配置されているのだそう。気が遠くなる(笑) これはホントに美しかった。螺鈿が薄い青とピンクでカワイイ。これはウットリ。

七宝焼で有名な有線七宝の並河靖之と無線七宝の濤川惣助。いつか見たいと思っていた2人の作品を、同じ会場内で見ることが出来るなんて幸せ! 七宝っていうのは金属などに細かいガラスの粉で絵付けして焼き付けたもの。有線七宝というのは模様の輪郭に針金を使っているもので、無線は文字どおり輪郭線の無いものを言う。いわゆるエナメルで、エマーユ、ホーローなどとも呼ばれる。2人は明治時代のほぼ同じ頃に活躍し、字こそ違うけど名前も同じナミカワ。並河靖之はパリ万博で絶賛され顧客のほとんどが外国人であった。濤川惣助は迎賓館の「七宝花鳥三十額」が有名。どちらも超絶技巧。ただ、明治宮殿を飾ったという濤川惣助「七宝唐花文花盛器」は無線ではなく有線作品。2対の大きな花盛器。これはデカイ(笑) 他の作家達の作った花盛器もかなり大きかったので、明治宮殿はだいぶ大きかったらしい。エメラルドグリーンの地に装飾化された唐花と鳥や蝶を描く。この唐花の感じはちょっとモリスとかのパターン化されたデザインにも感じるし、四方に広がる感じは曼荼羅を思わせたりもする。下の唐草模様が描かれた青地のラインと、器の縁の青のラインが引き締めている。これもよかったけれど、彼の真骨頂、無線七宝は「七宝月夜深林図額」でその素晴らしさを堪能。これはまるで水墨画。針金の輪郭を用いない無線七宝は彼が考案したもので、ぼかしが表現できるということだけど、これはスゴイ。絵画としても素晴らしいけど、七宝焼きだからね。ちなみに、中央に川か池の水面を配し、右側に高い木を写実的に描き、左奥の岸にはぼかして木を描き遠近を表現、中央に明るく光る月明かりという美しい構図は、図録によると迎賓館花鳥の間の「七宝花鳥三十額」の下絵を担当した日本画家渡辺省亭によるものだそう。素晴らしい!

個人的にこの第二章で一番心打たれたのは並河靖之の「七宝四季花鳥図花瓶」 とにかくこれ素晴らしかった! 美しい曲線の花瓶の漆黒というにふさわしい真っ黒なその地に、無数の桜をほぼ中央に描く。下部には白、青、黄色やピンクなどの、これまた無数の花が描かれている。上部には緑の葉。そして軽やかに舞う鳥。この図案自体は中原哲泉によるものだそうだけど、それを見事に七宝で表現しているのがスゴイ! 有線というからには細かい花びら1枚1枚に針金の輪郭線が入っているわけで、下絵にそって針金を置いていくみたいだけど、その作業だけで気が遠くなりそう。キィーってなったりしないのかな(笑) その1つ1つの細かさにビックリするけど、ちょっと引いて全体的に眺めると、桜の薄いピンクや緑の葉のグラデーションが見事で、その漆黒の美しさも際立って、なんだか3Dのように図柄が浮き上がって見える。素晴らしい! 若冲を見に行ったので、ノーマークだったけど、ずっと見たかった並河靖之の作品が見れて幸せ。

他にもかわいかった高村光雲の「矮鶏置物」、河井寛次郎「紫紅壺」、大好きな川合玉堂「雨後」、こちらも大好きな鏑木清方「讃春」など、ホントに素晴らしい作品ばかりなのだけど、ちょっと紹介しきれない(涙) この章の最後として大好きな上村松園の「雪月花」について。タイトルの雪:枕草子、月:源氏物語、花:伊勢物語にそれぞれ題材を取り、3幅の掛軸に描いている。花は舞い落ちる桜を幼い男の子が袖を広げて受け止めようとするのを、黄色い花を手にした少女が見守るかわいらしい作品。少女のピンクの着物と、下ぶくれの横顔がかわいい。女房と女主人(?)が月を眺める月も、その顔の美しさや着物の柄の細かさや繊細な色使いもさることながら、くつろいだ女性たちの姿がなまめかしい。でも、一番好きだったのは雪。朝目覚めたら雪景色。身支度を整えた女房(清少納言?)が、御簾を静かに巻き上げている。その顔の美しさ! これは月のなまめかしさとは違うキリッとした美しさ。それは右下にわずかに描かれた枝に積もった雪が冬の朝の寒さを表現しているからだし、美しいけれど淡い色合いの着物の間からのぞく袴の膝の赤がキリリと引き締めているから。これはいい。

さて、長々書いてきたけどいよいよ伊藤若冲「動植綵絵」について。これを見に行ったし、一度目はきちんと並んで間近でイヤフォンガイドを繰り返し聞きながらじっくり鑑賞、一とおり見た後、閉館間際の人が少なくなった頃に戻って、少しは離れて眺めたりと正に至福の時を過ごしたので、もう満足という感じで、最後に語ろうと取っておいたわりには感想が書きにくい。なにしろ30点もあるし(笑) これはもともとは相国寺に寄進したもので、自ら描いた釈迦三尊像とともに展示することを目的に描かれたもの。その名のとおり様々な動物や植物が描かれている。平成11年から6年かけて修復されたそうで、その際に裏彩色など若冲の様々な技法があきらかになったとのこと。そちらも楽しみだった。「唐獅子図屏風」の部屋を向けると、次の会場は若冲コーナー。入口すぐに「旭日鳳凰図」がある。画面中央に2羽のつがいの鳳凰を描いたこの作品は「動植綵絵」ではないけど、あえてこの作品の感想から書いたのにはワケがある。とにかくスゴイ色鮮やか! 何という色。手前の岩に止まった鳳凰の尾羽根はハート型の先端は緑と赤で描かれ、その奥に立っている方の尾羽根は赤と青で描かれているけど、その尾羽根の色が強烈。旭日をバックに顔を上げて鳴く鳳凰の表現も、ビッシリ描かれた羽根模様も、彼らが佇む岩の周りの波の感じも、何となく中国っぽい。とにかく尾羽根の赤が強烈でドキドキする。そして、ずっとドキドキしながら「動植綵絵」を見ていた。何枚目かを見ていた時、近くにいた男の人が、若冲の作品は画面の全部にピントが合っているから見ていて疲れると話していた。なるほどと思った。普通どこかにぼかしなどを入れて遠近感を表したり、絵に抜けを作ったりするものだけど、確かにどの部分もハッキリとしている。イヤもちろんぼかしも使っていると思うけど、これはフルハイビジョンという感じ。なるほど、だからドキドキしたんだと納得。

もう、とにかく全部素晴らしくて、ドキドキしながら見たのだけど、「梅花皓月図」「桃花小禽図」「牡丹小禽図」のように画面にビッシリと花などを描き込んだ作品よりも、「芦雁図」や「芦鵞図」のように主題がドーンといて、少し余白がある方が見ている側としては楽(笑) 「芦鵞図」は嘴の上の黄色いぷるぷるしたところがちょっとキモイけど、ユーモラス。「群鶏図」や「南天雄鶏図」は以前見たことがある気がするけど、若冲といえば鶏。題材としてもやっぱり多くて30点中8点。どれも写実的だけど、よく見ると羽根の模様がまるで図柄のようにデザイン化されているのが分かっておもしろい。8点ある鶏全部素晴らしいけど、好きだったのは「向日葵雄鶏図」 画面左下から右上にかけて描かれたヒマワリは枝分かれしたりと、正しくない気もするけれど、その落ち着いた黄色と、若冲お得意の穴の開いた葉の少し枯れたような緑が、その下を歩く鶏を引き立てている。なんとも美しい姿。普段、生きている鶏を見ても美しいとは思わないけど、こうして見るとその造形の美しさに驚く。茶色の羽根に混ざる白と黒の羽根。そして、しなるような白と黒の尾羽根。真っ赤な鶏冠。素晴らしい。

今回の修復で判明した若冲の技法がパネルで紹介されていたけど、ちょっと覚えきれず 覚えているのは、笑っているかのような表情を浮かべた白い鳳凰が描かれた「老松白鳳図」 先っぽが赤と緑のハート型をしている尾羽根にばかり目が行ってしまうけれど、図録によると白鳳の白い羽根の下には、画絹裏面に黄土の裏彩色がされていて、それが透けて見え、表面の胡粉表現と、墨色の肌裏紙と重なって、輝くような美しさとなっているのだそう。その技法もさることながら、美を生み出すためには努力を惜しまない若冲の探究心が素晴らしい。そしてもう一つ新発見は「群魚図」の左下に描かれたルリハタのほぼ全面からプルシアンブルーの成分である鉄が検出されたこと。プルシアンブルーは1704年にドイツで発見された人工顔料。当時、日本に入ったばかりと思われる顔料を使用していたとさすが若冲と思ったら、この発見以前はむしろ西洋画に関心を持たない絵師だと思われていたのだそう。ビックリ。

さて、いよいよ本日の一枚「蓮池遊魚図」について。長かった(笑) これ蓮池を小さな魚たちが泳ぐところを描いているんだけど、よく考えると変な構図。蓮が水中に咲いているようにも見えるし、魚が空中を浮遊しているようにも見える。左下から左上、そして右上、右下から右上へと繋がる蓮は、額縁のようでもある。なんとも言えないゆったりとした空気が流れる。閉館間際、戻ってきて一とおり見直し、中央に座って「動植綵絵」に囲まれる至福の時を過ごした後、最後にもう一度見直した。なんだか最近、モヤモヤしていた嫌な事なんて、何でもない事のように思えてくる。やっぱり素晴らしい。

長々書いてきたけど、とにかく素晴らしい! さすが皇室のコレクションだけあって作品自体も素晴らしいけど、とにかく保存状態が素晴らしい。これは本当に素晴らしかった! 残念なことに長文になってしまって、書くのに時間がかかり過ぎて、公開期間中に記事UPできなかったけれど・・・(涙) ホントに見れて幸せだった!


★皇室の名宝 Ⅰ期:2009年10月6日~11月3日
★皇室の名宝 Ⅱ期:2009年11月12日~29日

「皇室の名宝」Official site

コメント (2)
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