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【cinema / DVD】『僕の大事なコレクション』

2007-02-20 23:04:43 | cinema / DVD
これも気になっていたのでDVDにて鑑賞。

「家族にまつわるものなら何でもZiplocに入れてコレクションしているジョナサン。祖母が亡くなる時、若い頃の祖父とある女性の写真を譲られる。祖父の命の恩人だというその女性を探す旅に出るが・・・」という話。でも実は主人公はもう一人いて、旅に同行するウクライナ人通訳のアレックス。彼のナレーションで話が進行するので、彼目線で描かれている。

ジョナサンはユダヤ人で、あの髪型&帽子というスタイルこそしていないが、黒スーツに黒ネクタイと割と敬虔な信者を思わせる。思慮深く生真面目というか堅物な印象。一方アレックスはヒップホップダンスが大好きなアメリカかぶれで奔放な生活をかっこいいと思っているタイプ。少し前なら逆の設定だったはず。そのあたりも面白い。

トラキムブロドという村を探しに行くロードムービーになっていて、前半は嫌々ながら運転手として同行することになった元ガイドの祖父や、祖父の盲導犬(笑)サミー・デイビス・Jr・Jrの珍道中。ウクライナののどかな風景がいい。素朴な田舎の人々と生真面目なジョナサンとのやりとりが、アレックスの適当な通訳でよりおかしくなっていく感じがコミカルに描かれる。そう言えば『単騎千里を走る。』でもこんなやりとりがあった。まぁ、この感じは王道な気もするけど(笑)

ホテルの部屋とか廊下とかのデザインというか建物の感じがすごくいい。ジョナサンのやけに広い部屋にベッドのみとか、無駄に広い廊下の割にはアレックスと祖父の部屋は狭いベッド2つでいっぱいいっぱい。しかもアレックスのベッドには柱がめりこんでいる! 食事に関するやりとりもいい。食堂も殺風景でいい! なんだかとっても旧共産圏の香りのするデザイン。あとウクライナを思わせる音楽もいい。

トラキムブロドに近づくにつれて、祖父の様子が変わってくる。アレックスもその原因を何となく感じ始める。感情を爆発させた後、祖父は決意したようにトラキムブロドに向かう。

辿り着いたその地はまるで夢に出てきそうな光景。かわいらしい小さな家の回りにたくさんのヒマワリ。このヒマワリにもしかしたら何か意味があるのかも知れないけど、ユダヤ人やその辛い歴史については通り一遍の知識しかないので分からない。老嬢が一人で住むこの家の中がまたすごい。ユダヤ人が祖父のルーツを探して旅しているのだから、どんな過去かは想像がつく。そのすべてがここにある。でもそれをあえてすべて見せないのがよかった。

老嬢に導かれて知った事実は重い。それはジョナサンのルーツだけでなく、アレックスのルーツをも明らかにする旅だった。この作りは上手いと思うけど、伏線の貼り方がちと…。納得はできるけど、だから祖父はあの態度だったのかとはしっくりとこない感じ。ただ度々フラッシュバックで見せられる記憶は、こちらへの小出しであると同時に、祖父の記憶の甦りなのだとすればスゴイと思う。あまりに強烈な記憶だったために祖父は記憶を削除していたのかもしれない。それが甦ったからこそあの選択をしたのだろう。

ジョナサン役のイライジャ・ウッドは内向的で変わった趣味の青年を好演。彼の美しい目はいつもどこか悲し気で雄弁にジョナサンの心情を語っていた。ユージン・ハッツもいい加減に振舞いながら実は好青年なアレックスを好演していた。祖父役のボリス・レスキンの表情が素晴らしい。老嬢リスタ役ラリッサ・ローレットが素晴らしい。あまり多くは語らないけれど、辛い過去を一人引き受けてまるで修道女のように生きている。彼女が最後に3人に問うセリフが重い。そのセリフで祖父は決断したのかもしれない。一人逃げいてた自分なりの決着・・・。

想像はしていても実際に突きつけられればやっぱり重い。でもこんな風にまるでトラキムブロドとう村で起こった架空の話のように見せられれば、見る側の負担は軽くなり、より心に染みる気がする。もちろん人それぞれだけど、あまりに悲惨な映像や話ばかり見せつけられると、その衝撃だけで本質に目が行かないこともある気がする。

気がつけば長文になってた(笑) よい映画だったと思う。

追伸:"指輪"も出てきます(笑)


『僕の大事なコレクション』HP

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【cinema】『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』

2007-02-18 00:31:32 | cinema
'07.02.16 Tと『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』@シネマライズ

これ気になってた。「1975年イギリス。結合性双生児(シャム双生児)のトムとバリーはロックバンドのギターとヴォーカルとしてデビューする。彼らはその音楽性と特異性とで人気を得るが・・・」という話。この映画が変わっているのはドキュメンタリーとして描いていること。これが良く出来ていて、知らないで見ると実話だと思うかも。実際Tはそう思っていたし、知ってて見ても錯覚したほど。

ドキュメンタリーを見るのは好きだけど、主題となっている人や出来事やモノに興味がないと、かなり面白く作っていないと退屈してしまう。そもそもドキュメンタリーを見るというのは対象に興味があるからだし・・・。ドキュメンタリー映画として撮っているので関係者へのインタビュー映像なども出てくるけどそれが本物っぽくて良く出来ている。

双子のトムとバリーは社会から隔離されて育った。バリーは人から愛されないことでイラ立ちいつも攻撃的。それがヴォーカルとしてパンキッシュな魅力となった。トムは繊細で冷静なタイプだけど怒りを秘めていた。それは多分本人も意識していないもの。2人の若者のその怒りのエネルギーが妖しい魅力となって人々の心を捉えていく。もちろん残酷ではあるけどフリークスへの興味であることも彼らには分かっている。でもフリークスでなくても一般人がミュージシャンや芸能人を見る目はどうせ見世物感覚だろうという皮肉もある気もする。

いくら兄弟とはいえ生まれてからずっと文字通り一緒というのはどんな気持ちなのだろう。知り合いの双子によるともう1人自分と同じ(ような)人間がいるのもいいものだと言っていたけど、それはもちろん彼ら2人が別の人間でお互い自由だから。お風呂に入る時も、眠る時も、恋人と愛し合う時も2人は離れることが出来ないのだ・・・。2人を取材していたローラがトムに恋して、愛し合う2人の横で眠るバリー。体の一部は共有しているのだからバリーにも興奮はあるだろう。これは残酷。でも愛し合う2人が肉体的に愛し合えないのも辛いことではある。

トムとバリーは次第に離れたいと望むようになる。バリーがローラを陥れたとされるあの手紙も、根底には離れたいというバリーの願いもあったのだろう。でも、その反対に離れたくない気持ちもどこかにあったように思うのは、想像力がたくまし過ぎるかな? いつも一緒にいる存在をうっとおしく思う時もあるけど、いなくなってしまったら無性に寂しく、恋しく思う。その感じは誰でも経験したことがあると思う。ましてトムとバリーは体の一部を共有しているのだから・・・。

音楽的にも私好み。1975年といえばTHE CLASHもSex PistolsもTHE JAMもまだデビューしていない。曲調もそうだけどバリーのがなる歌い方はそのままパンク。彼らがパンクムーブメントの先駆けでもあったような描き方でROCK映画としても面白い。パブのライヴシーンもいい。ホントのライヴ映像みたい。音も大きくてかっこよかった。THE BANG BANGってバンド名はいかがなものかと思ったけど(笑)

トムとバリーは当時のROCKの人たちや若者たち同様DRUGにおぼれていく。そして悲劇へと向かっていく。あまりに重く悲しい運命。ドキュメンタリー映画のインタビューとして過去の話しとして描かれているので冷静に見れた。普通に2人の苦悩の話をずっと見せられていたら重過ぎるかも。2人が不幸のスパイラルに落ち込んでいく映像の合間に、現代の関係者が淡々と語る映像が入る。それで一瞬緊張が抜ける感じで、感情移入し過ぎないで見られた。その比重もいいと思う。医師へのインタビューなども入ったりして2人の存在がリアルになって、ドキュメンタリーとしても良い出来になっている。かえってそれで2人の悲劇が浮き彫りになる。

『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』というのはバリーの頭の中の腫瘍(胎児)のこと? それとも悪い夢を見させるという空想上の存在のこと? それともお互いの存在のことなのか?

2人の育った岬の家の暗い荒涼とした感じも良かったし、ライヴ映像も、彼らを追った取材映像みたいのも全部本物っぽくてよかった。重かったけど良かった。


『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』


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【cinema】『あなたになら言える秘密のこと』

2007-02-12 02:06:30 | cinema
'07.02.11 『あなたになら言える秘密のこと』@TOHOシネマズ市川コルトン

『死ぬまでにしたい10のこと』のスタッフ&主演女優が再結集した映画。『死ぬまでに・・・』も重いテーマを扱いながらしっとりと見ごたえのある佳作だった。この作品の方が辛いけどしっとりと染み込むように入ってくるのは前作同様。

「工場で働くハンナは誰にも心を開かない。休暇中に油田掘削所の事故で負傷したジョゼフの看護をすることになる。やがて2人は心を通わせるようになり・・・」というあらすじとタイトルはロマンチックな恋愛モノを思わせる。2人の関係は恋愛ではあるけどもっと重い。再生の話。

ハンナの日常はあまりにも暗い。人との関わりを避け、必要最低限の生活。ただ生きているだけ。1度使っただけの石鹸を捨ててしまうなど、明らかに精神的に何かがあることも暗示している。ハンナ役のサラ・ポーリーが外国訛りも完璧にこなし見事な演技。強く周囲を拒絶しながらも、触れたら壊れてしまいそうな繊細さと緊張感で痛々しくて目が離せない。

事故のあった油田掘削所は海上に浮かぶ巨大な施設で外界から隔離されている。そこで作業をしながら暮らす男達も、それぞれ人と上手くコミュニケーションが取れないタイプ。そんな男達と触れ合っていくことでハンナの中で何かが変わる。もしくは何かが外れた? 融けた? ディミトリがいい。

ハンナが看護するジョゼフは火傷を負い一時的に視力を失っている。ハンナは偶然にジョゼフの秘密の一部を知る。自分の境遇を嘆いているのか冗談ばかり言うジョゼフに徐々に心を開き始めたハンナ。それを感じ取ったのかジョゼフは自分の秘密を打ち明ける。「どうやって過去を背負ったらいいのか?」と問うジョゼフに「前に進むしかない」と答えるハンナ。ジョゼフが病院に移送される日、ハンナは自らの秘密を打ち明ける。

事前にある記事でキーワードを読んでいたので、ハンナの秘密に関しては想像していた。その出来事自体はNHKの特集番組などで知っていたので、ほぼ想像通りだったけどあまりに重い。重く辛すぎて涙も出なかった。人間はこんなにも残酷になれるものなのか・・・。ハンナの元カウンセラーの女性の言葉は重い。でも、人間は信じられないくらい残酷になって人を傷つけるけれど、その傷を癒して絶望から救うのもまた人間なのだ。

ラスト以外の画はすべて暗く静かで沈んだ印象。油田施設もさびれた感じ。ラストの淡いけれども明るい画との対比となっていて象徴的。重く辛いテーマなのに見終わった後の落ち込みが少ないのは、ラストの美しさだけではない。全体的にそんなに雄弁ではないけどハンナの心の変化がきちんと描かれていて、それがこれ見よがしではないけど、ちゃんとこちらに届いているから。

ハンナが本当に救われたのかは分からない。でも、彼女は救われたいと思ったのだ。それだけでも見ているこちらとしては救われる。決して心地よい映画ではないけれど、見て良かったと思う。

ティム・ロビンス、ハビエル・カマラ、ジュリー・クリスティの演技が素晴らしい。ディミトリの人もいい。


『あなたになら言える秘密のこと』HP

コメント (2)
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【cinema / DVD】『かもめ食堂』

2007-02-12 00:39:18 | cinema / DVD
気になっていたのでDVDにて鑑賞。

「ヘルシンキの街の一角にかもめ食堂をオープンしたサチエ。一ヶ月経ってもお客は来ない。ある日偶然出会ったミドリがお店を手伝うことになる。いつしか風変わりな人々が集まり始めて・・・」という話。

群ようこの原作は読んでいないので、そもそも何故フィンランドなのかもあいまいだし、メニューも日本の家庭料理ばかりで大丈夫なのか?などいろいろツッコミどころはあるけれど、これは大人のメルヘンなのだと思う。

「勝ち組」「負け組」などと言ってる日本に疲れた人々が、ゆったりのんびり暮らしている(と思ってる)フィンランドに憧れてやって来る。でもフィンランドにだっていろいろある。

主人公のサチエがいい。小林聡美の演技が良いこともあって、とても清々しい人になっている。一歩間違えると空々しい人になるけど・・・ 様々なことをしなやかに受け入れる。出会いも別れも「まぁ、いいじゃないですか」とサラリと受け入れる。そんな風にムリなく生きられたら幸せなのかもしれない。サチエの「おにぎり」へのこだわりエピソードはほんわかして良い。受け入れるところは受け入れ、譲れないところは譲らない。その理由も明確にしつつイヤミがない。こうなれたらイイ。

ひょんなことから居候としてお店を手伝うことになるミドリ。荷物が届かないというハプニングからやはり店を手伝うことになるマサコ。毎日お店に来る日本のアニメおたくのトンミなど登場人物たちが個性的。ミドリやマサコのキャラクターも見ている側が受け入れられるギリギリ。ダメな人はいると思う。片桐はいりともたいまさこがいい。2人が画面にいるだけでおかしい(笑)

ほとんどが食堂内だけど、たまに映るヘルシンキの町並みがステキ。確かにゆったりとした雰囲気。かもめ食堂のデザインも北欧チックでステキ。マサコがヘルシンキで買った服もかわいい。そして何よりしょうが焼きやトンカツなど料理がおいしそう。

大きな事件が起こるわけでもなく、何かが劇的に変わるわけでもないけど、のんびりした気持ちになった。

『過去のない男』のマルック・ペルトラもいい感じで出演。


『かもめ食堂』Official site

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【MJ】「東京サブサルサミット」

2007-02-04 00:06:15 | MJ
'07.01.29 東京サブカルサミット@中野サンプラザ

スカパーの番組の収録を兼ねたイベント。浅草キッドの司会でサブカルな人々を集めて、サブカルなクイズに答えてもらい、芸能界サブカル王を決定するというもの。MJご出演なので見に行く。

例によって腹ごしらえしてから行ったので始まってしまってた(汗)どうして学習しないのか? 6列目なのでかなり近い。いきなりMJ、安斎さん、泉麻人、清水ミチコが回答中。各4名ずつA、B、Cブロックに分け、それぞれ1名ずつが決勝に進むというもの。さすがサブカルな方々やる気があまり感じられないのもいい。ダラダラと進行。玉袋なんて靴ぬいでたし(笑)

スカパー内の番組からクイズが出題される。面白かったのはカシオペアの向谷氏。かなりの鉄っちゃんらしい。ご出演の鉄マニア番組が紹介される。番組自体はゆるい感じだけど、ご本人はかなり熱い。どこかの路線の発車ベルを作曲して、全駅制覇すると1曲に繋がる(だったかな?)のだそうで、演奏しだしたりしてトークが止まらない。おかしい(笑)

スペシャルゲストの杉作J太郎、猫ひろしなども加わり、事前に取ったアンケートの発表などしつつゆるゆると進行。

途中オーケン、清水ミチコ、勝手に観光協会のライブがあった。清水ミチコも面白かったけど、勝手に観光協会が! 勝手に観光協会とはMJと安斎さんが勝手に各都道府県を視察して、ご当地ソングを作るという活動(企画?) その未発表のご当地ソングをいち早く披露。たしか大分だったと思うけど、なぜかメタル(笑)しかもギターとオカリナでメタル! 笑死するかと思った! 安斎氏安倍首相より一つ年上です(笑)生で聴けてよかった。ホントよかった(涙)

いよいよ決勝。多分、放送があると思うので決勝進出者や結果については書かずにおく。かなりゆる~く終了したことは間違いなし。すごい楽しかった。

出演:みうらじゅん、安斎肇、泉麻人、清水ミチコ、リリー・フランキー、スチャダラパー、大槻ケンヂ、ロマン優光(掟ポルシェの代理?)、向谷実、蒼井そら


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