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🎬映画 🎨美術展 ⛸フィギュアスケート 🎵ミュージカル 🐈猫

【cinema】『SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2011』

2011-06-26 02:54:51 | cinema
'11.06.19 『SSFF & ASIA 2011』@表参道ヒルズ スペース オー

原宿、六本木、新宿などで開催中の『第13回 ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2011』 その「ストップ!地球温暖化部門」を見に表参道ヒルズに行ってきた。お友達のmigちゃんの弟さん片岡翔監督の作品がお目当て。もちろん監督の作品のファンだから!

「ストップ!地球温暖化部門」は地球温暖化防止のための国民運動「チャレンジ25キャンペーン」との連動企画。その名のとおり温暖化をテーマにした作品が14本。しかも無料上映! その作品をご紹介。あらすじは、無料配布されたプログラム小冊子から転載。出来る限り感想をコメントしたいと思うのだけど、どうかな・・・


左:アンケートに答えるともらえるプログラム 右:プログラム小冊子

・・・・・ 作品紹介 START ・・・・・

01 『流氷はいつやってくる』 監督:Megumi Nishikura & Luis Patron 上映時間:6:39
「北海道 網走。毎年流氷を求めてやってくる観光客。しかし・・・」

見終った後、お友達のbloggerさん達とも話したんだけど、サラリと始まったので、エントリー作品だと気づかなかった・・・ そういう意味ではちょっと残念だったかな。

02 『Heat Wave』 監督:Mirel Bran 上映時間:1:00
「すごく暑いある日、道に迷った男は人々に道を聞くが・・・。」

この作品の途中から、もしかしたらエントリー作品なのか?と気づいた(笑) これは面白かった。"暑い"と"熱い"を掛けてて、暑いと判断力も鈍ってイライラするという感じが伝わってきた。

03 『Save Earth,Save Us』 監督:萬野達郎 上映時間:1:17
「59秒で伝えるボクらの未来。」

カエルは徐々に水温を上げられると、その上昇に気づかないんだとか・・・。それを温暖化にかけた作品。上手くまとまってはいるとは思うけれど・・・。

04 『Dream』 監督:Khoroldorj Choijoovanchig 上映時間:5:56
「夢と現実の狭間で・・・。」

SFっぽい作品。世界観は好きだったんだけど、温暖化との関連性があまり伝わらなかったような・・・

05 『Vive La Crise!』 監督:Alexei Gubenco 上映時間:3:10
「「自転車」が地球を救う!」

自転車に乗ると、温暖化防止だけじゃなく、自分にとっても効果がありますよという感じ。そのまま(笑) アニメ作品。絵のタッチが淡い感じでおもしろい。

06 『SiRoKuMa』 監督:片岡翔 上映時間:14:14
「僕の赤ちゃん、生まれてきたくないみたい。」

お目当ての片岡監督作品! 相変わらず毒があるのにほわっとポップで面白い。音楽の使い方も好き。温暖化の危機を声高に叫ぶのではなく、その防止策をサラリと見せているのも良かった。それを発信している人が誰かと考えると、身につまされる。でも、見ている間は軽いタッチで笑える作品になっている。相変わらずセンスがいい。そして、主演の芹澤興人のキャラを存分に生かしている。普通にチャリ乗ってるだけで笑えるし(笑) 監督によると時間がなくて大変だったようだけど、完成度は高い。

07 『Global Warming』 監督:Sheldon Liberman & Igor Coric 上映時間:1:50
「さぁ歌おう、「グローバル・ウォーミング(地球温暖化)」!」

うーん・・・。ごめんなさい。自分でもビックリしたけど、全く覚えてないです・・・

08 『Tide of Change』 監督:Amie Batalibasi 上映時間:11:41
「ソロモン諸島に生きる人々を描いたドキュメンタリー」

うーん・・・。確かに温暖化による洪水の被害は大変で、以前なら心打たれたと思うけど、東日本大震災を経験してしまうと・・・ 長さも結構あったので、正直眠くなってしまった・・・

09 『ENEBO - one light life -』 監督:谷口博昭 上映時間:5:00
「発電によるCO2排出を家庭の節電で軽減。」

おもしろかった。排出されるCO2をどうするかってことは、そのまま原発の使用済み燃料に置き換えられるなとか思いながら見ていた。

10 『Climate Dish』 監督:Peter Wedel 上映時間:1:08
「お皿の上にのる地球・・・」

必死に闘っていた眠気がまた襲ってきてしまい・・・ すみません・・・

11 『TECLOPOLIS』 監督:Javier Mrad 上映時間:12:10
「世界を支配する「テクノロジー」、しかしそれにも勝る「自然」」

ビルをPCのキーボードで作ったり、布やレースで波を表現したりして、強いメッセージがほんりと伝わる。その感覚と映像センスは好きだったけど、いかんせん長い・・・ で、落ちてしまった。残念・・・(涙)

12 『What's ONDANKA?』 監督:三ツ橋勇次 上映時間:2:00
「スーツを着た男が、実感する「地球温暖化」」

なかなかシニカル。やりたいことは伝わったし、それなりにおもしろかった。

13 『11 Degrees』 監督:Anna Ewert 上映時間:7:44
「スコットランドのスキー場が受ける地球温暖化の影響とは?」

かなり眠かったところで、またしてもドキュメンタリー。ということで、寝ちゃった・・・ ごめんなさい

14 『everyday』 監督:森田淳子 上映時間:8:08
「環境問題の「警鐘・啓蒙」にとどまらず、ひとりひとりの「行動」へ」

特別上映作品。加瀬亮 & 真木よう子が出演している。さすが人気俳優同士。それだけで見ごたえがある。繰り返されるメッセージはちょっとウザイ気もしたけれど、2人のおかげで押し付けがましくはなっていない。言いたいことも伝わった。

・・・・・ 作品紹介 END ・・・・・

うーん・・・ わりとドキュメンタリーが多くて、確かに大切な事を訴えているとは思うけど、コメントにも書いたとおり、ソロモン諸島の洪水も大変だとは思うけど、東日本大震災の大津波を見てしまえば、ソロモン諸島の人を救っている場合ではないし・・・ とか思ってしまう。まぁ、それはコチラの勝手なので、作り手のせいではないのだけど(笑) ドキュメンタリーは決して嫌いではないのだけど、10分超で淡々とした映像だと眠くなってしまう・・・。

今回はひいき目でも何でもなく、片岡翔監督の『SiRoKuMa』が抜けてたと思う。『everyday』はさすがに主演2人のおかげで見ごたえはあったけど、これは特別上映なので別枠ってことで(笑) 正直、ストレート過ぎずに温暖化に対するメッセージをきちんと伝えつつ、映画としての面白さも楽しめたのは『SiRoKuMa』くらいだったように思う。

今回の『SSFF & Asia 2011』は、コリン・ファース & キーラ・ナイトレイ出演の『Steve』、ジェシー・アイゼンバーグ主演の『Some boys don't leave』、ジョセフ・ゴードン・レヴィットが脚本、監督、編集、音楽を手がけた『Sparks』とか見たいのいっぱいあったけど、どうにもマメじゃなくて・・・ ここでしか見られない作品ばかりなので、頑張りどころなんだけど(笑) ということで、この「ストップ!地球温暖化部門」のみの鑑賞となる。少しでも雰囲気を感じられて良かった! 久々にお友達のbloggerさん達にも会えて楽しかった♪

『Short Shorts Film Festival & Asia 2011』Official site


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【Googleのロゴ】夏至 2011

2011-06-22 00:46:04 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがこんなことにっ!


北半球バージョン


南半球バージョン

本日6月22日は夏至ということで、
なぜか村上隆バージョンに!

なんでだろう?


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【cinema】『スーパー8』(試写会)

2011-06-22 00:23:31 | cinema
'11.06.13 『スーパー8』(試写会)@中野サンプラザ

yaplog!で当選。いつもありがとうございます! 全国で8888人に当たるという試写会。それぞれ当選したmigちゃんと合流。一緒に見てみた(笑)

*ネタバレあり、ごめんなさい辛口です…

「母親を事故で亡くしたジョー。保安官補の父は忙しく、寂しい日々。仲間達と映画を撮るのが楽しみ。密かに思いを寄せるアリスもメンバーに加わり、心躍らせながら撮影していると、列車の事故に巻き込まれ…」という話。うーん。スピルバーグだね! 以上!(笑) うーん。見ている間は、それなりにおもしろいけど、見終わって特に何も残らない。何か残るだけが映画じゃないし、見ている間に楽しめれば十分だとは思うけど…

まぁ、前にも書いたことがあったか忘れてしまったけど、最近のスピルバーグ作品とは、監督、製作含めて合わない… 個人的にそんなにSFモノに思い入れがないせいもあるけど、やたらと大風呂敷を広げたわりに、家族愛に収束させて、頑なにハッピーエンドにする感じがどうもねぇ… あ、『宇宙戦争』の事を言ってます(笑) イヤ! ハッピーエンドがダメとは言ってないし、家族愛の映画も好きだけど、大風呂敷との落差が激しくて、取ってつけたみたいなんだもの… まぁ、とっても分かりやすいといえば分かりやすいのだけど…

主人公のジョーは普通の男の子。仲間もあんまりイケてない… キャラが立ってると言えなくもないけど、ジョーとアリスの淡い恋愛を描きたいがために、彼を引き立たせてるのかなと思ってしまうのはひねくれてるのかな? だって、みんな結構個性的キャラだったわりに、2人くらいしか覚えてないし、ジョーのグループが何人だったか忘れちゃったし(笑) って、子供相手に可哀相かな… この映画の舞台になっているのは1979年。'80年代頃、男女5~6人くらいのグループの冒険モノとかSFモノが結構作られた。スピルバーグの『E.T』なんかもこの辺りだよね。これはそういう作品へのオマージュなんだと思う。

そもそも"スーパー8"というタイトル自体も、劇中で彼等が使う8ミリビデオのテープのことらしい。スピルバーグ自身も少年の頃から8ミリで映画を撮っていたそうなので、映画の主人公達よりは年上だけども、自身が投影されているのだと思う。まぁ、この映画の監督はJ.J.エイブラムスだけど(笑) エイブラムスの作品って見たことあったかな? と思ったら『クローバーフィールド』だったね(笑) なるほど、あれも家庭用カメラで撮影って設定だった。別に、この映画は家庭用カメラの映像ってわけではないけど(笑) でも、画像が粗くて色もあまり鮮明じゃない感じは、こだわって当時の質感を再現したみたいだけど、この映像は良かったな。ちょっと懐かしい感じ。



そもそも、スピルバーグと合わないと言いつつ、何故見に行ったのかといえば、エリア51が絡んでいると聞いたから。エリア51について上手く説明できないので、毎度のWikipediaより引用。エリア51とはネバダ州にある空軍の軍事施設。近年ではステルス戦闘機の試験飛行を行っていると考えられている。ロズウェル事件との関連や、UFO、宇宙人の存在を信じる人も多い。いずれにしても何らかの機密事項が基地内に存在するらしく、警備は厳重。周辺の撮影も一切禁止で、これを無視した場合は逮捕、不審な場合は警告なしで発砲される場合もあるらしい・・・ ちなみにロズウェル事件とは、1947年7月ニューメキシコ州ロズウェル付近で何らかの物体が回収された事件で、宇宙人だったのではないかと言われている。付近といっても実はかなり離れているけど、ウォーカー空軍基地が関与したことにより、ロズウェル事件と呼ばれている。と、説明が長くなったけど、要するに宇宙人がらみということ。どうやら、このエリア51から”何か”を運んでいた列車が事故を起こし、たまたま近くで撮影していたジョー達のカメラに、事故の一部始終が映っているらしいということだったので、もう少しエリア51のことが出てくるのかと思ったら・・・。モノクロ映像。時代を考えればそうかもしれないけど、なんだか安っぽい(笑) まぁ、その辺りも含めて'80年代少年SF冒険モノとしての演出なのかもしれないけれど・・・ というわけでガッカリなんだけど、よく考えたら期待したほうがバカだった(笑)

以下、ネタバレあり!

とにかくツッコミ始めたらキリがないくらいツッコミ所満載。主人公達が列車事故に遭遇するけど、この迫力はスゴイ! 凄すぎ(笑) 小学生達があの事故に巻き込まれて、全員無傷なのはいいとして、直後に現れた軍人達に見つかることは恐れているけど、事故に対する恐怖心が一切ないし(笑) 大量に逃げ出した犬達が、遠く離れたところで次々に見つかるけれど、だから何なのか不明なままだし(笑) 事故を引き起こした先生の、家宅捜索中の家の前で、映画撮影をしていても軍人達は全然気にしないし(笑) まぁ、これは後に笑えるシーンになっているのだけど。謎の生物(宇宙人だけど(笑))は、次々人を殺していくけど、何故かアリスのことは生け捕りにする。これはジョー達が大活躍するために必要だから仕方ない。しかも生け捕りにされた人は他にもいて、どうやら食糧だったらしいけど、だったら殺した時に食べた方が早いじゃないというのは、前述の理由と、さらに子供達の冒険を盛り上げるための存在でもあるから仕方なし(笑) そして、たまたま殺されるのが大人ばかりというのも・・・(笑) まぁ、主人公が死なないのはセオリーだけど、結局ジョーが解決というのも・・・ しかも解決方法がベタだし(笑) そしてお決まりの和解 & 家族愛(笑) と、ホントにキリがない(笑) でも、さっきも書いたとおり、要するにこれはスピルバーグ映画のセルフ・パロディなんだと思う。

まぁ、もちろんセルフ・パロディとは思ってないと思うけど、間違いなく狙ってやっているんだと思う。だってスピルバーグ作品で見かけたようなシーンや設定ばっかりだから。 『E.T』、『ジュラシック・パーク』、『未知との遭遇』、『グーニーズ』 そういう作品だと思って見たら、楽しめると思う。チラシでは「衝撃と感動の歴史的超大作!」とか「早くも2011年最高傑作!!」とか書かれているけど、宣伝方法間違ってると思う(笑) 「これはスピルバーグ・オマージュ作品です!」って書いた方がいいんじゃないかな・・・ あ、もちろんいい意味で! スピルバーグ・ファンの方はニヤリのシーンがたくさん出てくるので。

子供達の演技は普通、もしくは普通以下かなぁ・・・ 大人の役者さんたちは全然知らなかった。そして普通。だから、エル・ファニングちゃんの上手さが際立った(笑) 特に、劇中劇での若妻演技はちょっと感動。ゾンビの演技もいい(笑) 取ってつけたような親子不和も、ラストの和解も、彼女の演技のおかげでトホホな感じにならずに済んだ。

うーん。ごめんなさい! スゴイ辛口・・・ でも、見ている間はほどよくおもしろかったのは事実! 前にも書いたけど’80年代風の画像や、映像の撮り方もおもしろいJ.J.エイブラムスについては『クローバーフィールド』しか見ていないので、よく分からないけれど、この映画に関しては完全なるスピルバーグ節なので、スピルバーグ・ファンなら楽しめるハズ!

家族連れや、デート映画としてはオススメ! スピルバーグ・ファンならぜひ!

そうそう! エンドロール中のおまけ映像が楽しかった! これは好き これだけでも観てよかったと思える楽しさ。さり気なく「ロメロ」とか出てくるのもツボ(笑) 本編をちゃんと見てると、より楽しめるのでお楽しみに♪

『スーパー8』Official site


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【cinema】『127時間』(試写会)

2011-06-20 23:32:18 | cinema
'11.06.09 『127時間』(試写会)@よみうりホール

観たかった! 試写会探してたら、お友達のともやさんの当選tweet発見! ちゃっかり便乗してしまった(笑) だってダニー・ボイルだからね! 『スラムドッグ$ミリオネア』大好き♪


*詳細は避けますが、ネタバレありです!

「金曜の夜、ブルー・ジョン・キャニオンでのロック・クライミングに出発したアーロン。翌朝、渓谷で道に迷った女子2人組と出会い、しばし楽しい時を過ごす。2人と別れた後、クライミングを始めるが、手をかけた岩とともに落下、右腕を挟まれてしまう…」という話。これはおもしろかった! 94分と短いこともあるけど、一気に見てしまった。スピード感があって、演出が上手い。あざといと感じる人もいるかもしれないけど、個人的には好き。

アルピニストとして活躍するアーロン・ラルストンの実体験に基づく原作「127時間」の映画化。このあらすじで、原作ありで、尚且つ著者が現在アルピニストなのであれば、ネタバレもなにもないけど(笑) でも、同行のともやさんがおっしゃってたように、事件モノを紹介するバラエティー番組なら、15分くらいの再現VTRで済んでしまう話を、94分に膨らませたのはスゴイ。一言で言ってしまえば、事故に遭ったクライマーが生還する話なので、遭難してしまえば、後はひたすら救助を待つか、自力で脱出するか。でも、それだと、せいぜい30分くらいじゃないと、見ている側が辛い… ということで様々な工夫がされている。

冒頭の出発準備シーンから伏線を貼りまくる。スイス製アーミーナイフを置いて行ってしまうのは、とっても分かりやすいけれど、電話に出ず留守電に相手させている感じは、後に彼が悔やむことと、生きたいと願う伏線となっている。見ている時には、電話に出ないアーロンを特別ヒドイ人とも思わないし、むしろ楽しみを優先してしまう感じは共感できる。ただ、やっぱりクライミングに慣れていて、自信があるが故の過信が感じられなくもない。でも、それはアーロンと一緒に「もし、あの時」と思うからで、見ている間は気にならない。

アーロンがどの辺りに住んでいて、事故に遭ったブルー・ジョン・キャニオンがどこにあるのかサッパリ分からないのだけど、彼の家から車で向かい、目的地付近で車中泊、翌朝マウンテン・バイク&徒歩で現地入り。多分、自然保護のため車は立ち入れないからだと思うけど、後の会話でマウンテン・バイクで32km走ったと言ってたような… さらに結構歩いてたから、それこそ昼間でも人が来ない。そもそもアーロンのような人が行くような所は、普通の人は行かないのかも…

自宅でバタバタと荷造りしているところから、ウキウキ車を走らせる姿や、翌朝マウンテン・バイクで疾走する映像はスピード感がある。アーロンの胸の高鳴りが感じられて楽しいけど、ずいぶんムチャするなと思っていると派手に転倒(涙) 見ている側はアーロンが転落事故に遭うことは知ってるわけだから、いつなのかドキドキしているので、そこでこの転倒シーンを入れて一瞬ドキリとさせつつ、アーロンが調子に乗りやすく、ムチャをしがちな人物であることの伏線にもなっている。そういうのが上手い。



実際のアーロンも遭難する前に女子2人組と出会ったのか不明だけど、この2人とのエピソードが後に生きてくる。普通の映画であれば、主人公の生活を描くことで、その人物の人となりを紹介することができるけれど、冒頭からいきなり出発してしまっているので、いかんせん弱い。でも、あまりダラダラと前置きをされてもダレてしまう。この2人とのシーンは、アーロンの性格の一部を紹介することに役立っている。自分のクライミングの腕にも、自分の容姿にも自信がある。もちろんそれは悪いことではないし、明るく物おじしないので親しみやすい人ではある。でも、それが過信となって、ムチャをする感じに説得力を持たせている。

保守的なのが正しいというわけではないし、ちょっとムチャをしたからこそ、ドームへの素敵な入り方もできたわけで、同じ物事も見方を変えれば、違う感動があったりする。だから、多少のムチャは全然OK。確かに、彼女達のセリフにもあるとおり、「こんな所連れて来てくるなんて(怒)」とも思うけど、それを乗り越えてこその絶景とも言える。人間の好奇心や冒険心が、様々な発見をしてきたわけだから、多少のリスクを負わないと、という側面は確かにある。ただ、リスクを越えた先にあるであろうモノばかりに気を取られて、リスクそのものを軽視してしまう部分はあるのかなと思う。ドームの映像が神秘的で美しく、3人がとても楽しそうだったので、見ている間はそんなに深く考えてたわけではないけれど… 文句言ってたわりに、何度も繰り返してたから、大丈夫なのかも? まぁ、初心者は真似しないで下さい(笑)

このシーンが少し呆れるくらいのはしゃぎっぷりだったことが、この後起きる事故との落差を引き立てている。そして、その高揚感のまま、クライミングを開始したことが注意力を欠き、事故に繋がったのかもしれないと思ったりする。実際の事故がどんなだったのかは不明だけど… 事故のシーンの迫力はスゴイ。クライミングのことがサッパリ分からないので、アーロンが何をしようとして、壁の両脇に足をかけた状態で、岩に手をかけたのか不明なのだけど、かなり大きな岩に手をかけた瞬間、もろとも落下してしまう。あっという間の出来事。ほとんど傷はなかったのに、運悪く右腕を挟まれてしまう。ここから127時間アーロンの闘いが始まる。

あんまり詳しく書いてしまうと、面白くないので、なるべくネタバレしないように書こうと思うけど、どうかな…(笑) アーロンはあんなにバタバタと荷造りして、ちょっと軽い感じに見えていたけど、さすがの装備。初めこそ取り乱していたけど、直ぐに冷静さを取り戻す。127時間だから5日以上閉じ込められていたわけで、もちろんそこまで耐える食料も水もない。アーロンが落ちた所はかろうじて立てるけど、底ではないらしい。何かは分からないけど、ハーネスのようなものを装着して、何度も失敗を繰り返した後、岩に引っ掛けて体を吊すことに成功。眠ることができるようになったりする。ある程度の知識があって、装備も持っているならば、誰でもそうするのかもしれないけれど、素人から見ると、さすがだなと感心。そのサバイバル能力に驚いたりする。もちろん、片腕の自由を奪われて、ほとんど身動き取れないわけだから、出来ることは限られているのだけど… 水が底を尽きてしまうと、ある方法で貯水袋(?)に水分を確保するのだけど、これはスゴイ!

水の表現がよかったと思う! 冒頭の荷造りシーン、水はボトルから溢れ出ていた。ドームにも水は豊富にあって楽しい時間をもたらしてくれた。閉じ込められて直ぐに、アーロンが心配したのは水が無くなること。アーロンが水を飲む度、水が沸き上がってくるような映像が映し出される。それが、水のありがたさを表現しているとともに、緩急にもなっている。渓谷に雨が降りそそぐ描写がスゴイ! 水が尽きかけているので、恵みの雨だけど、それが命を奪うこともある。これにはオチがあるけど、アーロンが改めて、自然に対して恐怖を感じるところ。そういう事を押し付けがましくなく見せるのがいい。全然詳しくないので分からないけど、自然という予測不可能なものを相手にしている人達こそ、自然に対して恐怖感を持ってないとダメなんだと思う!

狭い谷底で、アーロンは自分自身を見つめ直すことになる。向き合うものが自分しかないから誰でもこうなると思う。だからとってもリアル。回想シーンも妄想シーンも、作り物っぽい感じで描いているのが逆にリアルでいい。さんざんムチャをするとか、調子に乗りやすいとか書いてきたけど、アーロンは別に嫌な人ではない。家族にも友人にも今回の行き先を伝える機会があったのに、何も言わずに来てしまったことは、救出が遅れることだけでなく、自分が心を開いて来なかったことの後悔にも繋がっていく。確かにそういう側面はあったと思うけど、だからといってダメな人じゃない。だからすごく身につまされてしまう。親の愚痴とか相談って、つい面倒で聞き流してしまったりするとこってある。それは甘えなんだけど(笑)友達にいちいち今日どこに行くとかは普通言わない気もするけど… まぁとにかく、普段何気なくしていることだから、無意識のうちにコンタクトを断ってる。だけど、それが実はとっても大切なんだってことが、ホントによく分かる。『ヤコブへの手紙』によれば、それこそが"生かされてる"ってことだし(笑) 現に、アーロンが頑張れたのは、家族や友達にもう一度会いたいと思ったから。もちろん、それだけではないけど大きな要素。一人で生きているのではないことの証。それは後のアーロンのセリフにも現れている。



5日以上閉じ込められているわけだから、とにかく精神状態も様々。もちろん、どんどん衰弱してしまうから、辛い感じになって行くけど、そこまでの過程の描き方が見事! 初めのうちはまだ元気があるので、テレビ番組をパロった自虐ネタ動画を、自分撮りしてみたりする余裕すらある。って、多分こんなことしてないとやってられないんだろうな。その気持ちは分かる。ちなみにこの場面で客席の外人が大爆笑してた。似てたのか?(笑) そして、人間の三大欲 食欲、性欲、睡眠欲もサラリと盛り込まれている。ドームで遊んだ時の映像が意外な使われ方をしたりするけど、女子としては複雑(笑) そして、思いは自分に向かっていく。家族や友人達との関係はもちろん、別れた恋人とのエピソードもアーロンという人の別の一面を表している。そして、彼女に言われた一言が身に染みている感じが、とっても分かる気がした。恋愛に限らず、人との関係が壊れてしまうのは、様々な理由があるけど、自分がわがままだった部分も含めて、思いや気持ちを上手く伝えられなかったり、相手に心を開放できなかったのは、とっても悲しいことで、傷になるけど、それはどうしようもないことなんだよね… でも、だからこそ次は上手くできるようになるんじゃないだろうか。

だから、アーロンはもう一度生きたいと思った。その思いが彼に衝撃の決断をさせる。それについての明言は避けるけど、そうするしかないと思うし、つらつら書いてるとおり、その決意に至る経緯がきちんと描かれているので、決断自体にビックリはしない。その方法がちょっと… 個人的には直視出来ず(笑) でも、この後に続くシーンは感動! ここでも水が重要アイテム。そして…

以下、ネタバレあり!

アーロンは人の姿を見つけて助けを求める。何度か叫ぶそれは日本語に訳すと全て「助けて」だけど、最後にアーロンは「I need your help!」と叫ぶ。もしかしたら、普通の言い回しなのかもしれないけれど、人に自分を委ねられなかったアーロンが「あなたの助けが必要です」と言うのはグッときた。そして、アーロンを救うため懸命な人々の姿に感動! ヘリでMAX(涙)

ジェームズ・フランコ良かった! 今までの役はイケメンだけど、どこか頼りない感じが多かった気がするけど、この役合ってたと思う。ちょっと調子に乗りやすく、人懐っこいけど、深く踏み込まれたくないと思っている。でも、根は素直で真面目な感じ… まぁ、ご本人の事はよく知らないけど(笑) ほぼ一人芝居を飽きさせず、全てのシーンに説得力を持たせていた。この演技は良かった! 本心はどうなんだろう?と思わせる、笑ってるけど笑ってない目が効果的。褒めてます(笑)

とにかく、冒頭の疾走感から、ほんわり終わるラストまで、見せ方が上手い! アーロン撮影という設定の映像や、回想、夢、妄想シーンなどが入り混じり、時には3分割画面になったりと、かなり冒険的。合わない人もいるかもしれないけど、それが悲壮感漂いがちで、しかも単調になりがちな展開にテンポと緩急を与えている。伝えたいのは"生かされている"という事なので、重要なのは脱出後。ここをあえてスローで見せるのも良かった。ラストのちょっとファンタジーな感じも好き。さすがダニー・ボイル!

ブルー・ジョン・キャニオンの映像がスゴイ! 渓谷からガーッと引くと、見渡す限りの岩と土… ドームの美しさや、ドレープのような地層もスゴイ! 『スター・ウォーズ』みたい(笑) とにかく、映像と音楽がカッコイイ! かなり痛いシーンもあるけどオススメ! ジェームズ・フランコ ファンならぜひ!

アーロンとデジカメ同じっぽい♪ 2003年の話だからスゴイ古いってこと(笑) ちなみにCyber Shot


『127時間』Official site


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【cinema / DVD】『ジュリー&ジュリア』

2011-06-13 00:00:00 | cinema / DVD
『ジュリー&ジュリア』鑑賞
録画しといた『ジュリー&ジュリア』見てる。「24」のクロエが出てる! #eiga Posted at 02:51 AM

かなり前にWOWOWで放送。録画しておいて忘れてた(笑) 映画見たいけど重めのはイヤだし・・・ と思って録画リスト見てて見つけた! 主人公ジュリーのお友達役で「24」シリーズのクロエ出てた!

『ジュリー&ジュリア』観了! おもしろかった! お料理が全部おいしそうだけど、バターあんなに使っちゃ太るね(笑) Posted at 04:56 AM



1960年代にフランス料理の本を出版し「アメリカの料理の母」と呼ばれるジュリア・チャイルド。彼女が夫の赴任先のパリで料理に目覚め料理本を出版するに至るまでと、30歳を目前に自分探し中のOLジュリーが彼女の全レシピを1年間で作る様子をブログで紹介するという話で、ジュリア・チャイルド、ジュリー・パウエルとも実在の人物。ジュリア役は名女優メリル・ストリープ、ジュリー役はエイミー・アダムス。180c超だったというジュリアは画像処理で大きくしてるのかな? メリル・ストリープは小柄イメージじゃないけど、そこまで大柄でもないよね(笑) 一方のエイミーは小柄でかわいらしく、ちょっとO脚気味でとっても共感できる感じ(笑) メリル・ストリープは言うまでもないけど、エイミーも好演していてとっても面白かった。

ジュリア・チャイルドはかなりいいところのお嬢様だったようで、第二次大戦中OSS(戦略事務局)で事務をしていたけれど、その知性と機転が見込まれ、 かなりのポストを与えられたよう・・・ 記事読んだんだけど見つけられない(笑) 映画の中でも語られるけど、中国に赴任していたときに夫と知り合い結婚。パリのコルドン・ブルーで料理を学び、料理研究家となるという、かなりおもしろい経歴の持ち主。本物のジュリアを見たこと無いので分からないけど、おっとりとしたしゃべり方ながら、かなりおしゃべり(笑) 食べることが大好き。常に前向き。育ちの良さゆえ?

一方のジュリーは作家になるのが夢だったけれど、今は政府機関で電話オペレーターをしている。やさしい夫も居て特別不満は無いはずだけど、バリバリ働くキャリア・ウーマンの友人達に気おされ気味。これでいいのかともやもやしている時、夫からブログを書くことを提案される。自分でもブログをやっている身としては、とってもよく分かるのだけど、例えどんなことでも、自分の感じたことや考えたことを文章にすると、客観的に見れたりして、より鮮明に理解できたりすることがある。気持ちが整理できるというか・・・ 自分の思いを形にしようとするから、必死で言葉を探しているうちに、自分でも思っていなかったことに気づいたり・・・ ジュリーも同じだったんじゃないだろうか。

ジュリーの悩みは贅沢にも思えるけれど、30歳目前女子だったら等身大の悩みなんじゃないかなと思う。この前みた『食べて、祈って、恋をして』だと気持ちは分かるけど、ちょっと共感しにくくなっちゃう・・・ 多分、ジュリア・ロバーツだからだと思うけど(笑) あ、ジュリアがダメっていう意味じゃなくって! ジュリーより全然年上なので、共感というのとはちょっと違うけど、彼女が感じてる焦りとかは分かった。ジュリアが万人にとって理想の女性というわけではないけれど、40歳を超えてから自分の道を切り拓いて行く姿には、気負いもなくとっても自然。ジュリアのその感じが、ジュリーの支えになってる感じは分かる気がする。実際、ジュリアが支えてるわけではないけれど・・・

ジュリアがパリに居た頃のアメリカでは、マッカーシズム全盛期。ジュリアの父も傾倒していたらしい。そんな父にもきちんと自分の意見を言うジュリア。まぁ、40歳超なら当たり前だけどね(笑) でも、そういうことをわりとサラリと描いていて良かったと思う。お料理が本格的! もちろん全部ではないけれど、実際ジュリーの狭いアパートで作っているシーンもあるので、やろうと思えば本格フレンチも家庭で出来るんだね! でも、ものすごいバターの量なので間違いなく太るけど(笑)

感動!という感じではないけれど、重めの映画が続いて辛いけど、あんまり軽くて中身のない映画も・・・ なんていう気分の時にオススメ♪

http://twitter.com/maru_a_gogo


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【Googleのロゴ】レス・ポール生誕96周年

2011-06-09 23:36:46 | Google's logo
毎度のGoogleのロゴがレスポール仕様!



これギターの弦になってて、弦に触ると音が鳴る!
すごいぞGoogleの人っ!


今日、お昼にtwitter見てたらHOTワードにレスポールの文字・・・ なぜ今頃? と思ったらGoogleのロゴがレスポール仕様になってた!
ソリッドギターの代名詞Gibson Les Paul Modelの生みの親 Les Paul氏のお誕生日だった!
ドキュメンタリー映画『レス・ポールの伝説』は、ポニーキャニオンのロビー(?)でプロジェクターで見たっけ(笑)
1995年から2009年に亡くなるまで、毎週月曜日ニューヨークのイリジウム・ジャズ・クラブで「レス・ポール・ナイト」と題したライヴを行っていたんだよね・・・ カッコイイなぁ
レス・ポール氏の人生や、Gibson Les Paul Modelが生まれるに至るまでは、映画の感想を見ていただくとして(笑)


生誕96年! Happy Birthday! ジジイ
なぜジジイ呼ばわりかも映画の感想で・・・(笑)


お友達のtomocoさんから69ROCKの日に生まれたんだねってRT頂いたけど、ホントだ!ますますカッコイイ!


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【Agatha】本日のアガサ

2011-06-09 00:00:00 | Agatha
【Agatha】本日のアガサ


ダイソーで210円で買ったアイスマクラ。まだ冷やしてないけどアガサに取られちゃった(笑) http://p.twipple.jp/mK5bg Posted at 10:16 PM



ちなみにコレ



気がついたら自分のベッド(箱)で寝てたよ(笑) http://p.twipple.jp/YZhh3 Posted at 11:21 PM



http://twitter.com/maru_a_gogo


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【cinema】『テンペスト』(試写会)

2011-06-08 01:28:19 | cinema
'11.05.31『テンペスト』(試写会)@スペース汐留FS

tweetにもあるとおり、仕事が終わらず。ダメもとで会場へ向かうと、トークイベント中! 係の方にうかがうと、イベント終了後お入り頂けますとのこと!うれしい♪

ちなみに見逃してしまったトークイベントのゲストは、衣装繋がりで小林幸子。劇中で実際にヘレン・ミレンが着用した衣装を来て登場したらしい。ちょっと見たかった(涙)

*ネタバレありです

「実の弟の陰謀により、その地位を追われたミラノ大公プロスペラ。幼い娘と共に流された島で12年間魔法の術を学んできた。ある日、彼女の座を奪った男達を乗せた船が島の近くを航行し…」という話で、これはウィリアム・シェイクスピアが最後に書いた戯曲。タイトルは知ってたけど、読んだことはなかった。シェイクスピアは多分「十二夜」くらいしか読んだことない気がする… 言い回しや言葉遣いもそうだけど、とっても難解な印象。上手く言えないんだけど、複雑に絡みあった人間関係が、壮大な台詞を理解しようと必死になっていると、意外にアッサリ解決しちゃっているような… だって「十二夜」では、あんなに他の姫にご執心だったオーシーノが、シザーリオが実は女性ヴァイオラだと分かった瞬間、アッサリ求婚しちゃうし(笑)まぁ、1冊しか読んだことないのに、偉大なシェイクスピアを語るなという気もするけれど(笑)

そんなわけで、例によってサッパリ分からないので、毎度のWikipediaで調べてみた。でも、意外に記述は少なかった。 「テンペスト」はウィリアム・シェイクスピア最後の戯曲(共作ではその後も発表あり)で悲喜劇。 初演は1612年頃と言われている。テンペストとは嵐の意味。あらすじを読むかぎり今回の映画はほぼ変更していない。ラストさらなる復讐を思い止まったプロスペローが、観客に向かい「島にとどめるも、ナポリに帰すも観客次第。どうか拍手により自由にして欲しい」と語りかけるシーンがあるらしい。劇中の「我々は夢と同じもので作られており、我々の儚い命は眠りと共に終わる」は名文句。余談だけど、ベートーベンの"ピアノ・ソナタ第17番"の通称はテンペスト。弟子のシントラーに曲の解釈を聞かれ、「テンペスト」を読めと答えたことに由来している。ちなみに今年2011年は「テンペスト」執筆400年に当たるとのこと。

うーん。面白かったのだけど、感想はなかなか難しい。多分だけどシェイクスピアの面白さは、物語るという意味の台詞だけではなくて、台詞そのものにもあるんだと思う。例えば、島に住む怪物キャリバンを"魚"と呼ぶシーンがあるけど、その造形はどう見ても魚じゃない。何故だろうと同行のrose_chocolatさんにお伺いしたところ、おそらく韻を踏んでいるのではないかとのこと。英語の韻を日本語にするのは、なかなか大変なんじゃないかと思う。韻を踏みながら朗々と繰り出される台詞は、そもそも意味重視なのか、韻重視なのか… まぁ、そんなことは戯曲1冊しか読んでない人間の語ることではありませんが(笑) ただ、役者達の台詞は流れるようなのだけど、その意味を拾うのがかなり大変だった。要するに字幕を読んでも日本語を一回自分の中で消化しないといけないというか… 監修の方もついていらしたし、字幕自体がダメだったということではなく… 上手く言えないんだけど…

もちろん全てがそんな調子なわけではないので、話自体は理解できるのだけど、意外に哲学的なことを言っているのではないかと思われるキャリバンの台詞なんかは、長台詞な上に難解なので、半分くらいしか理解できない。まぁ、自分がダメなだけかもしれないけれど(笑) でも、やっぱりこれは英語がかなり分からないと辛いなという気はした。シェイクスピアの母国イギリスを初めとする欧米諸国ではどうなのか分からないけれど、日本ではタイトルぐらいは知ってても「テンペスト」 のあらすじが言える人は少ないのではないでしょうか。個人的にはタイトルしか知らなかったので、自然ストーリーを追うのは台詞ということになるのだけど、先ほどから書いているように、字幕の日本語すら難解なので… もちろん、ストーリー自体が理解できないわけではないので、全然大丈夫なのだけど…

で、さっきからつらつらと詳しくもないのにシェイクスピア作品について書いてきたのは、台詞が多くて分かりにくいので、うっかりすると眠くなってしまう。正直眠くなったし(笑) 物語はプロスペラを軸として、3組に分かれて進むことになる。つまりプロスペラが復讐すべき相手、ナポリ王アロンゾー、その弟セバスチャン、ナポリ王の顧問官ゴンザーロ、そしてプロスペラの実弟で現ミラノ大公アントーニオが1グループ。船員だったステファーノとトリンキュロー、そしてステファーノを崇拝してしまったキャリバンの第2グループ。そして、プロスペラの娘ミランダとナポリ王の息子ファーディナンドが第3グループ。第1Gは陰謀と権力欲が渦巻き、第2Gも欲望に走りつつお笑い担当、第3Gが汚れなき純愛で、その間を自在に行き来し、魔法の力でプロスペラに協力するのが空気の精エアリエル。この役割分担自体は原作にあることだと思うけど、それぞれストーリーに緩急をつける意味合いがあるのだと思う。ただ、やっぱり先の理由で、なかなか緩急とは行かない。ナポリ大公の座争いとか興味ないし。じゃあ、何で見に行ったんだという感じですが(笑)

何故見に行ったかといえば、ヘレン・ミレンがシェイクスピアを演じるってことと、ベン・ウィショーが出てること。あ、アルフレッド・モリーナも(笑) そして何と言っても監督がジュリー・テイモアだから。ミュージカル「ライオンキング」の演出が有名だけど、映画も3本撮っている。1本目はシェイクスピア原作の『タイタス』でこれは未見で原作も未読。2作目のアルフレッド・モリーナが主人公フリーダ・カーロのダンナで画家のディエゴ・リベラを演じた『フリーダ』の方が有名かと思うけれどこちらも未見。前置き長いけど3作目『アクロス・ザ・ユニバース』が大好きだったのが今回見たかった理由! THE BEATLESの楽曲を使用したオリジナル・ミュージカル。ベトナム戦争時のアメリカと、若者独特のもどかしさを描いていて素晴らしい。当blogのその年の2位だった。ちなみに1位は『ダークナイト』 また前置きが長くなってきたけど、要するにジュリー・テイモアがどのように演出したのか期待大だったわけです(笑)

で、やっと辿り着いた結論としては良かったってことなんだけど、それだとあんまりな記事になっちゃうので、もう少し詳しく書くと、ジュリー・テイモアお得意のミュージカル部分を、エアリエルと切ない想いを語るファーディナンドに割り当てたのが良かった。ファーディナンドについては、朗々と愛を語られるよりも、ミュージカル調で大袈裟にしてしまったことでむしろサラリとした印象になっている。一番効果的だったのはエアリエル。これは空気の精で、魔力で囚われの身となっているところを、プロスペラによって救い出された。でも、まだ自由は与えられていない。自由の身となるため、プロスペラのために働いていて、実は冒頭の嵐=テンペストもエアリエルが起こしたもの。このエアリエルはベン・ウィショーが演じているけど、CGなどを使い空気のフワッと感を出し、嵐を起こすシーンなどは、ロック調の歌で描き出している。これがすごく良く出来ている。適度に作り物っぽい。ベン・ウィショーの中性的な感じをよく生かしていると思う。ちょっとグラム・ロック的な(笑) 嵐のシーンは魔物のようでもあり、ファーディナンドを海へと誘う時は、少し胸の膨らみも見えて、両性具有的な感じで良かった。舞台だとどんな感じになるのか分からないけど、これは映画ならではかなと… ほぼCGだと思うけれど、公式サイトによると、嵐のシーンは水レンズ(?)を使って撮影したとのこと。ちなみにベン・ウィショーのスケジュールが合わず、ヘレン・ミレンもベン・ウィショーもそれぞれ1人で撮影したのだそう。役者ってスゴイな。とにかく、エアリエルのシーンが緩急に役立っていたことは間違いないと思う。ちなみに視覚効果は『セブン』『スパイダーマン』シリーズのカイル・クーパー。

役者達はみんな良かったと思う。プロスペラを裏切った実弟はクリス・クーパー。悪役だけどこれは悲喜劇なので、どこか滑稽さを感じさせたのが良かった。そのさじ加減もいい。ちょと顔が怖いけど、『シービスケット』の頑固な老調教師役良かったので、ああいう役もやって欲しい。お目当ての1人アルフレッド・モリーナは相変わらず良かった。役作りなのか自然なのか不明だけど、かなり太っている。品のない俗物の役だったので、ルックス的には合ってる(笑) そしてやっぱり上手い。相方のトリンキュローのラッセル・ブランドは監督のリクエストに応えてアドリブ連発らしい。2人いいコンビ。憎めない(笑) ナポリ王のデヴィッド・ストラザーン、セバスチャンのアラン・カミングも中世のコスチュームが似合う。

若い恋人達、ミランダのフェリシティ・ジョーンズは全然気づかなかったけど『わたしの可愛い人-シェリ』のシェリの若妻だった。島で母親以外の人間を見ずに育ったため、純真無垢で清らか。すごい美少女という感じではないけれど、お人形のような顔立ちが合っている。ファーディナンドのリーヴ・カーニーはジュリー・テイモア演出のミュージカル「SUPIDER-MAN:TURN OFF THE DARK」でピーター・パーカーを演じているそうで、バンドでリードヴォーカルをしているとのこと。歌良かったと思う。個人的な好みはあるかと思いますが、イケメン枠です(笑) キャリバンもどこかで見たことあると思ったら『アイランド』と『コンスタンティン』のジャイモン・フンスーだった。すごい肉体美! マッチョ系は苦手なのだけど、これは見事! 第1G唯一の良識家ゴンザーロのトム・コンティも控えめながら良かった。彼の存在がプロスペラの救いの1つになっていたと思うので。

ベン・ウィショーが良かった。空気の精なんてどう演じるのが正解か分からないけど、中性的な感じで、時に子供のように、時に恋人のようにプロスペラに寄り添う感じがエロティック(笑) 傷つきやすそうで、そうでもない感じもおもしろい。全員書いたかな?(笑) ヘレン・ミレンはさすがの存在感。復讐に燃えるプロスペラは厳しく恐ろしい存在でもあるけれど、その強さの中に娘を守る母の強さも感じられて良かったと思う。大芝居ではないけれど、流れるような台詞回しで"芝居"パートを見事に演じている。大英帝国勲章を受勲し、デイムの称号を持つ大女優の初シェイクスピアは、「テンペスト」のキャリバンだったのだそう!

実は「テンペスト」の映画化を考えていたジュリー・テイモアに、あるパーティーで同席したヘレン・ミレンが、プロスペローを女性にできると語ったことで、一気に現実化したのだそう。この変更は良かったと思う。ラスト割とあっさりプロスペラは彼等を赦すように見える。もちろんそうではないのは分かるし、彼女が赦したのは復讐にとらわれていた自分の人生を解放することなのだと思うけれど、そこに母親として娘の将来を拓いたという要素が加わったことでより分かりやすくなった気がする。父娘より母娘の方がより説得力がある。

『恋に落ちたシェイクスピア』のサンディ・パウエルの衣裳が良かった。小林幸子も着用したプロスペラの衣裳は胸の真ん中から下腹部まで太いジッパーのある斬新なデザイン。良く見るとコルセットのような部分にはジッパーが幾筋も… 斬新だけど中世っぽくもある。これはおもしろい。ハワイ島で撮影したらしいけど暑かっただろうな(笑) ハワイ島の風景も良かったし、エッシャーの絵みたいなプロスペラの家とかセットも面白かった。

ヘレン・ミレンが「シェイクスピアの素晴らしさは、何をしても作品が壊れることなく、さらに新たな一面が出てくるところよ」と語ったのだそう。なるほど…

合わない人は全然ダメかも… 個人的には面白かった。

『テンペスト』Official site



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【play】「Cats」@横浜キャッツシアター

2011-06-06 00:00:00 | play
横浜へー♪『Cats』を見に行くのー♪しかも回転シーーート♪(←ミュージカル調で♪) Posted at 10:37 AM

いきなりバカtweet(笑) お友達のまっつあんこさんが、S回転席が思いのほか取れてしまったとtweetしてて、何人かの方が余っているなら引き取りますというRTしてらしたので便乗。同じくRTされてたrose_chocolatさんと、では一緒に行きましょうということになった。だってS回転席ですよ

会場入り!回転シート着席しましたー♪舞台上がっちゃたー☆ http://p.twipple.jp/ESD6w Posted at 12:52 PM


横浜キャッツシアター

S回転シートというのは前4列が舞台とともに回転するシート。なので、通常の客席とは別にセットの裏側に座席がある。席に着くためには一度舞台上に上がらなければならない。何気なく上がってしまったけど、よく考えたらこれすごいことだった! だってあの「Cats」の舞台に上がってしまった! 「Cats」を観るのは今回で10回目だけど、S回転席は初めて。これはスゴイ迫力! 最前列は舞台と1mも離れてないと思う。4列目のほぼ真ん中の席だったけど、猫達がホント近くで大迫力! 彼らが踊ったり、舞台に駆け上がるたび席も揺れる。なんという臨場感♪

『Cats』観了!スゴイ感動! http://p.twipple.jp/dCemR Posted at 03:47 PM


キャッツといえば猫の目!

感動・・・ グリザベラが"メモリー"で、「お願い私にさわって、私を抱いて光と共に」と歌い上げ、その直後に子猫のシラバブがその手を取るシーンで毎回涙・・・ グリザベラは元娼婦猫で、今は年老いて見る影もなくなってしまっている。どういういきさつで娼婦になったのかは不明だけど、確かに敬われる職業ではない・・・ 美しかった頃の彼女がどんな風で、他の猫達とどのように関わっていたのかも分からないけれど、大人の猫達は彼女を蔑んでいる。でも、彼女の心の叫びを聞いたとき、真っ先に彼女に触れたのが子猫であるというのがいい。清らかな者が、穢れた者を救う・・・ 感動

でも、今回意外にも泣いてしまったのは最後の曲で、オールドデュトロノミーが「その時あなたは猫を唯一の名で呼べる」と歌った時。子供のように猫を唯一の名で呼びたいなぁと思ってしまった。この辺りが哲学的であると云われる所以なのかなぁ・・・ まぁ、哲学的ってどんな事を言うのかよく知らないけど(笑)


階段に猫達の名前が!

階段に猫達の名前が書かれていた。これはスゴイ素敵だと思う。劇場のスタッフの方達もきびきびとしていて、とっても感じが良かった。休憩中の女子トイレには誘導係の方まで! 素晴しい 「Cats」自体も客いじりというか、ファンサービスにあふれた作品だからね。始まる前、上演中、休憩明け、ラストと客席に猫達が降りてきて客いじり。上演前には席の近くにランパスキャット(多分)が来てくれたし、休憩明けには席の後ろでボンバルリーナが、女子の靴を取って匂いをかぐというアドリブ(笑) ラストにはグリザベラに握手してもらったし、ジェニエニドッツに頭を触ってもらった。他にもいろいろ来てくれたんだけど名前と猫が思い出せない(涙)

『Cats』スゴイ良かった!エリオットの哲学的な詩をサラリと曲に乗せたのは素晴らしい。しかし、あんなに踊って歌が全く乱れないのはスゴイなぁ。止まっていると、かなりの息遣いなのだけど… メモリーはやっぱり感動!シラバブがグリザベラの手を取るシーンではいつも涙… Posted at 04:53 PM

『Cats』マキャビティを歌うお2人。ディミータとボンバルリーナ(?)すごいセクシー!グリドルボーンも良かった!男性ではマンゴジェリーが良かったな スタイル良くて(笑) Posted at 04:58 PM



ザックリした観想はtweetどおり。一応、別記事で感想書く予定なんだけど、書けるだろうか・・・(笑) とにかく 「Cats」は何度見てもいい。また観たい!

まっつあんこさんありがとうございまーす

劇団四季 作品紹介(ステージガイド) キャッツ

ウチのCat アガサ(熟女) http://p.twipple.jp/4zzeS Posted at 07:35 PM


キャッツつながりでウチのアガサ!


http://twitter.com/maru_a_gogo


コメント (2)
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