まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

フランス王ルイ15世愛妾 ジャンヌ

2011-06-22 23:28:42 | 王の寵姫・愛妾
フランス最後の公妾
デュ・バリー伯夫人 ジャンヌ・ベキュ


1743~1793/愛妾 1764~1774

『ヴェルサイユの薔薇』でおなじみ、デュ・バリー夫人です。

愛妾は大別すると、からだと快楽で王の心をとらえているタイプと
安心感や信頼で王をとらえているタイプに分かれると思います。

ポンパドゥール夫人や、ルイ14世の愛妾で結婚までしたマントノン夫人なんかが後者ですね。
デュ・バリー夫人は前者にあてはまると思います。

ジャンヌの母アンはお針子さんでしたが、とっても官能的な女性でした。
父親は修道僧ジャン・バプティスト・ド・ボーベルニエでは? と言われています。
        
子供の頃は母親のパトロンの一人だったデュモンソーの家で暮らしていました。
デュモンソーの愛人フランチェスカはジャンヌのことが大好きで
高価な物を与えたり甘やかしたりしていました。
変わってるよね… ライバルの娘なのに。
修道院系の女学校へもデュモンソーの援助で入学しました。

15歳で修道院を出ると髪結いのアシスタントになり、その後は老婦人のコンパニオン、
帽子店の店員など仕事を変えましたが、紳士洋品店で働いている時
カジノのオーナーで成り上がりのデュ・バリーの目に留まります。

家政婦としてデュ・バリーに雇われたジャンヌは(やっぱり)愛人になりました。
デュ・バリーはジャンヌがクルティザンヌとして身を立てられるように
マドモワゼル・ランジェという名で売り出し後押ししました。
ジャンヌの美しさはパリにセンセーションを巻き起こします。

ルイ15世の友人リシュリュー公はすぐさまお得意様になりました。
もはや売れっ子ジャンヌで飯を食っていたと言っていいデュ・バリーは
リシュリュー公を通じてジャンヌをルイ15世に会わせることに成功します。

もちろんルイは夢中になりますが、侍従ル・ベルが
ジャンヌが未婚なので愛妾には相応しくないと進言しました。
ルイは早速ジャンヌの相手選びを命じまして
デュ・バリーの兄弟ギョームと結婚することになりました。

ルイ15世も54歳、宮廷医はルイに「過度なセックスはおやめ下さい」と
再三注意していたけれど、ジャンヌを目の前にしたルイは言うこと聞きやしない

ジャンヌはとにかく美しくて、男性の目を惹くコツを心得ていました。
うっとりして言うべきことを忘れてしまう男性もいたそうです。
肌が綺麗で見事な金髪と大きな青い瞳の持ち主…まるでお人形みたいですね。

知性があったとは言い難いようですが
ポンパドゥール夫人とは違った形でルイを楽しませることができました。
服装もインテリアも全てをルイの好みに合わせ、大好物で胃袋も掴みました。

ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』のデュ・バリー夫人は黒髪でしたっけ?
でもキャラクターとしては近いような気がします。

ルイ15世の王女たちは、無作法でルイに無茶をさせるジャンヌが大嫌いでした。
1770年に王太子妃マリー・アントワネットが嫁いでくると
ヴェルサイユは二分されます。
あまりにも有名なエピソードなので割愛するけど、ジャンヌは勝利を収めます。

でもルイ15世はやはり王だけあって不穏な空気に気づいていたのね。
1774年、天然痘で命が危なくなったルイは、ジャンヌに宮殿を去るよう言い渡しました。

ジャンヌはモー近郊の修道院に入り、2年後ルーヴシエンヌ城に移りました。
城にはジャンヌの崇拝者たちが訪れて、けっこう楽しく暮らしていたみたいです。

王の亡き後も平和に過ぎて行く日々でしたが、1789年、フランス革命がおこりました。
この時ジャンヌは城を解放して負傷兵たちの手当などをし
マリー・アントワネットから感謝の手紙を受け取ったりしています。
昔は宿敵だったとしても、王家の一大事の時には一緒になって戦わなければね!

一度はロンドンに逃れたジャンヌでしたが、城に残してきた宝石のことが
気が気でありません…たーくさんあったんでしょうね。
よせばいいのに、フランスに戻ってしまいました。
そして案の定捕まってしまいました。

ジャンヌもマリー・アントワネット同様一方的な裁判で死刑が決まり
マリー・アントワネットが最後の日々を過ごした牢獄に入れられました。

ギロチンに向かう途中で気を失ったジャンヌは、死刑執行人に支えられて
断頭台に上がりました。
一瞬目を覚まして「あと一分だけ待って」と言ったそうです。

フランスはこの後、共和制、帝政、王制が目まぐるしく入れ替わります。
宝石も気になりましょうが、もう少し待っていれば堂々と帰国できる日が来たのに…
でもジャンヌは71歳になっちゃってるか…

のこのこと帰るあたり、世相に疎いか楽観的すぎましたね。
政治に疲れた晩年のルイ15世には、ジャンヌのそういう無邪気なところが
魅力的に見えたのかもしれませんね。

(参考文献 エレノア・ハーマン『王たちのセックス』
      ドーン・B・ソーヴァ『愛人百科』
      川島ルミ子氏『国王を虜にした女たち』 Wikipedia英語版)

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5 コメント

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こんにちは (七色)
2016-10-06 21:00:02
デュ・バリー夫人といえば「ベルサイユのばら」の強烈なライバルキャラというイメージが強いですよね。
私もその一人で「実は優しい人だった。」と言われても中々信じられませんでした。
坂本眞一先生の漫画「イノサン(フランス革命で活躍した処刑人、シャルル・アンリ・サンソンが主人公。)」で、若き日の彼女を知るまでは。
修道院時代の清楚可憐な美しさ、お針子時代の頼れるに姐さんぶり、マリー・アントワネットへの大人な対応…と見ているうちに、すっかり好きになってしまいました。
(坂本先生の画力や、主人公シャルルの初恋の人であり、大切な友人という作中での立ち位置も大きいと思いますが。)
(^o^;)一つの漫画だけを見て、人を判断してはいけない、と良い勉強になりました…。
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2016-10-08 21:23:17
七色さま、こんばんわ

最近マンガを読んでいないのですが、歴史を扱った面白そうなものがたくさんあるんですね?

王の愛妾を描く時に、完全に王妃の敵としてとらえるか、悲恋の相手としてとらえるかで、かなり変わってきますよね。

たぶん、王妃にも愛妾にも、いいところも悪いところもあったのでしょうが、どちらを主人公にするかで、かなりバランスが変わりそうです。

日本だと淀君あたりが意見がわかれそうですね。
返信する
ルイ15世と恋愛 (ゆり)
2018-01-31 05:15:00
ベルばらの悪女としてデユバリー夫人は王太子妃をひざまつかせた玉の輿女子本当に早くに父母を幼い頃亡くし弟あれいないはず孤児院で暮らすお針子から売春婦貴族の知り合い情夫の力で貴族に王室貴族のコネでルイ15世に気に入らて愛人にルイ15世はハーレムは世界一の王様幾人もポンパドウル夫人生きてた頃はハーレムに鹿の館とベルサイユから離れたお城に愛人達住まわたデユバリー夫人だけ王様のすぐそば他の愛人離れ館で待つばかりデユバリーるい夫人は不幸と幸せ繰り返し最後は世界一不幸な女性として語らるきれい過ぎてプライドは幼い時から高いと確かに玉の輿にのっていい暮らしルイ15世との間に王子が生まれていたら堂々と妃として暮らしてたかもと噂が
返信する
こんばんは (まりっぺ)
2018-02-08 21:05:17
ゆりさま、こんばんは
コメントありがとうございます

パソコンがある部屋に暖房器具がないもので、めっきりパソコン近づかなくなってしまい、お返事が遅くなってすみません

デュ・バリー夫人については、私も悪いイメージを持っていたひとりですが、良いエピソードもあるようですよね

天真爛漫で思い立ったら即行動するタイプ… というのが私の今のところのイメージです
返信する
天真爛漫なランジェ・ジャンヌ・ベキュ (メリエンダ)
2018-09-30 17:56:59
デュ・バリー夫人こと、ジャンヌ・ベキュは、ルイ15世の晩年の寵姫で有名。実在の彼女は、明るく、天真爛漫な性格の持主だったらしく、誰からも可愛がれる女性だったらしいですね。
ベルバラの作者も、彼女のことを、“本当の夫人は、美しくて、情に脆く、優雅な貴婦人”と言っていましたし、物語の都合上、権勢欲、物欲のある性悪女にせざるえなかった、とも語っていました。 ある逸話では、珈琲に火をかけていた所、珈琲がふきこぼれそうになり、側にいたルイに、『ほらほら、フランスさん、あんたの珈琲がずらかっちまうわよ!』と言ったとされていますが、これは、彼女を嫌う連中が、夫人が如何に卑しい身の上で、下品かを示すための作り話で、夫人は、言葉遣い、物腰等は上品で、こんな言葉遣いをしたことはなかったらしいです。美貌も、文句無しの“絶世の美女”で、前寵姫・ポンパドゥール夫人よりも勝っていたらしいですね。夫人に頼み事をしに来た男性が、夫人を目の当たりにした途端、夫人の美貌に見とれきって、要件を忘れてしまう程だったらしいですね。なんでも、デュ・バリー夫人の母方の家系は、類い希な美貌の血筋だったらしく、母方の祖父は、パン職人だったけれど、途方もない美男子で、ある貴族の令嬢に一目ボレされて、婿入りした程だったらしいですね。令嬢が死んだ後は、パン職人に戻り、料理婦と結婚して夫人の母らが生まれ、母は父親譲りの美貌で多くの恋人を持ち、その一人が夫人を可愛がり、夫人に良い教育を受けさせてくれたらしいですね。ですが、夫人は、美貌だけでなく、その気質においても、多くの男を魅了したのだと思います。
漫画・イノサン、デュ・バリー夫人の処刑をどう描くのか、早く見たいです!
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