まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『メイプル夫妻の物語』寄せては返す…倦怠期のさざ波

2010-06-19 01:47:22 | アメリカの作家
TOO FAR TO GO - THE MAPLES STORIES 
1979年 ジョン・アップダイク

アメリカの離婚事情はよく知りませんけどね
こんなにスタイリッシュな離婚劇があってよいのでしょうか?

メイプル夫妻の、結婚2年目から24年目の離婚までを綴った一冊です。
22年間をずーっと書いているわけではなく、2年目、7年目など
離婚へ至るポイントになった出来事を断片的に集めた短篇集です。

どのエピソードも1日から2日間の出来事が書かれています。
その他の日は安泰に暮らしていると思われる節もある…
読んでいると「別れちゃいな!」とも「別れなくても…」ともいえる
微妙な夫婦関係に思えますけど、一度でも倦怠期を経験した夫婦なら
その感じ、理解できるんじゃないかなぁ…

興味深かったものをいくつか…

『妻を待つ』
11時に帰るはずのジョウンが帰ってこないのでリチャードは不安にかられます。
やっと帰って来たジョウンは落ち着き払っていて
「メイソン夫妻はつらそうで、怒ることもできなかった」と言いました。
ジョウンは、リチャードの不倫相手とその夫のもとへ呼ばれて行っていたのです。

ちょいとちょいと、不倫の後始末に妻が行くってですか?
結婚15年目ぐらいの出来事みたいです。
妻が行ってあげるあたり、まだ愛が残っていると思えなくもない…
でも落ち着き払っているところはどうなのか? もう見切っているということかしら。

『薫製鰊の理論』
メイプル夫妻の新居で開かれたパーティーの後、リチャードがひとりの女性とばかり
踊っていたことを、ジョウンが「カモフラージュの “ 薫製の鰊 ” 」だと言います。
その後二人はお互いの薫製の鰊と本命の魚を探り合います。

実はこの物語の前にジョウンが浮気相手を告白する話しがあって、しかもひとりじゃないの。
夫婦でお互いの本命を探り合うってどうなんですの?
つき合う前に、お互いの気持ちを探るために冗談で言い合うというのはあるけど
この夫婦は本気で言ってるのだろうか? 謎です。

『ジェスチャー』
別居して一夏が過ぎましたが、リチャードは毎晩家族と夕食を食べていました。
しかしジョウンに促されて町を出ることになりました。
リチャードが借りたアパートには、不倫相手のルースも来ればジョウンも来ます。
ある日食事に出たメイプル夫妻はお互い自分の恋人のことを話したがります。

ジョウンも恋人ができたし、よかったね!って、ルースは友人の妻なんだけど…
お互いの気を惹きたくてわざとやってると思えなくもないけど
本気で不倫をしているような気もします、少なくとも夫の方は。

アップダイクは、自分の経験を短篇にしていることが多いそうですし
離婚もしていますので、もしかして実話? と思ったりしています。
でも、もし実話でも、あくまでもアップダイクサイドからの見方で書いているわけで
妻がどう思っていたかは想像の部分でしかありえませんよね。

離婚に至るまでの男性と女性を比べたら、たぶん女性の方がしたたかに気持ちを隠す…
ふふふ…

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